レーシングドライバー小林可夢偉氏インタビュー「車が一台あるだけで、世界はとてつもなく広がる」

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物心がついた時には、既に車が好きだったという天性のレーシングドライバー、小林可夢偉氏。彼の生活は、レース中のみならずプライベートにおいても車と共にあります。そんな小林さんに「クルマ」についての思いを語っていただきました。

3歳の頃には「レーサーになりたい!」と言っていた

――そもそも初めて車に興味を持ったのはいつでしたか?

小林可夢偉(以下、小林):覚えている限りでは、3歳の時には既に車に乗りたい、運転したいと思っていました。もちろんまだ運転できないので、親に実家(尼崎)の近くの甲子園阪神パークという遊園地に連れて行ってもらい、カートを開園から閉園まで延々と乗り続けるというのをやっていましたね。

誰かに勧められたとか、何かを見てというよりも、気がついた時にはもう車が好きだったという感覚です。もしかすると、父が乗っていた車に一緒に乗ることで、潜在的なクルマ好きの血が騒いだのかもしれません。いずれにせよ、3歳の頃には「レーサーになりたい!」と言っていたようで、七夕の短冊にも「レーサーになりたい!」と書いたそうです。

 

――どのようなお子さんだったのですか?

小林:車自体への興味もそうなのですが、乗り物で競争することも好きで、幼い頃は、自転車でもレースをしていたらしいです。自転車は3歳以前に買ってもらい、3歳時には、早々に補助輪なしで乗っていました。

あと、自転車以前に、三輪車に乗るのも凄く上手かったらしいです。三輪車を斜めにして片輪走行でずっと走るというのをよくやっていて、三輪車では行けない細い道も片輪だけで通っていたそうです。だからそういう才能はあったんでしょうね。

 

――プライベートでも車に乗るのはお好きですか?

小林:もちろん好きです。ただ、プライベートで乗る時は、やはりレースとは違うものであって、ゆっくりとドライブを楽しむような感じを大切にしています。時間に全く追われない日常で、音楽を聴きながらゆったりと乗る。だからプライベートは速い車に乗りたいというより、単純にどこかへ、のんびりふらっと行ってみるという目的に応じた乗り方ができる車がけっこう好きですね。

また、基本的に運転するのは好きなので、運転自体は全く苦になりません。たとえば400km、500kmの距離でも、問題なく乗れてしまいます。だから、もしレーサーじゃなかったとしたら、他に車に乗る職業、トラックの運転手になっていた可能性もありますね。

 

キャンピングカーで寝ながらキャンプに行くのが好き

――どのような車種がお好きなのですか?
小林:僕は車種に特段こだわりがあるいうより、自分のその時の生活スタイルに何が一番合っているかを重要視して車を選んでいます。もちろん運転そのものが面白い、楽しいなという車もありますが、例えば仲間でどこかに行く時に使いやすい車、アウトドアに向いている車、街中を走るのに向いている車、それぞれ全く違う楽しみ方があります。そういう意味では、車に乗っていること自体は大前提として楽しいけど、最終的に乗っている人が楽しい雰囲気を作れる車が素敵だなと思います。

僕は今、キャンプに嵌っていて、キャンピングカーを借りて運転するのですが、車の中で寝られるため、遠いキャンプ地に行く時は、休憩がてら車で寝て、少ししたら起きて運転というのをを繰り返すことがあります。それがまた楽しいんですよね。車中だけではなく、途中でサウナや、温泉施設を探し、そこでゆっくり寝て、朝起きて、また運転する、みたいなこともやっています。

 

――今後乗ってみたい車というのは?
小林:乗ってみたい車ですか?まあ、率直に言ってしまうと、職業柄、乗れない車は基本的にないんですよ(笑)。だから逆に乗りたい車という発想があまり無いです、でも乗ったことがない車もあるので、それを上げたらキリがない。時間も限られていますし。ただ、僕も含めて、男の人だとやっぱりスポーツカーのようなものに一定憧れはあると思います。

ただ、スポーツカーはどうしても目立ってしまい、車体サイズもイレギュラーなものもあり、エンジン音も大きいです。日常用に持ってしまうと、道を走るのも、パーキングに停めるのも、けっこう大変です。最近ですと、その音がプレイを妨げるということで、ゴルフ場に入れないこともあると聞きました。もちろん何台も車を持っているような人は、2台目以降の車として乗るのは全然アリだと思いますが。

だから日常使いには、やはりプリウスって凄いなと思います。非常に静かなので、まわりに影響がないですからね。そんな風に自分の生活スタイルに合った車を選択してカーライフを考えると良い思います。

 

