近年、安全性能や走行性能を向上させるため、クルマのボディサイズは世代交代のたびに大きくなる傾向があります。そのような中で、日本の道路事情にマッチした全幅1,700mm以下の5ナンバーサイズを維持し、取り回しの良さを実現しているのがコンパクトカーです。最近ではリアに優れた乗降性を実現したスライドドアを採用するモデルも増えてきました。小さなお子さんや高齢者の送り迎えなどに非常に便利な「スライドドア」を採用したコンパクトカーを徹底解説します。
- スライドドア付きコンパクトカーの種類は少ないが、どの車種も室内空間が広く、3列シート仕様、ハイブリッドなど使い勝手に優れる実力派がそろう
- 使いやすいボディサイズで日常使いに最適、一方で燃費面では一般的なコンパクトカーより見劣りする
- 新車ならトヨタシエンタやホンダフリード、中古車であれば旧型シエンタ、もしくはトヨタポルテ/スペイドがおすすめ
スライドドアのコンパクトカーが人気の理由、車種が少ない理由
一般的に、スライドドアを採用した5ナンバーサイズのコンパクトカーは2列シート仕様5人乗りのモデルを「ハイトワゴン」、3列シート仕様のモデルを「コンパクトミニバン」と呼びます。ハイトワゴンは軽自動車で現在主力モデルとなっている「スーパーハイトワゴン」を5ナンバーサイズの小型車に発展させたモデルです。
スライドドアを採用したコンパクトカーであるハイトワゴンやコンパクトミニバンが人気の理由として、以下のような点が挙げられます。
- 取り回しのしやすい5ナンバーサイズ
- 小排気量エンジン
- ハイブリッドによる 優れた燃費性能と経済性
- コンパクトなボディサイズながら広い室内空間と多彩なシートアレンジを実現
- リア両側に、利便性
- 乗降性に優れたスライドドアを採用
特に広い室内空間とリアの両側スライドドアは、小さなお子さんから高齢者までどんな人でも乗り降りしやすく高いホスピタリティを発揮します。またスライドドアの大開口によって、お子さんをチャイルドシートに乗せやすいというメリットもありますし、ヒンジ式ドアのようにお子さんがドアを開けた際に隣のクルマに当ててしまうという心配もないのはうれしいポイントといえます。
現在、コンパクトなハイトワゴン&ミニバンは、トヨタ「シエンタ」、ホンダ「フリード」、スズキ「ソリオ」(OEM供給の三菱「デリカD:2」)、ダイハツ「トール」(OEM供給のトヨタ「ルーミー」、スバル「ジャスティ」)でまとめると4車種しかありません。
過去にはトヨタ「ポルテ・スペイド」(これは左側に大きなスライドドアを1枚採用)をはじめ、「ラウム」、「カローラスパシオ」などがありましたが、開発コストの面から集約されています。それは、このコンパクトハイトワゴンやミニバンを購入する層は、乗車人数や燃費性能にこだわるケースが多く、選択肢を多くしても一部の車種に人気が集中するということが理由ともいえるかもしれません。しかし、車種数が少ない分、使い勝手や予算などじっくりと吟味できるというメリットもあるといえるでしょう。
スライドドアのコンパクトカーのメリット・デメリット
スライドドアのコンパクトカーのメリット
ハイトワゴンやコンパクトミニバンといったスライドドアを採用したコンパクトカーのメリットを解説しましょう。
先程も触れていますが、お子さんから高齢者まで、誰でも乗り降りしやすいスライドドア。このスライドドアを採用すると、必然的にクルマの車高は高くなります。その結果、スライドドアを採用したコンパクトカーの室内空間は室内高が高くなり、コンパクトカーとは思えないほどの広さを実現しています。その広さは小さいお子さんが立ったまま着替えができるほどです。
この広い室内空間を活かして、フロント&リアシートによる多彩なシートアレンジも行えます。リアシートをすべて倒してラゲッジルームを最大化すれば、通学に使うような大きなサイズの自転車も積載可能で、突然の雨や帰りが遅くなったときでも非常に重宝します。
大きなサイズの自転車を積載できるほどの室内空間を確保したスライドドアを採用したコンパクトカーですが、今回紹介する4車種はすべて5ナンバーサイズとなっています。5ナンバーサイズというのは、エンジン排気量が2L以下や全幅1,700mm以下という経済性、そして日本の道路事情にマッチしたボディサイズを採用しています。しかも、今回紹介する4車種のエンジン排気量はすべて税制上メリットの大きな1.5L以下。また優れた燃費性能を発揮し、高い経済性を実現したハイブリッド車も選ぶことができます。
