人気のカテゴリーとしてすっかり定着したSUV。今や軽自動車からラグジュアリーモデルまで、各自動車メーカーがさまざまなモデルを投入していて、まさに選びたい放題。自分の個性やライフスタイルにぴったり合った1台を選ぶことができます。今回は2020年上半期の販売ランキングを眺めつつ、百花繚乱の賑わいを見せるSUVを4つのカテゴリーごとに厳選。それぞれのおすすめモデルを紹介します。
自由で楽しいSUVのクルマ選び
クルマの世界で、今もっとも人気の高いカテゴリーといえばSUV。世界中のほとんどのメーカーがSUV市場に参入しているため、100万円台で買える軽自動車から4000万円クラスのロールス・ロイスまで、ありとあらゆるモデルが揃っています。
このSUVとはスポーツ・ユーティリティ・ヴィークルの略で、直訳すると多目的スポーツ車。簡単にいえばスポーツやレジャーなどに便利なクルマという意味になります。そのため、セダンとかハッチバックのようにボディによって分類できるものではなく、また、4WD車とかオフロードの走破性なども必須条件ではありません。例えば、コンパクトカーやステーションワゴンをベースに内外装をクロカン風に仕立てたモデルとか、逆にボディはSUVなのに中身はオンロード志向のスポーツカー。さらにはSUVのボディを低くしたクーペやフルオープンのコンバーチブルなどもあります。
このように、ひとくちにSUVといっても、その中身は千差万別。なんでもありの自由で楽しい雰囲気がSUVの大きな魅力といえます。
販売台数ランキングでも上位にランクイン
■2020年1〜6⽉乗⽤⾞販売台数ランキング(SUV)*50位まで。軽⾃動⾞を除く
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 | カテゴリー |
---|---|---|---|---|---|
1 | ライズ | トヨタ | 58,492 | ー | コンパクトSUV |
3 | フィット | ホンダ | 50,029 | 111 | コンパクト・コンパクトSUV |
7 | フリード | ホンダ | 38,844 | 85.3 | ミニバン・コンパクトSUV |
15 | RAV4 | トヨタ | 27,215 | 153.1 | ミドルクラスSUV |
18 | インプレッサ | SUBARU | 1,9381 | 79.3 | セダン・ワゴン・ミドルコンパクトSUV |
19 | C-HR | トヨタ | 18,389 | 57.1 | コンパクトSUV |
20 | ヴェゼル | ホンダ | 18,090 | 54.1 | コンパクトSUV |
21 | ロッキー | ダイハツ | 17,455 | ー | コンパクトSUV |
24 | CX-30 | マツダ | 15,937 | ー | ミドルコンパクトSUV |
28 | ハリアー | トヨタ | 13,770 | 66.3 | ミドルクラスSUV |
29 | CX-5 | マツダ | 12,655 | 62.6 | ミドルクラスSUV |
31 | フォレスター | SUBARU | 11,358 | 64.4 | ミドルクラスSUV |
32 | エクストレイル | 日産 | 11,163 | 49.4 | ミドルクラスSUV |
34 | ランドクルーザーW | トヨタ | 10,501 | 65.8 | ラージクラスSUV |
39 | クロスビー | スズキ | 8,093 | 58.4 | コンパクトSUV |
40 | CX-8 | マツダ | 7,064 | 47.8 | ラージクラスSUV |
41 | ジムニーワゴン | スズキ | 7,031 | 108.6 | コンパクトSUV |
44 | デリカD5 | 三菱 | 5,684 | 47.7 | ラージクラスSUV |
46 | UX250H | レクサス | 4,448 | 61.5 | ミドルコンパクトSUV |
49 | RX300 | レクサス | 4,001 | 298.4 | ラージクラスSUV |
50 | RX450H | レクサス | 3,972 | 199 | ラージクラスSUV |
2020年上半期の乗⽤⾞販売台数のランキングを見ると、SUVのトヨタライズが堂々の1位に輝いています。2位のトヨタカローラ、3位のホンダフィットというビッグネームを抑えての1位獲得は、まさに歴史的な快挙といえるでしょう。もちろんトヨタライズは2019年11月に発売されたニューモデルのため、新車効果が続いているという理由はあります。それでも単月で1位になるだけでなく、上半期で1位ということは、クルマ自体に大きな魅力がなければ決して達成できないはずです。
SUVがセダンやハッチバックなどの従来のボディタイプを抑えてトップに立ったということは、乗用車のトレンドが名実ともにSUVに流れていることを証明しています。各自動車メーカーが今後ますますSUVのラインアップを拡充していくことは間違いないでしょう。
現在、国産車で買うことのできるSUVは、軽自動車を除けば約35車種ほど。今回はそれらを、コンパクトSUV、ミドルコンパクトSUV、ミドルクラスSUV、ラージクラスSUVの4種類に分類。販売ランキングなどで各セグメントの⼈気具合もチェックしつつ、それぞれの2020年上半期おすすめの⾞種を紹介していきます。
