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ハイブリッド、電気自動車、まさかの燃料電池!? あなたはどのエコカーを選ぶ?車のプロがずばり回答!2017秋編

あなたはどのエコカーを選ぶ?車のプロがずばり回答!2017秋編
あなたはどのエコカーを選ぶ?車のプロがずばり回答!2017秋編

ハイブリッドカー(HV)の登場から20年、いまやクルマ選びにエコカーというキーワードは外せない。プラグインハイブリッド(PHV)、電気自動車(EV)、クリーンディーゼルなど、増えるばかりのエコカーのベストチョイスをプロがわかりやすく解説

百花繚乱状態の「エコカー」を整理整頓!

「ハイブリッド(HV)」「プラグインハイブリッド(PHV)」「電気自動車(EV)」「燃料電池車(FCV)」「クリーンディーゼル」「ダウンサイジングターボ」などなど、ひと言で「エコカー」と言っても、そのメカニズムは様々です。一般の方には「燃費性能の優れたクルマ」という漠然とした印象しかないでしょうが、優れた燃費性能・環境性能を実現するために自動車メーカーは生き残りを賭けて、次々と新しいエコカーを投入しています。今回は一般的にエコカーと呼ばれているクルマを整理整頓して、どんな使い方にどのエコカーが向いているのかを解説します。

いまや「エコカー」の代名詞「ハイブリッドカー」

いまや「エコカー」の代名詞「ハイブリッドカー」

1997年に登場した初代トヨタ・プリウス。「21世紀に間に合いました」という宣伝コピーとともに衝撃的なデビューを飾った

まず、紹介するのは国産車においてエコカーの代名詞となったハイブリッド車。エンジンにモーターを組み合わせたシステムを搭載するクルマのことです。その先駆者であるトヨタ・プリウスが1997年に登場して、はや20年が経過しました。現在では軽自動車からミニバン、SUVまで多種多彩なクルマにハイブリッド車が用意されています。

プリウス

2016年にデビューした4代目プリウス。いまやエコカーどころか日本で一番売れているクルマに

ハイブリッド車は発進や加速などエンジンが燃料を大量に消費する部分をモーターが受け持つことが燃費向上の理由の一つです。ただし速度が上がるにつれ主役はエンジンがとって代わります。ブレーキ時にはモーターが発電機になり電気をバッテリーに充電することでエネルギーを回収します。その回収された電気によってモーターを駆動することも燃費向上の理由です。

それゆえハイブリッドカーは発進・停止を繰り返す市街地で優れた燃費性能を発揮します。逆説的にいうと高速道路での燃費は思ったほど伸びません。車両価格は通常のガソリン車に比べて1〜2割アップ程度まで下がってきました。

一般的に同じ量のガソリンで普通のガソリン車の2倍以上の距離を走ることができるハイブリッドカー、年間の走行距離の多い人や街中で乗る機会の多い人にとって間違いなく賢い選択といえるでしょう。

話題のノートe-POWERもハイブリッドカーの一種

話題のノートe-POWERもハイブリッドカーの一種

モーターで走るが、その電力はエンジンで発電する日産のe-POWER。これもハイブリッドカーの仲間だ

ちなみに最近話題を集めている日産・ノートe-POWERもエンジンとモーターを搭載しているのでハイブリッドカーの一種です。e-POWERの特徴はエンジンを発電機としてのみ使用し、その発電した電力でモーターを動かして走行する点です。エンジンで発電する以上、電気自動車ではありませんが、他のハイブリッドカーに比べて運転した感覚は電気自動車に極めて近く未来感たっぷりです。

軽自動車からSUVまで「ハイブリッドカー」の選択肢は幅広い

軽自動車からSUVまで「ハイブリッドカー」の選択肢は幅広い

最新のハイブリッドカーのトヨタ・カムリ。いまや軽自動車からコンパクトカー、セダン、SUVまで多彩な車種から選ぶことができる

ハイブリッド車でオススメなのは、大きめのバッテリーとモーターを積んだモデルです。軽自動車ならば、スズキ・ワゴンR、スズキ・スペーシア。コンパクトカーでは、日産・ノートe-POWER、ホンダ・フィット。ミニバンならば、トヨタ・ヴォクシー/ノア/エスクァイア、ホンダ・オデッセイ。SUVはトヨタ・C-HR、日産・エクストレイル、ホンダ・ヴェゼルなどがそれに当たります。