優れた乗降性を実現しているスライドドアですが、ただ乗り降りしやすいだけではありません。チャイルドシートが必要な小さなお子さんがいる家族ならば、チャイルドシートに乗せやすいですし、お子さんが扉を開けて隣のクルマにぶつけてしまうという心配もありません。また狭い駐車場などでも乗り降りしやすいですし、リアのハッチが開閉できないようなケースではリアのスライドドアから荷物を積むことができるなど、使い勝手の良さも魅力といえるでしょう。
スライドドアのコンパクトカーのデメリット
優れた乗降性や利便性を実現しているスライドドア。そのスライドドアをリアに採用したコンパクトカーですが、メリットが多い一方で、デメリットもあります。
スライドドアを採用しているコンパクトカーのデメリットとして挙げられるのは、車両重量が重くなることです。例えば、同じ1Lエンジンを搭載したコンパクトカー同士で比較すると、トヨタ「ヤリス」と「ルーミー」では約100kg車両重量が重くなります。やはり大きなスライドドアを採用すると、ヒンジ式ドアに比べて車両重量が重くなってしまいます。加えて、車両重量が重いスライドドアを採用すると、走行や燃費性能にも影響してしまいます。
また、スライドドアを採用する車種の多くが車高が高く、広い室内空間を得ている一方で、都市部に多く存在する立体駐車場が利用できないというデメリットもあります。
そして、最も気になる車両本体価格でも同じような装備のコンパクトカー同士で比較しても、10万円ほど高くなる傾向があります。たとえ10万円高くなっても、スライドドアのある利便性を考えれば相殺できますが、マンションが立体駐車場で高さ制限があるため、入らないというのは一部の人には大きなデメリットかもしれません。また、万が一電柱や壁にぶつけたなどの物損事故を起こした場合、スライドドアに損傷があると、修理代が高くなります。もし、当たり方が悪く開閉機能に影響が及んでしまうと修理不能になることもあるので、注意したいところです。
スライドドアのコンパクトカーおすすめランキング トップ4
スライドドアを採用したコンパクトサイズのハイトワゴンやミニバンの特徴やメリット、そしてデメリットをこれまで紹介してきました。ここでは、スライドドアを採用したコンパクトカーを全車種紹介していきましょう。
第1位 トヨタ「シエンタ」
スライドドアを採用したコンパクトカーの中で、現在最も人気があるのがトヨタ「シエンタ」です。2022年8月にフルモデルチェンジを行い、3代目となる現行型が登場しました。現行型シエンタは、クルマの骨格となるプラットフォームはTNGA(GA-B)プラットフォームをベースに新設計されました。さらに環状骨格構造を採用することで、結合部の剛性を向上。その結果、軽量でありながらバランスの取れた高剛性ボディを実現し、上質な乗り心地と優れた操縦安定性を両立させています。
現行型シエンタのボディサイズは、全長4,260mm×全幅1,695mm×全高1,695(ハイブリッド4WD車は1,715)mm。330mmと低いフロア地上高や段差のないフラットなフロアを可能としました。またパワースライドドアの開口部を1,200mm(従来型比+60mm)に拡大することで、後席の優れた乗降性を実現しています。バックドアの開口部の高さは、従来型より15mm拡大、さらに荷室高も20mm高くしたことで、荷物の出し入れがよりスムーズに行えます。荷室空間は最大にすると、27インチタイヤもハンドルを開口部に取られることなく積載することができます。
現行型シエンタに搭載しているパワートレインは、最高出力120ps、最大トルク145Nmを発生する1.5L直列3気筒ダイナミックフォースエンジン+ダイレクトシフトCVT。そして1.5Lエンジン+モーターのハイブリッドシステム搭載車の2種類。駆動方式は2WD(FF)を中心にE-Fourと呼ばれる電気式4WDをハイブリッド車に設定。従来はガソリン車に4WDが設定されていましたが、新型シエンタではハイブリッド車に4WDが設定されているのが特徴です。
燃費性能はWLTCモードでガソリン車が18.3~18.4km/L。ハイブリッド車は25.3~28.8km/Lと、ガソリン車でも十分高くなっています。
安全装備面では、プリクラッシュセーフティに車両、歩行者、自転車運転車に、自動二輪車(昼)を検知範囲に加えて、事故割合が高い交差点でも支援するプリクラッシュセーフティ。さらに、運転の状況に応じたリスクを先読みして、ドライバーのステアリングやブレーキ操作をサポートするプロアクティブドライビングアシストを採用した最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を全車に標準装備。
