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2020年、ミニバンの人気車種ランキング!全17車種からおすすめの車種を徹底紹介

2020年上半期、ミニバンの人気車種ランキング!全17車種からおすすめの車種を徹底紹介
2020年上半期、ミニバンの人気車種ランキング!全17車種からおすすめの車種を徹底紹介

広い室内に3列シートとスライドドアを組み合わせたミニバンは、ファミリー層を中心に人気の高いボディタイプです。トヨタシエンタ、ホンダフリードのようなコンパクトミニバンから、トヨタアルファード/ヴェルファイアのようなラージミニバンまで、現在国産車で買うことができるミニバンは全17車種。今回は2020年上半期の販売ランキングを眺めつつ、クラスごとに厳選した人気ミニバンを紹介します。

今日のミニバンを確立したのは1996年のホンダステップワゴン

今日のミニバンを確立したのは1996年のホンダステップワゴン1

トヨタタウンエース(のちのノア)や日産バネット(のちのセレナ)など、以前から商用車で人気のあったキャブオーバー型1BOXバンをベースにした乗用モデルはありましたが、乗用車専用として考えると日本におけるミニバンの元祖は1982年の日産プレーリーや1983年の三菱シャリオあたりでしょう。その後、トヨタエスティマやマツダMPVなどスマッシュヒットとなったモデルもありましたが、現在主流の横置きFF、3列シート、スライドドアのミニバンというジャンルを確立したのは、1996年に登場したホンダステップワゴンです。

今日のミニバンを確立したのは1996年のホンダステップワゴン2

ステップワゴンは専用設計の低くて平らなフロア構造がもたらす広く使いやすい室内空間、乗用車に近い走行性能、そしてプレーンなデザインによるクラスレス感などで大ヒットとなります。実はステップワゴンのヒットの伏線として1993年の軽自動車ワゴンRの発売があります。エンジンルームが短く背が高い乗用トールワゴンスタイルを採用したワゴンRは、使い勝手の良さに加えて既存のヒエラルキーから外れたクラスレスさも人気の理由でした。そしてワゴンRが出た時に似ていると言われたのが、ホンダが1972年に発売し、売れなかったものの一部に熱狂的なファンがいたライフ・ステップバン。ワゴンRの大成功を見てホンダはさぞかし悔しかったのではないでしょうか。しかし早すぎたステップバンの仇を見事にステップワゴンで取ったわけです。

ステップワゴンの大ヒットに続けとばかり、慌ててトヨタや日産なども商用車から独立させる形でノア、セレナなどを送り出し、この2Lクラスのミドルミニバンはセダンを追い落としてファミリーカーの定番となりました。

ミニバンは大きく分けてサイズ別に3種類に分けられる

■2020年1〜6月乗用車販売台数ランキング(ミニバン)*50位まで。軽自動車を除く

順位車名ブランド名台数前年比クラス
6シエンタトヨタ40,19478.9コンパクトミニバン
7フリードホンダ38,84485.3コンパクトミニバン
10アルファードトヨタ36,597103.8ラージミニバン
11セレナ日産35,59966.3ミドルミニバン
13ヴォクシートヨタ33,81870.7ミドルミニバン
16ノアトヨタ20,64770.8ミドルミニバン
22ステップワゴンホンダ17,27159ミドルミニバン
23エスクァイアトヨタ16,09572.2ミドルミニバン
33ヴェルファイアトヨタ10,69751.5ラージミニバン
45オデッセイホンダ4,88061.9ラージミニバン
48ハイエースワゴントヨタ4,14681.2ラージミニバン

 

コンパクトカーやSUVに押されつつあるものの、ミニバンは今でも一定の人気を維持しています。2020年の上半期販売台数ランキングでもTOP10に3車種、50位までだと11車種がランクイン。ここでは3列シート仕様の設定をミニバンの定義としていますが、トールワゴンスタイルにスライドドアを持つホンダN-BOXなどの軽自動車スーパーハイトワゴンや、トヨタルーミーやスズキソリオなどのコンパクトトールワゴンなどもミニバンの「仲間」として考えれば、巨大なマーケットだということがお分かりいただけるでしょう。