各社の人気モデルがしのぎを削る、2020年上半期「コンパクトSUV」のおすすめランキングBEST3
ここ数年で各社からニューモデルの投入が続いているコンパクトSUV市場。その傾向は日本市場だけでなく、全世界的な流れとなっています。コンパクトSUVが急増した背景には、従来に比べてニューモデルの開発が容易になったことが挙げられます。
これまでニューモデルの開発には多くの時間と費用を要していましたが、多くのメーカーが汎用性のあるプラットフォームを開発したことにより、ひとつのプラットフォームから、ハッチバック、セダン、SUVのように異なるボディタイプのモデルをいくつも生み出すことが可能になったのです。
ノミネートは「トヨタライズ」「ダイハツロッキー」「トヨタC-HR」「ホンダヴェゼル」「トヨタヤリスクロス」「ホンダフィットクロスター」「日産キックス」「スズキジムニーシエラ」の8⾞種です。このうち「トヨタライズ」と「ダイハツロッキー」は姉妹車の関係にあるため、今回はひとつのモデルとして取り上げます。
1位 「トヨタライズ」「ダイハツロッキー」 サイズとコスパに優れた一卵性双生児
2019年11月の販売開始以来、コンパクトSUVとしてはかつてない快進撃を続けているトヨタライズとダイハツロッキー。2020年上半期の販売ランキングではトヨタライズがカローラやフィットを抑えて堂々の1位を獲得するなど、コンパクトSUV市場の牽引役となっています。
両者の特徴は、全⻑3,995 mm、全幅1,695 mm、全⾼1,620 mmという、全長が4m以下、幅も5ナンバーサイズの使いやすいボディサイズとしたことです。最近はボディサイズの大きいSUVが増えているなか、国内専用車として取り回しの良いコンパクトな使いやすい5ナンバーサイズにこだわった設計で差別化を図っています。SUVモデルを検討しているユーザーのなかには、ボディサイズの大きさを理由に購入を断念する人が決して少なくありません。日本のユーザーの使い勝手を第一に考えた設計が好評の理由です。
外観のデザインは、張り出したフェンダーと大径タイヤの採用で、SUVらしい力強さを表現。フロントマスクはトヨタライズとダイハツロッキーで明確に異なります。また、トヨタライズには「ターコイズブルーマイカメタリック」、ダイハツロッキーには「コンパーノレッド」という専用色を用意。それらの組み合わせから自分好みの1台を選択するのも楽しいでしょう。
インテリアは両車とも共通のデザインで、クローム加飾で上質感、レッドのアクセントカラーで遊び心を演出しています。ラゲッジスペースは369Lを確保。荷室幅1,000mm、荷室高865mm、荷室長755mmという十分な広さと、床下スペースを有効活用した独自の設計により、多彩な使いかたができます。
これらは軽乗用車の「タント」で初採用された新プラットフォーム「DNGA(Daihatsu New Global Architecture)」をコンパクトカーに適用した初のモデルとなります。エンジンは1.0Lターボエンジンで、トランスミッションはCVT。それぞれのグレードでFFと4WDを選ぶことができます。
タントがベースのため、例えばステアリングのフィーリングがイマイチなど、走りについては評価がそれほど高くないのも事実です。とはいえ、170万円から240万円台というコスパの高い価格帯は、そんな評価を覆すほどの魅力があります。コンパクトSUVとしての実力の高さは、トヨタライズの2020年上半期販売ランキングトップという結果が証明しています。
2位 「トヨタヤリスクロス」 スタイリッシュで走行性能が高い実力派
2020年8月31日に発売を開始したトヨタヤリスクロスは、その名の通り、ヤリスシリーズに新たに加わったコンパクトSUVモデルです。2020年2月に新世代コンパクトカーとして登場したヤリスでは、軽量、高剛性、低重心を実現するコンパクトカー向けTNGAプラットフォーム(GA-B)を初採用。そのクラスを超えた走行性能で、競合するホンダフィットに対抗しています。さらにフォルクスワーゲンポロなど強力なライバルがひしめく欧州Bセグメントにおいても、十分な競争力が得られるモデルへと進化しました。
ヤリスクロスにも同様のコンパクトカー向けTNGAプラットフォーム(GA-B)を採用しているため、走り、利便性、安全性能などの基本性能が高く、従来のコンパクトSUVの概念を一新するようなモデルに仕上がっています。
先代のヴィッツとほぼ同等のコンパクトさが特徴的なヤリスに対して、ヤリスクロスは全⻑4,180 mm、全幅1,765 mm、全⾼1,590 mmというボディサイズ。全⻑は240 mm長く、全幅は70 mm広がり、全⾼は90 mm高くなっているため、ヤリスに比べるとひとまわり大きな印象を受けます。
外観は、ヤリスの面影を残しつつ、都会的な洗練された雰囲気とSUVの力強さを融合した独自のデザインを採用しています。開口部の大きなバックドアには、ハンズフリーパワーバックドアを新設定。スマートキーを携帯した状態でリアバンパーの下に足を出し入れするとバックドアが自動で開閉するため、荷物運搬時に便利な機能です。
ラゲッジスペースは390Lを確保。4:2:4分割式のリアシートと6:4分割式アジャスタブルデッキボードを組み合わせることで、多彩な使いかたに対応しています。
