人気の高いSUVの中でもトヨタのSUVは10モデルがラインナップされ、いずれも好調な販売成績を残しています。本格的なクロカン4WDの「ランドクルーザー」「ハイラックス」から、コンパクトSUVの「ヤリスクロス」「ライズ」まで、さまざまな用途とサイズのSUVが揃ったトヨタのSUV。その中でも人気のあるモデルやおすすめのモデルはどれなのか、自動車評論家の萩原文博さんが解説します。
- トヨタのSUVは10車種をラインナップ、いずれも人気が高くヤリスクロスを筆頭に販売ランキングの上位を独占している
- トヨタのSUVは納期に注意が必要。モデルやグレードによっては受注停止になっているものもある
- プロがおすすめするトヨタのSUVのベスト3はハリアー、ライズ、カローラクロス
トヨタのSUVはなぜ人気?
2022年の国産乗用車メーカーの国内販売ランキングを見てみると、1位はトヨタ(レクサスを含む)が129万台。2位がスズキの60万台、3位がダイハツの58万台、4位がホンダの57万台。そして5位が日産の45万台となっています。トヨタの圧倒的なシェアと2~4位は軽自動車を自社開発して販売しているメーカーであることがわかり、トヨタ車の強さと軽自動車の販売が好調なことがうかがえます。
2位のスズキとダブルスコアでトップとなっているトヨタは、2023年の登録車・軽自動車の販売台数ランキングでも、トップの「ヤリス」をはじめ、4位の「カローラ」、5位の「シエンタ」、7位の「プリウス」、8位の「ノア」、10位の「ヴォクシー」と6台もランクインさせています。
ボディタイプ別に見ても、ラージサイズミニバンでは「アルファード/ヴェルファイア」がマーケットを独占しているのをはじめ、ミドルサイズでも「ノア/ヴォクシー」が圧倒的なシェアを占め、コンパクトサイズでもシエンタがライバルのホンダ「フリード」の約1.6倍も売れているなど、さまざまなボディタイプで大きなシェアを占めているのです。
そして、現在人気上昇中のSUV(スポーツユーティティビークル)のカテゴリーにおいてもトヨタは10車種(2023年7月末で販売終了のC-HRを含む・2023年冬に再発売予定のランドクルーザー70は含まない) と2番目に多いマツダの6車種を大きく上回っています。車種ラインナップを見ても、5ナンバーサイズのコンパクトクラスの「ライズ」からグローバル市場でも高い信頼性と走行性能で大人気となっているフラッグシップSUVの「ランドクルーザー300」、そして東南アジアなどで人気のピックアップトラックの「ハイラックス」まで幅広く充実しています。
コンパクトサイズ、ミドルサイズ、ラージサイズでスタイルや方向性の異なるモデルをそれぞれ2種類設定し、ピックアップトラック、さらに「クラウンクロスオーバー」のような新感覚モデルをユーザーに提供できるのは、充実した販売ネットワークを誇るトヨタだからこそできることでしょう。
それでは充実した車種ラインナップで、国産SUVの中で圧倒的な人気とシェアを誇るトヨタのSUVを全モデル紹介しましょう。
トヨタのSUV全ラインナップと人気ランキング
今回紹介するデータは2023年5月の一般社団法人日本自動車販売協会連合会が発表している新車販売台数データからSUVだけを抜粋したものです。ふだんは「カローラクロス」や「ヤリスクロス」はカローラシリーズ、そしてヤリスシリーズとしてカウントされています。しかし、ここで発表するデータはカルモマガジン編集部が調査したSUVだけを抽出した新車販売ランキングとなっています。半導体不足などで車種ごとにバラツキがありますが、それでもトヨタのSUVの人気は盤石といえるでしょう。
SUVの販売台数ランキング上位を独占するトヨタSUV
SUV順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1 | ヤリスクロス | トヨタ | 6,740 | 102.5 | 前年比はヤリスクロス以外も含む |
2 | ハリアー | トヨタ | 6,193 | 194.3 | |
3 | ライズ | トヨタ | 5,205 | 142.5 | |
4 | クラウンシリーズ | トヨタ | 3,125 | 1,077.1 | |
5 | ヴェゼル | ホンダ | 3,109 | 73.1 | |
6 | ランドクルーザープラド | トヨタ | 2,215 | 137.8 | 前年比はプラドと300も含む |
7 | NX350H | レクサス | 2,125 | 381.5 | NX250を含まない |
