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斎藤泰則

すべてのロードスター乗りと、未来の女性ドライバーに贈る小説〜KODORA〜第二話(上)

すべてのロードスター乗りと、未来の女性ドライバーに贈る小説〜KODORA〜第二話(上)
すべてのロードスター乗りと、未来の女性ドライバーに贈る小説〜KODORA〜第二話(上)
貯金ゼロでも

「自由への翼」 (上)

運動不足解消と運命の出会いを求めて入ったテニスサークルも
最近はお付き合い程度になっていた

テニスにはまだまだ寒い山中湖
その日は世の中の春休み最終日で帰りの高速は大渋滞
道志街道という抜け道を下る

クルマはサークルの先輩(男子)の…、親のクルマ
行きの高速もかなり飛ばす、かなりパワーがある高いクルマらしい
よせばいいのに帰りの道も飛ばす飛ばす、遅いクルマがあると次々と抜いていく
乗っている方はたまらない、静流が思わず「ちょっと気持ち悪い」と悲鳴をあげる

道の駅に入り休憩、後続の2台も入ってくる
先輩は少しバツが悪そうに自販機でお茶を買ってきた

「わりぃ~、いい気になって」
「飛ばすのがカッコいいなんて事はないんだからね」

静流を介抱しながら少々ムッときていた
静流をみた先輩も返す言葉がないようだった

「もう大丈夫」

静流の声はいつものトーンが少し戻ってきた

「ユキは大丈夫なの?」

後席に乗っていたのは女子2人

「うちの実家の周りは山だらけなんで、親のクルマで慣らされちゃってるから」

そう、物心ついた時には父のクルマの助手席に乗っていた
寝つきの悪い私は父のクルマに乗ると即寝だったそうだ
中学に入るまでの父のクルマでのドライブが
ジェットコースターのようで楽しかった
父曰く漁師の子供がゆりかごで鍛えられるのと同じである
中学の入ると父が仕事で海外に行く事が多くなり、母のクルマにしか乗らなくなったけれど

自分の飲み物を買いに3台並んでいる自販機の前に行く
少し悩んだうえでボタンを押す
ガコンというペットボトルが落ちる音が2重に聞こえる
隣の自販機のペットボトルが落ちるタイミングと偶然一致していたようだ
そんな事もあるんだなぁとペットボトルを取り出して、隣の自販機を見る
同じくペットボトルを取り出している人と目が合う

「ぁ」

声が出なかった、ペットボトルを持つのは、彼…、リョウ
一瞬の間、声をかけてくれたのは、彼が先だった

「ヨォ!! 奇遇だね、こんなところで」

言葉のわりに驚いている様子はない

「どう、ロードスターは元気?」
「あ、ハィ」

やはり、この言葉しか出なかった
一気に血圧があがり、顔が赤らむのが自分でもわかる

「それは、良かった」

ペットボトルのキャップを開けながら近くの椅子に座る
つられるように横に座る
でも何を話していいかわからない

「自由への翼」 (上)

「ちょっと心配していたんだ、もう売っちゃったんじゃないかって」

実は彼を忘れるために、早々に売ってしまうつもりでいたのでドキッとする

「まさか、大好きですから、あのクルマ」

反射的に答えてしまった、大好きなのはクルマではなく…

「今日はロードスター?」

周りを見回す

「いえ、今日は友達のクルマで」

あれから全然乗っていない、ちょっとした後ろめたさを感じる
乗っていないのが顔に出たのだろうか

「マニュアルは、最初は大変だけど、慣れればオートマより全然楽しいし」

こちらを向いた顔に、少しハラハラする

「何よりもクルマと対話が出来るから」
「対話、ですか?」

よく父が愛車に向かって、独り言のようにつぶやいているのを思い出す

「俺の場合は、もっと速く!とか、曲がれ~って一方的に叫んでいるだけだけどね」

笑う彼の姿を改めてみて、普段着でない事に気づいた

作業用ツナギでない、そう実家にもあったレーシングスーツ

「それ、レーシングスーツですか?」
「ああ、そう。さっきまでレースしてたから。」

見覚えのあるワッペンがある

「スパルコ?うちの実家にも、同じようなのがあります。父のですが」

ドリンクを飲みながら

「へ~、お父さんも何かやってるんだ、あっ、だからNRAだったんだ」

妙に納得した顔をする彼。
何か父と同じ雰囲気を感じ、急に彼との距離が縮まった気がした

「リョ〜ウォ!!」

強い口調の言葉が投げかけられる
振り向くと…、あの金髪の彼女がいた

「知り合い?」

彼との間を引き裂かれるような感じがする

「あ、あの時、ロードスターの!」

彼が答える前に彼女が答えていた

「ふ〜ん、気をつけて、リョウはクルマ女子大好きだから」
「こんな素敵な彼女がいるのに、すぐ浮気するから」
「オイオイ、それは無いだろう、偶然ここで会っただけだから」

どう見ても痴話喧嘩である
入り込む隙は無い
それでも…、心の何処かで諦めきれないもう一人の自分が叫ぶ

「お、お願いがあります」

2人の顔に直視される

「運転教えてもらえませんか?」

(つづく)

クルマ診断_記事内

イラスト:らびえぬ

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