エンジンは、1.5L 3気筒ガソリンエンジンとそのハイブリッド版の2本立てで、すべてのグレードでFFと4WDを選ぶことができます。ハイブリッド車では、FFモデルでWLTCモード30.8km/Lという、コンパクトSUVとしては圧倒的な低燃費を実現しています。また、4WDモデルでは電気式4WDシステムのE-Fourを設定するなど、技術的な優位性も多く見られます。
新世代のプラットフォームを採用したことによる、操縦安定性の高さも大きな魅力です。強力なライバルがひしめくグローバル市場で勝負するため、走行性能にも抜かりはありません。いろいろな意味で隙のない設計のため、コンパクトSUVの本命として今後ますます売れる可能性が高いモデルといえます。
3位 「日産キックス」 e-POWERを搭載したコンパクトSUV
日産自動車が2020年6月24日に発売した日産キックスは、同社にとって10年ぶりのブランニューモデルとなる待望の新型SUVです。ジュークの生産が中止となり日産のSUVモデルはエクストレイルしかない状況が続いていたので、キックスの登場は日産の販売会社にとっても大きな福音だったのではないでしょうか。
キックスの最大の特徴は、日産独自の電動パワートレイン「e-POWER」を搭載していること。キックスでは「e-POWER」の最大出力を約20%向上させているため、電気の走りをより力強く体感することができます。「e-POWER」といえば、アクセルペダルを戻すだけで強く減速できるワンペダル感覚のユニークな走りが特徴的です。キックスではアクセル操作に対する反応の良さも好評で、ワンペダル感覚の独自の走りに磨きをかけています。
全⻑4,290 mm、全幅1,760 mm、全⾼1,610 mmという大きさは、コンパクトSUVとしては標準的なサイズです。スタイリングも日本人好みのテイストで、さまざまなライフスタイルに合わせやすいところも魅力といえます。ラゲッジルーム容量は、コンパクトSUVではトップクラスの423Lを確保していて、Mサイズのスーツケースを4個積載することが可能です。
運転支援技術の「プロパイロット」を全車標準装備することも特徴のひとつです。また、エマージェンシーブレーキや車線逸脱警報、踏み間違い衝突防止アシストなどの先進安全技術がもたらす安心感の高さも大きな利点です。
このように盛りだくさんな内容を備える日産キックスですが、難点は価格が高めで、4WDモデルの設定がないこと。標準仕様で約276万円。ツートーンインテリアエディションで約287万円という価格は、コンパクトSUVの標準からすると全般的に高めです。上質感のあるインテリアなどを見ればその価格にも十分納得できますが、コンパクトSUVを安く買いたい人にとっては割高感を感じるかもしれません。
まだまだあります、日本のコンパクトSUV
今回は話題のニューモデルを重視しておすすめを選びました。しかし、激戦区のコンパクトSUV市場には個性的な人気モデルがたくさんあります。そのため、ベスト3以外のコンパクトSUVについてもご紹介します。
「トヨタC-HR」スタイリッシュさで選ぶなら一択
2016年に登場したトヨタC-HRは、デザインに徹底的にこだわったコンパクトSUVとして、他のモデルとは一線を画した存在感を放っています。プリウスと共通のプラットフォームを採用していて、ボディサイズは全⻑4,385 mm、全幅1,795 mm、全⾼1,550 mm。低重心による走りへのこだわりと、ハイブリッド車の圧倒的な低燃費を特徴で、2017年にはSUV新車販売台数第1位を獲得した人気モデルです。
パワーユニットは1.2Lターボエンジンと1.8Lハイブリッドの2種類で、2019年にはTOYOTA GAZOO Racingが手掛けるスポーツカーシリーズの「GR SPORT」も設定されました。また、1.2Lターボモデルでは4WDや6速マニュアルトランスミッションも選べるなど、スポーティなコンパクトSUVとしてのキャラクター性を強化しています。
2020年8月には、安全装備の拡充や精悍なスタイリングの特別仕様車を設定するなど、商品性の向上を図っています。常に新鮮な話題を提供しているC-HRですが、スタイリッシュなデザインと引き換えにリアの居住性に難があり、実用性では競合モデルに及びません。レジャーを目的にコンパクトSUVを選ぶユーザーには向かないといってよいでしょう。逆にスポーティで個性的なモデルを求めるユーザーやマニュアルトランスミッション好きにとって、C-HRは見逃せない存在といえるでしょう。
「ホンダヴェゼル」SUVの枠を超えたベストセラーモデル
ホンダヴェゼルは、SUVとクーペ、ミニバンの特徴を融合させたクロスオーバーSUVとして2013年に登場しました。ボディサイズは全⻑4,330 mm、全幅1,770 mm、全⾼1,605 mmで、2018年のマイナーモデルチェンジでは、安全運転支援システムの「Honda SENSING(ホンダ センシング)」を標準装備。SUVの枠を超えたユニークな価値観が受け入れられ、2014年から2019年までSUV暦年新車販売台数で4回にわたって1位を獲得するなど、コンパクトSUVの代表格といえる存在です。
フィット譲りの実用性の高さでヒット作となったヴェゼルですが、登場が2013年ということもあり、丸みを帯びたスタイリングがトレンドに合わなくなってきているのも事実。ハイブリッドとしては旧世代となる1モーター+DCTの組み合わせも、燃費の優位性において年々きびしくなっています。現行フィットをベースにした新型の登場も噂されているため、そちらを期待したいところです。