8 | カローラクロス | トヨタ | 2,100 | 93.1 | 前年比はカローラクロス以外も含む |
9 | ジムニーシエラ | スズキ | 2,097 | 192.4 | |
10 | エクストレイル | 日産 | 2,068 | 486.6 | |
11 | RAV4 | トヨタ | 1,950 | 107.6 | |
12 | CX-5 | マツダ | 1,924 | 236.9 | |
13 | インプレッサシリーズ | SUBARU | 1,697 | 88.1 | クロストレック以外も含む |
14 | ランドクルーザー300 | トヨタ | 1,670 | 137.8 | 前年比はプラドと300も含む |
15 | ZR-V | ホンダ | 1,567 | 23年4月発売 | |
16 | CX-30 | マツダ | 1,358 | 492.0 | |
17 | アリア | 日産 | 1,296 | 159.8 | |
18 | CX-8 | マツダ | 1,248 | 1,145.0 | |
19 | UX250H | レクサス | 1,179 | 415.1 | UX200を含まない |
20 | デリカD5 | 三菱 | 1,143 | 144.0 | |
21 | ロッキー | ダイハツ | 973 | 84.9 | |
22 | キックス | 日産 | 912 | 76.0 | |
23 | CX-60 | マツダ | 897 | 22年9月発売 | |
24 | フォレスター | SUBARU | 894 | 114.2 | |
25 | RX500H | レクサス | 889 | 22年11月発売 | RX450h+ / RX350を含まない |
26 | ハイラックス | トヨタ | 810 | 不明 | |
27 | C-HR | トヨタ | 792 | 124.0 | |
28 | エクリプスクロス | 三菱 | 744 | 196.8 | |
29 | クロスビー | スズキ | 738 | 56.3 | |
30 | アウトランダー | 三菱 | 683 | 40.5 |
一般社団法人日本自動車販売協会連合会が発表している新車販売台数データから、SUVだけを抽出した新車販売ランキング30が上の表です。6.740台で第1位のヤリスクロスをはじめ、6,193台で第2位の「ハリアー」、5,205台で第3位のライズでトヨタのSUVがベスト3を独占しています。
さらに、これまでのクラウンのイメージを一新した新感覚クロスオーバーSUVのクラウンクロスオーバーが3,125台で第4位、2023年8月に後継となる 新型「ランドクルーザー250」が発表されたランドクルーザープラドがモデル末期にもかかわらず2,215台で第6位にランクイン。そのほかでもカローラクロスが第8位、RAV4が第11位、納車まで数年掛かるほどの超人気モデル・ランドクルーザー300も第14位にランクインしています。車両本体価格が500万円以上という高価格車にもかかわらず、1カ月で1,670台も販売されているというのは驚異的な数字です。
残念ながら2023年7月末で販売終了となったC-HRは第26位とトヨタのSUVの中では振るいません。海外で販売されるニューモデルは発表されていますが、現在のところ日本市場への投入はないそうです。そしてピックアップトラックというニッチなモデルのハイラックスですが、販売台数は810台とC-HRを上回る人気となっていて、国産ピックアップトラック市場を独占しています。
ハリアーやランドクルーザーなど、強いブランド力もトヨタSUVの人気の理由
トヨタのSUVのスゴイところは、ヤリスクロスやライズといった車両本体価格がリーズナブルな車種が上位となるだけでなく、ハリアーやクラウンクロスオーバーといった価格帯のコアゾーンが500万円という高価格車も上位にランクインしているところです。
なかでもハリアーは、乗用車のプラットフォームを使用したSUVとしていち早くブランドを確立。「レクサスRX」の日本導入時にハリアーが生産終了となりそうになったとき、販売現場からハリアーを継続販売してほしいという声が出て、メーカーがその要望に応えたというエピソードもあります。それくらいハリアーは国産SUVの中で、強いブランド力を誇っているのです。
またランドクルーザーは、以前中東のドバイを訪れたときに、現地の人に「砂漠へ行くときはランドクルーザーだよ。ほかのSUVでは故障するリスクがあるからね。砂漠で故障したら命の危険があるから。やはりランドクルーザーの信頼性と走行性能の高さは素晴らしいよ」と筆者も聞かされました。
