ひと口に「ファミリーカー」といっても、最近は「ミニバン」や「SUV」「スーパーハイトワゴン」など、そのボディタイプやキャラクターはさまざまです。そんな中から“どれ”を選べば、私たちの毎日の生活はより豊かで楽しいものになるのでしょうか?最新の「ファミリーカー人気ランキング」を発表するとともに、専門家が豊富な実例を交えて解説します。
- 昔はファミリーカー=セダンだったが、現在はミニバンやSUVが主流
- 使用目的や家族構成に応じて「適切なボディタイプ」を選ぶ必要あり
- 近日発売となるモデルにも大注目のファミリーカーは多い
セダンからミニバン、SUVへ。「人気ファミリーカー」の変遷
2023年となった今でこそ「ファミリーカー」と聞けば、ほぼ自動的に中型ぐらいのミニバンやSUVなどが想起されますが、その昔、「ファミリーカー」という言葉がイメージさせる車像は、今とはまったく異なっていました。ここでは、明確な定義は実は存在してない「ファミリーカー」というモノの意味とヒストリーを、簡単に振り返ってみましょう。
「自家用車」を持つ人が増えたのは1960年代
令和の世の中は「街に車があふれかえっている」ともいえる状況ですが、ここ日本で多くの人が「自家用車」を持つようになったのは意外と最近で、概ね1960年代のことでした。
豊かだった米国と違って戦後の日本では、自家用車は「ごく一部の人だけが所有しているもの」でした。しかし1963年に日本初の都市間高速道路として名神高速道路が開通し、1964年には東京オリンピックが開催され、そして1969年に東名高速道路が全線開通すると、にわかに「マイカーブーム」が巻き起こりました。道路ができただけでなく、高度経済成長に伴って一般庶民の所得も上がったことで、「多くの人が自分の車を持てる時代」がやっと到来したのです。
そして1960年代末頃から1980年代頃までは、ファミリーカー=普通の人々が家族といっしょに用事を済ませたり、どこかへ出かけるために持つ車は、ほとんどが「4ドアセダン」でした。
4ドアセダンがファミリーカーとして好まれた理由は、ざっくり言ってしまえば「それしかなかったから」です。
「走ること」の価値が薄れ、人気は「車内が広い車」に移行
もちろん1970年代ぐらいからワンボックス車やステーションワゴン的な車種も存在していました。しかし当時のワンボックス車は、今のミニバンと違って「完全なる商用タイプ」でしたし、ステーションワゴン的な車も、「ライトバン」と呼ばれる簡素な商用タイプだったのです。
ですが1980年代の終わり頃から、多くの家族は「自家用車を持ち、それに乗ること」自体に価値を見いだすのではなく、「車に乗って出かけた先で、何か楽しい行為をすること」のほうに重きを置くようになってきました。
そうなると、室内や荷室が相対的に狭い4ドアセダンよりも、たくさんの荷物を積んで河原などまで乗っていくことができる「四駆のRV(今で言うSUVに近いもの)」がファミリーカーとしても人気を集めるようになってきます。これが1990年代前半頃です。
そしてその後は「荷物も積めて、なおかつ走行性能も高い」というステーションワゴンがブームになり、さらにその後は「走行性能よりも室内の広さのほうが大切だ!」という考えからでしょうか、ワンボックス車であるミニバンが大ブームとなりました。
直近のミニバン人気は全盛期と比べれば若干下がっていますが、それでもまだまだファミリーカーのメインストリームであり、ミニバンが若干だけ下火になった分、「セダンとワゴン車のいいとこ取り」ともいえるボディタイプとなるSUV(Sport Utility Vehicle)が、世界中のファミリーから熱烈に支持されています。また日本で独自のガラパゴス的進化を遂げた「軽スーパーハイトワゴン」や「普通車のトールワゴン」も、車を実用的に使いたいファミリー層からは大人気です。
最新の販売ランキングの上位に数多くのファミリーカーが!
それでは具体的に今この瞬間には、どんなタイプのファミリーカーがよく売れているのでしょうか?直近のデータである2023年2月の販売台数ランキングを見てみると同時に、昨年1年間のランキングもあわせてチェックしてみましょう。
■2023年(2月)乗用車販売台数ランキング(軽自動車除く)
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | ヤリス | トヨタ | 15,760 | 151.3 |
2 | カローラ | トヨタ | 14,738 | 116.6 |
3 | シエンタ | トヨタ | 11,767 | 330.9 |
4 | ノート | 日産 | 10,709 | 109.4 |
5 | ルーミー | トヨタ | 8,645 | 77 |
6 | ヴォクシー | トヨタ | 8,523 | 411.1 |
7 | ノア | トヨタ | 8,518 | 382.5 |
8 | アクア | トヨタ | 8,191 | 129.7 |
9 | ハリアー | トヨタ | 7,843 | 333.6 |
10 | プリウス | トヨタ | 7,681 | 230.9 |
11 | フリード | ホンダ | 7,071 | 97 |
12 | RAV4 | トヨタ | 6,588 | 214.5 |
13 | アルファード | トヨタ | 6,214 | 136.5 |
14 | ランドクルーザーW | トヨタ | 5,534 | 235.8 |
14 | フィット | ホンダ | 5,531 | 103.2 |
16 | ライズ | トヨタ | 5,409 | 54.6 |
17 | ソリオ | スズキ | 4,931 | 171.9 |
18 | セレナ | 日産 | 4,539 | 75.9 |
19 | ヴェゼル | ホンダ | 4,375 | 114.3 |
20 | CX-60 | マツダ | 4,375 | 22年9月発売 |
21 | クラウン | トヨタ | 3,581 | 235.9 |
22 | NX350H | レクサス | 3,559 | 763.7 |
23 | パッソ | トヨタ | 3,365 | 115.8 |
24 | ステップワゴン | ホンダ | 2,926 | 113.1 |
25 | エクストレイル | 日産 | 2,616 | 282.2 |
26 | スイフト | スズキ | 2,290 | 101 |
27 | CX-30 | マツダ | 2,215 | 103.9 |
28 | ジムニーW | スズキ | 2,207 | 132.7 |