ミニバンは大きく分けてサイズ別に3種類に分けられる

ミニバンはサイズによってコンパクトミニバン、ミドルミニバン、ラージミニバンの3種類に分けることができます。現在、国産車で買うことができるミニバンは17車種。このうちスズキランディは日産セレナのOEM車、トヨタノア/ヴォクシーは姉妹車ですので実質は15車種です。ミニバンでは目指すような走りを実現できないとして撤退したマツダやスバル、軽自動車・コンパクトが中心のダイハツにはミニバンはラインナップされていません。今回は販売ランキングなどで人気具合もチェックしつつ、3種類のミニバンごとに2020年上半期おすすめの車種を紹介していきましょう。
*各車の価格は1000円未満を四捨五入、サイズは代表的なグレードのものです。

日本で使いやすいボディサイズで人気「コンパクトミニバン」の2020年上半期おすすめランキングBEST2

ランキングといったらベスト3とするのが普通なのですが、全長4.3m前後のコンパクトミニバンにはトヨタシエンタとホンダフリードしかありません。このクラスのミニバンは海外での需要がそれほど見込めず、ある意味日本専用車に近いので仕方ないのでしょう。それでも2台とも販売ランキングではTOP10に食い込んでいます。そろそろ日産あたり参入しないのでしょうかね。モデルチェンジが近いルノーカングーのOEMモデルだと大きすぎるのかな。

1位 「トヨタシエンタ」 個性と実用性を両立したコンパクトミニバン

●177.7〜253.3万円 ●全長4260mm / 全幅1695mm / 全高1675mm

1位 「トヨタシエンタ」 個性と実用性を両立したコンパクトミニバン1

コンパクトミニバンはシエンタとフリード、どちらも甲乙つけがたく一長一短ですので引き分けとしています。2003年に発売された初代シエンタは2010年にいったん生産中止となるものの、根強い人気に支えられ9ヶ月後にマイナーチェンジして復活した異例のモデルでした。

1位 「トヨタシエンタ」 個性と実用性を両立したコンパクトミニバン2

2代目となる現行型のシエンタは2015年7月にデビュー。使いやすい5ナンバーサイズはキープしつつ、スニーカーをイメージした斬新なデザインでヒットモデルとなりました。当初は3列シートモデルのみでしたが、ライバルのフリードプラスに対抗して2018年9月のマイナーチェンジで2列シート仕様の「FUNBASE」を追加しています。2019年8月にはなんとミニバン初の月間販売台数ランキング1位に輝き、業界関係者を騒然とさせました。

1位 「トヨタシエンタ」 個性と実用性を両立したコンパクトミニバン3

1位 「トヨタシエンタ」 個性と実用性を両立したコンパクトミニバン4

ライバルのフリードがコンサバなデザインなのに対して、シエンタは前述のように個性的な内外装デザインが特徴。シエンタは個性的な外観ですが、室内空間はデザインの犠牲になっておらず十分広く使い勝手も優れています。3列目シートはミニマムで大人には長距離は少しきびしいサイズですが、それはフリードも大差ありません。しかし3列目シートが床下に収納できることはフリードに対して優位なポイントです。

1位 「トヨタシエンタ」 個性と実用性を両立したコンパクトミニバン5

エンジンは1.5Lガソリンと1.5Lハイブリッドの2本立て、4WDはガソリンモデルのみに設定されています。ハイブリッド同士だと燃費はシエンタの方がやや勝りますが、フットワークの良さはフリードがやや勝ります。

気になるシエンタの先進安全装備は赤外線レーザー+単眼カメラのタイプで、今日主流のミリ波レーダー+単眼カメラタイプに比べると改良を重ねているとは言え少し物足りなさを感じます。なぜかトヨタセーフティセンスに含まれない前後の誤発進抑制装置も一部グレードではオプションですので注意が必要です。

