【試乗記】「トヨタ プリウス」マイナーチェンジで見た目以上に大きく変わった走り

ベストセラーの座から転落したトヨタプリウスが内外装を中心に大幅なマイナーチェンジを受けた。個性的すぎた見た目はコンサバとなり、内装や安全装備もアップデートを受けたが、実際に乗ってみて驚いたのは、その走りの進化だった。その試乗レポートをお届けしよう。

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わずか2年で販売台数が半減した絶対王者

4代目となる現行型トヨタプリウスは2015年12月に登場。従来モデルと同様の優れた燃費性能に加えて、ボディの骨格から一新したことによる高い走行性能により、新車販売台数は2016年が24万8258台、2017年は16万912台と年間トップをキープしました。

しかし、2018年は11万5462台で日産ノート、トヨタアクアに次ぐ3位まで転落、2016年に比べてほぼ半分に販売台数を減らしてしまったのです。確かに同じプラットフォームを採用したコンパクトSUVのトヨタC-HRの登場により従来のプリウスユーザーが流れたことも大きいでしょうが、現行型プリウス不振の最大の理由はやはり個性的過ぎる外観デザインではないかと考えられます。

この苦戦を挽回するべくプリウスは2018年12月にマイナーチェンジを行いました。 今回のマイナーチェンジのポイントは大きく2点あります。当然ともいえる内外装の刷新、そしてカローラスポーツとクラウンから始まったコネクティッド機能の強化です。まずは大幅な変更が加わった内外装から紹介しましょう。

個性派からコンサバに

外観はフロント&リアバンパーをはじめ、ヘッドライトやリアコンビネーションランプの形状を大きく変えました。踏ん張り感のあるシルエットを実現するのと同時に、個性的すぎると不評だったフロント&リアスタイルをコンサバなデザインへと変更しました。

インテリアはプリウスPHVですでに採用されている縦型の大型ディスプレイを選べるようになりました。また、フロントコンソールに設置された「おくだけ充電」のスペースを拡大し、大型のスマートフォンに対応させ利便性を向上しています。

フロントシートに熱気やエアコンの冷気を吸い込むことで冷涼感をもたらす吸い込み式のシートベンチレーションを採用し、快適性も高めました。

注目のコネクテッドサービスが3年間無料

もう一つの大きな変更点がコネクティッドサービスの拡充です。カローラスポーツ、クラウンに続いて、すべてのプリウスユーザーがコネクティッドサービスに体感できるように、専用通信機DCMを全車に標準装備、「T-Connectサービス」を3年間無料で提供します。

T-Connectの主なサービスの一つ目は専任オペレーターによる24時間365日、口頭での目的地設定や情報検索を依頼できるオペレーターサービス。さらにリアルタイムな交通情報や地図データなどをもとに最適ルート検索を行い、ナビゲーション車載器に配信するハイブリッドナビ機能もあります。これらのカーライフを快適にするサービスを受けることができます。

進化した安全装備は全車標準化

他にも注目の改良点があります。全車に標準装備されている衝突回避支援パッケージ「トヨタセーフティセンス」は昼間の歩行者も検知対象とするプリクラッシュセーフティをはじめ、全車速域で追従走行を支援するレーダークルーズコントロール、夜間の視界確保に効果のあるオートマチックハイビームなどをセットとして安全機能を強化しました。

さらにオプションで駐車場などから後退する際に、左右後方から接近する車両を検知して、ドラミラー内のインジケーターの点滅とブザーで注意喚起を行うリヤクロストラフィックアラートを設定しています。

スポーティさを増した外観

大きなテコ入れが行われた新しいプリウスですが、実際に乗ってみるとどうでしょう。今回試乗したグレードはAツーリングセレクションの4WD車です。

前後のライトやバンパーのデザインを変更したことで、プリウスPHVに近づき、ある意味フツウなデザインとなりました。試乗車はマイナーチェンジ時に設定された新色のブルーメタリックで、ツーリングセレクションのみに設定されている幾何学調のルーフフィルムが貼られ、17インチホイールとの相乗効果でスポーティな印象を強く受けました。

驚いたのは走りの進化幅の大きさ

トヨタのクルマ構造改革であるTNGA第1弾として登場した現行型プリウス。リアサスペンションを上級車に採用されるダブルウィッシュボーン式としたのが話題となりました。しかし以前試乗した前期型のプリウスの17インチタイヤ装着車はリアサスペンションの熟成が足らず、ただ硬さばかりが目立っていました。前期型を試乗したときには17インチタイヤを装着したツーリングセレクションは選ばないほうが良いと正直思ったものです。

しかし、マイナーチェンジを行った後期型のプリウスに乗ってみると、17インチホイールを装着しているツーリングセレクションにもかかわらず、乗り心地が非常に良くなっていました。前期型で強く感じたサスペンションがキチンと動かず路面からの衝撃が乗員のダイレクトに伝わるという不快さが、見事に抑えられていたのです。しっかりとサスペンションが動き路面を捉えるので、操る楽しさと乗り心地の良さを両立できていました。

ワンランク上のクルマになった

乗り心地が良くなっただけでなく、ハンドル操作による操縦安定性そして静粛性も向上していました。前期型に比べて新型プリウスはまるでワンクラス上のクルマに乗っているほどの進化を遂げていたのです。この乗り味や走行性能はプレスリリースではまったく触れられていません。

しかし、実際に後期型のプリウスに乗ると乗り心地の良さはすぐに実感することができます。ただ、装着されているタイヤがスポーツタイヤだったこともあり、ロードノイズが目立っていました。これはある意味、それ以外の騒音が低くなっていることを示しているとも言えます。

ノートやアクアに後塵を拝したベストセラーカーのプリウス。ここから反撃が始まりそうです。

萩原 文博

この記事の執筆者

萩原文博(はぎはらふみひろ)

中古車雑誌編集部を経てフリーランスとして独立。現在は日本で最も多くの広報車両を借り出している男として業界で有名だ。もともと走り屋だけに走行性能の評価は得意。それだけでなく長年の中古車相場の研究で培った、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した、総合的に買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

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