「ホンダフィットクロスター」SUVの雰囲気が楽しめるクロスオーバーモデル
ホンダフィットクロスターは、2020年2月に発売された4代目フィットで新たに設定されたクロスオーバーモデル。標準のフィットに対して、最低地上高を上げ、ホイールアーチプロテクターの追加、専用デザインのグリルやバンパーなどを装着し、コンパクトSUVのような個性的なスタイリングを纏っているのが特徴です。ボディサイズは全⻑4,090 mm、全幅1,725 mm、全⾼1,545 mmで、フィット初の3ナンバー車となったことで話題となりました。
内装では、シートやアームレストなどに撥水性の高いウォータープルーフ素材を使用するなど、見た目だけではない機能的なインテリアとなっています。
2モーターのハイブリッドシステム「e:HEV」を搭載するため、優れた燃費性能と静かで快適な走りを実現。4WDも設定されているため、見た目以上の実力を備えています。
「スズキジムニーシエラ」 孤高のクロカン4駆
スズキジムニーシエラは、軽自動車のジムニーをベースに1.5L 4気筒エンジンを搭載した、四輪駆動の本格的なクロスカントリー車です。2018年に20年ぶりに全面改良された現行モデルのボディサイズは、全⻑3,550 mm、全幅1,645 mm、全⾼1,730 mm。オフロード走行を楽しむユーザーから絶賛が止まない、生ける伝説のようなモデルです。
本格派のオフローダーにふさわしいラダーフレームを備えた車体構造と、極限的な状況で真価を発揮する副変速機付パートタイム4WD、そして3リンクリジッドアクスル式サスペンションといった伝統的な装備を踏襲。ジムニーならではのこだわりをしっかり受け継ぎながら、スズキの予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」を新たに搭載しています。本格的な小型四輪駆動車として唯一無二の存在となっているジムニーシエラ。そのブランド力は、新型となってますます高まっています。
個性派モデルが揃う、2020年上半期「ミドルコンパクトSUV」のおすすめランキングBEST4
今回はコンパクトSUVとミドルクラスSUVの中間に位置するモデルをミドルコンパクトSUVとしてまとめました。その定義としては、全長4.5mクラスのSUVということ。ノミネートは「SUBARU XV」「マツダCX-30」「レクサスUX250H」「三菱エクリプスクロス」の4車種です。
1位 「SUBARU XV」 走りの良さで選ぶクロスオーバーSUV
スバルのクロスオーバーSUVとして人気のSUBARU XVは、元々2010年に同社の3代目インプレッサの派生モデルとして誕生したインプレッサXVがルーツです。「Fun Adventure」をコンセプトとして2017年4月に登場した現行の3代目モデルは、インプレッサスポーツがベース。使い勝手の良いサイズ感と、スバルの4WD技術を生かしたスポーティな走りが特徴のクロスオーバーSUVです。
エンジンはスバル伝統の水平対向4気筒で、1.6Lエンジンと、2.0L直噴エンジン+電気モーターの「e-BOXER」の2種類を用意。駆動方式は4WDのみとなっています。
SUBARU XVのボディサイズは、全⻑4,485 mm、全幅1,800 mm、全⾼1,550 mm。ポイントは、全高が立体駐車場に対応した1550mmに収まっていることです。都市部のユーザーにとって、立体駐車場に収まるサイズであることは、クルマ選びをする上で重要な要素。背の高いモデルが当たり前のSUVマーケットにおいて、SUBARU XVは貴重な存在なのです。
2020年9月4日には、大幅改良を行った新型モデルが登場しました。外観ではフロントマスクとアルミホイールのデザインを一新してSUVらしさが強調されています。また、ボディカラーの新色追加、フロントビューモニターのオプション設定、さらに一部グレードではインテリアの仕様変更が行われました。
注目は、しなやかさとスポーティな乗り味を両立させるため、全モデルでサスペンションの改良を行ったこと。さらにe-BOXER搭載車では、e-アクティブシフトコントロールを新採用しています。これはスポーツモード選択時に適切なギアを選択することで、スポーティな走りをサポートするもの。元々新型インプレッサ以降の新世代シャシーを採用した同社のモデルは、回頭性の良さをはじめとする走行性能の高さに定評があります。走りの魅力をさらに高める今回の改良は、多くのユーザーが歓迎するはずです。
2位 「マツダCX-30」 マツダが送り出すSUVの直球
2019年に発表されたマツダCX-30は、マツダの新世代商品第2弾となるクロスオーバーSUVです。同社にはコンパクトSUVのCX-3とミドルクラスSUVのCX-5がありますが、CX-30はその中間を埋める存在として開発されたもの。ボディサイズは全長4,395mm、全幅1,795mm、全高1,540mmで、これはCX-3に比べて全長で120mm、全幅で30mm大きく、全高は逆に10mm低いという差となっています。CX-5に対しては、全長で150mm、全幅で45mm小さく、全高は150mm低くなっていて、名実ともに両者の中間にふさわしい位置付けとなっています。
