2020年9月の乗用車全体(軽自動車を含む)の販売台数は39万847台、前年比は8月と同じく85.2%となりました。軽自動車を除く新車販売ランキングはトヨタヤリスがヤリスクロスの追加効果で2万台超えの圧倒的な販売台数。3ヶ月連続の首位に輝きました。2位以下はトヨタカローラ、トヨタライズ、トヨタアルファード、そしてトヨタハリアーが続き、トヨタ車がTOP5を占めています。一方、軽自動車(乗用車)は王者ホンダN-BOXが引き続き首位をキープ、2位スズキスペーシア、3位ダイハツタント、4位日産ルークスとスーパーハイトワゴンが上位に名を連ねました。今回は2020年度上半期(4〜9月)の数字も含めて自動車評論家の島崎七生人さんに詳しく解説をしてもらいましょう。
国産乗用車販売台数 2020年4〜9月(軽自動車を除く)
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | ヤリス | トヨタ | 79,400 | 20年2月発売 |
2 | ライズ | トヨタ | 61,035 | 19年11月発売 |
3 | カローラ | トヨタ | 55,854 | 115 |
4 | フィット | ホンダ | 50,521 | 116.7 |
5 | アルファード | トヨタ | 44,311 | 132.3 |
6 | ルーミー | トヨタ | 34,276 | 69.7 |
7 | フリード | ホンダ | 32,393 | 74.5 |
8 | ハリアー | トヨタ | 31,533 | 162.9 |
9 | ノート | 日産 | 3,1085 | 52.3 |
10 | セレナ | 日産 | 30,135 | 65.6 |
11 | ヴォクシー | トヨタ | 29,020 | 63.6 |
12 | プリウス | トヨタ | 27,918 | 41.9 |
13 | シエンタ | トヨタ | 27,736 | 49.9 |
14 | アクア | トヨタ | 24,168 | 47.2 |
15 | RAV4 | トヨタ | 22,749 | 57.9 |
16 | ノア | トヨタ | 19,863 | 71.9 |
17 | ソリオ | スズキ | 16,542 | 75.2 |
18 | タンク | トヨタ | 16,136 | 40.4 |
19 | ステップワゴン | ホンダ | 15,612 | 59.4 |
20 | パッソ | トヨタ | 15,103 | 74.4 |
21 | ロッキー | ダイハツ | 14,172 | 19年11月発売 |
22 | ヴェゼル | ホンダ | 14,108 | 48.9 |
23 | C-HR | トヨタ | 13,952 | 55.6 |
24 | インプレッサ | SUBARU | 13,477 | 59.5 |
25 | スイフト | スズキ | 12,640 | 75.7 |
26 | MAZDA2 | マツダ | 12,144 | 241.4 |
27 | エスクァイア | トヨタ | 11,425 | 54 |
28 | CX-30 | マツダ | 10,119 | 1,613.9 |
29 | フォレスター | SUBARU | 10,100 | 58.1 |
30 | ランドクルーザーW | トヨタ | 9,480 | 70.4 |
31 | クラウン | トヨタ | 8,691 | 53.4 |
32 | ジムニーワゴン | スズキ | 8,612 | 212.4 |
33 | CX-5 | マツダ | 8,539 | 59.1 |
34 | MAZDA3 | マツダ | 8,437 | 45.9 |
35 | シャトル | ホンダ | 8,165 | 46.9 |
36 | ヴェルファイア | トヨタ | 8,048 | 45.3 |
37 | エクストレイル | 日産 | 7,862 | 48.4 |
38 | トール | ダイハツ | 7,145 | 60.1 |
39 | キックス | 日産 | 6,963 | 20年6月発売 |
40 | クロスビー | スズキ | 6,501 | 52.7 |
41 | CX-8 | マツダ | 5,811 | 62.3 |
42 | カムリ | トヨタ | 4,282 | 40.6 |
43 | CX-3 | マツダ | 4,259 | 99.1 |