さらに、縦列駐車や車庫入れ時のアクセル、ブレーキ、ハンドル操作、シフトチェンジの全操作を車両が支援する高度運転支援技術「トヨタチームメイト」の機能「アドバンストパーク」を設定しています。先代モデルでは、5人乗りのファンベースというグレードが設定されていましたが、現行型では全グレードで5人乗りと7人乗りが選べるようになっています。
第2位 ホンダ「フリード」/「フリード+」
シエンタと激しい販売競争を繰り広げている現行型ホンダ「フリード」は2016年9月に登場したロングセラーモデルです。「7days Wonderful Mobility」をコンセプトに用途に応じて思いどおり使えるコンパクトミニバンとして開発されました。3列シート車のフリードに加えて、5人乗り2列シート仕様のフリード+も設定しています。
フリードのボディサイズは全長4,265(一部4,295)mm×全幅1,695mm×全高1,710(4WDは1,735)mmの5ナンバーサイズ。ボディの骨格にはハイテン材適用率を上げて、剛性を向上。高剛性リアサスペンションや液封コンプライアンスブッシュの採用により、剛性や乗り心地を向上し、運転の楽しさや安心感を高めています。
フリードに搭載されているパワートレインは、1.5L直列4気筒ガソリンエンジンとモーターを組み合わせたスポーツハイブリッドi-DCDと呼ばれるハイブリッドシステムと、1.5L直列4気筒ガソリンエンジンの2種類です。WLTCモード燃費はハイブリッド車が19.8~20.9km/L。ガソリン車は15.6~17.0km/L。駆動方式はハイブリッド車、ガソリン車ともに2WDと4WDを選ぶことができます。
フリードは先進の運転支援システム「Honda SENSING」を標準装備。衝突軽減ブレーキをはじめ、先行車との車間距離を一定に保ち追従走行するアダプティブクルーズコントロール、車高速道路などで車線のセンターを走行できるようにサポートする車線維持支援システム。アクセルとブレーキを踏み間違えても急発進しない誤発進抑制機能など9つの機能によってドライバーをサポートしてくれます。
フリードは2019年10月にマイナーチェンジを行った際に内外装の変更と同時にクロスオーバースタイルの新グレードクロスターを追加し、アクティブなユーザーでも選びやすくなっています。
第3位 スズキ「ソリオ」 /三菱「デリカD:2」
コンパクトハイトワゴン市場を開拓したスズキ「ソリオ」。現行型ソリオは2020年11月にフルモデルチェンジを行い登場しました。三菱「デリカD:2」はソリオのOEM供給車となっています。
現行型ソリオは標準車のソリオと押し出し感を強めたソリオバンディッドの2モデルを設定。先代モデルに比べて、全長を80mm(バンディッドは70mm)延長し、荷室床面長を100mm拡大したことで、大きな荷室と広く使いやすい室内空間を両立しています。大きくなったボディですが、骨格であるルーフパネルとルーフメンバーの接合部に高減衰マスチックシーラーという素材を採用し、こもり音や雨音を低減。
さらに操縦安定性を高める構造用接着剤を採用し、乗り心地や静粛性を向上させたのが特徴です。そして内装部品の形状を見直すことで特にリアシートの左右乗員の肩回りスペースを拡大し、3人乗車時の快適性を向上しています。
ソリオが搭載するパワートレインは最高出力91ps、最大トルク118Nmを発生する1.2L直列4気筒エンジンとこの1.2Lエンジンに最高出力3.1ps、最大トルク50Nmを発生するISG(モーター機能付発電機)+リチウムイオンバッテリーを組み合わせたスズキ独自のマイルドハイブリッドシステムの2種類。このマイルドハイブリッドシステムはブレーキを踏んだ際などの減速時のエネルギーを利用して発電し、専用のリチウムイオンバッテリーに充電。そして加速時にはその電力を使用してモーターを駆動させエンジンをアシストし、出力と燃費を向上させます。
ミッションは全車CVTが組み合わされ、駆動方式は全グレードで2WD(FF)と4WDを用意。燃費性能はWLTCモードで17.8~19.6km/Lを実現しています。
安全装備では、ステレオカメラを採用し、夜間の歩行者も検知可能となった衝突被害軽減ブレーキのデュアルカメラブレーキサポートをはじめ、誤発進抑制機能、そして高速道路などでのドライバーの負担を軽減するアダプティブクルーズコントロール機能に全車速追従機能を追加するなど安全性を向上。また、運転席前方のダッシュボード上に運転に必要な情報を見やすく表示するカラーヘッドアップディスプレイを初めて採用しました。
第4位 ダイハツ「トール」/トヨタ「ルーミー」/スバル「ジャスティ」