――お気に入りのドライブコースはありますか?
小林:最近良かったのは、年始の箱根駅伝が開催されている時に、箱根駅伝のコースとすれ違うルートをドライブしたことです。キャンプ帰りに箱根駅伝にたまたま通りかかって、助手席の人に今ランナーがどの辺を走っているかネットで調べてもらい、ランナーの対向車線を走ったんです。沿道で止まって応援するのもいいと思いますが、車でランナーの反対側を通り過ぎるのもワクワクしましたね。沿道には応援する人たちがずらっと並んでいて、なかなか興奮しました。

あとは富士山の近くにある「メロディーポイント」も良かったです。そこは「時速50kmで走るとメロディーが聴こえます」という道で、本当にその速度で走るとタイヤと路面が接する音によってちょうど良く音楽が流れるのです。楽しくてそこを何往復もしました。

 

――ドライブ中の楽しみ方を教えてください
小林:やっぱり車内で音楽を聴くことですね。特に車を改造して、ということはしませんが、スピーカー設備をアップデートするだけで楽しさが倍増します。工夫次第で後部座席の人はシアタールームがいらなくなります。

今は色々オプションも付けやすくなったので、例えばアルファードのようなワンボックスカーに、映像・音響機器を付けて、座る場所に向かって音が3Dっぽく流れるように配置すれば、本当に映画館で観ているような感覚になれます。今だとハイレゾというCD音源を上回る情報量を持つ音楽データもあるので、それを車の中で聴けばまるでライヴ中のような感覚になることができ、テンションが上がります。

少し自分流にアレンジして車に乗るということを僕はオススメします。長距離運転でも、車を運転して疲れるというネガティブな感情ではなく、逆に運転を通じて、ストレスを解消する空間に変えるという発想です。

 

車はコミュニケーションツールとして重要

――最近は若者を中心に“車離れ”と言われることもあります。それについてはどう思いますか?

小林:車がない生活で充分楽しいと思っている人も多いと思いますし、それはそれでいいと思います。ただ、僕は車が一台あるだけで“楽しいこと”の幅が想像以上に大きく広がると思っています。先の話のストレスを解消できるというだけでなく、自身も含め、周りの人達にも素敵な体験や時間を共有してもらえます。そのためのツールとして車を使うというのは、おすすめです。

また、車に乗らないとしても、みんな結局お金は使っているものですよね。限られた使えるお金をどのように分散させるかだと思います。例えば維持費にしても、複数人が電車を乗り継ぎ流行りのレストランに行って高いワインを頼む場合と、車で行って手軽なお店に行くのでは、交通費も食事代も後者の方が安くつきます。電車の中では話しずらいプレイベートな会話も、車の中では出来ますし。

そういう意味では、カーシェアなどのサービスを使うという手もありますよね。ただ、それだと一時的で味気ないと僕は思います。やっぱり何かしらマイカーのような形で、車を常に乗れる状態にして、その上で、好きな時に個性を活かし、どのような楽しみ方をするかでコミュニティも拡がっていく。

 

――小林さんの趣味でもある、キャンプに行けば、自然とも触れ合えますね。

小林:はい。最近は子どもたちを公園で遊ばせるのは危ないからやめよう、という風潮がありますよね。であれば、車でぜひキャンプ場に行ってもらいたいです。キャンプ場なら、そういったことを全く気にせず子どもたちをめいっぱい遊ばせられます。安全なエリアの中で子どもたちは自由に走り回り、大人たちは薪を割って火をおこしてごはんを作る。夜になったらプロジェクターで映画を上映して家族で楽しむ、みたいな。お金もそんなにかかりません。

普段仕事で忙しい人にとっても、キャンプは“違う世界”を味わう絶好の機会になりますよね。車があれば、そこに気軽に行くことができます。以前、山へキャンプに行った時、携帯電話が通じなかったことがありました。圏外になった時に「ストレスフリー」になりました。

普段は“電波がないと大変だ”と思っていますが、それは実は反対で、電波があるからこそストレスになっている部分もあるんです。なければ諦めますから。料理一つをとっても、電波があれば作り方をこと細かに調べられるけど、電波がなければ自分の頭で考えることになります。だから日ごろ使っていない脳のリハビリになるのです。料理をどう正しく作るかではなく、結果的に一緒に行った人との会話も生まれ楽しい場になれば、それは意味があることだと思います。

仕事で疲れているから休もうというのもわかりますし、実際にキャンプをすれば体力的には疲れますが、時間に追われるわけではないので精神的には疲れません。何より、仕事の時とは違う脳を使うことができます。もっと人間は考える機会を増やした方が良いと思います。

 

今後の車社会について

――今後の車社会についてうかがいます。たとえば電気自動車(EV)についてはどうお考えですか?

