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モータージャーナリスト
島崎七生人しまざきなおと

開発者直撃インタビュー 変えずに変わった「スズキハスラー」編

話題のニューモデル開発者に“深く細かく”直撃インタビュー 変えずに変わった「スズキハスラー」編
話題のニューモデル開発者に“深く細かく”直撃インタビュー 変えずに変わった「スズキハスラー」編

その細やかな観察眼では業界一、二を争うモータージャーナリストの島崎七生人さんが、話題のニューモデルの気になるポイントについて、深く、細かくインタビューする新企画。第一回は大ヒットの2代目モデル、新型スズキハスラーのデザイン部門開発者のお二人です。

 

カタログからして似ている新旧ハスラー

カタログからして似ている新旧ハスラー1

新旧ハスラーのカタログは、一見、非常に似ている。キース・へリングのアート画のあるほうが新型の表紙だが、どちらも訴求色のオレンジ(新型は“バーミリオンオレンジ”といい、クッキリと濃いめの新色だ)のハスラーの正面視の写真をキリヌキで載せている。

実車にも装着されるHATHLERの車名オーナメントも、新旧共通のデザイン(印刷の原版も同じ?)。

カタログからして似ている新旧ハスラー2

さらにページをめくると、最初の1〜2ページの見開きは、どちらもややローアングルで捉えたハスラーの写真をメインに、その回りに楽しげな人物をちりばめた構成。添えられたヘッドコピーに至っては、従来型が「遊べる軽、出た!」、新型は「やあ! あたらしい遊べる軽!」と、まるで“連作”のようだ。

看板車種だからこそ“変えずに変わった”

……と、そんな新旧ハスラーのカタログの“違わなさ”は、もちろん狙ってのことだと思う。なぜなら新型ハスラーは、ひとことでまとめて言うと“変えずに変わった”クルマだからだ。広報資料にも「ひと目でハスラーとわかる個性的なキャラクター」に「タフで力強いスタイル」を融合させた……とある。国内累計販売台数約48万台(2019年11月末・スズキ調べ)という従来型ハスラーは、世代でワゴンRなどと並ぶ同社の人気車種に成長した。だとしたらフルモデルチェンジで失敗が許されないのは言うまでもない。そこで、6年ぶりとなる今回の一新は非常に周到に行われている。

事実、実際の開発の現場では、(表現が古めかしく恐縮だが)それこそプロジェクトX級のエピソードがあった。開発途中で“デザインの仕切り直し”が入ったというのは、周到さを象徴する話だ。

一度やり直して、タフさと力強さを盛り込んだ新型のスタイル

一度やり直して、タフさと力強さを盛り込んだ新型のスタイル

お話を伺った開発者のおふたり。髙羽 則明さん(写真左・スズキ株式会社 商品・原価企画本部 四輪デザイン部 エクステリア課 係長)と、竹口 久志呂さん(写真右・スズキ株式会社商品・原価企画本部 四輪デザイン部 四輪インテリア課)

「本社、横浜、トリノ、インドの各デザイン拠点が出したアイデアの中から絞っていき、一度、1分の1モデルまで作ったんです。ところがそこで、やり直すことにした。ヘッドランプなどハスラーらしさはあっても、進化の度合いが足りないよね、というのがそのときのモデルの評価でした」と教えてくださったのは、デザイン開発チームの髙羽則明さん。

そして市場調査を再度かけるなどした結果、「初代がデビューした時と今では、世の中の価値観が違っている。最近はアウトドアの本格的なアイテムを日常使いで楽しむ人が増えている」(髙羽さん)のが見えてきた。そこで新型の“進化”の部分にタフさ、力強さを盛り込むことで本物感にこだわり、それが形になったのが新型ハスラーのスタイルという訳だ。

ボディ同色のドアピラーなどが道具感を強調する

ボディ同色のドアピラーなどが道具感を強調する

ちなみに外観デザインでは、各ピラーをボディ色とし力強く見せるフルドアの採用や、窓の周囲にレリーフを作ることで“厚み感”を表現しているところがポイント。また2トーン車の塗り分けは“ハードトップ”をイメージしており、これは本格的なアウトドアギアを使うワクワク感を意識したのだそう。

新型は先代に対しルーフが後方まで長く伸び、サイドウインドゥも垂直方向に起こされて、全体的にボクシーな表現となったが、これも“道具感”を表わしている。なお道具感ということで、レポーターはジムニーというよりも、スーパーハイトワゴンのスペーシアのスタイリングの、あの“心地いいカド丸の箱っぽさ”に通じるニオイを感じた次第。そこで、例えばドア断面の曲率に共通性を持たせるために、データを共用化した作り方をしていたりするのか?と尋ねたところ、「1機種ごとに作っているので、別にそういうことはしていない」との答えだった。

それと、編集長から預かっていた「クロスビーはハスラーよりずいぶんふくよかに見えるのは何故か?」の質問をしてみたところ、「それはボディサイズの違いと、クロスビーのほうが曲線を多用しているから」とのことだった。もう少し突っ込みたかったが時間切れとなってしまった(編集長註:上手いこと逃げられましたね)。

最初から決まっていたインパネの三連ガーニッシュ

最初から決まっていたインパネの三連ガーニッシュ

他方でインテリアでは、インパネの“3連インパネガーニッシュ”が何といっても注目される。かなりユニークな見たこともないデザインだが、これは何と初期アイデアがそのまま採用になったものという。「アウトドア用品のベゼルや精密機器を守るプロテクターからの着想」(竹口久志呂さん)という。3つ並ぶがおのおの機能機能が異なっているため、実際にはサイズ、形状は3つとも微妙に違うのだそうだ。

使い勝手の細かいところまで盛り込まれた工夫

中央部には9インチHDディスプレイのメモリーナビがセットでき、スマホ感覚の操作感で、3分割画面の左右の入れ替えもできる。助手席側の“フタ”の部分に装着して使うカラーコード(オプション設定)は、ちょっとした物を挟んでおける便利なアイテムで、まさしくバックパックのイメージ。運転席側のドリンクホルダー部にはスリットが開けられているが、これは外した腕時計を通しておけるようにしたもので、押して引き出すといった展開式ではないのは「据え置き型にし、シンプルなアクションで使いやすくしたかったから」(竹口さん)だった。

前席はベンチ式から左右独立にし、シート間には便利なドリンクホルダー付きのコンソールを設置、ダブルフォールド式の後席は従来型以上のフラット化を実現……など、車中泊派にはうれしい改良も見逃せない。

新型ハスラーの“キャラの立った内・外観デザイン”は、目が行くだけでなく、実は機能性、使い勝手にもシッカリ裏付けられているという訳だ。ほかにもスズキ初の“構造用接着剤”の採用によるボディ剛性の向上や、吸音性能を高めた成型天井材、軽自動車初の“高減衰マスチックシーラー”の採用など、走行中の静粛性を高める技も盛り込まれている。そんなエンジニアの思いが詰まった新型ハスラーの走りの心地よさは、機会があれば実際にお試しいただけば「なるほど!」とわかるはずだ。

※記事の内容は2020年3月時点の情報で制作しています。

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