注目は、175mmの最低地上高を確保しながら、全高が1,540mmに抑えられていることにあります。全高が立体駐車場に対応した寸法になっていることは、都市部のユーザーにとって大いにありがたいもの。同社の「魂動デザイン」の哲学に基づくエモーショナルなスタイリングも、いかついデザインが多いSUV各車のなかでは新鮮に映ります。
上質でシックにまとめられたインテリアにはライバル車とは一線を画す世界観があり、リラックスして運転を楽しめる空間となっています。気になるラゲッジ容量は430Lを確保。開口部下端の高さも、大きな荷物や重い荷物の積み下ろしの際に身体に負担がかからないように設計されています。
エンジンは、2.0L直4直噴ガソリンエンジンの「SKYACTIV-G 2.0」と1.8L直4直噴クリーンディーゼルエンジンの「SKYACTIV-D 1.8」、そしてマツダが世界で初めて実用化した圧縮着火ガソリンエンジンの「SKYACTIV-X 2.0」の3種類を設定しています。世界初の次世代エンジンも話題ですが、実際に乗ってみるとディーゼルの出来の良さに感銘を受ける場合が多いようです。マツダのクルマづくりの良さが随所に感じられるCX-30は、間違いのないSUV選びをしたい人にとっては最適のモデルといえるでしょう。
3位 「レクサスUX」 レクサスの末っ子にしてベストバイ
2018年に登場したレクサスUXは、トヨタCH-Rと同じGA-Cプラットフォームを採用したコンパクトクロスオーバーSUVです。ボディサイズは全長4,495mm、全幅1,840mm、全高1,540mmで、立体駐車場に対応した全高が特徴。フロントのスピンドルグリルと、同様にスピンドルをテーマとしたリアの面構成が、レクサスの個性的なスタイリングを印象付けています。
グレードは、2.0L直列4気筒直噴エンジンを搭載するUX200と、同エンジンにハイブリッドシステムを組み合わせたUX250hの2車種。駆動方式は、UX200がFFのみで、UX250hはFFと4WDが選択できます。また、どちらにもスポーツモデルの“F SPORT”を設定。スポーツモデルを求めるユーザーのニーズに応えています。
GA-Cプラットフォームを使うトヨタCH-Rと同様にラゲッジ容量は狭く、デッキボード上部までの最大荷室容量は220Lに止まっています。その反面、新世代の同プラットフォームはボディの高剛性化と軽量化、そして低重心化を実現しているため、数あるレクサスのSUVモデルのなかでも上質な乗り心地は格別。それ以前に開発された同社の上級SUVを上回るともいわれていて、レクサスSUVモデルのベストバイに推す専門家も少なくありません。
4位 「三菱エクリプスクロス」 マイナーチェンジでPHEVモデルが追加
2018年に発売された三菱エクリプスクロスは、同社のRVRとアウトランダーの間に位置するクロスオーバーSUVです。全長4,405m、全幅1,805mm、全高1,685mmというボディサイズは、グローバル市場向きのサイズ感です。
当初は1.5L直4直噴ガソリンターボエンジンに8速CVTを組み合わせたモデルのみでしたが、2019年6月には2.3L直4ディーゼルターボエンジンに8速ATを組み合わせたモデルを追加しています。同社のデリカD:5にも搭載されるこのディーゼルエンジンと8速ATの組み合わせは絶品で、エクリプスクロスに対する評価を一変させたほど。買うならディーゼル一択といわれています。
そんなエクリプスクロスは、2020年度内にマイナーチェンジした新型を発売する予定です。この新型はアウトランダーPHEVに続くPEHVの2車種目となることが発表され、デザインはクーペSUVらしい流麗さやエレガントさを強化したといわれています。公開されたティザー写真では、ノーズ部分のデザインが大幅に変更されていることが伺えます。新たにPHEVモデルとなる新型エクリプスクロスの実力が楽しみです。
各社の看板モデルが出揃った、2020年上半期「ミドルクラスSUV」のおすすめランキングBEST4
ミドルクラスSUVは、各社を代表するSUVモデルが集結する主戦場。グローバルモデル、国内専用車、さらには海外市場が本命のモデルまで、さまざまなモデルが投入されています。ノミネートは「トヨタハリアー」「トヨタRAV4」「マツダCX-5」「ホンダCR-V」「スバルフォレスター」「三菱アウトランダー」「日産エクストレイル」の7車種です。
1位 「トヨタハリアー」 都市型SUVの正常進化
トヨタハリアーは、2020年6月にフルモデルチェンジされた新型が発売されました。「都市型SUV」として1997年に登場した初代モデルから数えると、今回のモデルは4代目にあたります。初代と2代目のハリアーは現在のレクサスRXのルーツとなったモデルでしたが、最新の4代目モデルはトヨタRAV4と同じGA-Kプラットフォームを採用したSUVとして登場しました。元々3ドアのカジュアルなクロスオーバーSUVとして登場したRAV4と、レクサスRXの国内版だったハリアーが、のちに同じプラットフォームから生み出されるようになるとは、当時誰も想像できなかったのではないでしょうか。
最新のハリアーは、クーペを思わせる流麗なスタイリングが最大の特徴です。特にリア周りのデザイン処理は輸入車の高級SUVにも似た雰囲気があり、価格帯を超えた存在感を醸し出しています。ボディサイズは全長4,740m、全幅1,855mm、全高1,660mmで、従来モデルに比べると全高が30mm低くなっているほかは、若干サイズアップしています。