ランドクルーザーは1951年から生産開始され、すでに70年以上の歴史があります。トヨタSUVの人気はブームに乗っただけでなく、こういった歴史に裏付けられた実力の高さに後押しされているといえるでしょう。
それでは販売ランキング順に人気のトヨタのSUVを紹介していきましょう。
利便性だけではないコンパクトSUV
人気ナンバー1「ヤリスクロス」
トヨタのSUVで人気ナンバー1となったのがヤリスクロスです。2020年8月に登場したヤリスクロスは、その名のとおりコンパクトカー、ヤリスの派生モデルです。ヤリスシリーズらしい「軽快な走り」「先進の安全・安心技術」「低燃費」を受け継ぎつつ、利便性だけではないコンパクトSUVの新たな価値を追求したモデルです。ボディサイズは全長4,180(一部4,185、4,200mm)mm×全幅1,765mm×全高1,590(一部1,580mm)mmですが、ラゲージスペースの容量は390Lを確保(デッキボード下段時)しています。
搭載されているパワートレインは、最高出力120ps、最大トルク145Nmを発生する1.5L直列3気筒DOHCエンジン+CVTと、システム合計出力116psを発生する1.5Lガソリンハイブリッドシステムの2種類。駆動方式はガソリン車、ハイブリッド車ともに2WDと4WDを用意しています。燃費性能はWLTCモードで2WD車が18.8~30.8km/L、4WD車は17.4~28.7km/Lとクラストップの燃費性能を実現しています。また運転支援システムは、最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を標準装備しています。
他のSUVとは一線を画す流麗なクーペスタイル
人気ナンバー2「ハリアー」
現行型ハリアーは2020年6月から販売されています。ボディサイズは全長4,740mm×全幅1,855mm×全高1,660mmというミドルクラスSUVです。現行型ハリアーは車の骨格であるプラットフォームにはTNGAプラットフォーム(GA-K)を採用。ボディの高剛性化・低重心化を実現し、ドライバーの感性を重視した乗り心地と走りを両立させました。また、走り出した瞬間や高速走行時の車両の挙動の収束性を向上させるため、新しいショックアブソーバーを採用。接地感あるフラットな乗り心地が特長です。
現行型ハリアーの外観デザインは他のSUVとは一線を画す、シンプルさとエレガントさそしてたくましさが融合した流麗なクーペスタイルを採用したのが特徴です。搭載されているパワートレインは2.5L直列4気筒ガソリンエンジン+モーターのハイブリッドシステムと2L直列4気筒ガソリンエンジン+CVTの2種類で、それぞれ駆動方式は2WDと4WD(ハイブリッド車はE-Four)を設定し燃費性能は14.7~22.3km/Lとなっています。
安全装備では歩行者(昼夜)や自転車運転者(昼間)を検知対象に加えたプリクラッシュセーフティ採用の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を装備しています。加えて走行中の前後方向映像を録画可能なデジタルインナーミラーをトヨタ自動車初採用しています。2022年9月に一部改良を行い、プラグインハイブリッドが追加されています。
コンパクトな5ナンバーサイズながら使える広い室内空間
人気ナンバー3「ライズ」
2019年11月に登場したトヨタSUVラインアップのエントリーモデルのライズが人気ナンバー3となりました。ベース車は「ロッキー」という「DNGA」を採用した第二弾となる5ナンバーサイズのコンパクトSUVで、トヨタライズはOEM供給車となります。ライズはDNGAによるパッケージング技術を活かした、全長3,995mm×全幅1,695mm×全高1,620mmという取り回しの良いコンパクトな5ナンバーサイズながら、大人5人が乗れる広い室内空間と5人乗車時369L+80Lの大容量アンダーラゲッジ(2WD車)という荷室空間を実現しています。
搭載するパワートレインはデビュー時1L直列3気筒ターボエンジン+CVTのみでしたが、2021年11月に行った一部改良で1Lターボエンジンは4WD車専用に変更。新たに2WD車には新開発された1.2L直列3気筒DOHCエンジン+CVT。そして1.2L直列3気筒エンジンを発電に使用し、モーターを駆動させて走行する「e-SMARTハイブリッド」を搭載。燃費性能は17.4~28.0km/Lを実現しています。
