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高山正寛たかやませいかん

「ムーヴカスタムvsワゴンRスティングレー」どちらが買いか?

「ムーヴカスタムvsワゴンRスティングレー」どちらが買いか?
「ムーヴカスタムvsワゴンRスティングレー」どちらが買いか?

最近はホンダN-BOXやダイハツタントなどの「スーパーハイト系ワゴン」の台頭で、やや影の薄まった印象のあるスズキワゴンRとダイハツムーヴだが、2017年8月の届け出台数ナンバーワンにムーヴが返り咲くなど、まだまだ人気は高い。今回は2017年2月にフルモデルチェンジしたワゴンR、8月に大幅なマイナーチェンジを行ったムーヴ、そのなかでも人気の高いエアロ系グレード「スティングレー」と「カスタム」を徹底比較してみよう。

軽自動車の「基本形」の2台はまだまだ人気

ダイハツ・タントやホンダN-BOXなど、ボディサイズを軽自動車の枠いっぱいまで広げ、高い全高とスライドドアを持つ「スーパーハイトワゴン」に注目が集まりがちな昨今ですが、いまだに「ハイトワゴン」「トールワゴン」と呼ばれる、少し背の高い軽自動車も使い勝手の良さで人気を集めています。その代表がスズキ・ワゴンRとダイハツ・ムーヴの2台。今回はマイナーチェンジで進化したムーヴ、なかでも走りとスタイルで人気のムーヴカスタムと、このジャンルの元祖かつ実力派のワゴンRスティングレーを比較します。

軽自動車の新時代を築き上げたスズキ・ワゴンR

軽自動車の新時代を築き上げたスズキ・ワゴンR

軽自動車は税金や通行料金などの優遇がある代わりに道路運送車両法で寸法の制限が決められています。特に全長3400mm以下、全幅1480mm以下、定員4名という部分が実際のユーザーにとっては普通乗用車と大きな違いを感じる部分だと思います。

その制限の中では余裕のある全高に着目し、室内高を大きく確保したクルマとして開発されたのが1993年に発売された初代ワゴンRです。ワゴンRはフロアを二段構造にすることで着座高を上げ乗降性を向上、さらに視界の良さも確保した画期的なクルマとして大ヒットします。これまで「買い物の足クルマ」「仕事用のクルマ」という需要が多かった軽自動車ユーザーに「レジャーにも使えるクルマ」「男性が乗っても恥ずかしくないクルマ」という新しい流れを生み出したことは間違いないでしょう。

後追い?それでも大ヒットしたダイハツ・ムーヴ

後追い?それでも大ヒットしたダイハツ・ムーヴ

このワゴンRの大ヒットを受けて1995年にダイハツから登場したのがムーヴです。ただ初代ムーヴは専用設計がされたワゴンRと異なり、当時販売されていた「背の低い」ミラをベースに「それらしい」ボディを載せたクルマでした。その証拠に着座高はミラとほとんど変わりませんでした。しかしバックドアを片観音(横開き)式にすることで狭い場所でも荷物の出し入れがしやすいなど利便性を高めたことなどが評価され、こちらも一気に人気モデルの仲間入りをしました。

多様化してもまさに「安定」の人気を誇る両車

その後、長らく軽自動車の販売台数のトップを争ってきた2台ですが、現在の軽自動車市場には多様なモデルが増え、ワゴンRもムーヴもかつてのような圧倒的な強さはありません。しかし適度なサイズ感と道具感を併せ持った「ハイトワゴン」「トールワゴン」を好む方は依然多いようで、2017年2月にフルモデルチェンジを行い6代目となったワゴンR、2017年8月にマイナーチェンジを行ったムーヴとも販売は好調です。

いわゆる“新車効果”による部分もありますが、両車とも前年との累計比では100%を大きく超える伸びを示していることからも人気ぶりがわかります。特にムーヴはマイナーチェンジ直後ということもあり、2017年8月は届け出台数1万364台でナンバーワンに返り咲きました。ちょうどホンダN-BOXがモデルチェンジ直前だったこともありますが、前年比172.5%は絶好調と言えるでしょう。

エクステリアがより精悍になったムーヴカスタム

エクステリアがより精悍になったムーヴカスタム

思い切ったデザイン変更をした新型ワゴンRの新車効果が続いていることもあり、ムーヴも外観を中心にマイナーチェンジとは思えない大幅な変更が加えられました。特に人気のカスタムは薄型のLEDヘッドランプを組み込んだフロントマスク、そしてメッキ処理を行ったフロントグリルと大型バンパーで精悍な印象を獲得しています。軽自動車にエアロ系の外観を持つグレードを広めたのはダイハツの「カスタム」シリーズと言っていいでしょう。ワゴンRスティングレーの大胆なスタイルに対抗するために、最新の「軽のエアロ系らしい顔」にアップデートされました。