充電できるから近場なら電気だけで走れる「プラグインハイブリッドカー」

充電できるから近場なら電気だけで走れる「プラグインハイブリッドカー」

2代目に進化したトヨタ・プリウスPHVは満充電で68.2kmのEV航続距離を謳う

ハイブリッド車の進化系がプラグインハイブリッド車(PHV)です。エンジンとモーターそしてバッテリーを組み合わせたハイブリッド車に、より大きなバッテリーを搭載し外部のコンセントから直接充電(プラグイン)することができます。

プラグインハイブリッド車はハイブリッド車よりモーターのみによる走行可能距離が長く、市街地の近距離移動であれば電気自動車のようにモーターだけで走ることができます。近所の買い物や送迎などが主体の使い方であればガソリンをほとんど使用しないので、驚くほど経済的です。

プラグインハイブリッド車はバッテリーに蓄えられた電力を使い切ると、自動的にエンジンが作動しハイブリッド走行に切り替わります。つまり電気自動車と違って遠出しても充電場所や充電時間を心配する必要がないのもメリットです。

ただし電気自動車ほどではないものの、高価な大型リチウムイオン電池が必要なので車両価格が高くなります。近距離の使用が大半だけどたまの休みには遠出もする、という方はハイブリッド車と比較する価値ありです。

もっとも進化したハイブリッドカーは意外なあのクルマ?

もっとも進化したハイブリッドカーは意外なあのクルマ?

三菱アウトランダーPHEVも60.8kmのEV走行距離を誇る。エンジンは基本充電用で市街地はモーターで走るが、高速道路などでは効率の良いエンジンで走るという凝ったメカニズムを採用。2013年デビューとは思えない、いまだ最先端のプラグインハイブリッド車だ

ちなみに現在販売されている国産のプラグインハイブリッド車は実質トヨタ・プリウスPHVと三菱・アウトランダーPHEVの2台です。この2台はカタログ値で60km以上、実際でも40km前後のEV走行が可能です。しかもアウトランダーPHEVはノートe-POWERに成り立ちが近く、バッテリーがなくなって発電のためにエンジンが始動しても、高速道路を除けばほぼモーターで走るので電気自動車気分を味わえます(それゆえ三菱はPHVではなくPHEVと呼んでいます)。

e-POWERは今のところ充電ができないので、もっとも進化したハイブリッドカーは三菱・アウトランダーPHEVかもしれません。

本命「電気自動車」は着実に進化しているが・・・

本命「電気自動車」は着実に進化しているが・・・

航続距離400kmを謳う新型日産リーフ。外観も奇異をてらった初代に比べ、売ることを意識した現実的(?)なものになった

次世代のエコカーの本命と言われ続けている電気自動車(EV)はどうでしょう。アメリカのテスラが有名ですが、国産車では日産・リーフと三菱・アイミーヴが販売されています。ガソリンや軽油を使わない代わりに電気自動車はスマートフォンなどと同様にバッテリーへの充電が必要です。そのバッテリーに蓄えた電力でモーターを駆動させて走行します。

スマホの持ち時間同様、搭載されるバッテリー性能によって走行距離が左右されるのが電気自動車の特徴です。デビュー当初の旧型リーフの航続走行距離は公式測定方法のJC08モードで200kmでしたが、登場したばかりの新型リーフは400kmまで延びました。高速道路のSA/PAをはじめ、ディーラーや商業施設に充電器の設置が進んでいて、充電場所に困ることもかなり少なくなっています。

電気自動車は車両本体価格が高く、航続走行距離が短いことが普及のネックとなっていました。しかし新型リーフは従来の常識を覆すパフォーマンスを発揮するはずです。また気になる電池寿命について日産は8年16万キロを保証しています。

ただし解決されていないのが充電時間の長さ。急速充電を使用しても新型リーフは80%まで40分必要です。とはいえ日進月歩で進化する電気自動車、近所を走る機会が多い人はそろそろ新型リーフを検討リストに加えてもいいのかもしれません。

誰よりも先に未来を体験したいなら「燃料電池車」を!

誰よりも先に未来を体験したいなら「燃料電池車」を!

