【徹底レビュー】「ホンダS660」世界でただひとつの軽オープン2シーターミッドシップスポーツカー

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まだバブル景気の余韻が残る1991年、ホンダは軽2シーターオープンカーのビートを発売しました。1996年まで販売されたビートはスーパースポーツカーと同じくエンジンを運転席後方に搭載するミッドシップ(MR)の駆動方式を採用。曲がる楽しさを手軽に体感できるマシンとして大人気となりました。

2017年には一部純正パーツが再販されるなど、いまだに多くの人に愛されています。このビート以来、約19年ぶりにホンダが作った軽自動車の2シーターオープンカーが2015年3月に登場したS660です。

スポーツカーで、オープンカーで、なおかつ軽自動車である

ホンダS660は「心が昂る」本格スポーツカーとして、「ハートビートスポーツ」をキーワードに、日常を非日常に変える「走る喜び」を味わえるクルマを目指して開発されました。

ボディサイズは全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,180mmというS660。風や空を感じ、非日常的な運転環境を味わえるオープンエアな空間であると同時に、コンパクトで包まれ感があり、人とクルマの一体感を味わえる快適なドライビング空間を両立しています。

走りに徹したミッドシップレイアウト

スポーツカーの醍醐味である曲がる楽しさを最大限に体感できるよう、高い旋回性能にこだわり、ビートと同じMR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)のレイアウトを採用。さらに低重心と理想的といわれる前後重量配分である45:55を実現。クルマの重心の高さを最適化し、カーブを曲がる際のクルマの傾きを抑えることで安定感の高い走りを実現しています。

小さいながら本格スポーツカーのたたずまい

S660の外観は「ENERGETIC BULLET」をデザインコンセプトとして、ロー&ワイドでタイヤが四隅でしっかりと踏ん張り、高い運動性能を予感させるスタイリングを徹底追求しています。

フロントマスクは「ソリッドウイングフェイス」をデザインモチーフとしてワイド感を強調。さらに線や面の構成を工夫することにより、彫りの深いデザインとなっています。サイドビューはボディサイドに走るキャラクターラインによって躍動感を表現。また、ルーフを取り付けた状態でもスタイリッシュなフォルムとなるように、フロントガラスからリアのロールバーに連なるラインの美しさを実現しています。

リアはダイナミックにボディ上部を絞り込むことで、リアフェンダーを大きく張り出させ、実際のサイズよりもワイドに見せるとともに地面に踏みしめる「踏ん張り感」を表現。S660の脱着式のソフトトップはオープンエアでの走る楽しみを気軽に味わってもらえると同時に車両重量にこだわったロールトップ式を採用しています。

走りにこだわりつつ、上質さも目指したインテリア

インテリアも走るための空間として直感操作を実現する操作性を徹底的に追求しています。ドライバーの手が届く範囲にスイッチ類があり、運転に集中できるスポーツカーらしいレイアウトとなっています。一方で質感にもこだわり、ダッシュボード上のソフトパッドパネルをはじめとした上質感のある素材がインテリアを構成しています。

ドアライニングとメーターバイザーにはカーボン柄を採用し、レーシーな雰囲気を演出。さらに上級グレードのαでは、手触りの良い縫い方を施した本革ステアリングを採用、シートもスポーツシートらしい滑りづらさと質感の高さを兼ね備えた本革×ラックススェードのコンビシートとするなど、軽自動車とは思えない上質なインテリアとなっています。

作り手の意思を感じるこだわり

S660のインテリアへのこだわりはまだまだあります。ドライバーの着座位置やヒップポイント、アクセルやブレーキペダルの位置を最適化し、ゴーカートのような低いドライビングポジションを実現することでクルマとの一体感を追求。
さらにキビキビとしたドライビングを楽しめるようにホンダの市販車として最小径となるハンドルを採用しています。

また、オープンエアをオールシーズンで楽しむための気遣いがあるのもS660ならでは。腿から腰にかけて風を送り込めるエアアウトレットを新設したフルオートエアコンや、風の流れを調整する昇降式リアセンターガラスを採用し、ルーフを開けたときでも快適な空間を実現しています。

音にもこだわったエンジン

S660に搭載されているエンジンは最高出力64ps、最大トルク104Nmを発生する660cc直列3気筒DOHCターボの1種類。ホンダの軽自動車Nシリーズにも搭載されているエンジンをベースに新設計のターボチャージャーを採用。吸排気音をはじめとした音に独自のサウンドチューニングを施すことで、スポーツカーらしいエンジンサウンドにもこだわっています。

組み合わされるトランスミッションは当時軽自動車初だった6速MTとパドルシフトによってマニュアル車感覚で変速できるCVTの2種類です。

最低限の先進安全装備、オープンカーらしい安全対策

安全装備は、時速30km以下の衝突防止を支援するシティブレーキアクティブシステムを設定するほか、万が一の横転対策として、フロントとセンターピラー補強材を追加して、横転事故での高い乗員保護性能を実現。さらに運転席・助手席SRSエアバッグに加えて、側面衝突時の衝撃を吸収するサイドエアバッグも標準装備しています。

良い意味で走りに徹したクルマ

今回試乗したのは、2018年5月に追加されたS660モデューロX。このクルマは専用開発のサスペンションや空力性能を向上させるパーツを装着したスペシャルモデルです。専用のサスペンションによって路面との接地感が増したこと、そしてコーナリング時の安定性が高くなったことで、エンジンパワーはノーマルにもかかわらずまるでパワーアップしたように感じます。

良い意味でS660は走りを楽しむことに徹したクルマで、運転席は非常にタイトですし荷室もほとんどありません。実用性という視点で見るとかなりきびしいですが、ミッドシップレイアウトのシャープなハンドリングと鋭い旋回性能はS660でしか味わえない独特の走りです。ほかのクルマでは味わえない気持ちの良い走りを知ってしまうと、手放せなくなるかもしれない魅力を持っているのです。

ホンダ S660価格表

グレード駆動方式JC08モード燃費(km/L)車両本体価格
660β(6MT車)MR(2WD)21.2198万720円
660β(CVT車)24.2
660α(6MT車)21.2218万5920円
660α(CVT車)24.2
660 モデューロX(6MT車)285万120円
660 モデューロX(CVT車)

(2019年6月時点の情報で執筆した内容です)

萩原 文博

この記事の執筆者

萩原文博(はぎはらふみひろ)

中古車雑誌編集部を経てフリーランスとして独立。現在は日本で最も多くの広報車両を借り出している男として業界で有名だ。もともと走り屋だけに走行性能の評価は得意。それだけでなく長年の中古車相場の研究で培った、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した、総合的に買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

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