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島崎七生人しまざきなおと

「マツダ3ファストバック15S/6速MT」爽快な走り、ヒシヒシと感じるクルマとの一体感(島崎七生人レポート)

「マツダ3ファストバック15S/6速MT」爽快な走り、ヒシヒシと感じるクルマとの一体感(島崎七生人レポート)
「マツダ3ファストバック15S/6速MT」爽快な走り、ヒシヒシと感じるクルマとの一体感(島崎七生人レポート)

流麗なスタイルや画期的な新エンジン・スカイアクティブXなどで話題を集めたマツダ3は、今どき珍しくマニュアルトランスミッション(MT)車もラインナップしています。今回はその中でも最もベーシックな1.5Lエンジンの6速MTモデルに島崎七生人さんが試乗しました。

手漕ぎ、それは40年前に初めて聞いた言葉

手漕ぎ、それは40年前に初めて聞いた言葉

手漕ぎ!? まだ「カーセンサー」誌創刊前の1980年代初頭、大学を卒業し編集制作会社に拾ってもらった社会人1年生の僕の最初の仕事は、とある中古車雑誌の取材だった。その頃は今のようなネットのしくみはないから、タマ(中古車)の生の情報は足で稼ぐしかなかった。僕も重たいキヤノンNew F-1モータードライブ付き+24mmFDレンズ(狭い展示場でギチギチに詰めて並べられたクルマでも、広角レンズなら動かさずにそのままキリヌキで使える外観写真が撮れた。ちなみにフィルムはコダックのTRI-X)を首から下げて、関東近郊や、時には地方の中古車店回りをしていた。そんな折、もうどこでだったかは忘れたが(多分、首都圏から少し離れたエリアだったと思う)、記事のネタ探しを兼ねて訪ねた中古車店の店主から、マニュアルトランスミッション車のことを“手漕ぎ”と呼ぶのだという話を聞いたのだった。

まさにボートのオールを漕ぐイメージ。なるほど実に感覚的で上手いことを言うなぁ、と思った。フルシンクロメッシュだとかショートストロークだとか、一応、マニアックで専門的な話が始まっても不足なく相手ができるよう心構えはしていたから、なおさらその肩のチカラの抜けた呼び名が耳に斬新だった。おそらくネタとして“マニュアル車の人気車種”の話を聞きにいったのだと思うが、以来、自分では記事に1度も使ったことはなかったけれど、今でも、何かの拍子にそのオヤジサンが言った“手漕ぎ”という言葉が脳裏に浮かぶことがある。

パワフルさやスピードを求めていない、しかしそれが魅力

パワフルさやスピードを求めていない、しかしそれが魅力1

ここでやっとマツダ3の6速MT車の話に移る。なんといってもこのクルマの魅力は、ほどよい(=手の内に収まる)性能を気持ちよく乗りこなせる点にある。「15S」の6速MTの車重は1320kgと、どのグレードのファストバックよりも軽い。このことが決め手となり実際に試乗してみると、とにかく“爽快”な走りを示してくれることがわかった。

パワフルさやスピードを求めていない、しかしそれが魅力2

搭載エンジンは1.5Lの4気筒DOHC(111ps/14.9kgf・m)というもので、これに6速のマニュアルトランスミッションの組み合わせ。誤解を恐れずに言えば、決してパワフルさ、スピードを求めたパワートレインではない。が、そこが魅力でもあり、丁寧にアクセルペダルを踏み込んで走らせてみると、その通りに自然に加速してくれるのがいい。この素直な反応こそマツダ3ファストバック15S・6速MT車の価値だ。

“クルマとの一体感”をヒシヒシと感じる

“クルマとの一体感”をヒシヒシと感じる1

なお運転中、必要に応じてスピードメーターの盤面の下の方に、推奨ギヤとシフトアップ&ダウンのタイミングがデジタル表示されるが、意外やこの表示が効率優先だけかと思いきやさにあらず。改めて推奨どおりのシフトチェンジを実践してみると、実にスムースで気持ちのいいドライブが楽しめた。

“クルマとの一体感”をヒシヒシと感じる2

ちなみにシフト自体も、適度な質量感のあるノブ、しっとりとした感触で各段が選べるフィール、前後左右とも程良くこぢんまりとしたストロークなどがバランスして、ロードスターにもいささかも劣らない上質な操作感をもっている。同様にクラッチペダルも、クラッチを切る/繋ぐの操作がラクに行えるような踏力、反力、ストロークだ。こうした“しつらえ”の良さもあって、マニュアル車の醍醐味である“クルマとの一体感”をヒシヒシと感じながらのドライブが実現されている。

スピードが乗るとスムースで安定感のある乗り心地だが……

スピードが乗るとスムースで安定感のある乗り心地だが……

標準装着のタイヤもシリーズでは唯一の205/60R16 92Vサイズ(試乗車の装着銘柄はヨコハマBluEarth-GT・MA)。さすがに18インチに較べ足の軽さは実感できる。ただし今どき60だから……といっても指定空気圧は250kPaと高く、試乗車自体がまだ3000kmに満たない個体で各部の馴染みが出るのはこれから……の雰囲気もあり、想像していた(期待していた)ほど、タイヤのたわみ分を使った乗り味の良さを実感するには至らず、ごく低速で、路面が荒れていたりした場合に、足が引き締まって感じるくらい……そんな印象もあった。とはいえスピードが乗るとスムースで安定感のある乗り心地が味わえることも付記しておこう。

加・減速もコーナリングもまったくもってスムース

加・減速もコーナリングもまったくもってスムース1

リモートでのインタビューなどが増え、仕事部屋の背景を整える必要が生じ(笑)、マツダ3でイケアではなくニトリに小振りの組立式シェルフの調達にも出かけた。そのときの梱包(サイズ:幅68.5×奥行き29.0×高さ15.7cm)を載せた状態はご覧の通り、もちろん難なく積み込めた。

加・減速もコーナリングもまったくもってスムース2

また我が家のお約束(!)で、テスターの愛犬・ハル(オスの柴犬・6歳)にも試乗させてみたが、前述のようなクルマ推奨のシフトチェンジで走らせていれば加・減速はまったくもってスムースで、さらにマツダ車ではお馴染みのG−ベクタリングコントロールプラス(GVC Plus)の効果も手伝い、走行中に不快な前後左右のGに見舞われず乗っていられるらしく、試乗中もかなり平然とした表情だった。

加・減速もコーナリングもまったくもってスムース3

実用面では、エアコンはマニュアル式が標準でそのことはまったく構わないのだが、操作パネル部に並ぶのは物理ボタン&ダイヤルのみ。温度設定の表示がないことがやや不便に思えた。

 “乗っている” AT車、“走らせている” MT車

 “乗っている” AT車、“走らせている” MT車1

 “乗っている” AT車、“走らせている” MT車2

 “乗っている” AT車、“走らせている” MT車3

マツダ3は欧州Cセグメントの実用車の王道をいくクラスのモデルだ。持て余さないボディサイズ、(後部ドアの開口部はやや小さいが)4ドアであることの実用性、乗り出しで220万円台からというリーズナブルな価格設定、そしてプレーンだが独創的なクーペのようなスタイルなど、多くの魅力を満載するクルマであることは間違いない。もちろん今のクルマ選びの主流はAT車だろうが、AT車が“乗っている”感覚なのに対し、MT車はやはり、自分で“走らせている”感覚であるところが違うということを改めてお伝えしておきたい。

(写真:島崎七生人)

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※記事の内容は2021年3月時点の情報で制作しています。

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