【注目のクルマ】「トヨタルーミー/タンク」が売れている理由を徹底解説

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上位は相変わらずの常連だが、ベスト10には意外なクルマが

軽自動車、輸入車を除いた新車の登録台数を見てみると、2019年4月は第1位トヨタプリウス、第2位トヨタアクア、第3位トヨタヴィッツと上位をトヨタが独占しました。続く5月は第1位トヨタプリウス、第2位日産ノート、第3位トヨタアクアとトヨタの牙城は崩れたものの、上位3台のクルマは誰もが知っているヒットモデルです。

しかし、ベスト10まで広げてみると「このクルマがそんなに人気なのか!」と(我々も)少し意外に思うクルマがあります。今回、取り上げるのは、4月の販売台数が7,143台で6位、5月は7,728台で4位となったトヨタルーミー、そして4月は5,654台、5月は6,268台でともに12位だったトヨタタンクです。

メイン写真とこちらがルーミーの標準車。フロントスタイルはタンクと結構印象が異なっている

このルーミーとタンクは取り扱うトヨタディーラーが異なり、フロントマスクのデザインなども少々違いがあります。しかし基本的なコンポーネンツは共通となる兄弟車です。ルーミー/タンク、それぞれ標準車とメッキパーツを多用したカスタムが設定されており、合計4種類の異なるフロントマスクを持つのも特徴です。

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スズキソリオが作り出したリッターカーのハイトワゴン

こちらが元祖リッターカーハイトワゴンのスズキソリオ

ルーミー/タンクはリッターカーのハイトワゴンと呼ばれるカテゴリーに属していますが、このカテゴリーはスズキソリオが開拓し、独占してきました。なぜ、ほかのメーカーが参入しなかったのでしょうか。それは軽自動車のマーケットと重なるため、それほどマーケット規模が大きくないと考えられていたのです。

こちらはタンクの標準車

リアはランプのデザインが異なる程度。こちらはタンク

現在、軽自動車の主力モデルとなっているのは、軽自動車枠いっぱいのボディサイズによる広い室内空間と、両側リアスライドドアを採用して高い利便性を実現したスーパーハイトワゴンと呼ばれるクルマです。車種名を挙げるとホンダN-BOX、日産デイズルークス、スズキスペーシア、ダイハツタントが当てはまります。これらのモデルは軽自動車としては価格が高く、上級グレードでは200万円を超えるものもあります。いまや価格的にリッターカーと重なってくるようになってきているのです。

軽自動車のスーパーハイトワゴンといい勝負

タンクのエアログレード「カスタム」。より精悍な印象だ

確かに軽自動車は税金面などではメリットがありますが、乗車定員は4人です。税金などは高くなるものの、価格がそんなに変わらないのであれば、乗車定員が多いリッターカーのハイトワゴンのほうにメリットを感じる人がいても不思議ではありません。リッターカーなら動力性能は軽自動車より余裕があります。燃費や小回り性能も実際は軽自動車とそんなには変わりません。

同じくタンクのカスタム。黒とシルバー部分が増える

もうひとつ、大きな理由はスタイルの進化でしょう。ソリオは当初ワゴンRワイドという名称で、その後もワゴンRに似たスタイルを持っていました。しかし2010年に登場した先代ソリオから独自のスタイルとなり、2015年からの現行型もその路線を継承しています。軽自動車のスーパーハイトワゴンの使い勝手を持ちつつ、ボディサイズの制約が少ないがゆえのコンパクトカーらしい余裕のあるデザインとなったことも、人気が上昇した理由だと思います。

後出しじゃんけんだから、勝つに決まっている!

ソリオはトヨタと比べると販売力が強くないスズキで毎月約5,000台も売れるスマッシュヒットとなりました。確実にリッターカーのハイトワゴン市場は大きくなってきたのです。そこで、スズキソリオの独占に待ったをかけるために、2016年11月に登場したのがトヨタルーミー/タンク。外観はソリオよりもさらに軽自動車のスーパーハイトワゴン寄りの実用性を重視したスタイルを採用しています。

それもそのはず、ルーミー/タンクは軽自動車やスモールカーに専門性をもつトヨタグループの一員、ダイハツが開発したトールの兄弟車として、トヨタがOEM供給を受けているクルマなのです。軽自動車でスズキとガチンコの勝負を繰り広げているダイハツが、徹底的にソリオを研究して開発したクルマゆえに、その中身はさすがの力作。ソリオと比べると、ルーミー/タンクは特に質感などで優位に立っています。「後出しじゃんけん」のかいがあったというものです。

