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「三菱アウトランダー」先進のPHEVと4WD技術はモデル末期でも色あせず

「三菱アウトランダー」先進のPHEVと4WD技術はモデル末期でも色あせず
「三菱アウトランダー」先進のPHEVと4WD技術はモデル末期でも色あせず

2005年に販売開始した初代三菱アウトランダーは、国産ミドルサイズSUVの中ではいち早く7人乗りを設定。三菱が培ってきた4WD技術を活かした高い走行性能によりスマッシュヒットモデルとなりました。現行型アウトランダーは2012年に導入された2代目モデル。ガソリン車に加えて、プラグインハイブリッド(PHEV)をいち早く導入し、現在国産車で最も販売台数の多いPHEVとなっています。すでに販売開始から9年が経過し、2021年末にはフルモデルチェンジを行い3代目に世代交代する予定の2代目三菱アウトランダーを徹底解説します。

7人乗りも用意するガソリン車、5人乗りのみのPHEV

7人乗りも用意するガソリン車、5人乗りのみのPHEV

2代目となる現行型三菱アウトランダーは2012年10月にまずガソリン車が発売され、同年12月に日本で量産型プラグインハイブリッドの2車種目となるアウトランダーPHEVが発売されました。アウトランダーPHEVは「i-MiEV」で培ったEV技術、「ランサーエボリューション」で鍛えた4WD技術、そして「パジェロ」で築いたSUVのノウハウを結集した三菱の集大成といえるモデル。画期的な“自分で発電する電気自動車”であり、当時、SUVとしては世界初のプラグインハイブリッド車でした。ガソリン車のアウトランダーは5人乗りに加えて、3列シート7人乗りも用意されますが、アウトランダーPHEVは5人乗りのみとなります。

先進的だったアウトランダーのPHEVは今も最先端

先進的だったアウトランダーのPHEVは今も最先端

パワートレインは、ガソリンFF車には、最高出力150ps、最大トルク190Nmを発生する2L直列4気筒SOHCエンジン+CVT、そして4WD車には、最高出力169ps、最大トルク220Nmを発生する2.4L直列4気筒SOHC+CVTを搭載しています。アウトランダーPHEVのプラグインハイブリッドシステムは、総電圧300V、総電力量12kWhの大容量駆動用バッテリーに、フロントとリアにそれぞれ一基ずつモーターを搭載。エンジンは2L直列4気筒ガソリンエンジンを採用し、シリーズ走行モードでは発電専用として、パラレル走行モードではおもに駆動用として使用します。

PHEVは4WDシステムも秀逸

PHEVは4WDシステムも秀逸1

駆動方式はこれまで積み重ねてきた4WD制御の技術・ノウハウをベースに、前輪はモーターおよびエンジン、後輪はモーターでそれぞれ独立して駆動させる「ツインモーター4WD」を採用。プロペラシャフトなどの機械的結合がなく、またモーターを採用しているので、従来の4WDシステムと比べて、レスポンスが良く、よりきめ細かい制御を実現しています。

PHEVは4WDシステムも秀逸2

PHEVは4WDシステムも秀逸3

PHEVは4WDシステムも秀逸4

安全装備は一部グレードに「e-Assist(イーアシスト)」と呼ばれる運転支援システムを搭載。衝突被害軽減ブレーキをはじめ、車線逸脱警報システム、レーダークルーズコントロールシステムの3つの機能で安全で快適なドライブをサポートしてくれます。

2015年のマイナーチェンジで内外装を一新

2015年のマイナーチェンジで内外装を一新

アウトランダーは2015年にマイナーチェンジを行い、内外装の大幅変更を行いました。三菱のフロントデザインコンセプトである「ダイナミックシールド」を基にフロントデザインを一新。ヘッドライトをはじめ、灯火類はすべてLED化されています。走りの面ではボディのサスペンションの取り付け部の剛性アップを施し、ステアリングホイールやサスペンションからの入力を正確にボディに伝えることで、操舵感と操舵に対する応答性と正確性を向上させています。また、リアのショックアブソーバーのシリンダーを大径化することにより、走行安定性と乗り心地の両立など走りの質感を向上させました。