44 | ハイエースワゴン | トヨタ | 4,165 | 70.1 |
45 | オデッセイ | ホンダ | 4,075 | 53.6 |
46 | UX250H | レクサス | 3,962 | 55 |
47 | デリカD5 | 三菱 | 3,685 | 42.5 |
48 | リーフ | 日産 | 3,565 | 38.6 |
49 | レヴォーグ | SUBARU | 2,888 | 39.7 |
50 | CR-V | ホンダ | 2,849 | 52.6 |
※ 例:ブランド通称名 カローラはカローラシリーズ全車種と教習車を含んでいます。
トヨタ強しを印象付ける上半期販売ランキング
2020年4〜9月の販売台数の集計が出ている。上位10位までの内訳を見てみると、トヨタ車が6車種を占め、残りがホンダ車と日産車で各2車種ずつ。続く20位まではトヨタ車が8車種で、ほかにスズキとホンダでそれぞれ1車種。
上位50車種まで広げてみても、トヨタ車は20車種とダントツの強みをみせ、以下、ホンダが7車種、日産とマツダが各6車種ずつ、スバル、ダイハツ、スズキの各3車種ずつ、三菱とレクサスの各1車種ずつとなっている。
ヤリスクロス効果上乗せでヤリスが上半期でも首位に立つ
上位に並ぶのは当然ながら毎月のランキングで上位にいる顔ぶれだが、1位のヤリスは、今年1〜6月の集計では4位に留まっていたが、本稿でも追いかけてきたとおり、4月以降は6月に一度、同じトヨタのライズに1位を譲った以外は安定的に1位の座をキープ。8月にへこみがあったものの台数の数字も基本的に伸ばし続け、9月にはついに2万2066台と、8月の1万1856台からほぼ倍増に伸長させた。
発売から1週間でおよそ2万台の受注があったというヤリスクロス、スポーツ性の高さが注目されるGRヤリスなどが、台数をグッと押し上げているであろうことは想像に難くなく、特にヤリスクロスの存在は、ここでもSUVの威力は絶大と見立てて間違いなしだろう。
4〜9月のランキングをカテゴリー別に見渡しても、相変わらずSUVがもっとも強みを発揮し続けている人気のカテゴリーであることがわかる。次いでミニバン、コンパクト系、ハイトワゴン系といったところ。街中の風景のかなでの比率どおりといったところだ。対してセダンやハッチバック系の顔ぶれの少なさは、少々寂しい思いがする。
国産乗用車販売台数 2020年9月(軽自動車を除く)
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | ヤリス | トヨタ | 22,066 | 20年2月発売 |
2 | カローラ | トヨタ | 1,3579 | 122.9 |
3 | ライズ | トヨタ | 13,077 | 19年11月発売 |
4 | アルファード | トヨタ | 10,436 | 160 |
5 | ハリアー | トヨタ | 8,979 | 230.8 |
6 | フィット | ホンダ | 8,922 | 125.1 |
7 | ルーミー | トヨタ | 8,084 | 89.4 |
8 | フリード | ホンダ | 7,689 | 94.8 |
9 | ヴォクシー | トヨタ | 6,512 | 64 |
10 | ノート | 日産 | 6,493 | 49.3 |
11 | プリウス | トヨタ | 6,429 | 57.6 |
12 | セレナ | 日産 | 6,353 | 68.9 |
13 | アクア | トヨタ | 5,675 | 58.3 |
14 | RAV4 | トヨタ | 4,839 | 73.3 |
15 | ノア | トヨタ | 4,663 | 78.9 |
16 | ソリオ | スズキ | 4,173 | 93.6 |
17 | C-HR | トヨタ | 3,681 | 83.2 |
18 | シエンタ | トヨタ | 3,614 | 26.7 |
19 | キックス | 日産 | 3,493 | 20年6月発売 |
20 | パッソ | トヨタ | 3,417 | 96.6 |
21 | MAZDA2 | マツダ | 3,354 | 68.9 |
22 | ロッキー | ダイハツ | 3,352 | 19年11月発売 |
23 | スイフト | スズキ | 3,177 | 107.9 |
24 | ステップワゴン | ホンダ | 3,174 | 56.5 |
25 | CX-30 | マツダ | 2,905 | 463.3 |