軽自動車の良さをリッターカーに持ち込んだ

そんなルーミー/タンク、そしてライバルのソリオに共通する美点は、室内空間の広さやシートアレンジ、収納などの充実ぶり。さすが競争の激しい軽自動車メーカーの製品だなと感心します。

ヴィッツやノートなどトヨタや日産が作るコンパクトカーに比べて、引けを取るどころか使い勝手の良さの点ではまさっている部分も多くあります。

安全装備の充実ぶりも人気の秘密

さらに軽自動車メーカーが開発したことが思わぬ形でメリットになったことがあります。それは先進安全装備です。なにしろ一時は(ダイハツが開発した)ルーミー/タンクが、トヨタの開発したコンパクトカーのヴィッツやアクアよりも安全装備が充実しているという逆転現象も起きていました。

ルーミー/タンクはデビュー当初から衝突回避支援システム「スマートアシストII」を搭載していました。しかしソリオが安全装備をアップデートすると、負けずにルーミー/タンクも2018年11月に一部改良を行います。衝突回避支援ブレーキ機能がこれまでの対車両に加えて、歩行者も検知可能となり、さらに夜間での歩行者の早期発見に貢献するオートハイビームを搭載した最新の衝突回避支援システム、「スマートアシストIII」へとアップデートを行ったのです。前後方のセンサーで障害物を検知して、警報で知らせるコーナーセンサーも標準装備するなど、安全性能は軽自動車の最新モデル同様に、非常に高いレベルとなっています。

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エンジンなど走りはオーソドックな成り立ち

こちらはターボエンジン

こちらがノーマルエンジン

パワーユニットは、ライバルのソリオは1.2Lガソリンエンジンやハイブリッドシステムを搭載していますが、ルーミー/タンクは最高出力69psを発生する1.0L直列3気筒DOHCエンジンと最高出力98psを発生する1L直列3気筒ターボの2種類。非常にオーソドックスな成り立ちです。組み合わされるトランスミッションは全車CVTでJC08モード燃費は自然吸気エンジン車が22.0〜24.6km/L。ターボ車は21.8km/Lとなっています。ちなみに駆動方式はターボ車が2WD(FF)のみで、自然吸気車には2WDと4WD車が設定されています。

その良さを理解する人がいまだに増加中

アップデートを重ねることでソリオは毎月約5,000台を販売し、一方のルーミー/タンクは合計でなんと約1万2,000台以上販売しています。2019年5月の販売台数で1万2,000台というと第1位のプリウスを超える数字なのです。そして登場してから2年以上経つというのに、販売台数の昨年比はプラスを続けています。つまり、ルーミー/タンクなどのリッターカーのハイトワゴンの良さに気付いた人がどんどん増えているということなのでしょう。

ニッチなマーケットと思われていたリッターカーのハイトワゴンですが、ソリオが地道に開拓を続け、軽自動車のスーパーハイトワゴンの使い勝手の良さが受け入れられるという流れを見て、トヨタが(ダイハツの力を借りて)工夫を施して参入し、人々の注目が集まり大きな市場となりました。

トヨタがブランド力・販売力の高さを見せつけたということもできますが、ルーミー/タンク、そしてソリオも含めたリッターカーのハイトワゴンのクルマとしての魅力が、多くの人に受け入れられていることも間違いありません。

ルーミー&タンク価格表

グレード駆動方式JC08モード燃費(km/L)車両本体価格
XFF24.6146万3400円
4WD22.0163万6200円
X“S”FF24.6152万8200円
4WD22.0170万1000円
GFF24.6168万4800円
4WD22.0185万7600円
G-TFF21.8180万3600円
カスタムGFF24.6183万6000円
4WD22.0200万8800円
カスタムG-TFF21.8196万5600円
G“Cozy Edition”FF24.6173万160円
4WD22.0190万2960円
萩原 文博

この記事の執筆者

萩原文博(はぎはらふみひろ)

中古車雑誌編集部を経てフリーランスとして独立。現在は日本で最も多くの広報車両を借り出している男として業界で有名だ。もともと走り屋だけに走行性能の評価は得意。それだけでなく長年の中古車相場の研究で培った、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した、総合的に買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

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