さらに、静粛性の向上を目指して、吸音材や遮音材、制振材やダイナミックダンパーの追加など30点以上の改良を施すことで、エンジン音、ロードノイズ、風切り音を大幅に低減。走行時、停車時の遮音性を向上させ、快適なキャビンを実現しています。

このタイミングでガソリン車は新世代CVTを搭載し、エンジン制御とCVT制御の協調制御を最適化することで燃費性能を向上。一方のPHEVは、PHEVシステムの制御系の変更などが行われ、市街地における発進時や走行時の加速性能やレスポンスを高めています。

安全装備も改善を図り、クルマを真上から見ているかのような映像により、周囲の状況を知ることで、駐車などの運転を補助する「マルチアラウンドモニター(バードアイビュー機能付き)」を標準装備。またペダルの踏み間違いなどで、誤発進(前進・後退)した際に、進行方向に車両や障害物があると、発進を抑制し衝突被害を軽減する「誤発進抑制機能(前進&後退時)」をオプション設定しました。

2017年の一部改良も全方位的アップデート

2017年の一部改良も全方位的アップデート1

2017年の一部改良では、PHEVシステムのエンジン始動性の改良を行い、従来よりも素早く、モーターへ電力供給が可能となり、高速道路の追い越しなど、強い加速が必要な状況下での加速レスポンスを向上させています。また、充電制御を改良し、約80%までの急速充電時間を約30分から約25分に短縮したことによって利便性が向上しました。

2017年の一部改良も全方位的アップデート2

走行性能では、ショックアブソーバーのバルブ構造見直しと減衰力の最適化により、操縦安定性と接地性を向上。リアのトーコントロールアームのブッシュを変更することで、直進安定性と操舵時の手応えを向上させ、さらに快適で安心感の高い走りとしています。また、車両運動統合制御システム「S-AWC」の雪道など滑りやすい路面で使うLOCKモードにおいて、前後のモーター駆動力制御と、ブレーキによるアクティブヨーコントロール(AYC)制御を見直すことにより、旋回性能やハンドル操作に対するコントロール性を向上させています。

2017年の一部改良も全方位的アップデート3

安全装備も「衝突被害軽減ブレーキ(FCM)」のセンサーをミリ波レーダーからカメラとレーザーレーダーを併用したシステムにすることで、歩行者検知機能を追加するとともに、衝突回避性能を向上。 「車線逸脱警報システム(LDW)」の警報精度を向上させるとともに警報タイミングを最適化させるなどのアップデートも行っています。

2018年に2度目の大幅改良、現在はPHEVのみの販売

2018年に2度目の大幅改良、現在はPHEVのみの販売1

2018年に2度目の大幅改良を行い、PHEVシステムが刷新されています。従来のPHEVシステムは搭載されているエンジンの排気量が2Lでしたが、2.4Lに拡大。さらにカムプロフィールの変更やバルブタイミング制御により、アトキンソンサイクル化することで、低回転域での発電の効率をアップしました。また、PHEVシステムの駆動用バッテリー容量を従来の12.0kWhから13.8kWhに増大するとともに、最高出力を10%向上。リアモーター出力を約12%、ジェネレーター出力も約10%それぞれ向上させることで、EV走行の航続走行距離が65.0kmまで延長されています。

2018年に2度目の大幅改良、現在はPHEVのみの販売2

そして車両運動統合制御システム「S-AWC」はさまざまな路面状態や運転状況にきめ細かく対応するために従来のモードに加えて、「SNOW」「SPORT」の2つの走行モードを追加するなど円熟の域に到達しました。

2020年11月にはガソリン車の生産が終了となり、現在はPHEVのみが販売されています。

ミドルサイズSUVとしては今もトップレベルの実力

ミドルサイズSUVとしては今もトップレベルの実力

PHEVに注目が集まりがちなアウトランダーですが、三菱が磨きを掛けた車両運動統合制御システム「S-AWC」とツインモーター4WDによる高い走行性能は国産ミドルサイズSUVの中ではトップレベルの実力を備えています。現行モデルはやや運転支援システムは物足りない部分がありますが、家庭用電気機器が使えるなどアウトドアライフには非常に心強いパートナーとなります。まもなく新型が登場しますので、現行型はリーズナブルな価格で手に入る中古車が狙い目でしょう。

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※記事の内容は2021年9月時点の情報で制作しています。

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