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カルモマガジン編集長
馬弓良輔まゆみよしすけ

「日産 リーフ」進化した新型は一日使える

「日産 リーフ」進化した新型は一日使える
「日産 リーフ」進化した新型は一日使える

2010年12月の発売以来、電気自動車の先駆けとして約28万台を販売した日産リーフだが、ハイブリッドに押され日産が期待するほどの普及は進まなかった。しかし時代の追い風が吹き始めた今、タイミングよく2代目にスイッチしたリーフは大きく進化していた。

世界で一番売れた電気自動車がリーフ

世界で一番売れた電気自動車がリーフ

2010年12月の発売以来、全世界累計で28万台以上を販売した日産リーフの2代目が2017年9月6日に発表されました。今回はその新型リーフに試乗する機会に恵まれた本誌編集長・馬弓がリポートします。

電気自動車(以下EV)といえば最近では米国のテスラが有名ですが、累計販売台数では、実はまだリーフのほうが多いことは意外と知られていません。日本でも約8万台販売され、その姿を見ることはもう珍しいことではなくなっています。

しかし日産は初代リーフの販売については成功と見ていなかったようです。その原因として価格、充電場所の少なさ、充電時間の長さ、そして航続距離を日産は挙げています。とはいうもの初代リーフの発売から約7年が経ち、EVを取り巻く環境はずいぶん変わりました。少なくとも充電場所については飛躍的に増えています。

なにより変わったのはEVが再び将来の自動車の中心的存在として脚光を浴び始めたことでしょう(実はメーカー側の言う「電動化」という言葉にはEVだけでなく「ハイブリッド」も含まれている場合が多いのですが)。

課題だったスタイルにも大きな変化が

課題だったスタイルにも大きな変化が

そんな時代の追い風のなかリリースされた2代目のリーフは、実際に見ると大きく変わったスタイルに日産の本気の「売る気」を感じます。初代は一目でわかる特徴的なスタイルでしたが、「カッコいい」とも「カワイイ」とも言い難いスタイルで、ずいぶん損をしていたと個人的には思います。

ハイブリッドのパイオニアであるプリウスが、高速燃費向上のために2代目以降徹底した空力デザインを採用して、結果的にそれが「ハイブリッド車のカタチ」になり、「ハイブリッドに乗っている素敵なワタシ」でありたい多くの人から支持を受けました。

リーフもEVと一目でわかる形を模索したのでしょうが、残念ながら初代は「空振り」に終わりました。まあプリウスも初代は奇妙なスタイル(もあって)でセールス的には大きな成功は収められなかったのは同じなのですが。

課題だったスタイルにも大きな変化が②

そんな流れの中で登場した2代目リーフのスタイル。最近の日産らしいフロントマスクと、BMWの電気自動車i3あたりから流行り始めた黒いCピラー(リアドア後ろの柱)の採用などで、「いまどき」なクルマに見えます。個人的には「いまどきだけど少しずんぐりしている」ように見えますが、あくまでも個人の感想なので気にしないでください。

課題だったスタイルにも大きな変化が③

サイズ的は全長4480×全幅1790×全高1540mmと旧型より少し長くワイドになりました。現行プリウスが全長4540×全幅1760×全高1470mmですので、ほぼ同じサイズ感といえるでしょう。

目新しさは少ないが普通に使えるインテリア

目新しさは少ないが普通に使えるインテリア

目新しさは少ないが普通に使えるインテリア②

車内に乗り込んでも「いまどき」なクルマな印象は同じです。もう少し詳しく書くなら「いまどき」の「普通のクルマ」です。運転席周りもよく見るとEVならではの表示やスイッチがあるのですが、最近はフルカラー液晶のメーターや、コントローラーのようなシフトレバーを装備したクルマが増えているので、パッと見の目新しさは感じません。

目新しさは少ないが普通に使えるインテリア③

目新しさは少ないが普通に使えるインテリア④

全体的なインテリアの質感も「普通」です。特別感はありません。

目新しさは少ないが普通に使えるインテリア⑤

目新しさは少ないが普通に使えるインテリア⑥

バッテリーを置く関係でリアシートの着座位置が少々高く、一方でラゲッジルームの床はリアシートを畳むと段差ができるほど低いのが特徴といえば特徴ですが、大人4人で1泊分の荷物を積んで出かけるには十分な広さがあります。

電気自動車の走りには未来感がある

ここまで、あまり感動のないレポートになっていますが、走り出すと印象は変わります。モーター特有の力強く、しかし圧倒的に静かな加速は素晴らしい!の一言。ハイブリッドのようなルーズな加速感とは全く違います。もちろんノートe-POWERや三菱アウトランダーPHEVのようにモーターを主動力とするハイブリッドも同じような加速感があるのですが、電池が足りなくなるとエンジンが始動するそれらと違って、リーフは微かにキーンという電車のような制御音だけ。