2016年11月から販売開始されたダイハツ「トール」は、広い室内空間、多彩なシートアレンジといったミニバンの魅力を全長約3.8mのコンパクトなボディに凝縮したハイトワゴンです。ダイハツが開発し、OEM供給され、トヨタはルーミー、スバルはジャスティとして販売されています。
モデル構成は標準車に加えてメッキパーツを採用した大きなフロントグリルが特徴の広々としたカスタムの2種類となっています。空間のLivingと余裕の走りDrivingを掛け合わせた1LD-CARをコンセプトとして、リアには乗降性に優れたパワースライドドアを採用。フロントシートはウォークスルーが可能で、前後席間でスムーズな移動が可能。リアシートは最大70°までリクライニングでき、車中泊も可能な空間を確保できます。
搭載されるエンジンは最高出力69ps、最大トルク92Nmを発生する1L直3自然吸気と最高出力98ps、最大トルク140Nmを発生する1L直ターボの2種類。組み合わされるトランスミッションは全車CVTで、駆動方式は自然吸気車が2WD(FF)と4WD。ターボ車は2WD(FF)となっています。燃費性能はWLTCモードで、16.8〜18.4km/Lとなっています。
2020年9月に初のマイナーチェンジを行い、内外装の変更をはじめ、安心・安全機能を進化、そして使い勝手の良さを向上させました。なかでも安心・安全機能の進化では、新型ステレオカメラを採用した「スマートアシスト」を搭載。衝突回避支援ブレーキの検知対象に夜間歩行者、追従二輪車も追加。検知距離、対応速度の向上を図っています。
またドライバーの負担を軽減する全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)を採用しています。さらに、ドアロックまでの待ち時間を解消するタッチ&ゴーロック機能の追加や、近づくだけでドアロックを解除するウェルカムドアロック解除機能を採用。加えて、予約しておけば近づくだけでスライドドアが自動で開くウェルカムオープン機能を追加しホスピタリティを高めています。
中古車でしか買えないスライドドアのコンパクトカー おすすめ トップ5
スライドドアを採用したコンパクトカーは新車で購入できる現行モデルばかりではありません。ここではフルモデルチェンジを行い、旧型となったモデルをはじめ、すでに販売を終了した絶版モデルの中から、中古車でしか買えない国産のスライドドアを採用したコンパクトカーを5車種紹介しましょう。
第1位 トヨタ「ポルテ」/「スペイド」(絶版)
年式2012年〜2020年・相場価格16.5万〜180万円
トヨタ「ポルテ」はフロントシートだけでなく、リアシートにもアクセスできる助手席側の大きなスライドドアが特徴のコンパクトカー。2代目のポルテは兄弟車「スペイド」とともに2012年7月に登場しました。
当時、プチバンという新コンセプトを提案したポルテ/スペイドの特徴のひとつが大開口スライドドアです。全長は3,995mmのボディに開口幅1,020mm 開口高1,250mmと初代モデルより拡大し、電動そしてワイヤレス化して利便性を大幅に向上。また、子供からお年寄りまで誰でも乗り降りがラクラクできるよう床面は低くてフラット。さらに多彩なシートアレンジとあいまって誰にでも優しいクルマに仕立てられています。
そして初代は1枚だった運転席側ドアが現行型では前後2枚となった点でも大きく使い勝手が向上しています。ポルテ/ スペイドに搭載されているエンジンはデビュー当初1.3Lと1.5Lの2種類でしたが、2015年の一部改良で1.5Lのみとなっています。さらに、2016年の一部改良では、プリクラッシュセーフティ、レーンディパーチャーアラート、オートマチックハイビームをセットにした「Toyota Safety Sense C」を全車標準装備するなど安全性を向上させています。モデル末期にはSUVテイストの特別仕様車を設定するなど、選択肢の幅を広げています。
第2位 トヨタ「シエンタ」(旧型)
年式2015年〜2022年・相場価格68万〜289.8万円
2015年6月に登場した旧型トヨタ「シエンタ」は、全長4,235mmというボディに6/7人乗りの3列シートをレイアウトしたコンパクトミニバンです。3列目シートは、初代モデルよりひざまわりのスペースをプラス20mm拡大。さらにダイブイン機能付の5:5分割左右独立式シートを採用し、たたむとセカンドシート下に収納できるのが特徴です。