また、充実した先進・安全機能もライズの魅力で「次世代スマートアシスト」と呼ばれる先進の運転支援システムを搭載。予防安全機能の「スマートアシスト」全10機能と運転をサポートする「スマートアシストプラス」全7機能の合計17機能を採用していて、小さくても高い安全性が魅力です。
セダンとSUVを融合させた革新的なパッケージ
人気ナンバー4「クラウンクロスオーバー」
2022年7月に同時に4モデルが世界初公開され話題となった新世代クラウンの中から、最初に発売されたクラウンクロスオーバーが人気ナンバー4です。クラウンクロスオーバーは、セダンとSUVを融合させた革新的なパッケージが特徴で、セダンでもSUVでもない、踏ん張り感のある力強いスタイルを採用しています。クラウンクロスオーバーのボディサイズは全長4,930mm×全幅1,840mm×全高1,540mmでスタイリッシュなクーペライクなスタイルと、力強さを感じさせるリフトアップスタイルを組み合わせることにより、流麗さとダイナミックさを両立させた、新時代のフラッグシップに相応しい存在感を放ちます。さらに、従来のセダンの常識を打ち破る大径タイヤを採用しているのも見逃せません。
搭載しているパワートレインは、2.4L直列4気筒ターボエンジン+高い駆動力を発揮する最新の電動パワートレイン「eAxle」とバイポーラ型ニッケル水素電池を組み合わせたハイブリッドシステム。そして、2.5L直列4気筒エンジンとモーターを組み合わせたシリーズパラレルハイブリッドシステムの2種類。駆動方式は全車4WDで、燃費性能は15.7~22.4km/Lとなっています。
安全装備は、機能向上した最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を全車標準装備。そのうえ、渋滞時の安全運転を支援する「アドバンスト ドライブ(渋滞時支援)」やさまざまな駐車シーンでスムースな入庫・出庫を自動で行いリモート操作も可能な「アドバンストパーク(リモート機能付)」などの、高度運転支援技術「トヨタ チームメイト」など最新鋭の運転支援機能を搭載し、ドライバーをサポートしてくれます。
モデル末期でも人気は衰えなかったロングセラー
人気ナンバー5「ランドクルーザープラド」
2023年8月2日に後継となる「ランドクルーザー250」が発表されたランドクルーザープラドですが、人気ナンバー5にランクインしました。旧型となったばかりのランドクルーザープラドは2009年9月に登場し、約14年間も販売されたロングセラーモデルです。「ハイラックスサーフ」とシャシーを統合したことにより、先代までの3ドアショートボディと5ドアロングボディという2つのボディ設定から日本市場には全長4,825mm×全幅1,885mm×全高1,850mmというボディサイズの5ドア車のみとなっています。ランドクルーザープラドの魅力であるオン・オフロード問わない快適な走行性能をより進化させるため、伝統のフルフレーム構造ボディに改良を加えて、ボディ剛性を向上させました。
搭載されるエンジンはデビュー時2.7L直4ガソリンと4LV6ガソリンエンジンでしたが、2015年6月の一部改良時に4LV6エンジンが廃止され、約7年振りに2.8L直4クリーンディーゼルターボエンジンを搭載。さらに組み合わされるミッションも6速ATと多段化され、燃費性能は8.3~11.2km/Lと向上しています。また最低地上高220mmを確保し高い悪路走破性がランドクルーザープラドの魅力です。
スタイリングだけでなく走りもスポーティ
人気ナンバー6「カローラクロス」
人気ナンバー6となったのが、カローラクロスです。本来はもっと上位にランクインするはずのモデルですが、現在受注がストップするほどバックオーダーを抱えていて、この順位となりました。カローラクロスのボディサイズは、全長4,490mm×全幅1,825mm×全高1,620mmで、C-HRとRAV4の間を埋めるミドルサイズSUVです。「アーバン・アクティブ」デザインコンセプトとしたカローラクロスは、スタイリングだけでなく走りもスポーティ、そして上質感も兼ね備えているのが特徴です。
搭載しているパワートレインは1.8L直列4気筒DOHCエンジン+CVT、そして1.8Lエンジン+モーターのハイブリッドの2種類で、駆動方式は2WD(FF)を中心にハイブリッド車にE-Fourと呼ばれる電気式4WD車を用意。燃費性能は14.4~26.2km/Lと、特にハイブリッド車は国産ミドルサイズSUVの中でトップレベルの実力となっています。