29 | ロッキー | ダイハツ | 2,002 | 98.9 |
30 | フォレスター | SUBARU | 1,752 | 112.9 |
31 | MAZDA2 | マツダ | 1,629 | 53.2 |
32 | デリカD5 | 三菱 | 1,579 | 93.8 |
33 | インプレッサ | SUBARU | 1,488 | 152.1 |
34 | C-HR | トヨタ | 1,454 | 179.3 |
35 | MAZDA3 | マツダ | 1,380 | 74.2 |
36 | クロスビー | スズキ | 1,338 | 284.7 |
37 | シビック | ホンダ | 1,260 | 171.4 |
38 | リーフ | 日産 | 1,254 | 80.5 |
39 | トール | ダイハツ | 1,254 | 135.6 |
40 | CX-5 | マツダ | 1,209 | 33.6 |
41 | NX250 | レクサス | 1,154 | 3497 |
42 | キックス | 日産 | 1,120 | 39.2 |
43 | 86 | トヨタ | 1,062 | 110.7 |
44 | ロードスター | マツダ | 998 | 89.1 |
45 | ハイエースW | トヨタ | 927 | 160.1 |
46 | レヴォーグ | SUBARU | 894 | 431.9 |
47 | CX-8 | マツダ | 781 | 27 |
48 | カムリ | トヨタ | 751 | 149.9 |
49 | RX500H | レクサス | 732 | 22年11月発売 |
50 | UX250H | レクサス | 704 | 209.5 |
※ 上記の台数は車名別の合算値となり、一部教習車などを含みます。
※ 例:ブランド通称名 カローラはカローラシリーズ全車種と教習車を含んでいます。
ご承知のとおり世界的な半導体不足などの影響を受け、ここ最近は自動車の生産量が全般的に不安定であるため、販売台数ランキングがそのまま“人気”を表しているとは言い難い状況ではあります。
しかしそれでも“傾向”というのはなんとなく現れるものです。トヨタの兄弟車ミニバンである「ノア」と「ヴォクシー」は、合算して考えれば堂々の1位であり、5ナンバーサイズのコンパクトミニバンである「トヨタ シエンタ」も、単一ボディとしては1位としてカウントできます(1位のヤリスと2位のカローラは、さまざまなボディタイプの販売台数が合算された数字です)。完全にモデル末期といえるホンダのコンパクトミニバン「フリード」も、ホンダ車としては一番売れていますので、やはり「ミニバン人気」はまだまだ続いているようです。
そのほかでは、トヨタ ハリアーやRAV4などのSUVは相変わらず堅調で、トヨタ ルーミーやスズキ ソリオなどの「手頃な価格のトールワゴン」も、幅広い層から支持されていることが見て取れます。
■2022年(1~12月)乗用車販売台数ランキング(軽自動車除く)
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | ヤリス | トヨタ | 168,557 | 79.2 |
2 | カローラ | トヨタ | 131,548 | 118.7 |
3 | ノート | 日産 | 110,113 | 122.1 |
4 | ルーミー | トヨタ | 109,236 | 81 |
5 | ライズ | トヨタ | 83,620 | 102.1 |
6 | フリード | ホンダ | 79,525 | 114.3 |
7 | アクア | トヨタ | 72,084 | 99.4 |
8 | シエンタ | トヨタ | 68,922 | 119.2 |
9 | フィット | ホンダ | 60,271 | 102.5 |
10 | アルファード | トヨタ | 60,225 | 63.4 |
11 | ノア | トヨタ | 57,696 | 130.5 |
12 | セレナ | 日産 | 57,513 | 97.6 |
13 | ヴォクシー | トヨタ | 55,545 | 79.3 |
14 | ヴェゼル | ホンダ | 50,736 | 96.3 |
15 | ソリオ | スズキ | 41,590 | 93 |
16 | ステップワゴン | ホンダ | 37,966 | 96.7 |
17 | ランドクルーザーW | トヨタ | 35,390 | 105.7 |
18 | ハリアー | トヨタ | 34,182 | 45.8 |
19 | パッソ | トヨタ | 32,990 | 101.4 |
20 | プリウス | トヨタ | 32,675 | 66.4 |
21 | CX-5 | マツダ | 31,399 | 140 |
22 | RAV4 | トヨタ | 31,118 | 62.7 |
23 | スイフト | スズキ | 25,113 | 107.3 |
24 | フォレスター | SUBARU | 25,096 | 109.6 |
25 | MAZDA2 | マツダ | 24,429 | 99.1 |
26 | インプレッサ | SUBARU | 23,042 | 85.8 |
27 | ロッキー | ダイハツ | 22,223 | 103.9 |
28 | キックス | 日産 | 18,697 | 53.4 |
29 | エクストレイル | 日産 | 18,066 | 150.3 |
30 | ジムニーワゴン | スズキ | 17,820 | 128.2 |
31 | クラウン | トヨタ | 17,767 | 83 |
32 | アウトランダー | 三菱 | 17,662 | 713.9 |
33 | デリカD5 | 三菱 | 16,838 | 113.8 |
34 | CX-30 | マツダ | 16,176 | 83.6 |
35 | レヴォーグ | SUBARU | 14,275 | 56.1 |
36 | MAZDA3 | マツダ | 14,020 | 85.7 |
37 | 86 | トヨタ | 13,341 | 364.3 |
38 | シャトル | ホンダ | 12,941 | 94.9 |
39 | CX-8 | マツダ | 12,934 | 77.9 |
40 | リーフ | 日産 | 12,732 | 117.4 |
41 | クロスビー | スズキ | 12,315 | 99.3 |
42 | C-HR | トヨタ | 11,811 | 65.3 |
43 | トール | ダイハツ | 11,527 | 78 |
