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カルモマガジン編集長
馬弓良輔まゆみよしすけ

苦痛を楽しみに変える「グレード選び」徹底講座

苦痛を楽しみに変える「グレード選び」徹底講座
苦痛を楽しみに変える「グレード選び」徹底講座

車種選びとグレード選びはセットで考えるもの

車を購入するにあたっての悩みどころは数多くあります。予算やボディタイプは最初にある程度は決めている方も多いと思いますが、最大の難関は車種選び、そしてグレード選びです。
車種選びとグレード選びはセットで考えるもの1

車種選びとグレード選びはセットで考えるもの2
同じ車種でもグレードによって価格、装備、燃費などが異なります。実際、購入候補車を絞り込んでいく過程ではホンダN-BOXがいいか、ダイハツタントがいいかと単に車種レベルで悩んでいる方は少なくて、「エンジンはターボ、駆動方式はFF、助手席がスーパースライドシート仕様になっているG・EXというグレードで色はプラチナホワイト・パール」のN-BOXと、「エンジンはターボ、駆動方式はFF、運転席がロングスライドするXターボというグレードで色はアイスグリーン」のタントで迷うものです。そうでない人はそうした方がいいので考えを改めましょう(笑)。

グレード選びのコツは「ハードスペック」をまず分解すること

人気車種になればなるほど多くのグレードが設定され、多くの消費者を悩ませます。筆者のような車好きは、気になる新車が出て、なおかつヒマだったり目の前の仕事から逃避したりしたいときは、メーカーHPの見積もり機能を使って購入シミュレーションを楽しんでいます。そう、いくつかのポイントを知れば、グレード選びは本来楽しいものなのです。

グレード選びを楽しくする最初のコツは「要素を分解」することです。ここでいう「要素」とは上記のN-BOXとタントの例でいえば「G・EX」とか「Xターボ」というグレード名ではありません。エンジン、トランスミッション、駆動方式といった「ハードスペック」のことです。

エンジンを決めればグレード選びはだいぶラクになる

エンジンを決めればグレード選びはだいぶラクになる1

エンジンを決めればグレード選びはだいぶラクになる2
多くの車種の場合、複数のエンジンが設定されています。軽自動車であればパワフルなターボエンジン車か、ターボのないノーマルエンジン車(ターボに対応する言い方だと自然吸気=NAエンジン車)の2種類、コンパクトカー、ミニバン、SUVでは燃費の良いハイブリッド車か、ノーマルエンジン車の2種類というパターンが大半です。ほかにもノーマルエンジンの排気量が1.6Lと2.0Lだったり、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンが設定されていたりする車種などもあります。

トランスミッションだと、最近またマニュアルトランスミッション(MT=3ペダル)の設定をする車種が出てきましたが、多くの場合はCVTなりトルコンATなり、エンジンに対応して1種類のトランスミッションであることが大半ですので、ここはあまり分解できるポイントではありません。

駆動方式は前輪か後輪のみ駆動する2WDか、前輪後輪とも駆動する4WD(AWD)かで分かれます。2WDには前にエンジンがあって前輪を駆動するFF(フロントエンジン・フロントドライブ)と、前にエンジンがあって後輪を駆動するFR(フロントエンジン・リアドライブ)などの種類がありますが、多くの場合FFです。そしてFFとFRが同じ車種で複数設定されることは絶対ないので気にしないでください。そうなのか!と思ってしまった方はこちらの記事をぜひ。

最近増えてきた「グレード以上・車種未満」の「スタイル」でさらに仕分ける

最近増えてきた「グレード以上・車種未満」の「スタイル」でさらに仕分ける1

さて、エンジンとトランスミッション、そして駆動方式を切り分けるとグレードが半分くらいに整理できます。以前はここから装備の松竹梅によってグレードを決めていったものですが、最近のメーカーはずいぶん親切になって、外観や内装のテイストを変えたいくつかの「スタイル」を設定するケースが増えてきました。2020年2月にフルモデルチェンジが予告されているホンダフィットに至っては5つもの「スタイル」が設定されています。