電気自動車の走りには未来感がある

ノートe-POWERに採用された「ワンペダル」を進化させた「イーペダル」も新しい走行感覚に相乗効果を与えてくれます。アクセルを緩めるとブレーキが掛かるこのシステムは、街中ならほぼアクセルだけでクルマを制御できるほど強めのブレーキをかけることができます。ただ停止時にキレイに止めるのは少々慣れが必要です。また高速道路ではペダルをかなり踏み込まないと巡航速度を維持できないので、この装置のスイッチは切った方がいいでしょう。

電気自動車の走りには未来感がある②

もうひとつ、セレナやエクストレイルに搭載されて話題になった自動運転支援技術の「プロパイロット」がリーフにも採用されています。ACC(全車速追従型オートクルーズ)としての性能は、豊富なノウハウを持つスバルのアイサイトに比べると、加速タイミングや減速タイミングにまだ違和感がありますが、セレナよりはずいぶん改良されたと感じます。

ステアリングの補助については高速道路なら軽く手を添えているだけでクルマがハンドルを操作してくれます。ただし首都高速のように急なカーブがある道では対応できないことも多くありました。今回試す機会がなかったのですが、駐車を自動で行う「プロパイロット パーキング」も採用されています。

電気自動車の走りには未来感がある③

重いバッテリーを車体中心の低い位置に置いているので、基本的に走りには安定感があります。ただステアリングが軽いうえに、少し回したあたりから急に切れ込む印象があることと、特に高速道路で縦方向の揺れの収束があまり上手くない部分は、遠出が多い人には気になるかもしれません。

ようやく普段使いになる航続距離を手に入れた

今回の2代目はより大きなバッテリーを積むことで航続距離を(カタログ値ではあるが)400kmと大きく伸ばしたことが、一番大きな進化点です。ちなみに初代リーフは登場時200km、その後の改良で228km、さらに2年前に登場した少し大きなバッテリーを積んだモデルで280kmでした。

とはいえ気になるのはカタログ値ではなく実際の航続距離でしょう。初代の200kmモデルは実質100km前後が限界でした。初代モデル登場直後に1泊2日で借り出したとき、最初は120km程度あった航続可能距離がみるみる減り、真冬だったにもかかわらず最後は暖房をオフにして乗り切ったことを思い出します。寒さに耐えながら、前を走るプリウスのマフラーから白い排気が出ているのを見て「ああハイブリッドはいいなぁ」と思ったことは今でも忘れません。

ようやく普段使いになる航続距離を手に入れた

今回借り出した新型は乗り出しの段階でバッテリー残量は97%、航続可能距離は263km。試乗のために高速道路と一般道路を半分ずつ、合計51km乗って返却した時がバッテリー残量72%、航続可能距離190kmでした。試乗中は加速を確かめるためにアクセルペダルをかなり踏み込むこともあったので、普通よりも電気消費は多かったと思います。

ようやく普段使いになる航続距離を手に入れた②

バッテリーについて率直にいえば「ずいぶん持つようになった」という印象です。今回は気温が20度前後と空調の消費エネルギーが少ない状況だったことは考慮しても、初代のように「みるみる」減っていくことはなく、距離と時間と踏み方に比例して、それなりに減っていく感じでした。なんとなくスマホのバッテリーの減り方と似ている気がします(少し古い筆者のスマホは普通に1日使うと家に帰った段階で15%程度に減っています)。これなら往復100km程度の移動、もしくは近所を1日中乗り回す程度であれば問題なくこなせるでしょう。

一番の驚きは戦略的な価格

2代目リーフは課題だった航続距離とスタイルについては大きく前進し、「イーペダル」や「プロパイロット」などの先進装備も採用したことで、その魅力は大きく増しました。冒頭で初代リーフの販売台数が伸びなかった原因として「価格、充電場所の少なさ、充電時間の長さ、そして航続距離」を日産は挙げていましたが、実は価格も今回全グレードが300万円台に収まっています。性能や装備のアップ分を含めなくても値下げとなる、驚くべきプライスタグが付いているのです。内装の質感に文句を言ってすいません、という気持ちでいっぱいです。

そうなると残るのは充電時間。2代目リーフはバッテリーが大きくなったことで通常の200V充電だと16時間掛かりますが、オプションの大容量充電器を使えば8時間に短縮されます。これなら自宅に一晩止めておけば満充電になります。

旅先などで重宝する急速充電なら80%まで40分。さらに日産は全国約5,530基(日産販売店約1,760基+NCS急速充電器3,770基、2017年7月末時点)の急速充電器を月額2000円で使える「使いホーダイプラン」を用意しています。

一番の驚きは戦略的な価格

初代に比べると飛躍的に「ふつう」になった新型リーフ、そろそろ自分の使い方にも合うかな、という方が増えそうです。

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※記事の内容は2017年11月時点の情報で執筆しています。

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