44 | レガシィ | SUBARU | 9,697 | 482 |
45 | ロードスター | マツダ | 9,578 | 177.6 |
46 | ハイエースワゴン | トヨタ | 9,175 | 107.3 |
47 | シビック | ホンダ | 8,773 | 103 |
48 | CX-3 | マツダ | 8,409 | 100 |
49 | マーチ | 日産 | 8,200 | 93 |
50 | エクリプスクロス | 三菱 | 7,693 | 86.6 |
※ 上記の台数は車名別の合算値となり、一部教習車などを含みます。例:カローラはカローラシリーズ全車種と教習車を含んでいます。
※ 前年比欄について、前年の台数がない場合や、前年比の桁数が5桁を超える場合は空白で表示しています。
昨年1年間の販売台数ランキングも、基本的には直近のデータと同じ傾向を示しています。つまり「コンパクトカーおよびコンパクトトールワゴン」と「ミニバン」「SUV」の3カテゴリーで人気を分け合っており、4ドアセダンやクーペの出る幕はない……といったニュアンスです。
そんな中でも、今年は生産量の関係で若干弱含みとなっている「日産 セレナ」や「ホンダ ステップワゴン」という2番手グループに属するミニバンも、生産が順調だった昨年の数字はまずまずでした。そして超モデル末期となったトヨタ アルファードも10位に入っていますので、「やはりミニバン強し!」ということになるのでしょう。
そのほかでは、SUVやミニバンの中でも特に悪路に強い「スバル フォレスター」や「三菱 デリカD:5がそれなりの位置に入ってきているということは、アウトドア派のファミリーの車購入意欲も依然として旺盛であることを意味しています。また3列のシートを備えたSUVである「マツダ CX-8」も、なかなかシブい位置をキープ。「3列シートは必要だけど、ミニバンはあまり好きではない」と考えているユーザーのニーズを、上手にひろっているようです。
ファミリーカーの4つのカテゴリ
それでは以下、「おすすめのファミリーカー」を具体的に見てまいりましょう。とはいえ、乗用車といえばコンパクトな4ドアセダンしかおもにはなかった昭和の時代と違い、現在は3列シートの7人乗りミニバンから、ボディは小さいけど、後席は普通車以上に広い軽スーパーハイトワゴンなど、さまざまな「ファミリーカー候補」が存在しています。
そのため、「ファミリーカー」という大ざっぱなひと言だけで物事をくくり、検討したとしても、結局はなんのマトモな答えなどひとつも導き出されない結果になるでしょう。
そこでここでは、一般的にファミリーカーとくくられているモデル群を「お買い物&送迎用」「万能系」 「旅する系」「アウトドア系」という4つのカテゴリーに分け、「それぞれのカテゴリーにおけるベストバイ」を探ってみることにします。
複数台を所有する家族におすすめの「お買い物&送迎用ファミリーカー」
「それ1台」で考えるなら、車内の広さや動力性能などの点で不足を感じる可能性もありますが、「ほかの車と同時に所有するお買い物&送迎用スペシャル」として考えるなら、経済的で小回りが利く軽スーパーハイトワゴンや軽トールワゴンこそが、「ある意味ベストなファミリーカー」ということになるでしょう。
第1位 ダイハツ「タント」
軽スーパーハイトワゴンの中では走りの安定感はNo.1!
ダイハツが作っている軽スーパーハイトワゴンです。背が高く、リアにスライドドアを採用している軽スーパーハイトワゴンとしてはホンダ N-BOXが一番人気であり、実際N-BOXもかなりいい車なのですが、「走行安定性」という部分では、DNGAという新世代の骨格を採用しているダイハツ タントのほうが若干上と感じられます。どうしても不安定になりやすい「背の高い軽自動車」だからこそ、走行安定性は重視したいところなのです。
そしてもちろんダイハツ タントは、左側側面中央の柱がない「ミラクルオープンドア」であるという点も、お買い物および送迎などの際にはかなりの威力を発揮することでしょう。
エンジンはターボ付きとノンターボがありますが、近場のお買い物&送迎スペシャルとして使うのであれば、比較的安価に購入できるノンターボエンジン車で十分です。またデザインも――人それぞれかもしれませんが――ちょっとワルな「カスタム」や「ファンクロス」よりも、シンプルな標準車が、普段使いをする上ではベストであるように思います。
第2位 ホンダ 「N-BOX」
日本で一番売れてる車なだけはある使い勝手の良さ
登録車(いわゆる普通車)を含めた上で「 今、日本で一番売れてる車」がコレ、ホンダの軽スーパーハイトワゴンです。
さすがは売れてるだけのことはあり、内外装デザインのセンスは良好ですし、各部の細かな使い勝手もピカイチといえます。軽自動車ではなかなか採用されることがない「電子制御パーキングブレーキ」がついていますので、「オートブレーキホールド機能」を日常生活の中で活かすことができます。これは、ざっくりいうと「ブレーキペダルから足を離しても、ブレーキが利いたままになる仕組み」で、コイン駐車場のチケットを受け取る際などは、これがあるとかなり便利です。
そして走行安定性も、ダイハツ タントに微差で負けているように個人的には思えますが、あくまで微差です。ホンダ N-BOXも、背が高い軽自動車でありながら、普通に安定した走りが可能です。
第3位 ダイハツ「ムーヴ キャンバス」
程良い背の高さ+スライドドアという新発明
かなり背が高い「軽スーパーハイトワゴン」は便利な乗り物ですが、中には「あそこまでの背の高さはいらない」と感じる人も多いでしょう。そしてそう感じる人も、「でもスライドドアは絶対にあったほうがいい」とは思っているかもしれません。
ダイハツ ムーヴ キャンバスは、そのような「ほどほどの背の高さでありながら、でもスライドドアはついている車がいい」と考える人には最適な1台です。
全長は、一般的な軽スーパーハイトワゴンより15cmほど低いけど、まあまあ高いとはいえる1,655mm。そこに、便利な両側スライドドアが組み合わされています。また「置きラクボックス」という、車内の床には置きたくない食料品などの荷物をサッと収容することができるボックスが、後席の下に用意されているというのもダイハツ ムーヴ キャンバスの特徴。お買い物の際には何かとかなり便利な仕組みです。
2代目(現行モデル)からターボ付きエンジンが追加されましたが、お買い物&送迎を中心とする使い方であれば、お手頃なノンターボエンジン搭載グレードで十分以上です。
第4位 スズキ「ハスラー」
アウトドアでの汚れに強い車は、普段の汚れにも強い!