安全装備では、日常のあらゆるシーンでドライバーを支援する最新のToyota Safety Senseを全グレードで標準装備しています。また、一部グレードを除いて、駐車を支援するパーキングサポートブレーキやバックガイドモニターを標準装備。加えて障害物の有無にかかわらずペダル踏み間違い時の急加速を抑制するプラスサポートを設定しています。
力強さと洗練を融合したデザイン、3種類の4WDシステムを持つ
人気ナンバー7「RAV4」
ミドルサイズSUVのRAV4が人気ナンバー7となりました。RAV4は2016年に日本市場において一旦幕を閉じましたが、SUVブームが本格化した2019年4月に復活しました。RAVのボディサイズは、全長4,600(一部4,610)mm×全幅1,855mm×全高1,690(一部1,685(mm)です。外観デザインはSUVらしい力強さと洗練さを融合した直線的で無骨なデザインを採用しています。
現行型RAV4にはガソリンエンジンとハイブリッド、そしてPHEV(プラグインハイブリッド)という3種類のパワートレインが搭載されています。「TNGA」思想に基づいて開発された2L直列4気筒ダイナミックフォースエンジン+CVTをはじめ、高い燃焼効率、高出力を両立した2.5L直列4気筒ダイナミックフォースエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステム、そして2.5L直列4気筒エンジン+モーターのPHEVの3種類。
駆動方式は2WD(FF)に加えて、「ダイレクトトルクコントロール4WD」、「ダイナミックトルクベクタリングAWD」、そしてハイブリッド車/PHEVの「E-Four」と呼ばれる電気式4WDシステムと、3種類もの4WDシステムを設定しています。燃費性能は15.2~22.2km/Lで、PHEVの満充電時の走行可能距離は95kmとロングレンジとなっています。
高い走行性能と信頼性、そして豪華装備のキングオブSUV
人気ナンバー8「ランドクルーザー300」
高い走行性能と信頼性、そして豪華な装備でキングオブSUVと呼ばれているのが、人気ナンバー8となったランドクルーザー300です。現行モデルは2021年8月から販売開始されました。ボディサイズが全長4,985mm×全幅1,980mm×1,925mmmというランドクルーザー300は、伝統のラダーフレームを刷新し「TNGA」を採用したGA-Fプラットフォームを採用したことにより、先代より+20%剛性が向上しつつ、車両として約200kgの軽量化と低重心化、前後重量配分の最適化を実現しました。さらにサスペンションも新開発され、特にリアサスペンションはショックアブソーバーの配置を最適化することで、乗り心地と操縦安定性を向上させています。
搭載するパワートレインは、3.5LV型6気筒ガソリンツインターボエンジン+10速ATと3.3L V型6気筒ディーゼルツインターボエンジン+10ATの2種類。駆動方式は全車4WDで、燃費性能は7.9~9.7km/Lとなっています。ランドクルーザー300は標準モデルに加えて、路走破性を向上させた新グレードGR SPORTの2種類を用意しています。乗車定員はガソリン車がエントリーモデルのGXが5人乗りとなるほかすべて7人乗り。一方のディーゼル車はすべて5人乗りとなるので、グレード選びには注意が必要です。
13年ぶりに日本市場に導入されたピックアップトラック
人気ナンバー9「ハイラックス」
人気ナンバー9となったのは、2017年、13年ぶりに日本市場に導入されたピックアップトラックのハイラックスです。現行モデルのハイラックスは、ピックアップトラックが大人気のアジア市場に供給するため、タイで生産され輸入されています。ボディサイズは全長5,340(一部5,320)mm×全幅1,855(一部1,900)mm×全高1,800(一部1,840)mmと日本の道路事情を考えるとかなり大きなサイズです。ボディの骨格には、高強度のフレームを採用し、さらに振動減衰を高めるサスペンションを採用することで、オンロード・オフロードともに優れた走行安定性と乗り心地を確保しています。
搭載しているパワートレインは2.4L直列4気筒ディーゼルターボエンジン+6速ATの1種類。駆動方式はダイヤル操作で選択できるパートタイム4WDを採用し、燃費性能は11.7km/Lとなっています。またヒルスタートアシストコントロールやアダプティブトラクションコントロール、ダウンヒルアシストコントロールなどの電子デバイスを投資亜することで、様々な路面状況に応じて、駆動力を制御し路面状況を問わず高い走行性能を発揮します。安全装備では、夜間の誇る車と昼間の自転車運転車に対応したプリクラッシュセーフティを採用する「Toyota Safety Sense」を採用するなど充実しています。最小回転半径6.4mというハイラックスですが、ほかにはない機能をもつ唯我独尊系の車として人気です。