1位 「ホンダフリード」 走りと実用性を両立したコンパクトミニバン

●199.7〜327.8万円 ●全長4265mm / 全幅1695mm / 全高1710mm

1位 「ホンダフリード」 走りと実用性を両立したコンパクトミニバン1

2001年に登場したモビリオから数えると3代目にあたるのが2016年9月に登場した現行型のホンダフリード。2列シートモデルとしてフリードプラスが当初から設定されており、2017年12月にはスポーティな内外装を採用した「Modulo X」を追加、さらに 2019年10月のマイナーチェンジでクロスモデルのクロスターが加わり、シエンタよりも多くの選択肢が用意されています。価格が高く見えるのは「Modulo X」やハイブリッドの4WDモデルが存在するからです。

1位 「ホンダフリード」 走りと実用性を両立したコンパクトミニバン2

1位 「ホンダフリード」 走りと実用性を両立したコンパクトミニバン3

フリードもシエンタとほぼ同じ5ナンバーサイズですが、先代からキープコンセプトの外観、そして内装デザインは実用性重視のコンサバなもの。この点でシエンタとは大きく異なります。実用性という面でも3列目シートが跳ね上げ式であることが異なりますが、それ以外の広さや使い勝手の良さは互角で、どちらもよくできています。

1位 「ホンダフリード」 走りと実用性を両立したコンパクトミニバン4

1位 「ホンダフリード」 走りと実用性を両立したコンパクトミニバン5

エンジンは1.5Lガソリンと1.5Lハイブリッドの2本立て、ハイブリッドモデルにも4WDが設定されているのがフリードのアピールポイントです。フリードのハイブリッドは「e:HEV」と呼ぶ新型フィットのものとは異なり、ひと世代前の1モーター+DCTタイプなので燃費の点ではシエンタに一歩譲りますが、エンジンが主役の走りでダイレクト感は上回ります。また、先進安全装備はミリ波レーダー+単眼カメラでシエンタよりスペックは上です。前後誤発進抑制機能に加えて、全車速ではなく30km/h以上で作動するタイプですが高速道路で便利なACCもフリードは全車標準です。

とは言え、シエンタとフリードのハード面での出来はどちらも大きな差はありません。この2台はスタイルやブランドの好みで決めて良いかと思います。

ミニバンの主流「ミドルミニバン」の2020年上半期おすすめランキングBEST3

日本のミニバンブームを牽引したのが全長4.7m前後のボディを持つミドルクラスミニバン。一部のエアログレードを除いて全幅も1.7m未満として、日本で使いやすい5ナンバーサイズに収めているモデルが大半です。前述のようにホンダステップワゴンが開拓したこのマーケット、当初は専用設計で床が低いステップワゴンが走行性能も室内空間の広さも優っていました。しかしライバルのトヨタノア /ヴォクシー、日産セレナもモデルチェンジを重ね、今では同様の低床シャシーを持つことで、その差は縮まっています。一方でノア /ヴォクシーがこのマーケットに持ち込んだハイブリッドモデルも、今ではセレナとステップワゴンにも設定され、この部分でも差がなくなりました。ノミネートは上述の4車種に加えて、ノアベースながら豪華仕様のトヨタエスクァイア、商用車ベースながら乗用モデルをラインナップする日産NV250バネットも加えた6車種です。セレナのOEMであるスズキランディは含めません、

1位 「ホンダステップワゴン」 いまだ走りの良さ、使い勝手に優れるパイオニア

●271.5〜409.4万円 ●全長4690mm / 全幅1695mm / 全高1840mm

1位 「ホンダステップワゴン」 いまだ走りの良さ、使い勝手に優れるパイオニア1

2015年4月に登場した5代目となる現行型ステップワゴン。当初は標準車とエアログレードの「スパーダ」の2本立てのラインナップでしたが、2016年10月にスポーティな「Modulo X」も追加されています。大きな特徴はテールゲートを左右分割で開閉可能な「わくわくゲート」と、3列目シートを2分割で床下収納可能な「マジックシート」を採用したこと。ミニバンの大きなテールゲートは前後に余裕のない駐車スペースで開閉に困るものですが、それを解消する見事なアイディアです。

