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桑野将二郎くわのしょうじろう

アメリカの25年ルールで価格高騰中!今、「JDM=国産ネオクラシック中古車」が熱い!(桑野将二郎レポート)

クルマのトピック アメリカの25年ルールで価格高騰中!今、「JDM=国産ネオクラシック中古車」が熱い!(桑野将二郎レポート)
クルマのトピック アメリカの25年ルールで価格高騰中!今、「JDM=国産ネオクラシック中古車」が熱い!(桑野将二郎レポート)

アメリカでは今、JDMと呼ばれる古い右ハンドルの日本車たちが大人気です。特に25年ルールを過ぎたネオクラシックな国産車の人気はスポーツモデルのみならず、思わぬ車種にまで広がりを見せています。自身で中古車販売店も営んでいる自動車ライター、桑野将二郎さんからの現場レポート、そしてこれから価格高騰の気配濃厚な車種についてお届けしましょう。

コロナバブルの申し子「国産ネオクラシックカー」

ここ数年にわたるコロナ禍による影響で、旅行や飲み歩きがセーブされたことから、消費傾向に大きな変化が見られています。そのひとつとして、高級な腕時計や自動車などの売れ行きが好調だということが挙げられます。世間の景気が悪いと言われる中、コロナバブルという言葉も使われるように、一部では活況であることはさまざまな面から見てとれます。その中で最も顕著なのが、中古車相場の高騰です。

半導体の流通や工場の操業が鈍り続けている中、新車の生産台数が滞り、結果的に買替え需要のニーズを補う形で中古車の販売数が急増、在庫不足から流通相場が高騰している、という流れなのですが、もうひとつ中古車相場の高騰で注目されているのが、趣味性の高い旧車の類いです。

昭和世代の方にとっては昔懐かしい車種が、いまや新車当時の販売価格をはるかに超えているという例も少なくありません。特に目を見張る高騰を見せているのが、国産車のネオクラシックカー。それも特別なスポーツカーやスペシャリティカーだけではないのも気になるところです。その大きな要因となっているのが、海外相場の異変。ジャパニーズユーズドカーは、世界中から狙われていることから、国内相場が引っ張り上げられているという事情があるのです。

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日本の中古車価値が世界トップになる2つの理由

日本の中古車価値が世界トップになる2つの理由

昭和世代の国産車が、今なぜこんなに高騰しているのか?を紐解いていくと、大きく2つの要因が挙げられます。1つは、海外における日本車の人気。もう1つは日本における旧車をめぐる環境です。端的に言うと、アメリカの25年ルールという仕組みの中で高い人気を誇る日本車のネオクラシックカー事情、そして日本国内における古い中古車に対する課税制度と国内需要のギャップ、です。

アメリカの25年ルールとは、通常はアメリカ国内で登録することが認められていない右ハンドル車が製造から25年を経過すれば輸入・登録ができるというクラシックカー登録制度。関税や排ガス規制も対象外になるという優遇措置もあり、手軽に右ハンドルのクラシックカーを楽しみたいユーザー層が対象車種に飛びついているという実情があります。

また、アメリカでは1970年代からUSDMと呼ばれる日本車のカスタマイズ文化が根付いてきましたが、最近は若者たちの間でJDMと呼ばれる右ハンドル車の人気が一気に跳ね上がりました。元々は、ワイルドスピードなどのカルチャー的影響でスポーツカーの人気が突出していましたが、ここ数年でレアな日本車の知名度と人気が急上昇。なんの変哲もないオッサンセダンや、昭和世代なら若かりし頃に先輩からタダで譲ってもらったような車種でも3桁を超える相場となってしまいました。
一方、日本国内では古いクルマの居心地が非常に悪いという事情があります。平成27年からスタートした重課税制度は、古いクルマの税金を高くし、環境性能に優れた新しいクルマに導入されたエコカー減税との均衝が図られています。それでいて日本は2年ごとの厳しい車検制度があるため、公道を走るネオクラシックカーの個体は非常に高いクオリティが保たれています。島国の中では走行距離も欧米に比べると圧倒的に少なく、我々が多走行車と呼んでいる中古車も、海外へ行けば「Oh!low mileage!」と喜ばれるのです。

今後は「素うどん」的な国産ネオクラシックカー相場が高騰する?!

今後は「素うどん」的な国産ネオクラシックカー相場が高騰する?!