スズキ ハスラーは、クロスオーバータイプの軽SUV。本来は「アウトドアでガンガン遊びたい!」的なニーズを満たすのに向いている車ですが、実はお買い物&送迎スペシャルにも結構向いている軽自動車です。
アウトドアで遊ぶと、泥などで汚れた道具類を積み込むことになる荷室やリアシートの背面はどうしても汚れてしまうわけですが、スズキ ハスラーの荷室とリアシート背面、そしてラゲッジアンダートレーは、汚れてもすぐ拭き取れるような素材でできています。
そしてハスラーの「汚れに対する強さ」は、普段の生活においても実は効果的なわけです。皆様ご存じのとおり、普通に買い物や送迎などをしているだけで、車内にはいろいろなモノがこぼれたりするため、結構汚れてしまうものです。しかしハスラーであれば、例えば荷室に長ネギの露が垂れてしまったとしても嫌なニオイが染み付くことがなく、ササッと拭き取ってしまえるのです。
そしてスズキ ハスラーは内外装デザインも「明るく楽しい感じ」ですので、これを普段使いすれば、きっと毎日の買い物や送迎も楽しい気分で行えるでしょう。
第5位 ホンダ「N-WGN」
走行性能の高さが、毎日の“安全な運行”につながる
お子様の年齢によっては「ウチはスライドドアの車じゃないと困る」ということもあるかもしれません。しかし、もしも「ウチはスライドドアではなくヒンジ式ドアでもOK」という場合は、軽スーパーハイトワゴンほどには背が高くない軽トールワゴンである「ホンダ N-WGN」が、かなり有効なお買い物&送迎スペシャルになるはずです。
ホンダ N-WGNは、とにかく「走りのフィーリングと安定性」に優れる軽自動車です。この種の軽自動車で走りウンヌンを重視するのはナンセンスに聞こえるかもしれませんが、毎日の用事に使う車だからこそ、安定性に優れる車のほうが「安全に、事故なく乗れる」という可能性が高まります。若干疲れているときや雨が降っている日などでも、ホンダ N-WGNであればストレスのない安全運転が可能になるでしょう。
そしてお買い物スペシャルとしての特性を考えた場合でも、「上下に仕切って使うことができる」というこの車の荷室は、ピカイチのレベルで便利です。
これ1台ですべての用事をこなせる「万能ファミリーカー」
先程ご紹介した軽スーパーハイトワゴンや軽トールワゴンは、セカンドカーとして使う分にはなんら不足はありませんが、「それ1台」ですべての用を足すには、いろいろと無理もあります。とはいえ複数台所有が難しい場合には「それ1台」ですべての用が足せる万能な車が必要となるわけですが、そんな都合の良い“万能ファミリーカー”って本当にあるのでしょうか?以下、見てみることにしましょう。
第1位 トヨタ「ノア(またはヴォクシー)」
これぞ現代の万能CAR。リセール価格も高いかも?
「これ1台ですべての用事を足せるようにしたい」と考える場合は、5ナンバー枠を少し超えるぐらいのサイズの「ミニバン」がベストでしょう。
3列のシートを備えていますので、たまに多人数を乗せる必要があるときも対応可能ですし、普段は3列目シートをたたんでおくようにすれば、荷室を広く使うことができます。そしてひと昔前あるいはふた昔前のワンボックス車は「走行フィールがあまりにも悪い」という状態でしたが、近年のミニバンは走りも普通に上々で、ハイブリッド車であれば燃費もまずまず良好です。
「5ナンバー枠を少し超えるぐらいのサイズのミニバン」にはさまざまなモデルが存在しますが、使い勝手の良さと燃費、そして数年後のリセール価格までを考えるとしたら、なんだかんだでトヨタの大人気車である「ノア」または「ヴォクシー」がベストでしょう。普通に満足できる走りと、抜群の使い勝手を日々の生活に活かすことができ、おそらくはリセール価格も良好なはず。
車両価格の安さで考えればガソリンエンジン車に注目したいところですが、燃費と動力性能という点では、やはりハイブリッド車を選びたいところです。
第2位 トヨタ「シエンタ」
小ぶりだけど広~く使える便利なミニバン
トヨタ ノアならびにヴォクシーに代表される「5ナンバー枠を少し超えるぐらいのサイズのミニバン」が、かなり便利でちょうどいい存在であることは間違いありません。
しかし世の中には、家族構成や日々の使い方などの関係で「もう少し小さいミニバンのほうが、我が家にとってはベターなのだが……」と考えている人も、決して少なくないでしょう。
そしてそんな場合にはまさに「5ナンバー枠内のミニバン」が、当然ながらおすすめとなります。
5ナンバー枠に収まるサイズのミニバンといえば「ホンダ フリード」もおすすめなのですが、「設計年次がより新しいから」という意味で、2022年8月に発売されたばかりの「トヨタ シエンタ」が、よりおすすめとなるでしょう。
各種の使い勝手は本当に考え抜かれており、ボディはコンパクトですが、車内はかなり広々していると感じられます。また3列シートの7人乗りが基本にはなりますが、「ウチは3列目はいらない」ということでしたら、2列シートの5人乗り仕様を選ぶこともできます。
またこの車は最小回転半径が小さい(小回りが利く)ということと、ちょっと欧州車的なおしゃれ感があるデザインも、大きな魅力であるといえるでしょう。
第3位 スズキ「ソリオ」
近場での買い物に最適だが、実は長距離もイケる凄いヤツ!
