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モータージャーナリスト
岡崎五朗おかざきごろう

「ホンダシビック」デザイン、走りの双方で着実に進化(岡崎五朗レポート)

「ホンダシビック」デザイン、走りの双方で着実に進化(岡崎五朗レポート)

8月発売予定の11代目となる新型ホンダシビックに岡崎五朗さんが一足早く試乗しました。路面条件の良いテストコースでの試乗だったものの、その進化ぶりはデザインだけでなく走りでも実感できたようです。

クーペ的4ドアセダンという言葉がしっくりくる

クーペ的4ドアセダンという言葉がしっくりくる1

11代目となる新型シビックの発売を目前にし、ホンダの栃木テストコースでメディア向け試乗会が開催された。当日の試乗コースは高速周回路と短いハンドリングコースのみ。どちらも整備の行き届いた平滑な路面だったので荒れた(生きた)路面での乗り心地やハンドリングのチェックは十分にはできなかったが、それでも新型シビックが秘める実力を十分に垣間見ることができた。早速試乗レポートを報告していこう。今回試乗したのは1.5Lの直4ターボエンジン搭載モデル。高性能版のタイプRやハイブリッド版のe:HEV仕様は2022年の発売を予定している。

クーペ的4ドアセダンという言葉がしっくりくる2

まずはエクステリアデザイン。つり目だったヘッドライトが水平形状に近付くとともに、ロアバンパーの造形がスッキリした造形になったことでずいぶん大人っぽい顔つきになった。

クーペ的4ドアセダンという言葉がしっくりくる3

サイドビューとリアビューはそれ以上に変わった。全長×全幅×全高4550×1800×1415㎜というスリーサイズは先代より30㎜長く、幅は変わらず、5㎜低い。ホイールベースはプラス30㎜の2750㎜だ。全長とホイールベースが伸びた分、プロポーションはより伸びやかになったが、伸びやかさという観点で寸法以上に効いているのが造形の変化だ。ウェッジシェイプだったサイドプロポーションを水平基調にし、さらにリアクォーターウインドウを加えたことで「ハッチバック感」が減り、アウディA5スポーツバックのようなクーペ的4ドアセダンという説明がしっくりくる造形になった。

クーペ的4ドアセダンという言葉がしっくりくる4

リアビューも攻撃性が減り、シンプルで親しみやすくなった。日本では4ドアセダンは販売されないが、新型の5ドアならセダン派(いまや少なくなったが)にも十分受け容れられるだろう。

継続性、一貫性のなさがホンダ的?

継続性、一貫性のなさがホンダ的?

先代のデザインを「普通のシビックとしてはいささかヤンチャ過ぎだな」と思っていた僕のような人間にとって、新型のデザインはとても好感がもてるものに仕上がっている。しかし、先代のボーイズレーサー的雰囲気を気に入っていた人の目に新型は優等生的でつまらないと映るかもしれない。具体的に言えば、先々代オーナーからの乗り換えはスムースにいきそうだが、先代オーナーが求めているシビック像とはちょっと違うのでは?ということだ。まあ、こうした継続性のないところがホンダの魅力でもあるのだが、シビックのようなビッグネームに対しては、VWゴルフまで頑固でなくてもいいけれど、もう少し継続性とか一貫性を持たせてもいいのではないかと思う。

質感の高さが印象的なインテリア

質感の高さが印象的なインテリア1

質感の高さが印象的なインテリア2

質感の高さが印象的なインテリア3

インテリアは1クラス格上になったかのような質感の高さが印象的だ。なかでもダッシュボードを左右に貫く金属メッシュが横方向の拡がり感を増しつつ、高い質感と個性も同時に与えている。このメッシュの内部にはエアコンの吹き出し口が隠されていて、風向調整は突き出したスティックで行う仕組みだ。先代では汎用サイズの2DINタイプだったナビゲーションだが、新型は全車に9インチのディスプレーオーディオが装着される。多彩な機能もさることながら、インテリア全体との調和という点で専用デザインは圧倒的に優秀だ。メーターパネルは上級グレードのEXが10.2インチのフル液晶。ベーシックグレードのLXは7インチの液晶と速度計の組み合わせとなる。

