近年の新型車には必ずといっていいほど搭載されるようになってきた先進安全機能。中には全グレードに標準装備されている車種もあります。
スバルのアイサイト、ホンダのホンダセンシングなどは良く知られていますね。
衝突被害を軽減する自動ブレーキや車線の逸脱を防ぐシステムなど、様々なものが組み合わされています。
ここではダイハツの人気車種、ミライースの安全性能について調べてみました。
ミライースには「スマートアシストⅢ」が搭載
スマートアシストはダイハツが開発した予防安全機能の名称です。「スマアシ」の略称のほうがよく知られているかもしれませんね。
現行のミライースに搭載されているスマートアシストⅢは、このスマートアシストの進化版です。2012年に登場した初代スマートアシストはレーザーレーダーを使用していましたが、その後2015年に改良されたスマートアシストⅡではレーザーレーダーに単眼カメラをプラスした検知システムへと変更されました。
さらに2016年にはレーザーレーダーと単眼カメラの検知システムを廃止し、ステレオカメラで検知するようになったスマートアシストⅢへと進化しています。
初代スマートアシストは2012年の12月にダイハツ・ムーヴ、ダイハツがOEM供給しているスバルステラに搭載されました。これは軽自動車初の自動ブレーキの一種である衝突被害軽減ブレーキになります。
軽自動車の世界にいち早く自動ブレーキなど先進安全装備を搭載したスマートアシストの第3世代、スマートアシストⅢにはどんな機能が搭載されているのでしょうか。
衝突警報機能/衝突回避支援ブレーキ機能(対車両、対歩行者)
前方の車両や歩行者をステレオカメラで検知し、衝突の危険性があると判断した場合は警告を発し、段階を経て自動でブレーキを作動させる自動ブレーキの一種です。
まずは警告を発し、それでも回避動作が取られないなど衝突の危険性が高まればまずは弱い自動ブレーキをかけます。これを事前ブレーキといいます。
事前ブレーキが作動している状態でドライバーがブレーキをかけると、ブレーキアシストが作動してブレーキの制動力を高めてくれます。これが被害低減ブレーキアシストです。
それでも衝突が避けられないとシステムが判断した場合、さらに強い緊急ブレーキを作動させて衝突を回避、もしくは被害軽減を図ります。
作動条件として、警報は対車両の場合は約4~約100㎞/h走行時、対歩行者は約4~約50㎞/h走行時となっています。事前ブレーキ、緊急ブレーキは対車両で約4~約80㎞/h走行時、対歩行者は約4~50㎞/h走行時で作動します。
被害軽減ブレーキアシストのみ対車両約30~約80㎞/h、対歩行者で約30~約50㎞/hで作動するように設定されています。
検知する範囲は対車両で前方約60m以内、対歩行者で前方約30m以内です。
誤発進抑制制御機能(前方、後方)
特にお年寄りに多いというアクセルとブレーキの踏み間違いによる誤発進を抑制する機能です。約10㎞/h以下で作動します。
前方の場合はステレオカメラが約4m以内に障害物を検知している場合、アクセルを必要以上に踏み込んだ場合に急発進を抑制します。
後方の場合はソナーセンサーが約2~約3m以内の障害物を検知して作動します。このシステムはエンジン出力を抑制してして急発進を抑制するもので、自動ブレーキではありません。
後方にも対応するようになったのはスマートアシストⅡ以降です。より進化していることがわかります。
スマートアシストⅢにはアダプティブクルーズコントロール装備されていないため、軽自動車においても最も進んでいるといわれているホンダN-BOXには及びませんが、それでもなかなか優秀ですね。
車線逸脱警報機能
ステレオカメラが道路上の車線を検知し、車線からはみだしそうになると警報を発し、ドライバーに注意喚起します。
約60㎞/h以上で作動するので、高速道路などの走行時には特に活躍してくれそうです。
先行車発進お知らせ機能
信号待ちや渋滞など、ブレーキペダルを踏んでいる状態のときに前方10m以内の車両が3m以上進んでも発進しない際にブザー音でドライバーに知らせてくれます。
オートハイビーム
現在では夜間は視認性の良いハイビームを通常使用するようになりつつありますが、対向車が来た場合には眩惑を防ぐためにロービームに切り替える必要があります。
オートハイビームは対向車のヘッドランプなどの明るさを検知して、自動でハイビームとロービームを切り替えてくれるシステムです。約25㎞/h以上の速度で作動します。
ミライースの「スマートアシストⅢ」以外の安全装備は?
接近お知らせ機能付きコーナーセンサー
コーナーセンサーをフロントとリアに2個ずつ配置し、死角になりやすい部分の障害物を検知してドライバーに知らせる機能です。
障害物との距離によって警告音を変えて危険度をわかりやすくしています。縦列駐車などの時に役立つ機能です。
このコーナーセンサーはミライースに標準装備されていますが、これは軽自動車で初となっています。
デュアルSRSエアバッグ
万一の衝突の際に運転席、助手席乗員の頭部や胸部への被害軽減を図ります。また、最上級グレードのG”SA Ⅲ”にはSRSサイドエアバッグも装備されます。
VSC(車体安定制御システム)&TRC(トラクションコントロール)
一般的に横滑り防止装置と呼ばれるものです。VSCは発進、加速時のタイヤの空転を抑制するTRC、また車輪のロックを防ぐABSを組み合わせて雪道などの滑りやすい路面や急ハンドルなどで横滑りが発生すると、ブレーキやエンジンを自動制御して車体を安定させるシステムです。
ABSは止まる技術と誤解されがちですが、実は車体を正しい方向に曲げる為の技術です。それが進化したものがVSCであるといえるでしょう。
「スマートアシストⅢ」を搭載したミライースはサポカーS「ワイド」に適合!
「サポカーS(セーフティ・サポートカーSの略称)」とは、高齢化社会が進み恒例のドライバーが増えていることを踏まえ、政府が主導している高齢運転者防止対策の一環として、自動ブレーキやペダル踏み間違え加速抑制装置を搭載しているクルマの愛称です。
普及に取り組まれているサポカーSですが、将来的にはサポカー減税なども検討されているといいます。現在でも一部の自治体では規定の条件を満たした高齢者にサポカー購入の補助金を支給するモデル事業を行っているところもあるとか。
これからますます注目度が高まっていくと思われるサポカーSですが、搭載している安全機能によって3つに区分されています。
スマートアシストⅢを搭載したミライースは、その中でも最も先進安全性能が充実したサポカーS「ワイド」に相当します。
サポカーS「ワイド」には対歩行者を検知する自動ブレーキ、ペダル踏み間違い時加速抑制装置、車線逸脱警報、先進ライトの搭載が求められます。
サポカーS「ワイド」に適合する優れた先進安全性能、スマートアシストⅢを搭載したミライースならば高齢者も安心して運転が楽しめるのではないでしょうか。
※記事の内容は2018年10月時点の情報で執筆しています。