日産が誇るスポーティーセダン「スカイライン」。スカイラインといえばバブル時代には当時のセダン人気も手伝い、若者のあこがれのモデルでもありました。
近年日本においてはセダン離れが進みあまり注目されない存在になっていましたが、2019年7月に行われたビッグマイナーチェンジにより走行性能に磨きをかけるとともに、最新鋭の運転支援技術「プロパイロット2.0」を採用したことで注目を集めています。
ここでは、「プロパイロット2.0」など、スカイラインの安全性能について紹介します。
【この記事のポイント】
✔最新鋭の運転支援技術「プロパイロット2.0」を採用
✔360度センシングによる多彩な機能を搭載
✔パワートレイン、グレードによって安全性能は異なる
スカイラインの安全性能の特徴
1957年に初代モデルが登場し、今では日産車で最も長い歴史を持つモデルとなったスカイライン。歴代のスカイラインはその時代の最新鋭の技術を搭載し、新型が出る度に注目を集める日産を象徴するモデルともいえます。
現行型となる13代目モデルは2014年2月に日本での販売が開始され、モデルライフは長くなっています。
しかし2019年の2回目のマイナーチェンジでは内外装とエンジンの変更、さらに新しいコネクティッドサービスや世界初(2019年7月、日産調べ)となる先進運転支援技術「プロパイロット 2.0」を搭載。
目玉装備のひとつである「プロパイロット2.0」は、高速道路において一定の条件下でのハンズフリー運転を可能にしたハイレベルな運転支援機能で、ハイブリッド車に標準装備されます。「走りのスカイライン」のイメージはそのままに、時代の先端を行く先進性・安全性を持つモデルへと生まれ変わりました。
一方で3.0LV6ツインターボエンジンを搭載するガソリン車は「プロパイロット2.0」が搭載されないばかりか、衝突被害軽減ブレーキの性能もハイブリッド車と差がつけられており、前期型からあまり進化していないのは残念な部分といえるでしょう。
世界初の先進運転支援技術「プロパイロット2.0」(ハイブリッド車に標準装備)
ハイブリッド車に標準装備される「プロパイロット2.0」は、高速道路でステアリング操作と加減速をシステムがアシストする運転支援技術「プロパイロット」を進化させたもので、360度センシング、ナビゲーションシステムとの連携、3D高精度地図データなどのテクノロジーを駆使することで一定の条件下においてハンズフリー走行を可能としたシステムです。
「プロパイロット2.0」は、高速道路の本線に合流しルート走行を開始すると、追い越しや分岐などを含め、高速の出口まで走行支援することに加え、状況に応じてシステムが車線変更をドライバーに提案します。ドライバーはハンドルに手を添え、ウィンカーを作動させるとシステムが車線変更・追い越しを開始します。
さらに、設定したルートでドライバーが前方を注視している状態で、道路・交通・自車の状態に応じて直ちにハンドル操作ができる状況の場合のみ、同一車線内でのハンズオフが可能です。
スカイラインに搭載されている先進安全技術
スカイラインは、「プロパイロット2.0」のほかにもさまざまな先進安全技術を採用しています。おもなものを紹介しましょう。
インテリジェント エマージェンシーブレーキ
前方の車両などを検知し、衝突の危険がある場合には音や表示でドライバーに注意喚起。より危険が高まると緩いブレーキを作動させます。それでも安全に減速できない場合は自動でブレーキを作動させ、衝突の回避を支援する機能です。
ハイブリッド車は車両と昼間の歩行者の検知が可能ですが、ガソリン車は歩行者の検知はできません。車速約5km/h(対歩行者の場合は10km/h)以上で作動します。また、車速が約60km/h以上になると歩行者に対して作動しません。
インテリジェント FCW(前方衝突予測警報)
運転席から見えない2台前を走る車両をシステムが監視し、必要に応じてドライバーに減速するように注意喚起することでブレーキの踏み遅れによる玉突き事故の回避をサポートする機能です。車速約5km/h以上で作動します。
踏み間違い防止アシスト(前進時・後退時)
壁やガラスを検知して、駐車時のペダル踏み間違いによる急加速を防止する機能です。前進時には壁などの障害物に加えて車両の検知も可能。さらに、ハイブリッド車に限り前進時の歩行者検知機能も搭載されています。
インテリジェント BSI(後側方衝突防止支援システム)/BSW(後側方車両検知警報)