排出するのは水だけという環境性能の高さが水素燃料電池車の魅力。補助金が200万円以上出るとはいえ700万円オーバーの価格と水素ステーションの少なさがまだまだネック。ただし1回充填すれば600km以上走ることができる

電気自動車と同様に燃料にガソリンや軽油を使用しないのが燃料電池車(FCV)です。燃料電池車は現在、トヨタ・ミライとホンダ・クラリティフューエルセルが販売されています。(ホンダはリースのみ)。燃料電池車は水素を燃料として電気を発生させモーターを駆動させます。排出するのは水だけという究極のエコカーです。

水素タンクをはじめ専用のパーツが多いので車両本体価格が非常に高いこと、そして燃料を充填する水素ステーションがまだ圧倒的に少ないなど課題も多く、まだ一般のユーザーにおすすめする段階ではありませんが、万難を排してでも未来を先取りしたい方はぜひどうぞ!周囲に驚かれること間違いなしです。

長距離ドライブで実感する「クリーンディーゼル」の素晴らしさ

長距離ドライブで実感する「クリーンディーゼル」の素晴らしさ

マツダの世界戦略車CX-5の販売台数はクリーンディーゼルの方が多い。重たいSUVに力持ちのディーゼルエンジンは特に相性が良い

ここまでは、プラグインハイブリッド車や電気自動車そして燃料電池車など次世代車と呼ばれるクルマを紹介しました。しかし従来からのエンジンも時代に合わせて進化をしています。まずはクリーンディーゼルエンジンです。ディーゼルエンジンはガソリン車に比べて、効率が良く二酸化炭素の排出量は少ないものの、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)が排出されることが問題となり、日本では大都市での使用が厳しく制限されました。

その課題をクリアしたのが、欧州車を中心に普及した高圧燃料噴射装置(コモンレール式)採用のクリーンディーゼル車でした。その後VWに端を発した問題でイメージが再び悪化しましたが、2012年に登場したマツダCX-5のクリーンディーゼルエンジンは独自の技術を使用することで数々の排気ガステストでも優秀な成績を収め信頼を勝ち取っています。

ガソリンエンジンに比べてディーゼルエンジンの価格は高くなりますが、燃料である軽油がガソリンより安いことに加えて、特に高速道路での燃費の良さは素晴らしく、ハイブリッド車に勝るとも劣りません。しかもディーゼルエンジンはあまりアクセルを踏まなくてもグイグイ加速してくれるので、運転がラクというのも特徴です。お盆やお正月の帰省をはじめ、長距離をクルマで移動するという人にディーゼル車はベストな選択といえるでしょう。

燃費と走りを両立させたいなら「ダウンサイジングターボ」

燃費と走りを両立させたいなら「ダウンサイジングターボ」

人気のトヨタ・ハリアーはダウンサイジングターボを採用する一台。ハイブリッドもラインナップされるがキビキビ走るならターボモデルの方がおすすめ

最後にもうひとつの新世代エンジンである「ダウンサイジングターボ」を紹介しましょう。エンジンは排気量が大きくなるほど高出力を発揮します。しかし排気量が大きくなると燃費性能が悪くなります。そこで、高出力と低燃費を両立させるために採用されたのがダウンサイジングターボエンジンです。

欧州車が多く取り入れているダウンサイジングターボは、搭載するエンジンそのものの排気量を小さく(ダウンサイジング)する代わりにターボなどの過給器を装着し、パワーを生み出します。ターボはエンジンの排気ガスを利用して、多くの空気をエンジン内に送り込む機械です。パワーが必要な時だけターボが作動し、通常は小排気量エンジンなので、パワーと低燃費を両立できるというわけです。

最近では徐々に国産車にもダウンサイジングターボエンジンは搭載され、トヨタハリアーや日産スカイライン、ホンダステップワゴン、スズキスイフトなどが採用しています。燃費性能ではハイブリッド車に及びませんが、加速性能やドライビングプレジャーはハイブリッド車を上回るので、運転するのが好きな方に向いています。ハイブリッド車よりも低価格な点もポイントです。

多くの人がメリットを実感できるのは「ハイブリッドカー」だが

多くの人がメリットを実感できるのは「ハイブリッドカー」だが

電気自動車や燃料電池車は、まだコスト・使い勝手・インフラの点で課題があるため、一般の人は手を出しづらいのが現状です。現在販売されているエコカーの中で、そのメリットを多くの人が一番享受しやすいのはハイブリッドカーですが、長距離ドライブが多い方にはクリーンディーゼル、街中で短距離の使用がメインながら遠出もしたい人にはプラグインハイブリッドも検討する価値は十分にあります。

クリーンディーゼルはマツダがコンパクトカーのデミオから大型セダンのアテンザまで多くの車種に搭載しています。一方のプラグインハイブリッドは三菱アウトランダーPHEVがパイオニアとなり、プリウスPHVの登場によって今後最も拡大していくエコカーなのは間違いありません。

LINEでクイズキャンペーン 第4弾

※記事の内容は2017年9月時点の情報で執筆しています。

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