車の中で最もかっこいいボディタイプがオープンカーだということに異論を唱える人は多くはないでしょう。流麗なスタイルと低い着座位置、そして走りの良さが魅力のクーペをベースとしているので、そもそものかっこよさの基礎点が高い上に、太陽の光と爽快な風に包まれながら走るという気持ち良さをプラスした贅沢なボディタイプです。今回はそんなかっこいい国産オープンカーをモータージャーナリストの島崎七生人さんにさらにかっこいい順に選んでもらいました。
実用性≦楽しさ。オープンカーの魅力、かっこよさはそこにある
オープンカー。まさにかっこよさの点では申し分ないジャンルのクルマ、である。走らせていても外からクルマを眺めているだけでも味わえる非日常感覚は、やはり他のジャンルのクルマとは訳が違う。
オープンカーで走っていると、その街の空気や、気温、天候、季節が文字通り肌で感じられる。住宅街をオープンカーで流すと、食事の支度をしているらしいガーリックオイルの香ばしい匂いや魚を焼く匂いがしたり、よく晴れた日の午後なら洗濯物の柔軟剤の甘い香りが漂ってくるのがわかったり。郊外なら鳥のさえずりや木々が風にさわめく音、川の流れる音が聞こえたり。季節の花の匂いもするし、冬の入り口なら空気の匂いが変わるのも実感する。雨が降りそうなら顔にあたる湿気でそれが察知できる。筆者は2輪は不調法なので想像だが、きっとオートバイで走っているライダーは、そういう感覚を常に実感しながら走っているに違いない。その意味ではきわめて自然体だ。
セカンドカー、サードカーならともかく、オープンカー1台で果たしてやっていけるか?と考えるのも普通のことだ。確かに、あるところでは割り切りが必要になる。2座席なら当然、それ以上は乗れないし、車種にもよりけりだが、たくさんの荷物を載せたい時に場合によっては諦める必要もある。反対に乗るのはあくまでも自分ひとりというなら、コンパクトなオープンカー1台でも十分にやっていける。
実用性≦楽しさ。オープンカーの魅力、かっこよさはそこにある。そしてその楽しさは、他のジャンルのクルマとはひと味もふた味も違うものだ。事情が許すのであれば「1度、楽しんでみようか」とオープンカーを選ぶのはおすすめだ。
1位「マツダロードスター」とにかく楽しい、素のままで乗っても気持ちよくかっこいい
後世に名を残す…どころか、初代NA型以来、世界中のファンの心を掴んで離さないのが、マツダが作ったこのロードスターだ。4世代目となる現行モデルの登場は2015年のこと。〝人馬一体〟は初代からのロードスターが掲げる走りのコンセプトだが、現行モデルは990 ~1060kgと初代に遜色なしの軽量に仕上げられたボディ(初代は940kg、ハードトップ装着状態でも970kgだった)に1.5ℓのDOHC16バルブエンジンを搭載、一貫した走りの世界観は守られている。
オルガン式アクセルペダルを始め、運転姿勢にこだわるのはロードスターではなおさらだが、後方に寄せたAピラーやフードの見え方など、視界の適正化も安全でいい走りのために配慮している。夜間、ヘッドライトの照射範囲を自動で制御してくれるアダプティブLEDヘッドライトはドライバーの疲労を軽減してくれる機能のひとつ。とにかくファンというほかない、素のままで乗っても気持ちよくかっこいいライトウエイトスポーツカー。
2位「マツダロードスターRF」オープンカーとクーペの2通りのかっこよさが楽しめる
〝RF〟とは〝リトラクタブル・ファストバック〟の略。先代にも設定があったが、オープンカーとクーペの2通りのかっこよさが楽しめるところが、このクルマの最大の魅力だ。もちろん開閉操作はスイッチひとつで実行できるフル電動。作動させると後部のピラー部分がフワッと斜め後方に浮き上がり、2分割されたルーフとバックウインドが重なった状態(ウインドゥのみ反転)で隙間から格納部に沈んだ後、リヤピラーが元の状態に音もなく戻る。全工程が13秒ほどで実にスマートな所作なのが印象的。
またオープン状態は頭上は開放的にし、後部は残るスタイルなので、「フルオープンに較べてさりげない(恥ずかしくない)のがいい」の声もある。ロードスターが1.5ℓエンジンなのに対してRFは2ℓエンジンを搭載。余裕のある動力性能と、しっとりとした乗り味が特徴で大人の味わいといったところ。AT誤発進抑制制御(前進時/後退時)など安全支援機能も搭載する。