1位 「ホンダステップワゴン」 いまだ走りの良さ、使い勝手に優れるパイオニア2

当初は従来の2Lエンジンに代えて採用された1.5Lダウンサイジングターボエンジンのみでしたが、2017年9月のマイナーチェンジで待望の2.0Lハイブリッドモデルをスパーダに、2018年にはModulo Xにも追加しています。

1位 「ホンダステップワゴン」 いまだ走りの良さ、使い勝手に優れるパイオニア3

ステップワゴンを1位に推したのは、やはりその走りの良さ。ハイブリッドは現在では「e:HEV」と呼ぶようになったモーターが主役のタイプ、1.5Lターボもライバルの標準エンジンに比べて力強い走りを披露します。またコーナーでの安定感の高さもライバルより一枚上手です。

1位 「ホンダステップワゴン」 いまだ走りの良さ、使い勝手に優れるパイオニア4

1位 「ホンダステップワゴン」 いまだ走りの良さ、使い勝手に優れるパイオニア5

このクラスは室内空間の広さは3列目シートも含めて十分実用的です。しかし使い勝手の良さという点では、テールゲートや2列目シート、収納の点でステップワゴンと日産セレナがよく考えられていると感じます。安全装備はミリ波レーダー+単眼カメラのホンダセンシングで標準的な内容ですが、欲を言えば夜間対応や後方誤発進抑制がなかったりする点はセレナに比べて惜しいところ。ハイブリッドモデルは渋滞で便利なACCが全車速対応となる点は良いですね。

ステップワゴンの販売台数が今ひとつ振るわないのは、最近のホンダ車の例に漏れずスタイルが今ひとつ洗練されていない点ではないかと個人的は思います。2017年のマイナーチェンジでスパーダはだいぶ良くなったと思うのですが、みなさんいかがでしょう。中身はとても良い車です。

2位 「日産セレナ」 日産には珍しく「愛」も「実力」もあるミニバン

●257.6〜419.2万円 ●全長4685mm / 全幅1695mm / 全高1865mm

2位 「日産セレナ」 日産には珍しく「愛」も「実力」もあるミニバン1

最近になって風向きが変わってきたものの、ここ数年の日産の国内向けのラインナップの貧弱さにはかつての栄光を知るだけに非常に寂しい気持ちを持っていました。しかし2016年8月にデビューした5代目となる現行型セレナは違います。国内販売の柱として担当者のがんばりが伝わってくる力作です。

2位 「日産セレナ」 日産には珍しく「愛」も「実力」もあるミニバン2

セレナの人気の理由の一つはライバルたちに比べて少し大きく立派に見えるスタイルです。登場当初は標準車とエアログレードの「ハイウェイスター」に加えてオーテックが手掛けたカスタムバージョン「ライダー」の3本立てでしたが、2017年1月にはニスモからスポーティな「セレナNISMO」も追加されました。エンジンも当初の2Lガソリン、2Lガソリン+マイルドハイブリッドの2種類に加えて、2018年2月に待望の1.2Lハイブリッド「e-POWER」が設定されました(セレナNISMO と2Lガソリンは2019年のマイナーチェンジで生産中止)。

2位 「日産セレナ」 日産には珍しく「愛」も「実力」もあるミニバン3

2位 「日産セレナ」 日産には珍しく「愛」も「実力」もあるミニバン4

セレナを力作だと感じる点は、派手なところでは先進運転支援の「プロパイロット」やモーターが主役のハイブリッド「e-POWER」を挙げることができます。しかしミニバンとしての基礎点が高いこともその理由です。課題だった足回りの安定性は格段に向上し、乗り心地の良さはこのクラス随一です。また大きなテールゲートはガラス部分だけを独立して開けることができるので、ステップワゴンのわくわくゲート同様に狭い駐車スペースで非常に便利。2列目シートの使い勝手の良さ、気の利いた収納などにも担当者の「愛」を感じます。2019年8月のマイナーチェンジで内外装を刷新し安全装備も大幅に拡充したにもかかわらず、2020年8月の仕様向上でプロパイロットの設定拡大やさらなる安全機能の向上を図るなど、こまめなアップデートを図っている点も非常に好感が持てます。プロパイロットの有無で多少差があるものの先進安全装備・運転支援装置の充実度はクラスナンバー1でしょう。