7月末をもって生産終了したプリウスベースのSUV
人気ナンバー10「C-HR」
2023年7月末をもって生産終了となったC-HRが人気ナンバー10です。C-HRは先代プリウスとパーツを共用していて、登場時はプリウスクロスオーバーともいわれました。登場したばかりの2017年は、SUV新車登録台数No.1に輝くほどの人気を誇りました。ボディサイズは全長4,385(一部4,390)mm×全幅1,795mm×全高1,550(一部1,565)mmで都市部に多く存在する立体駐車場に対応した優れたパッケージングが特徴です。
搭載されているパワートレインは、1.8L直列4気筒エンジン+モーターを組み合わせたハイブリッドシステムと1.2L直列4気筒ガソリンターボ+CVTの2種類。2019年のマイナーチェンジの際には内外装の変更に加えて走りに磨きを掛けたカスタムモデルの“GR-SPORT”を設定すると同時に1.2L直列4気筒ガソリンターボに6速MT車を追加しています。駆動方式は2WDを中心にガソリン車のみに4WDを用意し、燃費性能は14.3~25.8km/Lとなっています。
安全装備では、予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を採用し、高年式モデルは自車線内の歩行者と衝突する可能性が高く、自車線内に回避するための十分なスペースがあるとシステムが判断した場合に、ドライバーの回避操舵をきっかけに車線内で操舵をアシストする「緊急時操舵支援機能」も追加されています。登場した際には最もコンパクトなサイズでしたが、ライズやヤリスクロスの登場でポジションがわかりにくくなってしまったのも生産終了の要因の一つといえます。
トヨタのSUVを選ぶ際のポイント
一部モデルはオーダーすらできない。その納期に注意!
人気車の多いトヨタのSUVですが、ここでは選ぶ際のポイントを紹介しましょう。まず、トヨタのSUVを選ぶ際に最も注意したいのが、納車までの期間です。2023年7月末現在、生産終了となったC-HRをはじめ、カローラクロス、RAV4、ランドクルーザープラド、ランドクルーザー300、ハイラックスは受注停止となっており、オーダーすることもできません。
したがってこれらの車種を購入したい場合、現在所有している車の車検期間に注意する必要があります。人気ナンバー1に輝いたヤリスクロスのハイブリッド車は年内納車が可能で、ガソリン車は受注停止となっています。人気ナンバー2のハリアーの上級グレードは年内納車が可能ですが、ガソリン車は来年の5月以降となっています。人気ナンバー3のライズはガソリン車の年内納車が可能で、ハイブリッド車は不正試験の影響で受注停止中。人気ナンバー4のクラウンクロスオーバーは2024年の春以降となっています。このようにかなり時間を要していますので、所有している車の車検期間とじっくり相談する必要があります。また、上級グレードのほうが納期は短いケースもあるので、グレード選びにも注意しましょう。
3つのボディサイズ、都市型かオフロード向けか
トヨタのSUVは全10モデルと充実しています。その10モデルをボディサイズの大きさで分けてみたいと思います。最も小さいのが5ナンバーサイズで全長約4mのライズです。ボディ幅は1.7mを超えるため3ナンバーとなりますが、ヤリスクロス、C-HRがコンパクトサイズとなります。そしてミドルサイズで最も小さいのがカローラクロスです。そしてハリアー、RAV4までがミドルサイズSUVとなります。ラージサイズはクラウンクロスオーバー、ランドクルーザープラド、ランドクルーザー300、そしてハイラックスとなります。
SUVでも都市型かオフロード向けかで2種類に分けることができます。これは採用している4WDのシステムやスタイリングで判断します。トヨタSUVの中で都市型SUVはヤリスクロス、C-HR、カローラクロス、ハリアー、クラウンクロスオーバーが当てはまります。その他のモデルはオフロード向けですが、中でもRAV4、ランドクルーザープラド、ランドクルーザー300、ハイラックスサーフは高いレベルの悪路走破性を兼ね備えています。
燃費を重視するならハイブリッドモデルを!
