被害軽減(自動)ブレーキをはじめとする車の先進安全機能は各メーカーが競い合うように開発を進めている分野であり、新型車には次々と新しい機能が搭載される時代になっています。しかし先進安全機能は同じ機能であってもメーカーによって名称が異なることも多く、わかりにくい部分があるのも事実です。
ここではホンダ「フィット」の安全性能について、わかりやすく解説します。
【この記事のポイント】
✔ホンダの安全運転支援システム「Honda SENSING」が全車に標準装備
✔フロントワイドビューカメラと前後のソナーセンサーによる3つの検知システムを採用
✔フィットは「サポカーSワイド」に該当
フィットの安全性能の特徴
ホンダには、ホンダ自慢の安全運転支援システム「Honda SENSING」があります。2020年2月に登場した現行型のフィットには「Honda SENSING」が全車標準装備されているのはもちろんのこと、「Honda SENSING」に新たな機能を搭載させて従来よりもさらに安全性能を向上させています。
フィットには広い水平画角で側方に対する検知能力を高めたフロントワイドビューカメラと前方・後方のソナーセンサーによる3つの検知システムで車両の周囲の状況を検知する新システムを採用。自転車や夜間歩行者の検知にも対応し、安全運転をサポートします。
フィットに搭載される「Honda SENSING」の内容
ここからは、フィットに搭載される「Honda SENSING」に含まれる機能について見ていきましょう。
衝突軽減ブレーキ
衝突の危険を検知して警告
システムが車両や歩行者、自転車を検知し、衝突の危険があると音とディスプレイ表示で警告を発し、ドライバーに衝突の危険を知らせます。
軽いブレーキで減速
警告を発している状態でさらに対象物との距離が近づくと、自動で軽いブレーキをかけて減速し、衝突回避を図ります。
強力な自動ブレーキで衝突回避・被害軽減をサポート
それでも衝突が避けられないとシステムが判断した場合は、強力な自動ブレーキを作動させ、衝突の回避や被害軽減をサポートします。
対向車や停止車両、歩行者や自転車に対して、自車の速度が約100km/h以下で走行中に作動します。検知対象は夜間を含む車両と歩行者、自転車で、二輪車は検知できません。
誤発進抑制機能(前方・後方)
ペダルの踏み間違いやシフト操作ミスによる急発進を抑制
進行方向に壁などの障害物を検知している状態で、アクセルペダルを必要以上に踏み込んだ場合、音とディスプレイ表示で警告するとともにエンジンやハイブリッドシステムの出力を抑制して急発進や急加速を防ぐ機能です。
先代モデルまでは前方のみでしたが、現行型では後方にも対応しました。
近距離衝突軽減ブレーキ(前方・後方)
近くの障害物との衝突回避や被害軽減をサポート
フロント/リアのセンサーが進行方向の障害物を検知します。障害物と衝突のおそれがあるとシステムが判断した場合には警告を発するとともに強い自動ブレーキを作動させて衝突の回避や被害の軽減を支援します。
約2~10km/hの低速で走行している際に作動します。
路外逸脱抑制機能
車線や草、砂利などの境界を検知
フロントワイドビューカメラが車線や草、砂利などの道路境界を検知します。ウィンカー操作なしに車線を逸脱する危険がある、または境界へ車両が接近したとシステムが判断した場合はディスプレイ表示とステアリングの振動でドライバーに危険を知らせ、回避操作を促します。
ハンドル操作を支援
それとともに車線逸脱を防ぐ方向にステアリング操作をシステムが支援し、車線を逸脱しないようサポートします。
歩行者事故低減ステアリング
路肩の歩行者との衝突回避をサポート
フロントワイドビューカメラが車線と歩行者を検知し、システムが歩行者との接触の可能性があると判断した場合には音と表示で警告を発するとともにステアリング操作をアシストして回避操作を促す機能です。
状況によっては、衝突軽減ブレーキの作動が優先される場合もあります。
車線維持支援システム
車線中央の走行をサポート
システムが左右の車線を検知して、ステアリング操作を支援することによって車線中央の走行をサポートする機能です。
車両が車線に近づくと、電動パワーステアリングの操舵力が強くなります。
渋滞追従機能付きアダプティブクルーズコントロール
先行車に追従走行して運転負荷を軽減
フロントワイドビューカメラが先行車と自車の距離を計測し、システムが適切な加減速を行いながら設定車間距離を維持し、先行車に追従走行したり設定した車速で定速走行をしたりしてドライバーの運転負荷を減らし、安全運転に貢献するシステムです。
渋滞時にも対応
フィットのアダプティブクルーズコントロールは渋滞追従機能付きなので、先行車の停車を検知すると自車も自動で停止します。先行車が走り出した際には、ドライバーのアクセル操作やスイッチ操作で追従走行を再開します。
先行車発進お知らせ機能
信号待ちでのうっかり出遅れ防止をサポート
約10m以内の先行車を検知し、先行車が発進しても自車が発進せず停車し続けた場合、音とディスプレイ表示でドライバーに先行車の発進を知らせます。
信号待ちなどでの出遅れ防止をサポートしてくれる機能です。
標識認識機能
最適なタイミングで標識をメーターに表示
フロントワイドビューカメラが道路標識を認識し、標識によって最適なタイミングでメーターに道路標識情報を表示することで標識の見落としを防ぐ機能です。
最高速度とはみだし通行禁止、一時停止、車両進入禁止の4種類の道路標識の認識が可能。最高速度とはみだし通行禁止は速度に関係なく、一時停止と車両進入禁止は約60km/h以下で走行中に作動します。
オートハイビーム
自動でハイビームとロービームを切り替え
夜間走行時、システムが前方の車両や周囲の明るさを検知し、状況に応じてハイビームとロービームを自動で切り替える機能です。
手動切り替えの手間を軽減し、切り替え忘れを防止します。
以上の機能がフィットの「Honda SENSING」には含まれています。
充実した先進安全機能を搭載し、高い安全性を持つフィットで安全なカーライフを
2017年4月から経済産業省や国土交通省が高齢ドライバーの事故防止につながる先進安全機能を備えた車に「セーフティ・サポートカー(サポカー)」の愛称を付け、普及を推進しています。
サポカーは搭載する先進安全機能によって4種類に分けられていますが、フィットはその中でも最も上位の分類である「サポカーSワイド」に該当する、高い安全性能を備えているのが特徴です。
さらにサイドエアバッグシステムやサイドカーテンエアバッグシステムも全車に標準装備し、衝突安全性にも配慮が見られます。
もしもの危険を減らしたり、被害を軽減したりしてくれる車の安全性能は重要な車選びのポイントとなる部分なので、細かい部分まで確認して納得のいく安全性能を持つ車を選ぶようにしましょう。
※記事の内容は2020年5月時点の情報で執筆しています。