2位 「日産セレナ」 日産には珍しく「愛」も「実力」もあるミニバン5

そんなセレナを1位ではなく2位とした理由は、本当はノア/ヴォクシー合計の方が売れているのに「ミニバン販売台数ナンバー1」と言ってみたり、e-POWERを電気自動車かのように思わせるキャッチコピーだったり、プロパイロットを自動運転のように宣伝したり、そういった巧妙な売り方が気に食わないのではありません。売れ筋のハイブリッドの実力がステップワゴンの方が一枚上手だからです。小さなエンジンでエンジン直結機構を持たないe-POWERはコスト面ではメリットが大きいのですが、ノートクラスならともかく、このクラスの大きなミニバンでは絶対的な動力性能や燃費の部分でやや劣ります。

とはいえ、剛のステップワゴンに対して柔のセレナ。乗り味は異なりますがどちらも良くできており僅差の2位です。

3位 「トヨタノア/ヴォクシー」 無難な選択だが古さは隠しきれない

●255.6〜344.3万円 ●全長4695mm / 全幅1695mm / 全高1825mm

3位 「トヨタノア/ヴォクシー」 無難な選択だが古さは隠しきれない1

2014年1月にデビューした3代目となる現行型トヨタノア /ヴォクシーは内外装の一部デザインが異なる姉妹車です。ライバルと同じく標準車とエアログレード(ノアはSi、ヴォクシーはZS)の2本立て、エンジンは2.0Lガソリンと3代目プリウスベースの1.8Lハイブリッドの2種類。登場時からこのクラス初となるハイブリッドを用意したことで人気を呼びました。

3位 「トヨタノア/ヴォクシー」 無難な選択だが古さは隠しきれない2

2017年7月のマイナーチェンジで内外装を一新、特に外観は人気のアルファードやヴェルファイアを意識した押し出しの強いデザインとなり人気に拍車を掛けました。なお2020年4月に全車種併売化に合わせヴォクシーの標準車が生産中止になるなどラインナップの整理がこっそり行われています。

3位 「トヨタノア/ヴォクシー」 無難な選択だが古さは隠しきれない3

セレナのところで嫌味ぽく書きましたが、ノア/ヴォクシーは合計すると月によっては販売台数ランキングベスト3に食い込むほどの人気を誇ります。もちろんトヨタの販売力と価格力もあるのですが、人気の理由はデザインのバランスの良さとハイブリッドではないでしょうか。デザインのバランス、と書いたのは決して凡庸なデザインという意味ではありません。定番感に加えて特にエアログレードなどのほど良い押し出し感のバランスがとても良いということです。

3位 「トヨタノア/ヴォクシー」 無難な選択だが古さは隠しきれない4

ただしテールゲートにステップワゴンやセレナのような工夫がない点が象徴的ですが、内装の使い勝手はライバル2車に比べるとちょっと及びません。ハイブリッドの燃費こそいまだにトップレベルですが、コーナーでの安定性や乗り心地でなど走りの点ではライバルたちに後れをとっています。また安全装備も地道なアップデートを重ねていますが、赤外線レーザー+単眼カメラというスペックも、ACCなどの運転支援機能もやや見劣りします。

3位 「トヨタノア/ヴォクシー」 無難な選択だが古さは隠しきれない5

走りや安全装備の面から現在のノア/ヴォクシーは特に長距離ドライブに行くことの多いファミリーにはあまりおすすめできないのが正直なところ。最近のトヨタ車はカローラやRAV4などを筆頭に、走りにしても安全装備にしても非常に高いレベルの実力を持っています。ノア/ヴォクシーも次期型に期待です。

ランキング外のトヨタエスクァイアと日産NV250バネットはどうなのか?