インテリアについても、馬の鞍をイメージした幅広いセンターコンソール、調光ガラスを用いた電動シェード付パノラマルーフ、そしてレザー調素材を広範囲に使用したインテリアパネルなどにより、質感の高さを演出しています。
パワーユニットは、2.0L4気筒エンジンにCVTを組み合わせたガソリンエンジン仕様と、2.5L4気筒エンジンにハイブリッドシステムTHSIIを搭載したハイブリッド仕様の2種類を用意。それぞれFFと4WDが選べます。
実際に乗ってみると、CVTらしい走り味に昔からのトヨタ車の印象を受けるという意見もあり、そこに安心感を感じるかどうかが判断材料のひとつになります。また、今回のモデルでは吸遮音材や制振材を効果的に使用して徹底した振動・遮音対策を行っているため、静粛性の高さを感じる場合も多いはずです。全体的に上質な仕上がりを見せる新型ハリアーは、このカテゴリーのベストセラーとなる可能性が高そうです。
2位 「トヨタRAV4」 走りの質感を高めたグローバルモデル
2019年に発売されたトヨタRAV4は、1994年の初代モデルから数えて5代目にあたります。当初は乗用車的なクロスオーバーSUVとして登場しましたが、最新のRAV4ではオンロードでの快適性とオフロードの走破性をしっかり両立。名実ともにSUVの本流というべきモデルに進化しています。
ボディサイズは全長4,600m、全幅1,855mm、全高1,685mmで、エクステリアデザインにはSUVらしい力強さが感じられます。特にオフロードイメージを象徴する「Adventure」グレードでは、専用のフロントフェイスやツートーンカラーのボディカラーが選択可能で、他のグレードとの差別化が図られています。
パワーユニットは、2.0L4気筒エンジンと2.5L4気筒エンジンをベースにしたハイブリッド仕様に加え、2020年6月には新たな最上級モデルとなるプラグインハイブリッドのRAV4 PHVが追加されました。システム最高出力306PSがもたらす圧倒的な動力性能に加えて、EV走行距離95kmを実現。RAV4に新たな走りの魅力を加えています。
ハイブリッドモデルの出来の良さもあってグローバルで大ヒットしているRAV4は、日本でも欧州車のような乗り心地と内装などの質感の高さで高い評価を得ているモデルです。
3位 「マツダCX-5」 マツダの基幹車種となるクロスオーバーSUV
SKYACTIV技術と魂動デザインを採用したマツダの新世代商品の第1弾として、2012年に誕生したモデルがクロスオーバーSUVのCX-5。現行モデルは2017年に登場した2代目で、ボディサイズは全長4,545m、全幅1,840mm、全高1,690mm。スタイリッシュな内外装デザインと使い勝手の良いパッケージングにより、同社のグローバル販売台数の4分の1を占める基幹車種のひとつとなっています。
エンジンは、2.0L及び2.5Lの4気筒ガソリンエンジンの「SKYACTIV-G 2.0」と「SKYACTIV-G 2.5」、2.5L 4気筒直噴ガソリンターボエンジンの「SKYACTIV-G 2.5T」、そして2.2L 4気筒直噴ディーゼルターボエンジンの「SKYACTIV-D 2.2」の4種類が用意されています。駆動方式は、「SKYACTIV-G 2.0」のみFFとなるほかは、FFと4WDの両方を選ぶことができます。
マツダCX-5は、ミドルクラスSUVのベンチマーク的存在として国内外でヒットを続けてきましたが、トヨタのハリアーとRAV4の2台がレベルアップした内容で登場したことで、優位性が薄れてきたのも事実です。とはいえ、間違いのない選択であることに変わりはなく、特にトヨタにはないディーゼルエンジン搭載車の魅力は色褪せないでしょう。
4位 「スバルフォレスター」 クロスオーバーSUVの代名詞的存在
1997年にスバルインプレッサをベースにつくられたクロスオーバーSUVがフォレスターです。当時はレガシィツーリングワゴンよりも短く背の高いボディやアウトドア志向のデザインに若干の違和感を覚えたものの、それがクロスオーバーSUVの標準になったことで、スバルの先見の明に改めて感心したものです。
現行モデルは2018年に登場した5代目で、ボディサイズは全長4,625m、全幅1,815mm、全高1,730mm(ルーフレール装着車)。初代モデルから受け継がれるアウトドア志向の高いスタイリングと、スバルの四輪駆動技術を活かした高い走行性能により、世界中で高い評価を受けるモデルです。
現行モデルの特徴は、スバル初となる乗員認識技術「ドライバーモニタリングシステム」を採用したこと、そして水平対向エンジンと電動技術を組み合わせた「e-BOXER」の採用にあります。実際にe-BOXER搭載の「Advance」グレードが最も販売比率が高く、全体の約半数を占めているほど。高い安全性と気持ちの良い走りを両立したフォレスターは、クロスオーバーSUVの世界を安心して楽しめるモデルです。
まだまだあります、日本のミドルクラスSUV
日本生まれのミドルクラスSUVのなかには、日本よりもむしろ海外で人気の高いモデルがあります。根強い人気に支えられてロングセラーになっているモデルには、普遍的な魅力が備わっています。
「ホンダCR-V」海外での評価が高いグローバルモデル