3位「ホンダS660」ある意味でのスーパーカー
〝ミッドシップ〟というと、人によっては「スーパーカーの世界の話でしょ?」と思うかも知れない。ところがS660は、それを軽自動車でかっこよく実現してしまった、ある意味でのスーパーカーだ…と思っていたら、カタログにも〝MICRO SUPER CAR S660〟のコピーが記されていた。着座位置が低くタイトなコクピットはまさに本格スポーツカーそのもの。トップは横から巻き上げて、フロントの専用スペースに格納する仕組みだ。
CVTと6速MTの用意があるが、660ccターボのキレ味のいいレスポンスや音、自然体のハンドリングなど、これでもかとスポーツカーの走りを堪能させてくれる。タイヤサイズは前後異径を採用。上級グレードのα、Modulo Xにはシートヒーターも装備。低速域衝突軽減ブレーキ、誤発進抑制機能(CVT車)も標準または設定がある。ただし2名乗車の場合は荷物をどう載せるか工夫が必要。筆者も焼き立てのピザの入った箱を助手席の家内のヒザの上に持ってもらいブーイングを出された経験がある。
4位「レクサスLCコンバーチブル」国内に敵なしの贅沢な2+2コンバーチブル
2019年のロサンゼルスショーで市販モデルを発表。2020年6月に日本市場でも正式デビューを果たしたばかり。ベースはレクサスのフラッグシップクーペ、LCだから、もうそれだけでも十分にかっこいいが、2+2の(後席は事実上は手荷物の置き場所だ)贅沢なコンバーチブルとなればかっこよさも倍増。ライバルはもはや、名だたる海外メーカーのコンバーチブルしかない…そんなクルマであろう。
静粛性に配慮した4層構造のソフトトップは、50km/h以下なら走行しながらの開閉が可能。下回りにたすき掛けのようにブレースを張り巡らせるなどして、オープンボディ化に伴う剛性の確保も万全だ。〝LC500コンバーチブル〟のグレード名が示すとおり、搭載エンジンは5ℓのV8のみの設定でこれに10速ATの組み合わせで、3.5ℓのV6ハイブリッドは省略されている。シートヒーター、ステアリングヒーター、ネックヒーターは当然備わるが、その効き加減が自動調整というのはさすが。
5位「ダイハツコペンGRスポーツ/コペン」好みに合わせて選べるかっこよさ
ダイハツが造るコペンは、2002年に初代が登場し、現在2代目には2014年に切り替わった。初代も現行モデルも駆動方式はFFを採用する。
このコペンの注目ポイントのひとつは、電動開閉式のルーフを標準装備する点。手動のソフトトップではないところがミソであり、コンパクトな軽自動車でありながら、まるで上級ラグジュアリーオープンカーのような贅沢さ、使い勝手のよさが味わえるという訳だ。
また外板に樹脂を用いた自由度の高いスタイリングも特徴で、標準仕様で、ローブ、エクスプレイ、そして丸型ヘッドランプのセロと3パターンのボディタイプを設定、好みに合わせてかっこよさが選べるようになっている。さらに現在は、トヨタGAZOOレーシングが仕立てたGRスポーツが設定され、このモデルはボディ補強や専用にチューニングされたサスペンションにより、さらに走りにこだわりたいユーザーにとって、かっこいいもう1台のコペンになっている。
ユーノスロードスターとの思い出
筆者個人のこれまでの車歴のなかで、オープンカーは1度だけ所有した経験がある。ご多分にもれず、初代NA型ユーノスロードスターがその1台だ。登場は1989年だったが、自分で注文書を書く気になったのは確か翌年のこと。どうして購入までタイムラグがあったのか?といえば、筆者が頭デッカチだったからで、最初のユーノスロードスターにはどうしても往年のロータスエランやMGのイメージが被って、唯一無二のクルマに乗りたいと思う自分の気持ちが購入を思いとどまらせていた。
が、取材で実車に触れ、試乗する機会が何度かあり、すると気持ちが一変。「オープンカーとはこんなにも楽しく気持ちのいいものなのか!」と思うようになり、すると乗っていた、クルマとしては優秀で機能的だったVWゴルフ(2型のCi・2ドアMT車だった)が少し退屈に思い始め、乗り換えに踏み切ったのだった。するとどうだろう、それからたちまちロードスターにゾッコンな状態になり、自宅近くのちょっとした買い物でも天気がよければソフトトップを降ろして(そのほうが排気音がこもらず気持ちよく聞こえた)、家から、丈のある〝葦簀(よしず)〟を買ってこいのリクエストがあれば、近所のホームセンターまで走り、助手席側に斜めに寝かして載せて帰ってきたりもした。