ランキング外のトヨタエスクァイアと日産NV250バネットはどうなのか?1

ノア/ヴォクシーの姉妹車ながら豪華仕様のトヨタエスクァイアは本来エスティマの代替需要も見込んだ車種でした。豪華さという点では十分なのですが、エスティマが持っていたスタイリッシュなエレガントさは持ち合わせていなかったことが、やや存在感に欠ける理由でしょう。それでもステップワゴン並みの販売台数を叩き出すあたり、トヨタの販売力の凄さを感じさせます。ノア/ヴォクシー同様に走りや安全装備の面でやや見劣りするので今回はベスト3からは外れました。

ランキング外のトヨタエスクァイアと日産NV250バネットはどうなのか?2

商用車ベースながら乗用モデルをラインナップする日産NV250バネット。このクラスの中では全長4.4mとやや小ぶりなボディサイズです。激しい競争が行われているミドルミニバンの中に混じると、商用車ベースであり2009年デビューということもあって、走り、装備、安全装備のすべてで見劣りします。積極的におすすめする理由は見当たりません。

今や高級セダンも飲み込む勢い「ラージミニバン」の2020年上半期おすすめランキングBEST3

ミドルミニバンよりも大きなラージミニバンマーケットの火付け役は1997年にデビューした日産エルグランドです。エルグランドはただ大きいだけでなく、それまでのミニバンにはなかった押し出し感の強いデザイン、そしてパワフルなV6エンジンを組み合わせることで強烈な存在感を放ち、高級ミニバンというジャンルを確立しました。圧倒的な人気を誇ったエルグランドでしたが、モデルチェンジを重ねるうちにトヨタが送り込んだアルファード/ヴェルファイアに逆転を許し、その差を広げられてしまいました。途中、ホンダからもエリシオンが登場したものの、アルファード/ヴェルファイアの王座は揺るがず、今日に至っています。そんなラージクラスミニバンにノミネートされたのはトヨタアルファード/ヴェルファイア、トヨタグランエース、日産エルグランド、ホンダオデッセイ、三菱デリカD:5といった全長4.8mオーバーの各車、トヨタハイエースワゴンと日産NV350キャラバンの商用車ベースの乗用モデルも加えた合計8車種です。

1位 「トヨタアルファード/ヴェルファイア」 絶対的な存在感、充実した内容

●352〜775.2万円 ●全長4935mm / 全幅1850mm / 全高1935mm

1位 「トヨタアルファード/ヴェルファイア」 絶対的な存在感、充実した内容1

2015年1月にデビューした3代目アルファード、2代目ヴェルファイアは、「ミニバンではなく高級車として開発した」とトヨタはアナウンスしています。確かに走行性能や静粛性の進化具合はなかなかのもの。しかし最大のポイントは大きく見えるデザインを維持した点でしょう。

1位 「トヨタアルファード/ヴェルファイア」 絶対的な存在感、充実した内容2

2010年にデビューした3代目エルグランドが走行性能を高めるために全高を下げ、しかしそれが不評でセールスが低迷してしまったのとは対照的です。やはり高級ミニバンは大きく立派に見えることが理屈抜きに大事なのです。

1位 「トヨタアルファード/ヴェルファイア」 絶対的な存在感、充実した内容3

1位 「トヨタアルファード/ヴェルファイア」 絶対的な存在感、充実した内容4

現行型のアルファード/ヴェルファイアは従来通り標準ボディとエアログレードの2本立て。エンジンは2.5Lガソリン、3.5LのV6ガソリン、そして2.5Lハイブリッドの3種類です。一番高いグレードは一番安いグレードの2倍以上の価格であることに驚きますが、確かに最上級グレードの2列目シートの広さと豪華さ具合は、クラウンやレクサスLSすら凌ぐのではないでしょうか。現行のアルファード/ヴェルファイアはシャシーの低床化を図っているのですが、前述のように車高は高いので、2列目の頭上空間はゆとりがあります。一方、運転席の座面は低床シャシーとは思えないほど高く、隣の車を見下ろすことが目的なのではないか、と勘ぐってしまいますが、多分そうなのでしょう。

