車のフロントガラスが傷ついたらどうすべき？修理・交換費用の目安も紹介

車での走行中、突然「ビシッ」という音がしてフロントガラスに傷が入ってしまった…。
そんな風に、フロントガラスが傷付くことは珍しくありません。

小さな傷だと放置しがちですが、場所によっては時間経過で悪化する場合もあるので、適切に対処したいところです。ここでは、正しい対処法と修理・交換にかかる費用や時間をご紹介します。

フロントガラスが傷付く原因

走行中、車のフロントガラスに目に見えるぐらい大きな傷がつくのは、多くの場合「飛び石」が原因です。前方車両や対向車両が巻き上げた小石などが飛んでくるもので、走行中いつでも起こる可能性があります。

フロントガラスに飛び石があたった場合の対処法

車のフロントガラスは、「合わせガラス」といって2枚のガラスのあいだに透明樹脂フィルムを挟んだ三層構造になっています。事故などでガラスが割れても飛び散らない、衝撃に強く、安全性の高い作りなので、飛び石によってフロントガラスが大きく傷付くことはあまりありません。

しかし、小さな傷でも後々大きなダメージとなる場合があるので、しっかり対処することが大切です。

傷の状況を確認する

フロントガラスに傷を見つけたら、まず車を安全な場所へ移動し、傷の状態を観察しましょう。
傷やひびで視界が大きく損なわれているような場合は、それ以上運転するのはやめ、JAFや加入している保険会社に連絡します。

フロントガラスを大きく損傷した状態での運転は道路交通法違反なので、絶対にやってはいけません。
傷が軽微で、運転席からの視界に問題がなければ、車を運転して目的地や自宅まで移動しても大丈夫です。

小さい傷でも放置するのはNG

視界の妨げにならない小さな傷は、ついつい放置してしまいがちです。
しかし、一見問題なく見える小さな傷でも、走行時の振動や車内外の温度差にさらされ続けると、傷が広がってしまう場合があります。傷ができたばかりのころなら修理で済んだのに、放置したことで傷が広がり、フロントガラスの交換につながることも少なくないので、小さな傷でも放置はNGです。

できるだけ早く専門業者に見てもらうか、リペアツールを使って修理しましょう。

すぐ専門店へ行けない場合の応急処置

すぐに修理や専門業者への依頼ができない場合は、傷を広げないために応急処置をしておきます。応急処置には、保護シールを貼る方法と樹脂製の充填剤を注入してひびを固める方法があるので、扱いやすいほうを選択しましょう。保護シールのほうが簡単なのでおすすめです。

ただ、どちらにせよあくまでも応急処置なので、処置後はできるだけ早く、しっかり修理する必要があります。

フロントガラスの修理

フロントガラスの傷を修理できるか、それともフロントガラス自体の交換が必要かは、傷の大きさや場所によって異なります。
詳細は専門家の判断が必要ですが、修理できるケースとできないケースの大まかな見分け方は以下のとおりです。

修理できるケース

傷のサイズが500円玉以下で、位置がフロントガラスの上部や左右の端から10～20cm以上離れている場合は、修理できる可能性が高いです。

ただし、修理しても多少の跡は残るため、傷が運転席からの視界を妨げる位置にある場合は、修理できずに交換になることもあります。
また、傷がフロントガラスの曇りを除去するデフロスターの風があたる位置にある場合も、温度変化によって傷跡から割れる可能性が高いため、基本的に交換になります。

修理できず交換になるケース

傷のサイズが500円玉大以上の場合、傷が運転席からの視界を妨げる場合、傷がフロントガラスの上部や左右の端から10～20cm以内の位置にある場合、傷がデフロスターの風があたる位置にある場合は、交換になることがほとんどです。
また傷跡は小さくても、飛び石がフロントガラスを貫通したような場合は交換になります。走行中の振動により、傷やひびが広がる可能性が高いからです。

修理・交換にかかる費用と時間の目安

フロントガラスの修理には、ドライバー自身で市販のリペアツールを利用して直す方法と、ディーラーやガラス専門工場に修理を依頼する方法があります。
それぞれのメリット・デメリットと、かかる費用、時間の目安をご紹介しましょう。