トヨタ シエンタやホンダフリードといった「5ナンバー枠いっぱいのミニバン」もちょうどいいのですが、「我が家的にはもう少し小さめのほうが、よりちょうどいい」というご家庭もありそうです。
そんな場合には、スズキのトールワゴンである「ソリオ」がイチ推しです。
スズキ ソリオは全長3,790mm×全幅1,645mm×全高1,745mmという、トヨタ シエンタよりもひと回りかふた回り短くて狭いボディに、シエンタよりも少し高い全長を組み合わせた5人乗りのトールワゴン。パワーユニットは、マイルドハイブリッド機構付きの1.2Lエンジンまたはフルハイブリッドです。
コンパクトなボディサイズではありますが、先代の弱点だった「後席と荷室の狭さ」はばっちり改善されていて、3~4人家族であれば「広さについての不満」はほぼ出ないはず。そしてこの車は走りがとにかく素晴らしいので(安定していてスムーズなのです)、近場のお買い物などだけでなく、家族で長距離ドライブに出かける際も、ストレスのない安全運転が可能になるでしょう。
第4位 スバル「レヴォーグ」
“背の高さ”が不要なら、これこそが万能ファミリーカー
ここ10年ほどは「ファミリーカー=背の高い車」という風潮になっています。確かに「子供を車内で着替えさせたい」という場合などには、背が高い車じゃないとどうにもなりませんが、何も世の中の全員が「子供を車内で着替えさせたい」とか「高さ1.6mぐらいの観葉植物をひんぱんに買いたい」と考えているわけでもないでしょう。
で、もしも「背の高さ」はさほど必要ないという場合には、4ドアセダンの後部に荷室スペースを追加した「ステーションワゴン」こそが、かなりベストなファミリーカー候補になります。ミニバンやSUVとほぼ同等の量の荷物が積めて、セダンとほぼ同等の走行安定性を享受できるからです。
そんなステーションワゴンは、現在は残念ながらあまり流行っていないため、選べる車種は少なめなのですが、そんな中でも「スバル レヴォーグ」は出色の出来です。さほど大きな車ではないのですが、荷室は広大かつフラットで、それでいて走行性能や走行フィールは高級セダン並み。燃費はちょっとイマイチですが、そこが許せるなら、スバル レヴォーグも最高レベルの「これ1台ですべてがOKなファミリーカー」であるといえます。
第5位 先代フォルクスワーゲン「ゴルフ」
都市部に住むスモールファミリーにはぴったり
おすすめ4位に入ったステーションワゴン(スバル レヴォーグ)は、かなりマルチに使えるファミリーカーですが、場合によってはもう少し小さな「5ドアハッチバック」でも、十分に便利な「これ1台でほぼすべてOKな万能ファミリーカー」として使うことができます。
もちろん大家族の人や、大きな道具を使う趣味をお持ちの人には向きませんが、都市部に住む2~3人ぐらいのご家族であれば「小回りが利いて走りも軽快だが、荷物もそれなり以上に載せられる」という5ドアハッチバックこそが、実はベストマッチである可能性もあります。
世の中にはさまざまな5ドアハッチバックがありますが、その中から1台だけを選ぶとしたら、ドイツの「フォルクスワーゲン ゴルフ」がほぼベストでしょう。世界中の実用車が規範としているだけあって、走って良し、積んで良し、長年使って良しの、なんとも欠点のない5ドアハッチバックなのです。一度でも乗ってみれば「なるほど!」と思うことでしょう。
とはいえ現行型ゴルフの新車は、輸入車だけあってさすがにちょっと高価です。しかし先代ゴルフの中古車でしたら、走行2万km程度の物件を支払総額140万円ぐらいから探すことができます。おすすめは、2017年5月以降の「後期型」です。
遠出大好き家族にぴったりな「旅するファミリーカー」
家族というのは、決して買い物に行ったり学校や会社に行ったりするためだけに構成されているユニットではありません。ときには、あるいはしばしば、「楽しい遠出」もしたほうがいいでしょう。そんな場合に使う車としては「長距離を走る際の快適性」や「燃費性能の良し悪し」などが重要なチェックポイントとなるわけですが、具体的にはどんなモデルが「旅するファミリーカー」としては最適なのか、見てみることにしましょう。
第1位 マツダ「CX-5」
やや古いが、熟成され尽くした基本性能は旅に最適!
マツダ CX-5は、2016年12月に登場したミドルサイズの5人乗りSUV。設計年次はいささか古めですが、登場以来何度も改良が加えられ、現在では「熟成の極み」といえるほどの状態になっています。旅をする際に重要となる「高速域での安定性」「山坂道での軽快感」は抜群といえるレベルで、乗り心地も、新しい世代のマツダ製SUV以上に良好です。
パワーユニットは2Lおよび2.5Lのガソリンエンジンと、2.2Lのディーゼルターボエンジンがあり、そのどれもが好印象なのですが、「旅するファミリーカー」としては2.2Lディーゼルターボエンジンがイチ推しとなるでしょう。きわめてトルクフルであるため(エンジンの力が強いため)、高速道路ではアクセルペダルに軽く足を載せている程度でグイグイ進みます。そのため、長距離を運転してもさほど披露しません。またWLTCモード燃費も16.6~19.5km/Lとまずまず優秀で、なおかつ燃料費の安い「軽油」を使用するため、遠出をする際の燃料費も比較的お安く済むのです。
第2位 トヨタ「ハリアー」
低燃費なハイブリッド車で、どこまでも走って行こう!