1位 「トヨタアルファード/ヴェルファイア」 絶対的な存在感、充実した内容5

初代日産エルグランドのスピリッツを正しく受け継いだ、アルファード/ヴェルファイアのデザインは押し出しの強さが特徴であり、軽自動車のカスタム系などにも大きな影響を与えました。特にヴェルファイアはアルファードよりアグレッシブなデザインで人気だったのですが、2017年12月に行われたマイナーチェンジ以降、アルファードの方が販売台数が多くなるという異変が起きました。過ぎたるは及ばざるが如し、ということなのでしょうか。それにしても2020年4月以降はアルファードが月間販売台数ランキングでも5位前後に定着しており、その人気ぶりには改めて驚かされます。

1位 「トヨタアルファード/ヴェルファイア」 絶対的な存在感、充実した内容6

高級車として開発したと言い張るだけに、現行型の走りは格段に進歩しました。マイナーチェンジを機に最新型のトヨタ セーフティセンスも導入され、ライバルがモタモタしていることもあって死角は見当たりません。あえてケチをつけるとしたらマイナーチェンジで新型に切り替わった3.5LのV6エンジンはすばらしいものの、組み合わせられた新開発の8速ATがルーズでイマイチ、という点ぐらいでしょうか。おすすめは2.5Lハイブリッドです。

2位 「三菱デリカD:5」 唯一無二のミニバンSUV、すばらしいディーゼルと8AT

●391.4〜447.3万円 ●全長4800mm / 全幅1795mm / 全高1875mm

2位 「三菱デリカD:5」 唯一無二のミニバンSUV、すばらしいディーゼルと8AT1

本来はアルファード/ヴェルファイアのライバルであるエルグランドを推したいところですが、その差は大きいので今回は「異種格闘技」で三菱デリカD:5を2位に選びました。デリカD:5は、1982年に登場したデリカスターワゴンの4WDモデルにルーツがあり、その後、デリカスペースギア、デリカD:5と名前は変わったものの、SUVとミニバンのクロスモデルとして長い歴史を誇ります。

2位 「三菱デリカD:5」 唯一無二のミニバンSUV、すばらしいディーゼルと8AT2

2007年1月にデビューした現行型は2019年2月に大幅な改良を受け、ディーゼル専用モデルとして内外装を一新しました。

2位 「三菱デリカD:5」 唯一無二のミニバンSUV、すばらしいディーゼルと8AT3

現在のデリカD:5は標準車とエアロ系のURBAN GEAR(アーバンギア)の2本立てとなり、派手になった外観デザインは賛否両論、車好きの間ではそれなりに話題となりました。内装デザインはセンスよく一新され、先進安全装備も時代に追いついています。

2位 「三菱デリカD:5」 唯一無二のミニバンSUV、すばらしいディーゼルと8AT4

2位 「三菱デリカD:5」 唯一無二のミニバンSUV、すばらしいディーゼルと8AT5

大幅な変更を受けたデリカD:5ですが、おすすめのポイントはディーゼルエンジンと新開発の8ATが生み出す走りの良さです。懐の深さを感じさせる乗り心地、185mmと十分に確保された最低地上高、そして信頼性の高い伝統の4WDシステムも相まって長距離ドライブは得意種目。アウトドア志向の方にはうってつけの道具になるでしょう。

3位 「日産エルグランド」2度目のマイナーチェンジで立ち直れるか?

●338〜831.6万円 ●全長4965mm / 全幅1850mm / 全高1815mm*価格はMC前、サイズはMC後

3位 「日産エルグランド」2度目のマイナーチェンジで立ち直れるか?1

この秋に2度目となるマイナーチェンジが予告されている日産エルグランド。前述したように走りを重視して全高を抑えたことが2010年に登場した3代目エルグランドの販売低迷の原因の一つと言われていますが、今回の変更はあくまでマイナーチェンジなので顔つきはセレナに似た印象になりますが背の高さについては変わりません。