扱いやすく気軽にカスタマイズも可能なクルマだったから、ダンパー、スプリングを交換し、走りの味付けを変えて楽しんだりもした。ステアリングホイールは復刻版のモモ・モンツァに、ドアミラーはビタローニに付け替えた。また当時あったロードスターのスペシャルショップが作ったカーボン製ハードトップ(リヤウインドはアクリルで、純正オプションより約10kg軽量だった)のプロトタイプを装着させてもらいクーペルックも楽しんだ。とはいえ、たとえ渋滞のなかでも(真夏はさすがに話は別だが)オープンの気持ちよさといったらクローズドボディのクルマとは比べ物にならず、小野リサ、ゴンチチ、マイケル・フランクスといった癒し系の好きな音楽のCDを純正のデッキで聴きながら、運転席でフウーッと深呼吸をしたものだ。
非日常の心地良すぎるドライブに没頭させてくれるのがオープンカー
オープンカーの自己所有の経験は初代ユーノスロードスターの1台だが、もちろんこれまでに仕事の試乗で乗ったオープンモデルは多数ある。多いのはやはり輸入車で、2020年の今年はコロナ渦で試乗の機会が少なかったが、それでもベントレーコンチネンタルGT、シボレーカマロ、メルセデス・ベンツEクラス、BMW Z4などの試乗をした。半オープンカーならアバルト595Cもあった(ほかにモーガン3ホイーラー試乗のチャンスがあったが真冬で当日は体調不良だったために辞退した)。
どのクルマも乗って、走り出した瞬間に気持ちを切り替える物理スイッチがパタン!と音を立てる。すると、試乗で原稿を書かなければいけないことなど忘れ(!)、ひたすら非日常の心地良すぎるドライブに没頭させてくれるのがオープンカーだ。クルマを走らせている実感が直にあるのがオープンカーの魅力で、だからこそクルマ好きであれば夢中になる。
オープンカーに乗った記憶はその時のリアルなシーンとともに蘇ってくる
これまでに試乗で乗ったオープンカーは少なからずあるが、やはりオープンドライブは、季節や状況とともに記憶しているせいか、印象が鮮明だ。初冬の軽井沢でジープラングラーの冷気ですっかり硬くなり縮まったトップを閉めようと鰍(かじか)んだ手でトップをひっぱりホックを留めるのに大変な思いをしたり、撮影帰りにランデブー走行でアルファスパイダーを後方から追いかけ、その時の女性ドライバーの髪が風になびく様がふと見えてステキだと思ったり、ロードスター(これは自己所有車だった)で夜の海岸線を走りながら打ち寄せる波の音が聞こえてきたり…。東京・環8でスーパー7を走らせ他車の排気ガスを浴び、サイクルフェンダー越しにフロントタイヤが巻き上げる路面の砂や小石がピシピシと頬に飛んできたり、ダウンジャケットを着込んで寒風吹きすさぶ高速道路でMG RV8やポルシェボクスターを走らせたり…。
思い出せるエピソードだけでもこんな感じだが、オープンカーに乗った記憶はその時のリアルなシーンとともに蘇ってくる。オープンカーのドライブは、やはりそれほど特別なものなのだろう。
人生の潤滑剤、あるいは気持ちの解放装置。筆者はこれまでに仕事でオープンカーに乗り、それを記事にするたびに、そんな表現を使ってきたと思う。どんなタイプのクルマでも楽しみかたはそれぞれある。けれどオープンカーの場合は単純明快。屋根のあるクルマでは味わえない開放感、気持ちよさを楽しみながらクルマを走らせられることが魅力だ。
<ここからは編集部からのお知らせです>
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*調査方法:インターネット調査 調査期間:2021年2月12日~15日 調査概要:カーリース10社を対象にしたイメージ調査 調査対象:男女、全国、18~69 歳、運転免許保有、(1)(2)週1回以上運転するファイナンシャルプランナー176s、(3)カーディーラー勤務者297s 調査実施:株式会社ショッパーズアイ 比較対象企業:「カーリース」Google 検索9社(2021年1月29日10 時時点) 広告、まとめサイトなどを除く
※記事の内容は2020年12月時点の情報で制作しています。