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岡崎五朗おかざきごろう

「トヨタMIRAI」購入の決め手はクルマとしての魅力、そして乗り味の良さ(岡崎五朗レポート)

「トヨタMIRAI」購入の決め手はクルマとしての魅力、そして乗り味の良さ(岡崎五朗レポート)

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いよいよ正式発売となった2代目トヨタMIRAI。次世代の水素燃料電池車(FCV)として注目を集めていますが、スタイルや乗り味など「商品」としての魅力も大幅に高まっています。そんなクルマとしての魅力を増した新型MIRAIを愛車とした岡崎五朗さんのレポートです。

テスラが初代MIRAIのようなデザインだったら…

テスラが初代MIRAIのようなデザインだったら…

2014年に登場した初代MIRAIは世界初の量産型水素燃料電池車(FCV)として大きな注目を集めつつも、セールス的には成功を収めることができなかった。大トヨタをもってしても7年間での累計販売台数は全世界で1.1万台、お膝元の日本でも3700台にとどまった。

この背景には水素ステーションの少なさや価格の高さといった問題もあったが、クルマとしての魅力に欠けていたのも敗因のひとつだと僕は思っている。人はよくも悪くも煩悩の生き物であり、ビビッとくると理性的な判断を超越した行動に出ることがある。価格が高くても、あるいは水素ステーションが少なくても、惚れてしまえば買うということだ。そこをうまくやったのがテスラで、EVという不便な乗り物にカッコよさという付加価値を与えることでいまや年間50万台のEVを販売するメーカーに成長した。これはあくまで思考実験だが、もし初代MIRAIがテスラのようにスタイリッシュだったらもっと売れていただろうし、もしテスラが初代MIRAIのようなデザインだったらこれほどの成功は収められなかっただろう。FCVもEVも環境問題の観点で語られがちだが、それ以前に「商品」である以上、売れ行きを決めるのは魅力である。事実、技術的には高く評価していたけれど、僕は初代MIRAIを欲しいとはまったく思わなかった。デザインや腰高なドライビングポジションなど、商品として魅力を感じなかったからだ。

スタイリッシュなデザインと最高峰のシャシーを手に入れた

スタイリッシュなデザインと最高峰のシャシーを手に入れた1

トヨタもそこは痛感していたようで、新型MIRAIでは大幅な路線転換を図ってきた。全長4975㎜、全幅1885㎜という大きなボディは流麗なプロポーションを与えられ、特にリアウィンドウを大きく傾斜させたサイドビューは流行の先端をいくものだ。独特の顔つきは好みが分かれるところだろうが、それでも初代と比べれば圧倒的にスタイリッシュになった。

スタイリッシュなデザインと最高峰のシャシーを手に入れた2

メカニズムも一新され、前輪駆動から後輪駆動へと変更。基本骨格であるプラットフォームにはレクサスLSと共通、つまりトヨタ製プラットフォームの最高峰をおごっている。そこに、振動と騒音のまったくない電動モーター(182ps/300Nm)と水素燃料電池を組み合わせた結果、新型MIRAIの静粛性は驚くほどのレベルに達した。1073万円〜のレクサスLSより間違いなく静かだといえばその非凡さがわかるだろう。それでいて新型MIRAIの価格は710万円〜。国と地方自治体(自治体によって額は異なる)をあわせると200万円以上になる見込みの補助金を差し引けば、クラウンとほぼ同じ価格で手に入るのだからコストパフォーマンスはそうとう高い。

燃料代はリッター10km走るレギュラーガソリン車とほぼ同等

燃料代はリッター10km走るレギュラーガソリン車とほぼ同等

となると気になるのは日常的な使い勝手だが、水素満充填時(5.6㎏)の航続距離はカタログ値で最大850kmに達する。もっともこれはあくまでカタログ値であり、実用的には500km程度と考えておけばいい。燃料代はリッター10km走るレギュラーガソリン車とほぼ同等だ。問題は水素ステーションが大都市圏を中心に130ヵ所程度にとどまるところ。自宅からあまりに遠ければさすがに諦めるしかない。ただし今年度中に160ヵ所、2025年度まで320ヵ所に増える予定だ。

購入した最大の理由は乗り味が気に入ったから

購入した最大の理由は乗り味が気に入ったから

実は新型MIRAIをマイカーとして購入したのだが、近くに水素ステーションがあったことが背中を押したのは間違いない。とはいえ、購入した最大の理由は乗り味が気に入ったからだ。上述したように静粛性は文句なし。加えて乗り心地やハンドリングに関してもレクサスLSを凌ぐレベルに達している。正直、試乗したときあまりの出来のよさに驚いたほどだ。たしかに図体は大きいが、前後重量配分50:50という資質の高さを活かしてワインディングロードも気持ちよく走れるし、高速直進安定性もバッチリ。オプションの20インチタイヤ(標準は19インチ)を履いても滑らかさを失わない乗り心地も抜群だ。

電動車ならではの走りの醍醐味、EVと違って3分で満タン

電動車ならではの走りの醍醐味、EVと違って3分で満タン

動力性能も優れている。80km/hを超えると車速の伸びは鈍るが、80km/hまでの加速はスペック以上に力強いし、アクセル操作に対する遅れがまったくないレスポンスも気持ちいい。ダイレクトかつ力強い加速性能と、無騒音無振動の組み合わせは電動車でなければ味わえない醍醐味だ。それでいて充電に時間がかかるEVと違いFCVは3分で満タンになる。EVに乗ってみたいが、マンション住まいで自宅充電ができないから諦めるしかない・・・そんな人にとって新型MIRAIは最適な一台である。

(写真:岡崎五朗、トヨタ)

※記事の内容は2021年3月時点の情報で制作しています。

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