3位 「日産エルグランド」2度目のマイナーチェンジで立ち直れるか?2

この3代目からエルグランドもFFとなり、低床シャシーを得たことで居住性や走行性能はレベルアップを果たしています。しかしエンジンは予定されているマイナーチェンジ後もV6の3.5Lガソリンと4気筒の2.4Lガソリンで、他社のようにハイブリッドやディーゼルなど燃費の良いエンジンを用意できないのが今の日産の苦しいところ。

3位 「日産エルグランド」2度目のマイナーチェンジで立ち直れるか?3

3位 「日産エルグランド」2度目のマイナーチェンジで立ち直れるか?4

豪華なインテリアはなかなかのものですし、大型化したモニターをインパネに組み込んだり、先進安全装備の最新化を行ったりと、今回の精一杯のアップデートでどこまで失地回復を果たせるのか、注目です。

ランキング外にラージミニバンの注目車種はあるのか?

ランキング外にラージミニバンの注目車種はあるのか?1

ランキング外にラージミニバンの注目車種はあるのか?2

ラージミニバンではこの他にマイナーチェンジが予告されているホンダオデッセイは注目しても良いでしょう。背の低いスポーティなミニバンということで一世を風靡したオデッセイですが、現行型はグローバル車種となりスライドドアの採用と1550mmを超えてしまった全高で、すっかりファンが離れてしまいました。全高が高くなったとはいえ1695mmと中途半端なのでアルファード/ヴェルファイアの代わりにはなりません。

しかし2モーターのハイブリッドを採用するなど、その走りには見るべき点があります。今回のマイナーチェンジでは内外装の一新や先進安全装備の拡充も行われるようです。背の高さにこだわらないのであればいい車だと思います。

ランキング外にラージミニバンの注目車種はあるのか?3

ランキング外にラージミニバンの注目車種はあるのか?4

昨年末にデビューしたトヨタグランエースはアルファード/ヴェルファイアを上回る全長5300mm、全幅1970mm。全高1990mmという巨大サイズで注目を集めました。ただこの車はセンチュリーほど立派ではないですが、どちらかというとドライバーズカーというよりは法人向け送迎車のニュアンスが強く、個人ユーザーにはおすすめしにくい車です。

ランキング外にラージミニバンの注目車種はあるのか?5

トヨタハイエースワゴンのベースはエンジンがフロントシート下にあるキャブオーバー型商用車ですが、カスタム好きな人たちから熱狂的な支持がある車です。ただオリジナルのままだとうるさいし乗り心地も良くないし営業車にしか見えないので、足回りや外装部品をカスタムパーツに交換するなど、気に入った仕様にするためにお金を惜しまない人なら引き止めません。それが魅力の車ですしカスタムパーツも底なしに豊富です。海外での中古車人気が高いので売却価格もある程度は期待できます。そういう車だとわかって買うなら止めません。

(まとめ)進化を続けるミニバンは日本人のニーズを受け止めた車

進化を続けるミニバンは日本人のニーズを受け止めた車

日本のミニバンは日本で生まれて日本で進化を続けています。最近ではアルファード/ヴェルファイア人気が海外にも飛び火し始めたようですが、要はグローバルに比べたらはるかに小さな日本マーケットのために作られている貴重な車種だということもできます。三菱はデリカD:5をフルモデルチェンジこそできなかったものの、できる範囲で精一杯のマイナーチェンジを行いました。つまり体力のあるメーカー以外、このマーケットに居続けることは難しいのです。それゆえに現在人気上位のミニバンたちは、軽自動車と並んで日本人のニーズに合せたおもてなし精神あふれる車が多くあります。必要であるなら買って損はない車たちなのです。

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*調査方法:インターネット調査 調査期間:2021年2月12日~15日 調査概要:カーリース10社を対象にしたイメージ調査 調査対象:男女、全国、18~69 歳、運転免許保有、(1)(2)週1回以上運転するファイナンシャルプランナー176s、(3)カーディーラー勤務者297s 調査実施:株式会社ショッパーズアイ 比較対象企業:「カーリース」Google 検索9社(2021年1月29日10 時時点) 広告、まとめサイトなどを除く

※記事の内容は2020年10月時点の情報で制作しています。

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