こちらは2020年4月に登場した、トヨタの大人気ミドルサイズSUVです。「都市型SUV」と評されることの多い車ですが、それは「デザインと雰囲気がなんとなく都会っぽい」ということで言われているだけの話であり、実際のトヨタ ハリアーはサイズや積載性の面でも、そして走行性能の面から見ても、長距離ドライブに向いているSUVです。
パワーユニットは2Lガソリンエンジンのほか、2.5Lエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド、そしてプラグインハイブリッドも用意。いずれのユニットも悪くないですが(エンジンは「ダイナミックフォースエンジン」という新世代のものです)、旅をする際の燃費性能を考えると、ハイブリッドの2WD車がおすすめとなるでしょう。総合的なWLTCモード燃費は22.3km/Lで、「高速道路モード」での数値も22.1km/と、ガソリン車以上に優秀です。
また設計年次が新しいだけあって運転支援システムも充実しているため、長い距離を運転する場合にも疲労することなく、安全に走り続けることができるでしょう。
第3位 日産「エクストレイル」
e-POWERならではのパワーと燃費の両立がうれしい1台
エクストレイルは、日産が代々作っている人気の中型SUV。4代目となる現行型は2022年7月に発売されました。
パワートレインは日産がe-POWERと呼んでいるシリーズハイブリッド方式(エンジンは発電に徹し、そこで生まれた電気で動くモーターが車を駆動させる方式)で、発電用エンジンは日産が世界で初めて量産化に成功した圧縮比可変式の「VCターボエンジン」という、なにやら素敵なモノが使われています。
そして現行型の日産 エクストレイルは「e-4ORCE」という新しい電動4輪制御技術も採用されたため、その4WD車は悪路にも非常に強いSUVなのですが――現行型エクストレイルトレイルは「上質」ということもテーマにしています。そのため内外装も「かなり上質(高級)な感じ」ですので、「悪路をガンガン走らせる」というイメージはあまりありません。
そのため、e-POWERならではの余裕あるパワーと優れた燃費性能を活かし、そして上質なインテリアを堪能しながら「舗装路を走りながら旅をする」みたいな使い方がよく似合うでしょう。ちなみにWLTCモード燃費は、2WD車の場合で19.7km/Lです。
第4位 マツダ「CX-8」
3列シート・7人乗りSUVの決定版!
3位に入った日産 エクストレイルの4WD車には「3列シート・7人乗り」の仕様もラインナップされていますが、一般的におすすめとなる2WD車は2列シート・5人乗りです。
それはそれでいいのですが、「我が家は結構大家族なので3列シートが必要だ!」という方もいらっしゃるでしょう。その場合は3列シートのミニバンを選ぶのが一般的ですが、ミニバンというのはどうしても「空気抵抗が大きかったり、重心位置が高かったり」というのがありますので、「高速道路をハイスピードで長距離走る」みたいな使い方に最適なわけではありません。
そうなったときに注目したいのが、3列シートを備えた7人乗りのSUVである「マツダ CX-8」です。
2列シート・5人乗りであるマツダCX-5と長さ以外はよく似たサイズ、よく似たデザインであるCX-8は、走りに関してもCX-5によく似ていて、安定感が高いため、長距離を走っても疲れにくい車です。また7人乗りSUVの3列目シートというのは「申し訳程度のサイズ」である場合が大半なのですが、CX-8の3列目は、成人男性であっても普通に座れるニュアンスの座席になっています。5名以上で旅をしたいファミリーにとって、マツダ CX-8はかなりベストに近い選択肢です。
第5位 ホンダ「シビック」
意外と積める5ドアハッチバック。走行性能も超ハイレベル
ここまではミドルサイズのSUVを「旅するファミリーカー」として紹介してきましたが、3~4の家族で旅をするのであれば、「絶対にSUVでなくてはならない」という理由はありません。3~4人が快適に座れて、荷物が積めて、なおかつ走りと燃費さえ良ければ、ボディタイプはなんだって構わないのです。
しかし、そういった条件に普通に該当するのは「SUV」であって、だからこそ中型のSUVをご紹介してきたわけですが、実はホンダの5ドアハッチバックである「シビック」も、「3~4人が快適に座れて、荷物が積めて、なおかつ走りと燃費がいい」という条件に、見事に合致します。
一見する限りではあまり荷物が積めなさそうに見える現行型ホンダ シビックですが、実は「452L」という、SUVであるトヨタ ハリアーより40Lほど広い荷室を持ち合わせているのです。
そして「e:HEV」というスポーツハイブリッドシステムはとにかく痛快ですので、長距離を運転するのがまったく苦にならず(むしろ楽しいとさえ感じます)、WLTCモード燃費も24.2km/Lと良好。いちおう客観的に見て5位としましたが、筆者のあくまで個人的な感覚でいうなら、これこそが「旅するファミリーカーの第1位」だと思っています。
アクティブ家族にぴったりな「アウトドア系ファミリーカー」
近年、家族で楽しむアクテビティの中心となってきているのは「アウトドア」でしょう。ライトなものからハードなものまでのキャンプを家族で楽しんだり、ときには車中泊をしながら旅を続けたり……。そんなシーンで活躍するファミリーカーには、一般的な舗装路で使う場合とはまた別の諸性能が求められます。本当におすすめできるアウトドア系ファミリーカーをピックアップしてみましょう。
第1位 三菱「デリカD:5」
家族のベース(基地)にもなる唯一無二の最強オフロード系ミニバン
「アウトドアで使えるファミリーカー」という意味では、コレこそが最強に近い1台でしょう。一見する限りでは普通のミニバンと大差ないようにも見えますが、これの4WD車は、ヘビーデューティなクロカン四駆に近いレベルの悪路走破性能を備えているため、走る道を選びません。
しかしそれでいてやっぱりミニバンではあるので、車内は広くて高く、家族でアウトドアアクティビティを堪能する際の“基地”として効果的に活用することができます。
市街地では正直さほどひんぱんに見かけるわけではない三菱 デリカD:5ですが、海辺や山などに行くと、本当にたくさんの数を見かけます。また2007年にデビューした古い世代の車ではあるのですが、今なお月に1,500台以上のペースで売れ続けています。
要するに、これに代われるほどの「アウトドアで使えるファミリーカー」はなかなかない――ということです。
第2位 スバル「フォレスター」
運転していて疲れない。だから、アウトドアを存分に楽しめる!
