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「日産ノート オーラ」小さな高級車は目の肥えた50代への贈りモノ(岡崎五朗レポート)

「日産ノート オーラ」小さな高級車は目の肥えた50代への贈りモノ(岡崎五朗レポート)
「日産ノート オーラ」小さな高級車は目の肥えた50代への贈りモノ(岡崎五朗レポート)

この記事は、 5 分で読めます。

日産ノートの上級版として登場したノート オーラ。小さな高級車は売れないというこれまでの自動車業界のジンクスを覆すことができるのでしょうか。ターゲットユーザーは子育てを終えた50代の目の肥えたクルマ好き、自らもその一人である岡崎五朗さんがリポートします。

高級なクルマが欲しければ大きなボディがついてくる

高級なクルマが欲しければ大きなボディがついてくる

クルマという商品は大きければ大きいほど高級で値段も張るのが常識だ。トヨタを例に挙げれば、いちばん小さいパッソがいちばん安く、いちばん大きいセンチュリーがいちばん高い。メルセデス・ベンツもそうだ。いちばん安いのはいちばん小さいAクラスで、いちばん高いのはいちばん大きいSクラス。そしてSクラスよりさらに高級で高いロールス・ロイス・ファントムはさらに大きなボディをもっている。

裏を返せば、高級なクルマが欲しければ自動的に大きなボディが付いてきてしまうということ。そんなに大きくなくてもいいから質の高いクルマが欲しいんだよね、と考える人にとってクルマ選びの選択肢は案外少ない。

「小さな高級車」は名車なれど商業的には……

「小さな高級車」は名車なれど商業的には……

ノート オーラが狙ったのはまさにそこだ。ベースとなったノートに対してざっと40万円高いが、ボディの3ナンバーサイズ化(全幅1,695㎜→1,735㎜)やパワーアップ(116ps→136ps)、インテリアのグレードアップなど、様々な手法でプレミアム化を図っている。261万円〜という価格設定を見れば、ライバルはもはや国産車ではなく、ポロに代表される輸入コンパクトと見ていいだろう。

そこで問われるのが、「小さな高級車」をどれほどの人が欲しがっているのかという点だ。古くは英国のバンデンプラ・プリンセスやフランスのルノー・サンク・バカラなど、いくつかのチャレンジがあった。しかし現実は厳しく、クルママニアの間では名車扱いされているものの商業的には決して成功作とは言えなかった。

「自分事」として捉えることができた初めての日本車

「自分事」として捉えることができた初めての日本車1

そんな難しいテーマにあえてチャレンジしてきたのがオーラだ。日産の開発者に尋ねると、難しいチャレンジであることは認めつつ、最近ユーザーの間に生まれてきたある変化を教えてくれた。50代以上の世代に「自分たちが乗るクルマがない」と言っている人が増えているというのだ。子育てが終わればもう大きいクルマは要らない。けれどそれなりにいいクルマに乗ってきた彼らは舌が肥えているため既存のコンパクトカーでは満足できない。そういう人たちを狙ったのがオーラというわけだ。

「自分事」として捉えることができた初めての日本車2

僕自身、子育てを終えた50代としてその話はとても納得できる。ヤリスもフィットも素晴らしいクルマだと思うが、自分で買うにはちょっと物足りない。しかしオーラは見ても乗っても「自分事」として捉えることができた。こんな日本車は初めてだ。

ドレスアップしてそれなりの場所に乗り付けても違和感はない

ドレスアップしてそれなりの場所に乗り付けても違和感はない1

ドレスアップしてそれなりの場所に乗り付けても違和感はない2

ドレスアップしてそれなりの場所に乗り付けても違和感はない3

ノートのクリーンなデザインも悪くないが、車幅を片側20㎜ずつ拡大したオーラのエクステリアデザインには明らかに上質感と存在感がある。とくにリアフェンダーまわりの印象は結構違っていて、実車で見比べたら「たったの片側20㎜でこんなに違うのか?!」と感じるはずだ。大型液晶ディスプレイや、ツイードとウッド調パネルを贅沢に使ったインテリアも素敵だ。これなら大人がドレスアップしてそれなりの場所に乗り付けても違和感はない。

静かさ、スムースさ、力強さ。プレミアムカーの三拍子が揃っている

静かさ、スムースさ、力強さ。プレミアムカーの三拍子が揃っている1

走り出すと、まず驚かされるのが静粛性の高さだ。オーラはノートと同じく発電専用の1.5L気筒エンジンを搭載し、その電力によってモーターを駆動して走るシリーズハイブリッド(日産はこれをe-POWERと呼んでいる)車。加速状況やバッテリー状況を見ながら常にエンジンを始動したり止めたりしているのだが、停止、始動の制御が抜群に上手いため、うっかりするといつエンジンがかかったか気付かないほど。きつい上り坂や急加速時にはさすがにエンジンのうなり音が聞こえてくるが、それでも騒々しいと感じるレベルにはならないのがフィットのe:HEVとの違いだ。

静かさ、スムースさ、力強さ。プレミアムカーの三拍子が揃っている2

とくにオーラは遮音性の高いガラスを使うなどしてノートより静粛性を高めているから違いを感じやすい。それでいて、アクセルを踏み込むと瞬時にスッとクルマが力強く押し出される電動駆動ならではの気持ちよさが味わえる。このように、オーラには静かさ、スムースさ、力強さというプレミアムカーに求められる三拍子が揃っている。

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唯一の課題は乗り心地

唯一の課題は乗り心地

唯一、課題を残しているのが乗り心地だ。ノートの15インチに対しオーラは17インチタイヤを履いているのだが、どうやらこれが悪さをしているようで、荒れた路面にさしかかるとゴツゴツした突き上げを伝えてくる。できればノート以上、少なくともノートと同等の乗り心地になれば、プレミアムコンパクトとしての魅力はより高まるだろう。

※記事の内容は2021年9月時点の情報で制作しています。

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