2018年に5代目に進化したホンダCR-Vは、グローバルモデルとして多くの地域で販売されています。シビックから導入された新世代プラットフォームを採用したことで、ボディの軽量化と高剛性化、そして低重心化を実現しています。
ボディサイズは全長4,605m、全幅1,855mm、全高1,680mm(FF)で、広い室内空間を活かした7人乗り3列シート仕様を選ぶこともできます。
パワーユニットは、1.5L 4気筒ターボエンジンと2.0L 4気筒ハイブリッドの2種類が用意され、どちらもFFと4WDの選択が可能です。CR-V初となるハイブリッドモデルには、2モーターハイブリッドシステムのe:HEVを採用しています。現行のCR-Vは良くも悪くもグローバルモデルで、日本市場よりも中国やアメリカ向けといえるつくりが目につきます。足回りの味付けなどは決して悪くないので、実車の感覚を確かめてみることをお勧めします。
「日産エクストレイル」タフなイメージに都会的な要素をプラス
日産を代表するSUVモデルとして2000年に誕生したのがエクストレイルです。当初からオフロードでの使い勝手を前面に押し出したタフなイメージで販売されてきましたが、2013年にデビューした現行モデルでは、SUVの世界的なトレンドに合わせて、都会的な要素を加味したモデルに一新されました。
現在のラインアップは、標準モデルに加えて、オフロードイメージを強化した「エクストリーマーX」と、逆に都会的なプレミアム感を打ち出した「AUTECH」という、異なる個性のモデルを展開しています。
ボディサイズは全長4,690m、全幅1,820mm、全高1,740mmで、5人乗り仕様と7人乗り3列シート仕様が用意されています。パワーユニットは、2.0L 4気筒直噴ガソリンエンジンと、同エンジンにハイブリッドシステムを組み合わせたハイブリッド仕様の2種類で、トランスミッションは全車CVT。4WDモデルには、電子制御4WDシステムの「インテリジェント 4×4」が装備されます。
基本設計の古さは否めないものの、運転支援システムのプロパイロットやインテリジェント エマージェンシーブレーキの設定に加え、新たにハイビームアシストが標準装備するなど、商品のアップデートは続けられています。
「三菱アウトランダー」PHEVの素晴らしさは健在
三菱のSUVラインアップの頂点に立つアウトランダーは、2012年に現在の2代目モデルが登場。さまざまな改良を行いながら現在も販売が続けられています。ラインアップは、2.0L及び2.4Lの4気筒ガソリンエンジン搭載車、そして前後輪を駆動する高出力モーターと主に発電用として搭載される2.4L 4気筒エンジンを搭載した、プラグインハイブリッドモデルの3種類に大きく分けられます。
ボディサイズは全長4,695m、全幅1,800mm、全高1,710mm(PHEV)で、2.0L及び2.4L 4気筒ガソリンエンジンを積むモデルが7人乗り。PHEVモデルが5人乗りです。設計自体は古いものの、ランエボ譲りの駆動力配分システムを備えるため、走りが良さはお墨付き。先進的なPHEVの魅力も健在です。ただ、トヨタRAV4のプラグインハイブリッドモデルが発売されたことで、独自性が薄れてしまったことは否めません。
SUVの最高峰が集結。2020年上半期「ラージクラスSUV」のおすすめランキングBEST3
各社の最高峰モデルが集まるラージクラスSUVは、輸入車市場では活況を呈しているものの、国産車ではごく限られたマーケットとなっています。基本的に競合するモデルがないため、各社の個性を色濃く反映したモデルが揃っています。ノミネートは「トヨタランドクルーザー」「トヨタランドクルーザープラド」「レクサスLX」「レクサスRX」「マツダCX-8」「三菱デリカD:5」の6車種です。
1位 「トヨタランドクルーザー」 日本を代表するクロカン4駆の最高峰
トヨタランドクルーザーは、1951年に発売したトヨタジープBJ型をルーツとする伝統のクロスカントリーモデルです。現在は2007年に登場した200系と呼ばれるモデルがトヨタブランドの最上級SUVとしてラインアップ。全長4,950m、全幅1,980mm、全高1,880mmの堂々とした体格のボディと、ゆとりの走りをもたらす4.6L V8エンジンの搭載により、近年の都会派SUVとは別物の風格を醸し出しています。
地球上のあらゆる場所で使うことを想定した車両のため、信頼性、耐久性、悪路走破性という開発思想を貫いています。現在もラダーフレームを採用しているのはその証拠。メルセデス・ベンツGクラスと並んで古典的なレイアウトを堅持しているのが特徴です。そんな唯一無二の存在感がランドクルーザーの最大の魅力といえるでしょう。
2位 「マツダCX-8」 マツダ最大のクロスオーバーSUV
マツダ唯一の3列シートのクロスオーバーSUVがCX-8です。ボディサイズは全長4,900m、全幅1,840mm、全高1,730mmで、外観はCX-5によく似ています。全幅1,840mmの寸法も同じなので、CX-8はCX-5のストレッチ版というイメージがあります。しかし、中身はまったくの別物で、CX-8のベースは北米向け7人乗りSUVモデルのCX-9になります。
北米向けにアレンジされたCX-9をそのまま日本に導入するのではなく、わざわざCX-8を開発した理由は、マツダが従来のミニバンを廃止して、このモデルを唯一の3列シート車両にしたため。いわば、ミニバンの機能性を持たせたクロスオーバーSUVにするため、専用開発が必要だったのです。
