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萩原文博はぎはらふみひろ

「日産エルグランド」見た目はカッコ良くなったが2列目の快適性には改善の余地あり!

「日産エルグランド」見た目はカッコ良くなったが2列目の快適性には改善の余地あり!
「日産エルグランド」見た目はカッコ良くなったが2列目の快適性には改善の余地あり!

高級ミニバンの元祖、日産エルグランドが2度目のマイナーチェンジを受けました。ライバルのトヨタアルファード/ヴェルファイアには販売台数で大きな差を付けられていますが、今回のマイナーチェンジでどこまで巻き返せるのでしょうか。萩原文博さんの試乗レポートをお届けしましょう。

 

アルファードの販売台数は26倍

アルファードの販売台数は26倍

2020年10月の新車販売台数を見てみると、トヨタアルファードが1万93台。そして日産エルグランドは387台となっていて、販売台数は約26倍という圧倒的な差が付いています。この差を少しでも詰めるために、日産のフラッグシップミニバンであるエルグランドは2020年10月12日にマイナーチェンジを行いました。

3代目にあたる現行型エルグランドは2010年8月に登場。クルマの基礎にあたるプラットフォームを一新し、駆動方式は従来のFR(後輪駆動)からライバルであるアルファード/ヴェルファイアと同じFF(前輪駆動)に変更しました。駆動方式変更の恩恵によって床面が低くなり、車内空間を拡大しつつも全高を低く抑えることで低重心化を図り、走りも乗り心地も大幅に向上しました。

裏目に出た低重心化、異例のビッグマイナーチェンジ

裏目に出た低重心化、異例のビッグマイナーチェンジ

しかし、全高を低くしたことにより、従来モデルの特徴だった圧倒的な存在感がスポイルされただけでなく、トランクにゴルフバッグが積めなくなるという致命的なデメリットが生じたこともあって、アルファード/ヴェルファイアに圧倒的なリードを許すことになったのです。

巻き返しを図るため、2014年1月にエルグランドはビッグマイナーチェンジを行います。クロームメッキを使用した大型フロントグリルの採用をはじめとした内外装の変更をはじめ、安全性能の向上、ダイヤ型キルティングを施した本革シートの採用などで、特別感と高級感を演出しました。

ゴルフバッグは詰めるようになったものの

この時のマイナーチェンジが“ビッグ”となっている所以は、通常のマイナーチェンジでは行わない、プラットフォームにまで手を加えていたからです。ゴルフバッグを縦に入れられるようにラゲッジルームの床面の高さを低くし、3列シートに前方向240mmのスライド機能を追加することで、3列シートに人が座っていても荷室長を確保しました。涙ぐましい努力で利便性は向上したものの、人気の差を埋めることができなかったのは冒頭で説明した通り。

再び内外装をブラッシュアップ

再び内外装をブラッシュアップ

今回のマイナーチェンジでは、内外装のデザインを再び一新。外装では、繊細な作り込みで迫力をアップさせたフロントグリルを採用し、漆黒のグリルやフォグフィニッシャーなどの専用装備を備えたアーバンクロムシリーズを設定しました。

インテリアはセンターパネルに10インチの大型ディスプレイを配置し、その周りをピアノブラックで仕上げてプレミアム感を演出しています。プレミアムシートはダイヤモンドステッチから連続したキルティングパターンへと変更しています。

運転支援システムは大いに進化

今回のマイナーチェンジの最大のポイントは、全方向から運転をサポートする360°セーフティアシストを全車標準装備して、安全性能を向上させたことです。今回採用された運転支援システムは、前方を走行する2 台前の車両を検知し、急な減速などにより、自車の回避操作が必要と判断した場合には、警報によってドライバーに注意を促す「インテリジェントFCW(前方衝突予測警報)」、走行中に隣接レーンの後側方を走行する接近車両との接触を回避するようステアリング操作を支援する「インテリジェントBSI(後側方衝突防止支援システム)」、BSW(後側方車両検知警報)、RCTA(後退時車両検知警報)など実に盛り沢山です。この部分ではアルファード/ヴェルファイアと同等以上の内容となりました。

2トーンカラーのボディで低重心をむしろ強調

2トーンカラーのボディで低重心をむしろ強調1

今回試乗したのは売れ筋の最高出力170ps、最大トルク245Nmをレギュラーガソリンで発生する2.5L直列4気筒エンジンを搭載した「250ハイウェイスタープレミアム アーバンクロム」。車両本体価格465万8500円です。

マイナーチェンジで追加された新色ディープクリムゾンにルーフはミッドナイトブラックの2トーンカラーボディは新デザインとなったフロントグリルとの相乗効果で迫力がアップしています。ルーフがブラックに塗られているため、より低重心に見えるのも特徴と言えるでしょう。

2トーンカラーのボディで低重心をむしろ強調2

乗り込んでみると、10インチへと拡大されたセンターディスプレイの視認性と操作性が向上しています。キルティングが変更された本革シートの抜群の肌触りと質感の高さは、さすがフラッグシップモデル!という高級感が漂っています。

2.5Lでも走りに不満なし、コーナリングの安定感は変わらぬ美点

2.5Lでも走りに不満なし、コーナリングの安定感は変わらぬ美点

試乗した「250ハイウェイスタープレミアム アーバンクロム」の車両重量は1950kgもありますが、最高出力170psを発生する2.5L直4エンジンでも全く不満な点はありません。信号待ちからの発進加速も非常にスムーズですし、高速道路での追い越し加速もアクセルペダルの操作に素早く反応して、ストレスなく終えることができます。

カーブなどでハンドルを切った時でも、ご自慢の低重心を活かして、ロールと呼ばれるクルマの傾きをかなり控えめにしているのはエルグランドの変わらぬ美点でしょう。

スムーズになったクルーズコントロール

スムーズになったクルーズコントロール

試乗では高速道路を走行しましたので、マイナーチェンジ時の目玉の運転支援システムをテストしました。単眼カメラに加えて、ミリ波レーダーを搭載したことで、インテリジェントクルーズコントロールを作動させた際の追従走行時におけるブレーキの掛け方がよりスムーズになりました。これまではいかにも機械的な操作感がありましたが、スッとブレーキを抜いての操作は人間が操作している感覚に近づいています。

豪華な2列目の快適性には意外な落とし穴が

豪華な2列目の快適性には意外な落とし穴が1

豪華な2列目の快適性には意外な落とし穴が2

豪華なシート、フラットな乗り心地で運転席・助手席はまさにファーストクラス感覚ですが、少々残念だったのは意外にもセカンドシートの乗り心地です。床面とシートの座面部分がビリビリと常に振動し、これでは最も快適であるはずのセカンドシートがエコノミーシートのようではありませんか。

豪華な2列目の快適性には意外な落とし穴が3

豪華な2列目の快適性には意外な落とし穴が4

豪華な2列目の快適性には意外な落とし穴が5

フロアも含めたボディ剛性が足らないのでしょう。この点ではアルファード/ヴェルファイアも実は褒められたレベルではありません。このクラスのミニバンは開口部の大きなスライドドアによって、ボディ剛性的に厳しいのは確かですが、もう少しなんとかしてほしいところです。

豪華な2列目の快適性には意外な落とし穴が6

新型エルグランドはせっかく見た目がカッコ良くなったのですから、全席がファーストクラスの快適さを追求して、国産フラッグシップミニバンのパイオニアのプライドを見せてもらいたいところです。

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※記事の内容は2020年12月時点の情報で制作しています。

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