またリア側にもLEDストップランプを組み込んだ新デザインのスモーククリア

またリア側にもLEDストップランプを組み込んだ新デザインのスモーククリアのインナーレンズよるコンビネーションランプを採用することで変更前のモデルより存在感も増しています。

新しいムーヴは優秀な先進安全装備「スマアシIII」を搭載

新しいムーヴは優秀な先進安全装備「スマアシIII」を搭載

ダイハツの先進安全装備において現在最も優れているスマアシIII(スマートアシストIII)をSAIIIグレードに搭載した点がニュースと言えるでしょう。スマアシIIIは世界最小のステレオカメラをフロントウインドウ上部に設置。車両のほか歩行者も認識します。まず衝突警報、そして自動ブレーキは事前ブレーキ、危険性が高まった場合には緊急ブレーキを動作させます。「衝突警報機能」は対車両で約4〜約100km/h、対歩行者で約4〜約50km/hの速度で検知するとブザーとメーター内に表示します。また自動ブレーキは「被害軽減ブレーキアシスト」、最終的に衝突が避けられないと判断した場合の「緊急ブレーキ」が対車両で約4〜約80km/h、対歩行者で約4〜約50km/hの間で作動します。

この他にも「車線逸脱警報機能」や「誤発進抑制制御機能」

この他にも「車線逸脱警報機能」や「誤発進抑制制御機能」、「先行車発進お知らせ機能」、そしてスマアシIIIのみに搭載される機能として前述した「対歩行者への支援ブレーキ」のほか「オートハイビーム」を搭載、これにより政府が普及啓発している「サポカー」において最も優れた「サポカーSワイド」に該当します。

「クルマらしい」インテリアは小改良

「クルマらしい」インテリアは小改良

ムーヴのダッシュボードやメーターはドライバーを中心にデザインされており、広さを感じさせるものが多い昨今の軽自動車のデザイン傾向とは異なり、いかにもクルマ!という印象を与えます。軽自動車ぽくない点はマイナーチェンジ後も健在です。トールワゴンのほとんどが室内の広さや使い勝手の良さを特徴としていますが、ムーヴも同様に十分以上の居住空間を持っています。リアシートは5:5の分割でスライド/可倒/リクライニングが可能。特に240mmもスライドすることで荷物や乗員に合わせて多彩な使い方ができます。

今回このリアシートのスライド機構を荷室側から操作できるレバーを新採用しました

今回このリアシートのスライド機構を荷室側から操作できるレバーを新採用しました。小さなことではありますが、実際使ってみるとかなり便利で4名乗車はするけど、荷物の大きさに合わせてシートスライドを行いたい時などは重宝します。軽自動車という限られたサイズゆえに、よく考えられた収納類も魅力と言えるでしょう。

ちょっとミニバン的?押し出しの強いワゴンRスティングレー

ちょっとミニバン的?押し出しの強いワゴンRスティングレー①

ちょっとミニバン的?押し出しの強いワゴンRスティングレー②

新型ワゴンRは標準車に2種類のフロントマスクを持つグレード、そしてより押し出しの強いスティングレー、合計3種類の個性的なエクステリアを持ちます。

特に今回のスティングレーは大胆なデザインが採用されています。フロントグリルが縦横に大きく拡がっており迫力十分。この手のデザインはミニバンや輸入車に似たようなものがありますが、やや好みが分かれてくると思います。ムーヴカスタムは「正当な軽のエアロ系グレード」の顔ですが、スティングレーはルームミラー越しに見ると軽自動車とは思えないインパクトがあり個人的には好印象です。

先進安全装備は「サポカーSワイド」に対応

先進安全装備は「サポカーSワイド」に対応

これまでも数多くの先進安全装備を採用してきたスズキですが、ワゴンRでは単眼カメラにレーザーを組み合わせた「デュアルセンサーブレーキサポート」を採用しています。スティングレーの場合、ハイブリッドモデルには標準装備、最廉価のLには「セーフティパッケージ」で選択できます。

ムーヴ同様「サポカー」の区分では最も優れた「サポカーSワイド」に該当しますが、方式が異なることにより、衝突警報機能は対車両で約15〜約100km/h、対歩行者で約15〜約60km/hと異なります。また自動ブレーキに関しても対車両で約5〜約100km/h、対歩行者で約4〜約60km/hの間になります。

最新デザインを採用したインテリアは「中性的」

最新デザインを採用したインテリアは「中性的」①

最新デザインを採用したインテリアは「中性的」②

インテリアは非常にスッキリとした仕上げで収納も多く、実用性は非常に高いと感じます。ムーヴカスタムのドライバー優先なダッシュボードと比べると、横基調の最新デザイントレンドを採用したワゴンRのダッシュボードの方が新しさを感じますが、やや中性的な印象もあります。メーター類は最近では珍しいインパネセンター部に設置されている点もオトコくさいムーヴと好対照。