三菱 デリカD:5ほどの「車内の広さと高さ」はありませんが、そこがさほど必要でないのであれば、これもまた最強クラスの「アウトドア系ファミリーカー」です。
重心位置が低い水平対向エンジンと常時四輪駆動システムによる「シンメトリカルAWD」という駆動レイアウトがもたらす悪路走破性は「抜群!」といえるレベル。そして「スバルグローバルプラットフォーム」という新世代の骨格から導き出される走りの安定感も超絶レベルで、おなじみ「アイサイト」による安心感も凄まじいものがあります。
このように全般的な走行性能が高いと「運転していてもぜんぜん疲れない」という状況になるため、目的地に着いた後、ほぼフルパワーでアウトドアを満喫することができます。そして満喫して疲れた身体でも、全般的な走行性能と安全性能が高い車であればラクに、そして安全に、家まで帰ることができるのです。
燃費性能が今ひとつな点は気にはなりますが、そこ以外は「かなりイイ!」と断言できるアウトドア系ファミリーカーです。
第3位 トヨタ「RAV4」
燃費性能と悪路走破性を両立させたい家族に
とはいえ「燃費性能が今ひとつ」というのは、比較的長距離を走ることが多いアウトドア系ファミリーカーとしてはやや致命的――と考える人もいらっしゃるでしょう。
もしもそうお考えになるとしたら、狙うべきは「トヨタ RAV4」の、ハイブリッドの4WD車です。
2.5Lエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドはなかなか強力で、4WDのシステムは、前後輪トルク配分を100:0から最大20:80まで変更可能な新型の「E-Four」。また統合制御「AIM(AWD Integrated Management)」も搭載され、路面や運転状況に合わせてパワートレインやステアリングなどの制御が最適化されます。それでいてWLTCモード燃費は20.3~20.6km/Lと、まずまずの数値をマークします。
一般的なビジュアルとなる「X」または「G」の4WD車でもいいとは思いますが、より“アウトドア気分”を堪能できるのは「Adventure」というグレードでしょう。
第4位 トヨタ「ハイエース ワゴン」
車中泊には最適。タフに使い倒したいなら、これこそが最強かも!
ここまで挙げてきた各モデルが「本当におすすめできるアウトドア系ファミリーカー」であることは間違いありませんが、“車中泊”までを含めた使い方を想定するのであれば、「トヨタ ハイエース ワゴン」こそが最強である――という声も多いでしょう。商用車である「ハイエース」の乗用車版がハイエース ワゴンです。
走行性能や悪路走破性能などに関しては、ここまで挙げてきたSUVやミニバンよりもさすがに劣りますが、「車内の広さと(車中泊などを前提とした)使い勝手」については、やはりハイエース ワゴンこそが群を抜いています。車中泊を行うためのベッドやパネル、その他のアイテムなども豊富に存在していますので、「自分たちだけの1台」をじっくり作り上げていく――という楽しみ方もできるのが、トヨタ ハイエース ワゴンという車です。
第5位 スバル「レガシィ アウトバック」
“高級感”と“悪路走破性”を見事に両立させたフラッグシップ
スバル レガシィ アウトバックは、乗用車とSUVの長所を融合させたというクロスオーバーSUV。スバルのフラッグシップモデルと位置づけられています。
ボディサイズは全長4,870mm×全幅1,875mm×全高1,675mmといささか大柄であるため、使う家族をやや選ぶかもしれませんが、そこが問題にならないのであれば、おすすめ2位としたスバル フォレスターと同様に、いやそれ以上に、アウトドアとオンロードの双方でかなり快適かつ便利に使うことができる1台です。
フロントに縦置きされるエンジンは最高出力177psの1.8L水平対向4気筒直噴ターボで、マニュアルモード付きのCVT「リニアトロニック」を介して4輪を駆動します。燃費はWLTCモードで13.0km/Lと正直イマイチですが、燃料はレギュラーガソリンですので、そこが救いといえば救いでしょう。
先進安全装備は、ステレオカメラと前後4つのレーダーを組み合わせた「新世代アイサイト」に加えて、3D高精度地図データを採用した高度運転支援システム「アイサイトX」を全車に標準装備。アウトドアを楽しむ上での目的地と自宅とを、ストレスフリーなセーフティドライブで行き来することができます。
ほかにもある!専門家がおすすめする現在・過去・未来のファミリーカー
ここまでの4ジャンルには残念ながら入らなかったモデルにも、さまざまな「おすすめファミリーカー」は存在しています。本稿執筆時点ではまだ発売されていない新型車を2車、そしてすでに絶版となってしまったモデルを1車、ここでプラスしてご紹介いたしましょう!
第1位 ホンダ「ZR-V」
神経直結の走りで燃費も良好。……最強か?
2023年4月23日に発売されるホンダの新型ミドルサイズSUVです。実際のデリバリー(納車)までにはまだまだ時間がかかるかと思われますが、事前試乗会で試乗した限りでは、このSUVは相当素晴らしいです。ホンダが「神経直結」とうたっているとおりの、車体がまるで身体の一部になったかのような走行感覚であるため、ドライバーは「疲れる」ということがまったくなく、いつまでも・どこまでも運転していけちゃう感じなのです。
しかしそれでいて普通にしっかりとしたSUVではありますので、人員が座るスペースは普通に広くて快適ですし、荷室も、さほど広大ではありませんが、まぁ十分といえば十分な広さ。そして燃費も、「e:HEV」というスポーツハイブリッドを搭載する2WD車はWLTCモードで22.0~22.1km/Lと、まずまず良好です。
デザインは好き嫌いが分かれそうですし、車両価格も決して安くはありませんが、これこそが今、普通に使う上では「最強のファミリーカーなのではないか?」と、筆者は真剣に思っています。
第2位 スバル「クロストレック」
従来型XVから無駄な大型化はせず、しかし各所の性能は間違いなく向上!