海外で日本のネオクラシックカーが珍重され、価格が高騰している事実をご理解いただいたところで、日本国内に話題を戻しましょう。前述のような海外での相場高騰により、近年は国産ネオクラシックカーの輸出が増えてしまっているわけですが、こうした日本車の海外流出を止めようとする国内のマニアや投資家が国内相場を上げ、今の市場相場が構築されました。最初は生産台数が少なかったスポーツカーやハイパフォーマンスモデルが新車価格を超える相場となり話題を呼びましたが、コロナ禍で芽生えたプチバブルが一部のファン層を刺激し、今では「アメリカで今後人気が上がりそうな車種」までもが高騰しつつあります。その多くが、アメリカ人の好むカスタマイズ文化に合った、カスタムしがいのある車種であることも特徴的です。けっしてハイパワーでもなければスタイリッシュでもない、でもなんだか個性的でレアな車種。いわばシンプルな“素うどん”のような車種ほど、これから人気が出そうなのです。そういったモデルは、今後は国内でも相場が上がっていきそうです。ここではそんなイマドキの国産ネオクラシックカー事情を加味して、今はそれほどでもないけれどもしかすると突然高騰するかもしれない車種を、その根拠とともにいくつか紹介します。

まるでGT-Rのワゴン版、奇跡のスーパーワゴン「初代日産ステージア(1996~2001年)」

まるでGT-Rのワゴン版、奇跡のスーパーワゴン「初代日産ステージア(1996~2001年)」

日産自動車不遇の時代に生まれた奇跡のスーパーワゴン。初代ステージアは当初こそパッとしないエンジンラインナップでしたが、98年のマイナーチェンジ後に搭載された直列6気筒2.5Lターボエンジンは280psを発揮し、まるでGT-Rのワゴン版さながらの走りです。アメリカの25年ルールによる需要だけでなく、国内での人気だけで高騰する可能性も高い一台です。なお、R33型GT-Rと同じエンジンとドライブトレーンを流用したオーテックジャパン謹製の「260RS」だけはすでに別格の存在。もし少しでも割安な個体があれば間違いなく買いです。

すでにマニュアルミッション搭載のツアラーVとグランデは特需相場「8代目トヨタマークⅡ 3兄弟 (1996~2000年)」

 

すでにマニュアルミッション搭載のツアラーVとグランデは特需相場「8代目トヨタマークⅡ 3兄弟 (1996~2000年)」

通称マークⅡ兄弟(マークⅡ、チェイサー、クレスタ)は、北米でも1977~1995年までクレシーダの名で販売されていましたが、以降は正規輸出されていなかったことと、日本のドリフトマシンのイメージがアメリカ人には強いことから、8代目の100系マークⅡ兄弟がこれから高騰する可能性が大きいと見られています。国内ではすでにマニュアルミッション搭載のツアラーVとグランデだけが特需相場を確立しています。

フェラーリにも負けないボディスタイルにドッカンターボで直線番長な走り「三菱GTO(1990〜2001年)」

フェラーリにも負けないボディスタイルにドッカンターボで直線番長な走り「三菱GTO(1990〜2001年)」

どう見ても日本よりアメリカで人気がありそうなことは新車時からわかっていた車種ですが、フェラーリにも負けないボディスタイルにドッカンターボで直線番長な走り、なんとも個性的でありつつ、今ならまだ安い個体なら100万円程度で見つかるという奇跡的な珍名車です。実はアメリカではダッジ・ステルスという姉妹車も売られていましたが、そういったことも含めて今後爆上がりの可能性があります。

マイナーチェンジ後の1989年式以降が高騰しそう「3代目ホンダシビック ※通称グランドシビック(1987~1991年)」

マイナーチェンジ後の1989年式以降が高騰しそう「3代目ホンダシビック ※通称グランドシビック(1987~1991年)」

JDMのベースモデルとしてアメリカで人気の高いワンダーシビック(1983~1987年)に比べると人気薄だったグランドシビックも、VTECエンジンを搭載した最初のモデルとしてマイナーチェンジ後の1989年式以降が高騰しそうです。そして現存数の少ないZCエンジン搭載の前期型も追いかけるように高騰する可能性があります。

世界的に見てもレアな水平対向エンジン「2代目スバルレガシィ(1993~1998年)」

世界的に見てもレアな水平対向エンジン「2代目スバルレガシィ(1993~1998年)」

日本人にとって灯台もと暗しな名車のひとつ、レガシィの2代目モデル。世界的に見てもレアな水平対向エンジンを搭載するのはポルシェとスバルくらいですが、この年代にフツーのセダンが2Lエンジンで280psを発揮しているのは、実は凄いことなのです。セダンとツーリングワゴンが選べることや、今ではクラシカルなスタイルと、これからジワジワと良さが滲み出るお年頃です。

※記事の内容は2022年3月時点の情報で制作しています。

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