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「ホンダe」上質で妥協知らずなEV、これほどラクで楽しいコンパクトカーは他にない(岡崎五朗レポート)

「ホンダe」上質で妥協知らずなEV、これほどラクで楽しいコンパクトカーは他にない(岡崎五朗レポート)

ホンダが送り出した電気自動車(EV)のホンダeに岡崎五朗さんがさっそく試乗しました。500万円近い価格、リーフにかなわない航続距離、そんなスペックだけでは語れない魅力がホンダeにはたくさん詰まっているようです。

価格や航続距離で語れないクルマ

価格や航続距離で語れないクルマ1

ホンダeの魅力はスペックでは語れない。それどころか、スペックを語り始めるとホンダeはライバルに太刀打ちできないのが現実だ。価格はベースモデルが451万円で、装備とモーター出力を強化したアドバンスが495万円。バッテリー容量は35.5kWh、航続距離(WLTCモード)はベースモデルが283km、アドバンスが259kmとなる。アドバンスはベースモデルより車両重量が30kg重く、かつグリップの高い(転がり抵抗の大きい)タイヤを履いていることが航続距離の違いに結びついている。

価格や航続距離で語れないクルマ2

そんなホンダeのライバルとなるのが日産リーフだ。本音を言えばホンダeとリーフはコンセプトがまったく違うためライバルと呼ぶのにはためらいを感じる。が、ほぼ同価格帯の国産EVという意味では比較するのに都合がいい。

リーフの価格はバッテリー容量40kWhタイプが332万6400円〜418万9900円。62Kwhタイプが441万1000円〜499万8400円。航続距離は前者が322km、後者が458kmとなる。ホンダeと価格的が近いのは62kWhタイプだが、そうなると航続距離はリーフの圧勝。価格に対する航続距離で選ぶならホンダeに勝ち目はない。さらに言えば、室内スペースもひとまわり大きいボディをもつリーフが勝っている。

日産リーフにはない魅力

日産リーフにはない魅力1

しかし、スペックだけで優劣が決まらないのがクルマのおもしろいところ。僕がより強く魅力を感じたのはホンダeだ。たしかにホンダeは航続距離が短いし値段も高い。しかし、親しみやすさとクールさと未来感を巧みに組み合わせたデザインはとても魅力的だし、5枚の液晶パネルをズラリと並べた先進的なコックピットや、それを利用したインフォテインメントもユニークそのもの。

日産リーフにはない魅力2

日産リーフにはない魅力3

日産リーフにはない魅力4
対するリーフのインテリアは、高価な大容量バッテリー搭載にコストを使い切ってしまったため軽自動車よりも殺風景になってしまった。冒頭でコンセプトが違うと書いたのはこのことで、長距離走れるEVを可能な限り安く提供するのがリーフの狙いであるのに対し、ホンダeの狙いは「街中ベスト」。街中メインなら大容量バッテリーは要らなくなり、その分のコストを他の領域に回すことができるというわけだ。

200万円台でハイブリッドが買える日本ならではのEV

200万円台でハイブリッドが買える日本ならではのEV1

もちろん、その論法でいけばリーフにホンダeと同じレベルのバッテリーを積めば300万円を切ることも可能だろう。ならばなぜホンダは未来的なコックピットやリアモーターリア駆動(これによって最小回転半径4.3mという驚異的な小回り性能を実現)という凝りに凝ったレイアウト、素敵なインテリア、デジタルサイドミラーといった部分にわざわざコストをかけてきたのか? これは僕の想像だが、たとえ300万円を切るようなEVを投入しても日本ではほとんど売れないと思うのだ。なぜなら200万円台で優秀なハイブリッドが買えるから。

200万円台でハイブリッドが買える日本ならではのEV2

であるなら、EVのもつ先進性を積極的にアピールすることによって、家にもう一台クルマがあるような富裕層向けセカンドカーという位置づけを与えるのが得策だとホンダは判断したのではないだろうか。レジェンドでもBMWでもメルセデスでもいいが、そういうクルマをもっているような人たちのお眼鏡にかなう質感と個性を備えたコンパクトカーは案外少ない。ホンダはホンダeでそこを突きたかったのだと思う。

これほどラクで楽しいコンパクトカーは他にない

これほどラクで楽しいコンパクトカーは他にない1

事実、ホンダeはとても上質なクルマに仕上がっている。テスラのような獰猛な加速はしないものの、電気モーターならではのスムースで力強く静かな走りはコンパクトカー離れした上質感を生みだしているし、乗り心地やハンドリング性能にも妥協の形跡は一切ない。乗っていてこれほどラクで楽しいコンパクトカーはちょっと他にはないだろうと思ったほどだ。

これほどラクで楽しいコンパクトカーは他にない2

もちろん、長距離ドライブに出掛けるにはしっかりした充電計画を立てる必要があるが、少なくとも片道100km程度のドライブなら継ぎ足し充電を必要としないだけの電力量はもっているし、このサイズのコンパクトカーでロングドライブをする人はほとんどいないだろう。狙ったのはあくまで街中ベスト、長距離ドライブをするなら、家にあるもう一台のクルマを使ってくださいという割り切りだ。

年間1000台、小さく生んで大きく育てる

年間1000台、小さく生んで大きく育てる

ここまで読んで、なぜホンダが航続距離の短い小さなEVに500万円近くの値段を付けてきたかがおわかりいただけたのではないだろうか。理解はしたけどそんなクルマ誰が買うの? と感じるのは自然なことで、当然ながら買う人は限られる。

そして、そのことを誰よりも理解しているのは当のホンダで、国内での販売予定台数は年間わずか1000台。ホンダ規模のメーカーにとってはモニター販売程度の台数だ。売る気がないという批判も聞こえてくるが、それはその通りで、ホンダもこのクルマを大量に販売して利益を出そうとは思っていない。小さく産んで大きく育てるという戦略、言い換えれば来たるべきEV時代に向け、EVにまつわるさまざまなノウハウを収集するためのクルマという意味合いが強そうだ。

LINEクルマの買い方診断

※記事の内容は2020年10月時点の情報で制作しています。

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