激変した1.5Lターボのエンジンフィール

激変した1.5Lターボのエンジンフィール

当初発売されるのは1.5L直4ガソリンターボのみ。182ps/6000rpm、240Nm/1700〜4500rpmというスペックは、先代1.5Lターボ(182ps/6000rpm、220Nm/5000rpm)に対してトルクがわずかに増した以外大きな変化はない。しかし、実際に乗ってみるとフィーリングは激変している。まず、アクセルペダルを踏み込んだ直後の反応がビビッドになった。先代は一瞬反応の鈍い領域があった後、唐突にトルクが盛り上がった。それに対し、新型はアクセル操作と加速がきれいに比例する。ターボラグがゼロというわけではないが、ラグは短くなっているし、過給圧が十分に高まらない領域での力感が増した分、ターボが効き始める前後の加速の段付き感も減った。先代のエンジンも決して悪くはなかったが、新型は動力性能を維持しつつ、さらに扱いやすさと質感を高めることに成功している。

回転落ちの遅さが惜しいMT車

回転落ちの遅さが惜しいMT車

トランスミッションはCVTと6速MT。この時代にMTを用意してくれているのは嬉しいところだ。聞くと先代は実に2割、それもタイプRを除くノーマル系のみでMT比率が2割に達していたという。やはりシビックにはスポーツ性を求めるユーザーが多いのだなと改めて感じたわけだが、そんな人たちを十分に満足させるだけの走りを新型シビックは披露してくれた。まずはCVTだが、制御の改良によってCVTの弱点である加速時のラバーバンドフィールはもはやほとんど感じない。僕はCVT嫌いだが、この出来映えなら許容できるなと思った。ただし、諸手を挙げての賛成はできないのも事実。シフトアップ方向は電光石火だが、パドルを使ったシフトダウンの変速はCVTの保護制御が働いてちょっと鈍くなる。シフトダウンを許容する回転数も控えめだ。その点、6速MTはオーバーレブにさえ気を配れば自由自在に変速できる。ショートストローク化されてシフトはコクコクと気持ちよく決まるし、左足と左手を駆使してクルマを操る歓びは格別だ。一点だけ注文を付けるなら回転落ちが遅い。排ガス対策上の都合もあるのだろうが、このエンジンのもつ吹け上がりの速さに負けないぐらい吹け落ちが速くなれば、運転のリズムがもっとハイテンポになり楽しさは増すだろう。この時代にあえてMTを選ぶ人なら、多少発進時のクラッチミートが難しくなったとしても許容してくれるはず。エンジン特性、とくに吹け落ち側の速さに関してはMT専用の設計を与えて欲しいと思う。

しっかりしているけど滑らか

しっかりしているけど滑らか1

限定的な条件下だったが、フットワークの進化も新型シビックのトピックだと言っていいだろう。コースインする前に広場の隅っこにあった荒れた路面を走ってみると、サスペンションが滑らかに動いて気持ちよく振動を吸収してくれることがわかった。バネやダンパーをソフトにしたのではなく、ガッチリしたボディとフリクションを落としたサスペンションのコンビネーションが、「しっかりしているけど滑らか」という質の高い乗り味を生みだしているようだ。その他、優れた高速直進安定性や、わずかにステアリングを切ったときの正確かつ滑らかな反応、コーナリング時にステアリングを通して掌に伝わってくるリアルな手応えなど、安心感と楽しさを高い次元で両立する要素が新型シビックには満載されている。

しっかりしているけど滑らか2

デザイン、走りの双方で着実に進化してきた新型シビック。来年追加予定のタイプRやハイブリッドも気になるところだが、価格と走りの楽しさのちょうどいい落としどころとして、1.5Lターボモデルは要注目だ。

(写真:ホンダ)

※記事の内容は2021年8月時点の情報で制作しています。

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