燃費を気にするユーザーも多いでしょう。高い燃費性能を発揮するのはハイブリッド車です。ハイブリッド車をラインアップしている車種は、ライズ、ヤリスクロス、C-HR、カローラクロス、RAV4、ハリアー、クラウンクロスオーバーです。そのうちファミリーカーとして広い室内空間を求めるのであれば、カローラクロス、RAV4、ハリアーの3モデルがオススメです。3列シートを求めるのであれば、ランドクルーザープラドかランドクルーザー300を選ぶことになります。ただこれらは相当な高額車なのでミニバンなどと比べたほうが良いでしょう。
また燃費性能に優れたディーゼルエンジンをランドクルーザープラド(後継のランドクルーザー250も)とランドクルーザー300、ハイラックスに搭載していますが、パワー重視仕様の大排気量エンジンとなっているため、ハイブリッドの燃費性能には及ばないので注意しましょう。RAV4とハリアーにはプラグインハイブリッド車が用意されていますが、ハイブリッド車よりも高額になります。ハインブリッド車に比べて、納期が短いケースもありますが、リセールバリューなどを考慮して選んだほうがいいでしょう。
プロがおすすめするトヨタのSUV トップ3
先ほども紹介したとおり、トヨタのSUVは人気車が多い故、新車の納期遅延が長期化しています。なかには、現在受注ストップとなっているモデルすら存在します。本来おすすめ車種としては受注ストップしている車種は外したほうがいいのでしょうが、待ってでも乗りたい車としてピックアップしました。
高い静粛性と安定感の高い乗り心地が魅力
プロのおすすめ第3位「カローラクロス」
おすすめの第3位は、カローラクロスです。残念ながら現在のところ、ガソリン車、ハイブリッド車ともに受注停止となっています。この受注停止は高い実力と人気によりオーダーが集中したことが原因の一つです。激戦の国産ミドルサイズSUVに属するカローラクロスですが、とにかく質感の高い走りが魅力です。
走り出す時はモーターを利用するハイブリッドシステムとはいえ、モーター音はもちろん、エンジンが掛かったときのエンジン音もほとんどわかりません。したがってエネルギー表示を見ないとモーターだけなのか、エンジンで走行しているのかは判断できないほどの静粛性の高さを誇ります。また、前後のサスペンションがしっかりと動いて仕事をしてくれるので、優れた乗り心地も魅力です。カーブを曲がる際でも車の傾きをしっかりと抑えてくれるので安定感は抜群です。この安定感の高い乗り心地は同じクラスのSUVの中でトップの実力なこともあって、おすすめの第3位としました。
コンパクトなのに広い!運転支援も充実!
プロのおすすめ第2位「ライズ」
おすすめの第2位はライズです。こちらはガソリン車の年内納車が可能で、ハイブリッド車が受注停止となっていますが、おすすめしたいのは1Lターボエンジンを搭載したガソリンの4WD車です。ライズの魅力は全長4mという5ナンバーサイズのコンパクトなボディに大人5人が乗れる空間とアンダーラゲッジを含めると一回り大きなC-HRやヤリスクロスを上回る369L+80Lというラゲッジスペースを確保していることです。さらに、ラゲッジスペースは付属の2段可変式デッキボードを使用すれば、荷室の高さや容量の変化が可能。そして、6:4の分割可倒式リアシートを倒せば長尺物を積載できるだけでなく、多彩なシートアレンジも実現しています。
エントリーモデルというポジションながら、「次世代スマートアシスト」と呼ばれる先進の運転支援システムを搭載。予防安全機能の「スマートアシスト」全10機能と運転をサポートする「スマートアシストプラス」全7機能の合計17機能を搭載。新たに後方確認をサポートするブラインドスポットモニター(BSM)とリアクロストラフィックアラート(RCAT)を採用していますし、T-コネクトと呼ばれるコネクテッドサービスを搭載しており、装備内容は上級車にひけを取りません。
輸入車も含めたミドルサイズSUVの中でもトップレベルの乗り心地
プロのおすすめ第1位「ハリアー」
トヨタの充実したSUVラインアップの中で、おすすめ第1位としたのは、ハリアーです。ガソリン車、ハイブリッド車、PHEVの上級グレードならば、早ければ年明けには納車されます。なかでもハイブリッド車のZレザーパッケージは人気が高く、リセールバリューも期待できることも理由の一つです。
現行型ハリアーに試乗して驚いたのが、高い走行安定性と乗り心地の良さです。これは国産だけでなく輸入車のミドルサイズSUVの中でもトップレベルの実力です。サスペンションがしっかりと仕事をしていて、路面からの衝撃をしっかりと吸収し、荒れた路面状況でもフラットで上質な乗り心地を実現しています。馬の鞍をイメージしたインテリアも上質感タップリ。さすが、国産SUVの中で強いブランド力を持つ1台です。
ハイブリッド車の2WDモデルならば、WLTCモードで22.3km/Lを実現。自宅に200V充電器を設置できるのであれば、モーターによるEV走行可能距離93kmを実現したPHEVもおすすめです。車両本体価格やランニングコストを抑えたいという人はガソリン車のZもしくはZレザーパッケージを購入しておけば、手放すときにハリアーを買って良かったと思うことは間違いないでしょう。
「欲しい車が高い…」「予算オーバー」
でも、あきらめることはありません!
