岡崎五朗
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岡崎五朗おかざきごろう

「ホンダクラリティPHEV」素晴らしいPHEVだが、テスラとは迷わない(岡崎五朗レポート)

「ホンダクラリティPHEV」素晴らしいPHEVだが、テスラとは迷わない

この記事は、 4 分で読めます。

実験的な燃料電池車(FCV)としてデビューしたホンダクラリティ。2代目は電気自動車(EV)に加えてプラグインハイブリッド車(PHEV)も用意された。現実的に「一番使える」クラリティの、高級セダンとしての実力を岡崎五朗さんにレポートしてもらおう。

燃料電池車、電気自動車、PHEV、すべてクラリティ

燃料電池車、電気自動車、PHEV、すべてクラリティ

クラリティといえば、水素燃料電池車(FCV)を思い起こす人が多いだろう。ホンダは2007年にFCVのFCXクラリティのリース販売を開始。2016年には後継モデルにあたるクラリティ・フューエルセルの販売を再びリース形式で開始した。そういう意味で、クラリティとFCVは切っても切れない間柄にある。

燃料電池車、電気自動車、PHEV、すべてクラリティ②

とはいえ、量産を望めないFCVだけでは収益面でなんとも厳しい。トヨタほどの体力があれば利益度外視という選択肢もあるのだろうが、ホンダは別の選択肢を考えた。それが3in1コンセプトだ。クラリティのボディに、FCV、EV、PHEVという3つの電動化パワートレーンを搭載し、数を稼ぎ、利益を出す、というか赤字を薄める戦略だ。

一番使えるのは間違いなくPHEV

一番使えるのは間違いなくPHEV

一番使えるのは間違いなくPHEV②

一番使えるのは間違いなくPHEV③

一番使えるのは間違いなくPHEV④

今回日本で発売されたのは、エンジンとバッテリーを搭載したプラグインハイブリッド車(PHEV)。価格は588万円もするが、FCV版(リース専用)より約200万円安い。加えて、普及が進んでいない水素ステーションのことを考えると、たとえ充電できなくてもガソリンさえ入れれば走れるPHEVは現実解としてはいい落としどころだと思う。ちなみにアメリカで販売しているEV版は1充電あたりの航続距離が128kmと、テスラやリーフといったすでに販売されているEVより極端に短い。通勤などの近距離用には使えるが、はっきり言って商品力には疑問符が付く。ホンダもそれは承知で、低価格でのリース販売という方法をとっている。3in1コンセプト、発想はいいけれど、EVとFCVの販売台数があまり見込めないことを考えると全体としては焼け石に水のようにも思える。

大きなバッテリー、小さなエンジン

大きなバッテリー、小さなエンジン
大きなバッテリー、小さなエンジン②

それはそれとして、このPHEVがクラリティの主力モデルになるのは間違いない。そしてハードウェア的にそうとうを練り込まれているのと同時に、新しいことにチャレンジしている点は大いに評価したい。まずはPHEVシステムの概要だが、まず目に付くのが、大柄なボディにもかかわらず1.5Lという小さなエンジンを搭載していること。その代わり、強力なモーターと大量のリチウムイオンバッテリーを搭載することで動力性能を確保した。事実、バッテリーが残っているかぎり、通常走行でエンジンが始動することは滅多にない。

e-POWERには出来ない芸当

e-POWERには出来ない芸当

アクセルを床まで踏み込めばエンジンとモーターの両方で加速していくが、エンジンがかからない領域でもクラリティPHEVは静かに、滑らかに、かつ力強く走る。実際には試していないが、モーターだけで160km/hまで出ると言えば、いかに強力なモーターを搭載しているかがわかるだろう。それでいて、高速一定巡航時など、エンジンの効率が高い領域ではエンジン動力の一部、もしくはすべてを直接前輪に伝えて走行する。これは、駆動輪とエンジンが物理的につながっていない日産のe-POWERにはできない芸当だ。

EVモードで100km以上走れる

EVモードで100km以上走れる

バッテリー容量は17KWh。プリウスPHVの8.8kwhはもちろん、アウトランダーPHEVの13.8KWhと比べても大きい。満充電でのEV走行距離はJC08モードで114.6km。より実走行に近いWLTCモードでも101kmに達する。また、バッテリーの冷却を水冷式にすることで、連続高負荷運転の性能維持や、今夏リーフが苦しんだ真夏の充電不良といった問題にもきちんと取り組んでいる。

クラウンとは迷うがテスラとは迷わない

クラウンとは迷うがテスラとは迷わない

これだけのサイズのセダンで、なおかつ500万円オーバーの価格を考えると、当然ながら快適性への期待は大きくなるが、乗り心地、静粛性、直進安定性といった基本性能にも高得点が付く。クラウンとどっちにしようかと迷う人が出てきてもおかしくない。ただし、燃料電池ユニットを収めるため分厚くなったフロントフードと、分厚さを削ぐために与えたのであろうフロントマスク周辺の煩雑なパーティングラインは決してカッコいいとは言えない。空力性能の高さを声高にアピールするリアフェンダーの造形にも疑問が残る。

テスラが高価格にもかかわらず人気を獲得しているのはエコだからではなく、EVというエコでイケてるクルマに乗るという行為に多くの人が魅力を感じているから。クラリティPHEVはたしかに最新技術の塊だし、完成度も高いが、それをセンスよくアピールできていないのが惜しい部分だ。

※記事の内容は2018年11月時点の情報で執筆しています。

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