自分で修理する

ごく小さな傷であれば、ホームセンターなどで売られているリペアツールで修理できる場合があります。ツールの価格は1,000～3,000円程度、修理にかかる時間は1時間ほどが目安です。
ただ、素人判断での修理になるので、傷の深さが正しく見積もれずに不十分な補修しかできない可能性はあります。

補修が不十分だと車検に通らない可能性もあり、また、後々傷が広がってしまうことも考えられます。
自分で行う修理は、時間と費用がかからないメリットはありますが、リスクもそれなりに大きいといえるでしょう。

ディーラーやガラス専門工場に持ち込む

ディーラーやガラス専門工場に依頼する最大のメリットは、修理で済むのか、フロントガラスの交換が必要なのかを、プロの目で判断してもらえることです。安全のために必要な修理・交換を確実に行ってもらえるので、車検の際の不安もなく、安心して乗車できます。

業者による違いとして、ディーラーは費用が高めですが、メーカー純正品への交換が可能で、品質保証は万全なのが特徴です。一方、整備工場では交換部品も純正品に比べれば安いため、費用を抑えられる傾向があります。

修理の場合、費用は傷の状態や車種、ガラスの種類によっても異なりますが、相場は20,000～40,000円程度、作業時間は30分～1時間半程度が目安です。
交換の場合は、費用は10万円以上、作業時間は接着剤を乾燥させる時間まで入れて3～4時間かかることが多いです。

フロントガラスの修理・交換に保険は使える？

加入している車両保険の契約内容によりますが、フロントガラスの交換には車両保険を利用することも可能です。ただし、いくつか注意したい点があります。

車両保険を使うときに注意したい点

・保険等級が下がる
フロントガラスの修理・交換は「1等級ダウン事故」扱いになるので、その分、翌年からの保険料が上がります

・事故有係数により、保険料が割り増しになる
「1等級ダウン事故」扱いになることで事故有係数期間に1年が加えられ、その間、保険料の割引率が下がります

・自己負担金が発生する場合もある
契約内容によっては全額を保険ではまかなえず、自己負担金が発生する場合があります

・契約内容によっては、保険が使えない場合もある
契約によっては、補償内容にフロントガラスの修理・交換が含まれず、保険が使えない場合もあります

フロントガラスの修理・交換は、たとえ保険が使えても将来の保険料を考えれば、使わないほうが得なケースもあります。そこでまずは業者から見積もりを取り、翌年以降の保険料も考えた上で判断するのがおすすめです。

まとめ

車のフロントガラスの傷は、早めの対処が必要です。傷の大きさや位置によって、リペアツールで修理するか、ディーラーやガラス専門工場に修理・交換を依頼しましょう。
小さな傷だと思って放置すると、傷やひびが広がり修理・交換費用がかさむことも少なくないので、放置は禁物。応急処置で安心せず、できる限り早く修理・交換を行ってください。

よくある質問

Q1：フロントガラスが傷付いたら修理するべき？

A：傷の大きさにかかわらず、早急な修理が必要です。小さな傷は放置しても問題ないように思えますが、走行時の振動や車内外の温度差にさらされ続けることで、傷やひびが広がってしまうことがあります。
初期段階で対処すれば修理で済んだのに、放置したために傷が広がり、フロントガラスの交換が必要となるケースもあるので、小さな傷でも必ず修理しましょう。

Q2：修理できるかどうかを見分ける基準は？

A：おおよその目安として、傷の大きさが500円玉以下かつ傷の位置がフロントガラスの上部や左右の端から10～20cm以上離れていれば修理が可能です。ただし、傷が運転席からの視界の妨げとなっている場合やデフロスターの風があたる位置にある場合は、フロントガラスの交換が必要になることが多いです。

Q3： フロントガラスの修理・交換には、どれぐらいの費用や時間がかかる？

A：修理費用は20,000～40,000円前後、修理時間は30分～1時間半ほどが目安となります。交換の場合は、費用は10万円以上、作業時間は接着剤が乾くのを待つ時間も込みで3～4時間程度が目安です。

※この記事は2022年5月時点の情報で制作しています