今利用が急増している、新しい車の持ち方があるのをご存じですか?
それは車のサブスク、カーリースです。
カーリースは月額料金の支払いだけで車を持つことができ、料金は最初から最後までずっと定額です。
そして、車両本体価格の全額を負担する必要がないので、「買えない」「ローンが組めない」と思っていた車にも、無理せず乗ることができます。同じ車でも、カーローンの月々の返済額とカーリースの月額料金を比べたとき、リースのほうが安く抑えられる、ということがあるのです。
カーリースを検討するなら、おすすめは「おトクにマイカー 定額カルモくん」です。
定額カルモくんで、あの車にいくらで乗れるのか?
知りたい方は【こちら】から料金シミュレーションできます。
SUVについてよくある質問
一番大きいトヨタのSUVは何ですか、またSUVの中でも一番大きいのは何ですか?
トヨタブランドのSUVで最もボディサイズの大きなモデルはランドクルーザー300です。キングオブSUVと称されるモデルで、ボディサイズは全長約5m、全幅2mというサイズです。また日本に正規輸入されている車の中には全長5.4m、全幅2.065mというボディサイズのキャデラック「エスカレード」があり、これが日本で販売されているSUVの中で最も大きなモデルといえるでしょう。
RVとSUVの違いは何ですか?
RVは「レクレーショナル・ビークル」の略で、SUVは「スポーツ・ユーティリティ・ビークル」の略です。日本において、RVという言葉は1980年代から使用され、当時はミニバンやステーションワゴン、クロスカントリー4WDなど家族でレジャーに出掛ける車すべての称号でした。その後登場したSUVは乗用車をベースにしながら、RVの中のクロスカントリー4WDに似たスタイルを採用した車のカテゴリーとなりました。現在ではクロスカントリー4WDも含めてSUVといわれています。
SUVが女子にも人気なのは、なぜですか?
軽自動車のSUV、スズキ「ジムニー」というと本格4WDというイメージが強いですが、現行モデルは直線的なデザインと丸いヘッドライトが女性に支持されています。乗り降りが大変で2人しか乗れないスポーツカーの人気が低迷する一方で、乗り降りしやすく、広く豪華な室内空間を確保したSUVが人気急上昇となっています。メルセデス・ベンツ「Gクラス」などがセレブ車となっているように、女性にとってSUVはオシャレアイテムの一つといえるのでしょう。
女性に人気のSUVはどれですか?
カルモマガジン編集部が実施したアンケートによると、ランドクルーザープラドが最も人気高く、次いでヤリスクロス、ハリアー、ライズとトヨタ車が上位を独占しています。年齢別では20~30代ではコンパクトSUVのヤリスクロス。40代以上ではランドクルーザープラドとわかれています。ランドクルーザープラドは80年代のクロカンブームを若いときに体験した人が憧れ、もしくは青春時代を思い出して支持していると考えられます。一方のヤリスクロスは、価格的な部分もありますが、生活感を感じさせないスタイリッシュなデザインが支持されているのでしょう。
※この記事は2023年8月時点の情報で制作しています