26 | ヴェゼル | ホンダ | 2,894 | 51.4 |
27 | インプレッサ | SUBARU | 2,801 | 67.6 |
28 | フォレスター | SUBARU | 2,643 | 70.1 |
29 | CX-5 | マツダ | 2,606 | 77.5 |
30 | ランドクルーザーW | トヨタ | 2,502 | 83.1 |
31 | エスクァイア | トヨタ | 2,485 | 56 |
32 | トール | ダイハツ | 2,338 | 80.4 |
33 | MAZDA3 | マツダ | 2,279 | 30.3 |
34 | クラウン | トヨタ | 2,050 | 53.9 |
35 | CX-8 | マツダ | 1,838 | 83.6 |
36 | エクストレイル | 日産 | 1,762 | 47.6 |
37 | ジムニーワゴン | スズキ | 1,661 | 199.6 |
38 | シャトル | ホンダ | 1,611 | 39.5 |
39 | クロスビー | スズキ | 1,411 | 60.8 |
40 | ヴェルファイア | トヨタ | 1,273 | 36.6 |
41 | デリカD5 | 三菱 | 1,219 | 54.7 |
42 | CX-3 | マツダ | 1,186 | 85.5 |
43 | リーフ | 日産 | 1,082 | 47.9 |
44 | UX250H | レクサス | 1,080 | 54.6 |
45 | ハイエースワゴン | トヨタ | 771 | 70.3 |
46 | カムリ | トヨタ | 770 | 50.8 |
47 | マーチ | 日産 | 762 | 95.3 |
48 | CR-V | ホンダ | 740 | 80.6 |
49 | シビック | ホンダ | 692 | 58 |
50 | MX-30 | マツダ | 648 |
※ 記の台数は車名別の合算値となり、一部教習車などを含みます。
※ 例:ブランド通称名 カローラはカローラシリーズ全車種と教習車を含んでいます。
9月のTOP5はすべてトヨタ車
一方、9月の乗用車全体の販売台数は39万847台という数字だった。前年比は85.2%と8月と同数値の結果が出たが、販売台数自体は8月の33万771台に対し、およそ6万台の伸びをみせた。全体として、8月に較べ台数を増やしている車種は多く、この流れは続いてほしいものだ。
それにしてもやはり注目すべきはトヨタ車の強さといったところか。ランキングの上位10車種中、実に7車がトヨタ車という現実は、すっかり見慣れたとはいえやはり凄い。トヨタ車の車種数の多さ、ラインナップの幅広さは何といっても強みだが、その“内訳”を見ると、4位(!)のアルファード、9位のヴォクシーなどのモデルライフの長いモデルが依然、堅調な人気を保っている点に目がいく。
ノア/ヴォクシー強し、日産セレナ危うし!
とはいえヴォクシーはノア、エスクァイアの3車で合算すると実に1万3660台となり、仮にこの数字で9月のランキングに当てはめ直すと、何とヤリスに次ぐ2位のポジションとなる。かつて月販2万台超を誇ったマークII3兄弟の現代版といえなくもない。ミニバンNo.1を謳う日産のセレナも、決してうかうかしてはいられない、はずだ。
新しいモデルではハリアーが8月より順位を上げ2000台以上台数も増やしたほか、RAV4も例のPHVのバッテリー供給の事情が解消し始めたのが、9月は8月より1500台あまり上乗せした台数がカウントできた。
軽乗用車販売台数 2020年4〜9月
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | N-BOX | ホンダ | 90,612 | 66.6 |
2 | スペーシア | スズキ | 62,399 | 78.2 |
3 | タント | ダイハツ | 52,210 | 59.2 |
4 | ルークス | 日産 | 41,112 | 20年3月発売 |
5 | ムーヴ | ダイハツ | 40,398 | 64.4 |
6 | ハスラー | スズキ | 38,670 | 142.2 |
7 | ミラ | ダイハツ | 33,254 | 71.2 |
8 | ワゴンR | スズキ | 32,134 | 75.3 |
9 | デイズ | 日産 | 31,357 | 38.3 |