スマッシュヒットとなったCセグメント=ちょい小さめなミドルサイズのSUV「スバル XV」の後継モデルとして、「2023年春」に発売されるとアナウンスされているSUVです。2022年11月からすでに先行予約は始まっていますが、実際の納車は結構先のことになってしまうでしょう。
とはいえこのSUVも、ホンダ ZR-Vと同様に「ファミリーカーとしてかなりおすすめ!」と言えるクオリティです。
事前の試乗会に2回参加しましたが、そこでの印象は「先代のXVと比べてわかりやすく派手に良くなっているわけではないのだが、すべての箇所が1割ずつぐらい良くなっている!」というものでした。元々かなりイイ感じに走って使えるスバル XVが「さらに1割ぐらい良くなった」ということですから、その走りの良さと使い勝手の良さは相当なモノであると言えます。
昨今は「フルモデルチェンジのたびにボディサイズが大きくなる」というのが一般的ですが、新型クロストレックはやみくもな大型化はせず、従来型XVのサイズをほぼキープ。日本の道での扱いやすさは抜群です。そしてアイサイトに「広角単眼カメラ」も追加されましたので、ドライバーにとっての鬼門である「交差点の左右からいきなり突っ込んでくる自転車との衝突」も、効果的に避けることが可能になっています。
第3位 先代プジョー「308BlueHDi」
フォルクスワーゲンゴルフの、ちょっとマイナーな(そこが逆に魅力的な)対抗馬
家族構成や趣味の内容によってはその限りではないのですが、まったくの個人的な事情から言うのであれば、ファミリーカーというのは「比較的安価な、しかししっかり安全に力強く走ることができる、5ドアハッチバックぐらいのサイズの車」がベストであると考えています。
それに該当するのが、「これ1台ですべての用事をこなせる万能ファミリーカー」の項でおすすめ5位とした先代フォルクスワーゲン ゴルフの中古車(の後期型)なわけですが、さらに個人的な好みを言うなら、ドイツ車であるゴルフは日本で人気が高いゆえに、走っている数が若干多すぎるように感じています。
ファミリーカーであっても、もうちょっとだけ趣味性というか希少性のようなものを感じたいということですが、そういったときにドンピシャとなるのが、フランスのプジョーというブランドが作っている「308」という5ドアハッチバックの、先代のディーゼルターボエンジン搭載グレードです。
この車がまた先代フォルクスワーゲン ゴルフに勝るとも劣らぬ走行性能と積載性能等を備えた1台で、特にディーゼルターボエンジン搭載グレードは、ゴルフのガソリンターボエンジン以上に魅力的です。力強く、そして低燃費なのです。そして日本ではあまりメジャーではないため、「ありふれていない(人とカブらない)」という美点(?)もあります。
中古車価格も約100万円からとなかなかお手頃ですので、「ウチは輸入車の中古車でもOK」という方は、ぜひチェックしてみてください。
ファミリーカーの選び方
さまざまなタイプがありすぎるほどあるため、購入時は迷ってしまうこともあるはずのファミリーカー。そんなときには結論としてどうすればいいか、お答えします。
まずは「ウチの家族なりの使い方」を見極める
物事はなんだってそうですが、「自分なりの使い方にマッチしていないモノ」は、それ自体の出来がいかに良かったとしても、結局はまったく満足できないという結果に終わります。ファミリーカーを探す際は、やみくもに「燃費の良し悪し」や「価格の高低」「車内の広さ」などだけを見るのではなく、「で、自分たち家族は“何”を求め、どう使おうとしているのか?」ということを、まずはじっくり考えるようにしてください。
遠出をするなら「安全性能」と「燃費性能」にケチってはいけない
上記をまずはじっくり考え、さしあたっての結論を出した後は、「安全装備」と「燃費性能」にこだわるべきでしょう。家族や自分の命と健康はお金では買えませんので、「先進安全装備」はいいモノがついているに越したことはありません。また家族で遠出をする機会が多そうなのであれば、「アダプティブクルーズコントロール」と「良好な燃費性能」はマストです。
「欲しい車が高い…」「予算オーバー」
でも、あきらめることはありません!
今利用が急増している、新しい車の持ち方があるのをご存じですか?
それは車のサブスク、カーリースです。
カーリースは月額料金の支払いだけで車を持つことができ、料金は最初から最後までずっと定額です。
そして、車両本体価格の全額を負担する必要がないので、「買えない」「ローンが組めない」と思っていた車にも、無理せず乗ることができます。同じ車でも、カーローンの月々の返済額とカーリースの月額料金を比べたとき、リースのほうが安く抑えられる、ということがあるのです。
カーリースを検討するなら、おすすめは「おトクにマイカー 定額カルモくん」です。
定額カルモくんで、あの車にいくらで乗れるのか?
知りたい方は【こちら】から料金シミュレーションできます。
サービスガイド(パンフレット)もございます
買うのとカーリースって何が違うの?なぜそんなに人気なの?といった疑問にお答えしています。また、大手カーリース各社との料金・サービス比較も掲載しています。ぜひご覧ください(郵送もダウンロードも可能です)。
昔と違って「ファミリーカー」といっても個性と性能はさまざま
「家族全員で使う」という前提があるだけに、自分ひとりがおもに使うための趣味グルマと違い、さまざまな制約も生じてしまうのが「ファミリーカー選び」というものです。しかしじっくり研究した上で探せば、「自分の趣味性」と「家族の満足」を両立させることができる1台を見つけることはできますし、「家族の満足」を最優先させる結果になったとしても、それはそれでひとつの幸せなカーライフというものでしょう。いずれにせよ現代は「ファミリーカー」といっても、昔と違ってさまざまなタイプが存在しています。ぜひ、ご自身と家族にぴたりとハマる、素敵で高性能なファミリーカーを楽しく探してみてください!
よくある質問
Q1:「ファミリーカー」とは、そもそもどんな車のことですか?
A:ファミリーカーというものに、明確で唯一の定義はありません。「家族で使う車」はすべてファミリーカーであると言えますが、一般的には「比較的安価で、それでいて家族全員が不足なく乗って移動できる車」を指す場合が多いでしょう。
Q2:ファミリーカー選びで大切なことは何ですか?
A:まずは「家族としての使用目的」をハッキリさせることが重要ですが、その上で、安全性能と燃費性能にはしっかりこだわるべきです。
Q3:ファミリーカーは「運転がさほど面白くない車」ばかりですか?
A:決してそんなことはありません。そういった車種が一部に存在していることも事実ですが、近年のファミリーカーは、ドライバーが運転を大いに楽しめるモデルも多数存在しています。
※この記事は2023年3月時点の情報で制作しています