小林:時代の流れを考えるとEVは選択肢として良いと思います。一方でガソリン車が駄目ということは無いと思います。最近は技術開発により、ガソリン車のCO2排出量は非常に減っています。逆にEVを走らせる電気を作るのにCO2が生じたりする矛盾も生じています。それとEVに関して懸念されるのは、バッテリーの問題です。使い終わったバッテリーは基本的に処分がしずらいので、それを溜めず、上手く処理していくことも考えないといけません。結論、個人的にはやっぱりEVはメリットもあるので、あって良いし、ガソリン車もあって良い、今は共存すれば良いという考えです。
そう考えると、電気とガソリンを融合したハイブリッド車というのは、効率が良いなと思います。本来は捨てるエネルギーを車の駆動力に変えて燃料消費を少なくしているところを評価しています。

 

――では、コネクテッドカー(インターネットへ常時接続し、車両の状態や道路状況などの情報を集積し分析できる車)に関してはいかがでしょう。

小林:車は結局、移動手段でもあるので、情報をタイムリーかつスムーズに共有できるというのは、大変便利だと思います。身近なところで自分が使っている、あるナビアプリですが、効率よく渋滞を避けてくれます。その精度が上がるだけでも嬉しいです。

あとはコネクテッド技術で、今の自分のいる場所や、情報を登録することで、レストラン予約の空き状況や、その近くの駐車場の空き状況などがマッチングされたりすると便利だなと思います。例えば、今から食べられるイタリアンレストランのリストを出してもらった上で、「◯時に予約できる店は?」と訊くと優先度をつけて「予約可能なのは□□□と△△△です」「現在近くの駐車場で☓☓が空いています」「ナビ登録しますか?」などと回答してくれたら凄く嬉しいです。もしそれができれば、より車というハードがソフト化し、重宝すると思います。

 

――最後に「マイカー賃貸カルモ」についてお聞かせください。カルモでは残価を考慮し、月額定額で新車が1年単位、最長9年まで利用できるシステムを採用していますが、どう思われますか。
小林:最初にまとまってお金を用意しなくても定額で利用できるわけで、すばらしいと思います。毎月の支払いがいくらか見えるのは良いですね。あと、契約上は所有者でなくても、マイカーリースは気持ちとしては自分の車として普段乗れると思うので、僕は特にそこに惹かれます。

また、ナンバープレートも希望を出せるというところも僕は良いなと思います。さらにオプションもつけられますしね。ちなみに個人事業主の方などは節税面でも有効ということで、そういう人は、よりメリットがあると思います。

カーリースは購入の代替でもありながら、さらに2台目に乗る選択肢として考えても良いと思います。例えば子供の送り迎えや、二世帯用のワンボックスや、近所のお買い物で軽自動車、年数が決まっている転勤など、そういった用途別、それこそ最初に話したシチェーション別の利用方法があると思います。個人的には、ネットで5分、カンタンキャンピングカーリースとか欲しいです!

――小林さんならではの発想ですね。本日はどうもありがとうございました。

(聞き手:吉年愛梨)

 

—【プロフィール】——————-

小林 可夢偉(KAMUI KOBAYASHI)

1986年生まれ、兵庫県尼崎市出身のレーシングドライバー。1996年・9歳でカートレースデビュー。2000年に全日本ジュニアカート選手権と鈴鹿カート選手権、翌年には全日本カート選手権ICAのタイトルを獲得。また同年、フォーミュラトヨタ・レーシング・スクール(FTRS)を受けスカラシップを獲得。2002年にフォーミュラトヨタで4輪デビューを果たす。

2006年、トヨタ・ヤングドライバーズ・プログラム(TDP)からユーロF3に参戦、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得。2008年にGP2初優勝、翌年はGP2アジアでシリーズタイトルを手にする。2010年からF1フル参戦を果たし、2012年には日本GPで3位表彰台を果たす。2015年に国内レースへ復帰しスーパーフォーミュラにフル参戦。2016年からスーパーフォーミュラに加えWECへもフル参戦し、第7戦WEC富士で自身初勝利を達成。2017年はルマン24時間レースでコースレーコードを樹立。2018年はWEC、スーパーフォーミュラ、SUPER GTにフル参戦する。
——————————————–

カルモマガジン編集部

この記事の執筆者

カルモマガジン編集部

マイカーリースのカルモが制作する車選びとカーライフを応援するWebマガジン「カルモマガジン」。国産新車に関するレビューやグレード比較情報、知ってるとおトクなマル秘情報を中心に、クルマ選びのプロが執筆する情報を更新していきます。

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