センターメータは視線移動が大きくなるという心配もあるかもしれませんが①

センターメータは視線移動が大きくなるという心配もあるかもしれませんが②

センターメータは視線移動が大きくなるという心配もあるかもしれませんが、前述した「デュアルセンサーブレーキサポート」が装着されたグレードには軽自動車初となる「ヘッドアップディスプレイ」が搭載されます。速度や衝突警報表示などのほか、オプションの対応ナビゲーションを装着すると交差点案内なども表示されます。これによりセンターメーターでもドライバーの視線上に必要な情報が表示されるのでわき見運転などの減少など安全運転にも寄与します。

これは発明品!と思える装備を発見

これは発明品!と思える装備を発見

リアシートのスライド量は160mmとムーヴに比べるとかなり少なめですが、新しいプラットフォームである「ハーテクト」の採用により限られた寸法の中で室内長は旧型より285mmも延長されました。

アンブレラホルダー

そして何よりもこの装備はイケてる!と思わせたのがリアドア両側に装着された「アンブレラホルダー」です。よくありますよね。雨天時にクルマに乗るときに傘をどこに置こうか迷ったり、雨水で衣服が濡れてしまうことが・・・。この機能は約90cmまでの傘ならばサッとしまうことができるだけなく、傘に付いた雨水はきちんと車外に放出できるのです。この機能はスズキ社内の女性エンジニアが企画したそうですが、まさに「かゆいトコロに手が届く」ようなナイスアイデアと言えます。

走りは街中ならワゴンR、長距離ならムーヴ

両車とも最新のプラットフォームを使っていますが、路面からの微振動や高速道路でのギャップを乗り越えた際の収まり具合や静粛性では、ムーヴのほうがより優れていると感じました。長い時間、長い距離を乗るならムーヴのほうが疲れないでしょう。一方で街中でのキビキビした軽快感ではワゴンRのほうが優れています。一番の理由は車重が同等グレード比較でも50kgも軽いこと。軽量プラットフォームの実力はパワーの少ないノンターボ車でもよくわかる部分です。ただワゴンRは旧型より改善されたものの高速道路での直進性がいまひとつなのと、乗り心地が少々落ち着きを失うのは改善してほしい部分です。

燃費はほぼ互角、しかし市街地に限ればワゴンRが有利に

そして燃費の部分ですが、JC08モードでの燃費はワゴンRスティングレーのハイブリッドTが28.4km/L、ムーヴのRA「ハイパーSAIII」が27.0km/Lですが、実際の走行でも両車とも17〜18km/Lといい勝負をしています。

燃費はほぼ互角、しかし市街地に限ればワゴンRが有利に

ただワゴンRの場合、発進時に作動する「ISG」と呼ばれるモーター付き発電機などの“飛び道具”があることから、ストップ&ゴーの多い市街地走行を増やすとその差は拡がります。これまでも「Sエネチャージ」のネーミングでこの方式は採用されてきましたが、ワゴンRのISGはハスラーなどよりも出力の高いものを使っており、モーターアシスト走行できる頻度が増えている点も優れています。

この2台の「○と×」

ムーヴカスタムの「○」

・軽自動車のカスタム系らしいデザイン

・自動車らしさ、タイト感のあるダッシュボードデザイン

・先進安全装備はステレオカメラを使っているので認識レベルが高い。

・乗り心地や静粛性に優れるので長距離でも疲れない。

・後退時にも誤発進抑制機能が働く。

 

ワゴンRスティングレーの「○」

・なんだかミニバンみたいな妙な迫力のあるデザイン

・新しさ、広さを感じるダッシュボードデザイン

・レーダーも併用することで悪天候でも比較的強い。

・より実用性が上がったモーター走行で市街地燃費に優れる。

・ターボ車にはクルーズコントロールが付くので高速走行時などでは便利。

 

ムーヴカスタムの「×」

・ダイハツ車の軽自動車に多く言えることだがクルーズコントロールの設定がない。

・市街地燃費ではワゴンRより劣るケースがある。

・ステレオカメラだけなので悪天候時はやや苦手なケースもある。

 

ワゴンRスティングレーの「×」

・後退時の誤発進抑制機能が設定されない。

・長距離ではやや落ち着きのないクルマの動き。

結論:実力伯仲、見た目で選んで正解か

結論:実力伯仲、見た目で選んで正解か

両車とも主力モデルらしく近所の買い物から休日のドライブまでオールマイティに使える出来になっています。違うのは外観、ダッシュボードのデザインテイストでしょう。「軽自動車のエアロ系」らしいムーヴカスタム、「軽自動車とは思えない外観」と「新しさを感じるダッシュボード」のワゴンRスティングレー。その点は個人のお好みにお任せしますが、今回は設計の新しさ、総合的なバランスの高さからワゴンRスティングレーを筆者としてはオススメします。

LINEでクイズキャンペーン 第4弾

※記事の内容は2017年10月時点の情報で執筆しています。

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