搭載されるエンジンは、2.2L ディーゼルの「SKYACITV-D 2.2」と、2.5L ガソリンエンジンの「SKYACTIV-G 2.5」、及び2.5L ターボの「SKYACTIV-G 2.5T」の3種類。ベストバイは、長距離移動に適したディーゼルか、大排気量のV8エンジンのような回り方が独創的な2.5L ガソリンターボエンジンの2択ですが、どちらも捨てがたい魅力があります。
3位 「三菱デリカD:5」 唯一無二のオールラウンドミニバン
三菱自動車では、MPVとSUVを融合させた独創性の高いモデルとして、1980年代から1990年代にかけて「デリカスターワゴン」「デリカスペースギア」を送り出してきました。その系譜を現代に伝えるデリカD:5は、全長4,800m、全幅1,795mm、全高1,875mmの堂々としたたたずまいが特徴的です。
デリカD:5には、オフロード志向の強いデザインだけでなく、都会的なイメージに仕立てたデリカD:5アーバンギアも用意されています。どちらも2.3L 4気筒ディーゼルターボエンジンを搭載し、駆動方式は4WDのみ。予防安全技術「e-Assist」の装備、新開発の8速スポーツモードATの採用など、安全性と快適性を向上させた内容が好評です。決して安くはないので、お金に余裕があるなら買いのモデルといえるでしょう。
まだまだあります、日本のラージクラスSUV
数は少ないものの、世界のプレミアムSUVに対抗する日本車は存在します。高額なのでベストバイには漏れましたが、日本生まれのプレミアムモデルには、憧れの対象になり得る魅力を備えています。
「レクサスRX」 3列シートも選べるプレミアムSUV
メルセデス・ベンツGLE、BMW X5、ポルシェカイエンなどのプレミアムSUVと直接競合するモデルがレクサスRX。4代目となる現行モデルは2015年にデビューしました。ボディサイズは全長4,890m、全幅1,895mm、全高1,710mmで、2017年に追加された3列シートのロングバージョンでは、全長が110mm長い5,000mに、全高が15mm高い1,725mmになっています。
ラインアップは、2.0L 4気筒ターボエンジンを積むRX300と、3.5L V6エンジンにハイブリッドシステムを加えたRX450h、そして3列シート仕様のRX450hLの3種類。RX450hLのみ4WDとなるほかは、FF/4WDを選択できます。
新世代プラットフォームを採用したレクサスUXに比べると、足回りのセッティングが前時代的で、マツダCX-8のほうが一枚上手というのが一般的な評価です。もちろん価格も高いので、スタイリングやインテリアのプレミアムな雰囲気が気に入れば買いという感じでしょうか。
「レクサスLX570」国産SUVの頂点に立つフラッグシップ
レクサスLX570は、200系のトヨタランドクルーザーをベースに、各部のデザインを変更し、各種装備をさらに充実させたモデルです。海外では1990年代からランクルベースのモデルをレクサスLXとして販売していましたが、日本では2015年に導入開始されました。全長5,080m、全幅1,980mm、全高1,910mmのボディサイズは、国産SUVでは最大。搭載される5.7L V8エンジンも、日本製乗用車としてはもちろん最大です。
現在のモデルは、3列シート8人乗りと2列シート5人乗りから好きなほうを選べるほか、トレーラー牽引などに便利なヒッチメンバーを標準装備とするなど、機能性・利便性が向上しています。車両価格は1100万円を超えますが、伝統的なラダーフレームを備える車体構成など、古典的な魅力が感じられるモデルです。
「トヨタランドクルーザープラド」身近に楽しめるランクルの世界
トヨタランドクルーザープラドは、ランドクルーザーの高い走破性をより身近に楽しめるようにしたクロスカントリーモデルです。2009年に登場した現行モデルは4代目にあたり、ボディサイズは、全長4,825m、全幅1,885mm、全高1,850mm。エンジンは、2.7L 4気筒ガソリンエンジンと、2.8L 4気筒ディーゼルターボエンジンの2種類が用意されています。
2020年8月の改良では、ディーゼルターボエンジンのターボチャージャーがサイズアップされ、最高出力が177psから204psに向上しました。また、安全装備の機能向上、パドルシフトやディスプレイオーディオの新規設定などの改良に加え、特別仕様車も追加されています。日本的な取り回しの良さがあるランドクルーザープラドは、流行に左右されない存在なだけに、欲しくなったタイミングで買うのがベストといえます。
(まとめ)どんどん自由で楽しくなるSUV
今や世界中のほとんどのメーカーが手掛けるようになったSUV。これまで「SUVはちょっと…」と敬遠していた人にとっても、その動向をチェックせざるを得ない状況になっています。ついにSUVが販売台数ランキングでトップになる時代が到来したのです。SUVには明確な基準がないだけに、各メーカーが志向を凝らして生み出すモデルには、そのメーカーのフィロソフィーが強く打ち出されていることがあります。そういう意味においても、SUVは今もっともおもしろいカテゴリーといえるでしょう。
※記事の内容は2020年10月時点の情報で制作しています。