ドライバーの死角になりやすい隣車線後方から接近する車両を検知し、警告を発します。接近車両を検知した状態で車線変更が開始されると、ブレーキ制御を行い、車両をもとの車線に戻す力を短時間発生させ、接近車両との接触の回避をサポートする機能です。
インテリジェント LI(車線逸脱防止支援システム)/LDW(車線逸脱警報)
車両が車線からはみ出す危険がある場合、警告を発してドライバーに注意喚起するとともに、車線内走行を維持する方向に制御力を発生させることでドライバーに回避操作を促すシステムです。
インテリジェント BUI(後退時衝突防止支援システム)
後退時に、車体後部に設置したセンサーが車両後方を横切ろうとする車を検知します。また同時にリアバンパーのソナーが後方の障害物を検知し、ドライバーに注意喚起するとともに短時間ブレーキを作動させて衝突の回避を図るシステムです。
ハイビームアシスト/アクティブAFS(いずれも「GT」を除くグレードに標準装備)
ハイビームアシストは、必要に応じて自動でハイビームとロービームを切り替える機能です。スカイラインではさらにステアリング操作に連動してヘッドランプの照射範囲を変化させることで、コーナリングや右左折時の視認性を向上させ、歩行者や障害物の早期発見に貢献するアクティブAFSが採用されています。
スカイラインには、このほかにも車両の周囲の状況を画面に映し出して駐車時の安全確認をサポートする「インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物 検知機能付き)」や、先行車との車間距離を維持しながら車速を制御する「インテリジェント クルーズコントロール」、ドライバーのペダル操作をアシストして負担を軽減する「インテリジェント ペダル」が全車に標準装備されています。
パワートレイン、グレードによる安全性能の差に注意
スカイラインは「プロパイロット2.0」以外にも、衝突被害軽減ブレーキのレベル、先進ライトの有無などがパワートレイン、グレードによって異なります。2019年9月のビッグマイナーチェンジの目玉ともいえる「プロパイロット2.0」を標準装備するハイブリッド車でもすべてのグレードが「サポカーSワイド」に該当するわけではないので注意が必要です。
ハイブリッド車の上位2グレードは「サポカーSワイド」の認定を受けていますが、先進ライトを搭載しないエントリーグレードの「GT」は「サポカーSワイド」よりもワンランク下の「サポカーSベーシック+」にとどまります。また、ガソリン車は衝突被害軽減ブレーキに歩行者の検知機能がないため、全グレードが「サポカーSベーシック+」となっています。
スカイラインを選ぶ際には、走行性能や燃費だけではなく、安全性能の違いもよく確認する必要があるといえるでしょう。
よくある質問
Q1:スカイラインには先進安全技術が全車標準装備されているの?
A:はい、スカイラインには全車に先進安全技術が搭載されています。ただし全車が同じ内容というわけではなく、パワートレイン、グレードによって搭載される先進安全技術の種類、レベルは異なります。
Q2:スカイラインにはどんな先進安全技術が搭載されているの?
A:衝突被害軽減ブレーキの「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」をはじめ、自車の2台前の車両の動きをモニタリングして必要があれば警告を発することで玉突き事故回避を支援する「インテリジェント FCW」、ペダル操作ミス時の急発進を防止する「踏み間違い防止アシスト(前進時・後退時)」、車線からの逸脱回避をサポートする「インテリジェント LI/LDW」などが搭載されています。
Q3:「プロパイロット2.0」ってどんなもの?
A:高速道路においてステアリング操作と加減速をシステムがアシストする「プロパイロット」を進化させたもので、360度センシング、ナビゲーションシステムからのルート情報や3D高精度地図データによって、ルート走行を開始すると追い越しや分岐も含めて高速道路の出口までの走行を支援することや、一定の条件下においてハンズフリー走行を可能とした最新鋭の運転支援技術です。
Q4:スカイラインはどの「サポカー」に該当するの?
A:「GT」を除くハイブリッド車は「サポカーSワイド」の認定を受けています。ガソリン車全車とハイブリッド車の「GT」は「サポカーSワイド」よりもワンランク下の「サポカーSベーシック+」に該当します。
※記事の内容は2021年5月時点の情報で執筆しています。