10 | N-WGN | ホンダ | 30,318 | 185.6 |
11 | アルト | スズキ | 25,162 | 77.2 |
12 | タフト | ダイハツ | 23,544 | 20年6月発売 |
13 | ジムニー | スズキ | 18,529 | 126.4 |
14 | eK | 三菱 | 13,483 | 58.8 |
15 | ピクシス | トヨタ | 8,816 | 65.7 |
※ 通称名についてはメーカーごとに同一車名のものを合算して集計しています(アルト、ミラ、ムーヴ、タント、eK、プレオ、N-BOX、デイズ、ピクシスなど)
例)デイズルークスはデイズとして、2020年3月発売のルークスについてはルークスとして集計
N-BOXを筆頭に上半期もスーパーハイトワゴン人気は続く
軽自動車は上半期、9月とも勢力図は似ており、相変わらずN-BOXが安定の1位をキープし、4位まで広い室内とスライドドアで人気のいわゆるスーパーハイトワゴン勢が占めている。
上半期では6位に食い込んだスズキハスラーが前年を上回っている点が注目だ。昨年12月に発売されたニューモデルとはいえ、この状況下でのこの数字はハスラー、もしくはSUVの人気の高さを如実に物語っているのではないだろうか。
軽乗用車販売台数 2020年9月
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | N-BOX | ホンダ | 18,630 | 65.4 |
2 | スペーシア | スズキ | 15,592 | 99.0 |
3 | タント | ダイハツ | 11,897 | 54.4 |
4 | ルークス | 日産 | 10,736 | 20年3月発売 |
5 | ムーヴ | ダイハツ | 8,999 | 66.7 |
6 | N-WGN | ホンダ | 8,977 | 423.2 |
7 | ハスラー | スズキ | 7,757 | 112.3 |
8 | デイズ | 日産 | 7,502 | 42.0 |
9 | ワゴンR | スズキ | 7,245 | 83.9 |
10 | タフト | ダイハツ | 6,873 | 20年6月発売 |
11 | アルト | スズキ | 6,835 | 104.5 |
12 | ミラ | ダイハツ | 6,538 | 75.6 |
13 | ジムニー | スズキ | 4,704 | 151.6 |
14 | eK | 三菱 | 3,324 | 58.6 |
15 | ピクシス | トヨタ | 1,780 | 70.7 |
※ 通称名についてはメーカーごとに同一車名のものを合算して集計しています(アルト、ミラ、ムーヴ、タント、eK、プレオ、N-BOX、デイズ、ピクシスなど)
例)デイズルークスはデイズとして、2020年3月発売のルークスについてはルークスとして集計
人気の各車、前月よりも台数は上増し
9月も首位をキープしたN-BOXの台数は1万8630台と前年同月の2万8484台との差はあるものの、8月に1万4514台に落としたところからは(7月は1万6222台だった)数字を回復させた。以下、上位は相変わらずスーパーハイト系で占められるランキングだが、2位のスペーシアは8月の1万579台から1万5592台へ、3位のタントも小幅ながら、8月の9151台に対し1万台超の1万1897台となっている。4位のルークスも1万台超の1万736台とし、8月の数字に4500台ほど上乗せした。三菱eKは9月の台数を少し伸ばし3324台としているが、日産版とは装備、実用性など同等だから、もうひとがんばりしてほしいところ。
ニューモデルのダイハツタフトとホンダN-ONEに注目
注目車のハスラーとタフトだが、9月も高順位に位置したのはハスラー。台数で見ると9月はハスラー7757台、タフト6873台と8月(ハスラー6384台、タフト5292台)とはともに台数を上乗せしながらも両車の台数差は同じような感じで推移している。後発のタフトの追撃はこれからが本格化する……と読みたいところだが、果たしてどうだろうか。
今後の注目車としてはホンダのNシリーズの中核であるN-ONEのモデルチェンジ版の動きが気になるところ。筆者自身、実車にはまだ試乗していないが、外観イメージは大きく変えずに(筆者はいいと思う)中身をアップデートさせた今度のモデルの仕上がり、動向も見ていきたい。
※記事の内容は2020年10月時点の情報で制作しています。