【試乗記】「スズキジムニー&ジムニーシエラ」20年ぶりの新型は「本物」だから注目が集まる

軽自動車唯一の本格的なクロカン4WD、スズキジムニーとその小型車版ジムニーシエラが20年ぶりのフルモデルチェンジを受けた。シティ派路線だった3代目から一転、新型は2代目に回帰したような直線基調の無骨なデザインを身にまとい、発売と同時に多くの人の心をつかんだ。その理由を岡崎五朗さんが試乗レポートとともに解説する。

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モデルチェンジに20年もかかった理由

先代が丸みを帯びたデザインだったのに対して、新型は2代目と同じ直線基調のクロカンらしいデザインに回帰した

こちらは小型車のジムニーシエラ。ボディは共通だが前後バンパー、そして大きく張り出したフェンダーが特徴だ

かつての4年サイクルと比べるとかなり伸びたとはいえ、日本車のモデルサイクルは6〜7年程度が相場。ところが新型ジムニーは20年ぶりのモデルチェンジである。10年でも十分長いのに20年。かなり異例だ。20年にわたって現役を続けた先代は賞賛に値するが、かといって手放しで誉めるわけにもいかない。なぜって、20年という数字には、開発費を回収するのに長く現役を続けざるを得なかった、という要素が含まれているからだ。

納車1年待ちの大フィーバー

ジムニーの特徴は悪路走破性の高さであって、とくに安いわけでも燃費がいいわけでも室内が広いわけでもない。言うなれば林業を営む人や一部のマニアックなオフロード好きのためのニッチカー。大量販売が見込めるようなクルマじゃない。当のスズキでさえ、今回の新型の納車1年待ちとも言われる大フィーバーなど予想だにしていなかっただろう。急遽生産ラインの拡大に乗り出したが、納車待ちが解消されるにはもう少し時間がかかりそうだ。

ジムニーなら豪華なSUVに「気持ち」で勝てる

なぜジムニーはこれほどの人気を獲得したのか。長年培ってきたブランドイメージや保有ユーザーの多さ、直線を多用したケレン味のないデザインなど理由はいろいろあるが、最大のポイントは「SUVブーム」にある、というのが僕の見立てだ。とはいえSUVブームに引きずられてジムニーが売れたという単純な話しではない。SUVブームによってカタチだけのなんちゃってSUVが増えたがために逆に本物志向が高まり、結果として真のオフローダーを指向したジムニーに注目が集まった、と見るのが正解だろう。

ジムニーの価格は146万円〜184万円。小型車版のシエラでも202万円にすぎない。にもかかわらず、どんなSUVと並んでも「アンタの乗ってる豪華なSUVよりオレのジムニーのほうが本格派だぜ」と思えるという、ちょっと嫌らしい話しだが、人間にはそういう部分が少なからずあるもの。かつてプリウスが登場したとき、ハリウッドスターがこぞって購入した結果、プリウスはクラスレスなクルマとして認知され、その後大ヒットした。それと同じことがジムニーでも起こったのである。

印象的な乗り心地の良さ

試乗は一般道とオフロードコースで行った。印象的だったのはジムニーの乗り心地のよさだ。強固な骨組みにボディをマウントするフレーム構造が路面のザラつきや凹凸を巧みに吸収してしまう。そのしっとりした乗り心地は軽自動車のレベルを超えている。シエラはちょっと固めだが、それでも快適性には高得点が付く。ハンドリングも悪くない。キビキビ感はないし、タイヤのグリップが低いためあまり無理はきかないが、ワインディングロードを素直な身のこなしでクリアしてくれる。とくにトレッドが広く左右の踏ん張りがきくシエラの安心感は高い。

やはりオフロードでは無敵!

オフロードコースでは余裕の地上高とよく伸びる足、副変速機などにより、無敵の走破性を見せてくれた。高速道路ではまだ試乗できていないが、ジムニーはエンジン騒音が大きめだから長距離はちょっと辛いかもしれない。ロングドライブをする機会が多いならシエラをオススメする。

岡崎 五朗

この記事の執筆者

岡崎五朗(おかざきごろう)

大学在学中から自動車雑誌での執筆を開始し、卒業後は一貫してフリーランスのモータージャーナリストとして活動。「生活をともにして気持ちがいいクルマかどうか」という評価軸での評論にはファンが多い。現在はテレビ神奈川「クルマでいこう!」に出演中。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)理事。日本カーオブザイヤー選考委員・ワールドカーアワード選考委員・ワールドエンジンオブザイヤー選考委員。

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