軽自動車によく設定されている「なんとかカスタム」が典型ですが、フロントグリルやバンパーなどの形状が勇ましくなり、内装も黒ベースとすることで男性受けを狙ったエアロ系の「スタイル」は、ミニバンにも数多く見られます。軽自動車の場合は車種名がN-BOXカスタムだったり、スペーシアカスタムだったり異なることが多いので見分け方は簡単です。ミニバンの場合、日産はセレナにしてもエルグランドにしても「ハイウェイスター」、ホンダステップワゴンは「スパーダ」と名付けていますが、トヨタの売れ筋であるノア/ヴォクシーやアルファード/ヴェルファイアは、特にそのような「スタイル」名がなく、少々わかりづらくなっています。メーカーHPでは「標準ボディ」「エアロボディ」と区分して表示しているページもありますが、カタログのグレード一覧にはその表記がありません。

最近増えてきた「グレード以上・車種未満」の「スタイル」でさらに仕分ける2

写真:三菱自動車

もう一つ多い「スタイル」はSUVっぽく見せたクロスオーバー系です。ちょっとややこしいのは車種によって、そういったクロスオーバー系のタイプを別車種にしていたり、同じ車種のスタイル違いとしていたり、はたまたグレードのひとつと位置付けていたり、対応がバラバラな点です。三菱eKワゴンとeKクロス、スズキスペーシアとスペーシアギアなどは別車種扱い、ホンダフリードに新たに設定されたクロスターはグレード扱いです。

多くの車種は3種類のグレードで構成されている

さあ、ここまで「要素を分解」するとかなりグレードがしぼれてきます。エンジンはターボがいいのか、ノーマルで十分なのか時に迷うような車種もありますが、エンジンの違いは価格に大きく影響することもあって、多くの場合はすんなり決まるでしょう。スタイルも同様に大半の場合は外観や内装が別車種に近いので、迷うことは少ないと思います。

残るは装備の松竹梅、そして価格によるグレードの選択です。ここまで松竹梅と使い古された言葉で安直に書いてきましたが、実際、多くの車種のグレードはだいたい3種類くらいで構成されています。一番価格が安く装備も少ない「ベースグレード」と一番高価で装備が充実している「最上級グレード」、そしてその中間の「売れ筋グレード」です。人気車種だと「売れ筋グレード」にも松竹が存在することもあります。

安全装備に差は少ないが運転支援の差は大きい

安全装備に差は少ないが運転支援の差は大きい1

そのようなグレードの差を構成する「要素」を分解してみましょう。
まずは最近注目度が高まっている「安全装備」。ひとむかし前と異なって被害軽減ブレーキや誤発進防止装置などの「先進安全装備」をグレードによって差をつけることはだいぶ減ってきました。

安全装備に差は少ないが運転支援の差は大きい2
しかし被害軽減ブレーキや誤発進防止装置など先進安全装備の中核をなす部分ではなく、付帯機能である「運転支援系」の装備には差があります。例えば高速道路で先行車の速度に合わせて自動でスピード調整を行うACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)や駐車時のステアリング操作をアシストしてくれる駐車支援機能などは、最上級グレードのみに設定される場合が多く、それ以外のグレードだとオプションでも選べないケースがあります。

安全装備の場合、グレードとしては標準装備になっているものの「レスオプション」で非装着を選べる車種もあります。新車で買うときに間違えることはないと思いますが、新車でも即納できるディーラー在庫車や中古車での購入を検討している場合、そういう車種もあるということを頭の片隅に置いておいたほうがいいでしょう。

また運転席・助手席エアバッグはいまや全グレード標準ですが、側面からの衝突に対応するサイドエアバッグは車種によって下位グレードは省略されている場合もあります。

見栄えの良い大きなホイールはいいことばかりではない

走りに関係する装備はヘッドライトやフォグランプがLEDかどうか、ホイールの大きさ(外径が16インチか17インチか)や素材(上級グレードは軽くてスタイリッシュなアルミ製)あたりが最近のグレードによる目立った違いです。ホイールは大きいほうが見栄えはいいのですが、1インチ違うだけでタイヤ交換費用やスタッドレスタイヤが高くなることは忘れがちです。

話題の新装備は最上級グレードだけ?

話題の新装備は最上級グレードだけ?1

グレードによる差がもっとも大きい要素は室内のいわゆる「快適装備」です。シート形状、その素材が布なのか革なのか、電動で動くのか手動なのか、インパネやセンターコンソールの素材違い、ナビだけでなくいろいろ多機能で大きなインフォテイメントシステムがインパネに鎮座しているのかいないのかなどはわかりやすい差です。ミニバンや軽スーパーハイトワゴンの人気装備であるリアのスライドドアも左右とも電動、左だけ電動などグレードによる違いが大きい部分です。スライドドアは頻繁に使うのであれば少なくとも左側は電動がいいでしょう。電動シートも便利なのですがメモリー機能がないとその魅力は半減します。

話題の新装備は最上級グレードだけ?2
話題の新装備は最上級グレードだけ?3
注意するべきは、その車種ならではの新装備や目玉装備として宣伝されているものの多くは最上級グレードにしか用意されないケースが大半ということです。先に例に出したN-BOXのすばらしい助手席スーパースライドも、タントの素敵な運転席ロングスライドも、最上級グレード以外にはオプションですら用意がありません。

細かい快適装備の差は装備一覧表を見るのが早道

細かい快適装備の差は装備一覧表を見るのが早道

細かいところでは革巻ステアリング、シートヒーター、リア専用エアコン、UVカットガラス、後席用日よけ、チルト(上下)&テレスコピック(前後)ステアリング、プッシュボタン式スタート、スマートキー、オートパーキングブレーキなども差別化ポイントです。個人的には街中で重宝するオートパーキングブレーキと、滑りにくく感触のいい革巻ステアリングは(運転中に一番触れる機会が多いということもあり)おすすめしますが、このあたりは人それぞれのこだわりポイントがあるかと思いますので、ぜひとも優先順位をつけてみてください。

優先順位を決めるのであれば紙のカタログなら最後のページにあることの多い「主要装備一覧表」で、メーカーHPだったらグレードページの下の方にある「主要装備一覧表」や「グレード別装備早わかり表」など(多くの場合PDFです)でチェックするのが遠回りのようですが結局は早道です。

そのほかにも車体カラーはグレードによって異なります。最上級グレードと売れ筋グレードは特別色など一部を除けばほぼ同じですが、ベースグレードは少なくなりがちです。

こだわりのある装備は省かないほうが幸せになれる

こだわりのある装備は省かないほうが幸せになれる

このようなグレードによる装備の差を、希望の予算も踏まえて検討するには何よりも優先順位付けが重要です。

とはいえ、一番安い「ベースグレード」はその車種の安さをアピールしたいがためのものも多く、目を疑いたくなるような装備内容だったり、時には受注生産扱いで実際は存在しないに近いものだったりすることがあります。

そういった事情もあり、多くの場合は「売れ筋グレード」と「最上級グレード」のどちらにするかが悩みどころとなってきます。その車種の決め手となるような魅力的な装備(多くの場合は最上級グレードのみに用意される)があるのであれば、自動的にグレードは最上級となるでしょう。最上級グレードには不必要な装備も多いのですが、どうしてもこのシートでなければ、などとこだわりのある装備は省かないほうが長いカーライフの中で幸せな気持ちになれる可能性は高いと思います。

車を買い替えるのは5年とか10年に一度の一大イベントです。選ぼうとしている車に乗っているシーンを想像したとき、思い浮かぶ装備こそ、あなたがその車に買い替える理由であるはずです。

一方、特にそのような装備がないのであれば「売れ筋グレード」に優先順位づけしたオプション装備を加えてみて、上級グレードとの価格差のバランスで決めてみるのが良いでしょう。

人気車種の特別仕様車はお買い得

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人気車種の特別仕様車はお買い得3

人気車種の特別仕様車はお買い得4

今年も5月から11月までに4台もの限定車が登場したルノーカングー(写真:ルノー・ジャポン)

人気車種は発売から時間が経過すると、購入者の希望を反映した(多くの場合は話題作りも兼ねて)特別仕様車や限定車がラインナップされることがあります。輸入車ではルノーカングーやフィアット500あたりは、果たしてカタログモデルが存在するのかどうか疑うほど頻繁に限定車が出ますが、国産車の一部の軽自動車やコンパクトカーにも同じ傾向があります。

多くの場合、特別仕様車はお買い得です。売れ筋グレードに人気のある装備や新色を追加したものが主流で、最上級グレードとの装備面での差が少なくなっているわりには価格は売れ筋グレードに近いからです。

予算が足りなければ支払い方法でカバーする

もしあなたが最上級グレードを欲しいけれど予算が、という悩みがあるのであれば、支払い方法で解決すれば良いのではないでしょうか、例えばリースとか。あ、最後はなんか定額カルモくんの宣伝っぽくなってしまいました。

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※記事の内容は2019年12月時点の情報で制作しています。

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