開口幅665mmを実現した両側リアスライドドアを採用し、フラットな床の高さを地面から330mm(4WD車は350mm)と低く設定することで、誰もが乗り降りしやすくなっています。旧型シエンタが搭載するパワートレインは最高出力109ps(4WD車は103ps)を発生する1.5L直列4気筒DOHCエンジンと、1.5Lガソリンエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステム、THS-IIの2種類。
トランスミッションは全車CVTが組み合わされ、駆動方式はFF(2WD)を中心にガソリン車にのみ4WD車を設定。燃費性能はWLTCモードで、14.0~22.8km/Lを実現しています。
旧型シエンタは、2018年9月にマイナーチェンジを行い、内外装の変更と同時に、「ファンベース」と名付けられた2列シート5人乗り仕様が追加しました。リアシートを倒すと最大荷室長2,065mmという大容量のスペースが出現し、26インチのマウンテンバイク2台を積んだり、車中泊を楽しんだりすることが可能です。
またラゲッジのサイドの壁にはユーティリティホールが各9個ずつあり、オプションパーツと組み合わせることでさまざまな使い方が楽しめます。
第3位 ホンダ「フリードスパイク」(絶版)
年式2010年〜2016年・相場価格12万〜185万円
2010年に登場したホンダ「フリードスパイク」は、コンパクトサイズミニバンのホンダ「フリード」をベースに3列目シートを廃して、まるでガレージのような広大なラゲージスペースが特徴のコンパクトカーで、現行モデルホンダ「フリード+」のルーツといえるモデルです。
ホンダ「フリード」の派生モデルで車名の由来はFree(自由)+do(行動する)という意味のフリードにスパイクシューズのようなタフで機能的、遊び心のあるクルマという意味を込めています。
2010年7月よりガソリン車がまず販売開始され、3ヵ月後の10月にハイブリッド車が追加されました。コンパクトカーの人気モデル、フィット譲りのセンタータンクレイアウトを採用し低床・低重心を実現。後席の床面地上高は390mmという低さを実現。さらにワンステップフロアを実現したことにより、子供から高齢者まで誰でも 無理なく乗り降りが可能となっています。リア両側に高い乗降性を実現したスライドドアを採用し、600mmという大開口を確保し、狭い場所での乗り降りもしやすいのが特徴です。
フリードハイブリッドに搭載するパワートレインは、1.5L直列4自然吸気エンジンと最高出力88ps&最大トルク132Nmを発生する1.5L直列4自然吸気エンジン+14ps&78Nmを発生するIMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)を組み合わせたもの。電力回生率を高めるVCM(バリアブル・シリンダー・マネージメント)を採用することで、モーターのみでのEV走行を可能としています。
第4位 スズキ「ソリオ」(旧型)
年式2015年〜2020年・相場価格30万〜232万円
4代目となる旧型スズキ「ソリオ」は2015年8月に登場しました。全長4mに満たないボディサイズのコンパクトハイトワゴンで、リアに両側スライドドアを採用した個性派モデルで、スタンダードなソリオと押し出し感を強めた「ソリオバンディッド」の2モデルが用意されています。
旧型ソリオはクルマの骨格にあたる部分から新開発された、軽量・高剛性のプラットフォームを採用。ボディサイズは従来型のままながら室内空間は室内長を2,515mm、室内高を1,360mmと大幅に拡大し利便性を高めています。また乗降性に優れたリアスライドドアは従来型よりも開口幅を60mm拡大。さらにステップを低くすることで、さらに乗り降りがスムーズになりました。
旧型ソリオに搭載されているパワートレインは最高出力91ps&最大トルク118Nmを発生する新開発の1.2L直列4気筒自然吸気エンジンをはじめ、加速時にモーターでエンジンをアシストする1.2Lエンジンのマイルドハイブリッド。さらに、2016年にはモーターだけでのEV走行を可能とした1.2Lエンジンのストロングハイブリッドを追加しています。
燃費性能はJC08モードで1.2Lガソリンエンジン車が22.0~24.8km/L。マイルドハイブリッド車は23.8~27.8km/L。ストロングハイブリッド車は32.0km/Lを実現しています。安全装備では、ステレオカメラ方式の衝突被害軽減システムであるデュアルカメラブレーキサポートを採用しています。
第5位 トヨタ「ラウム」(絶版)
年式2003年〜2011年・相場価格9万〜100万円
2代目となるトヨタ「ラウム」は2003年に登場したスライドドアを採用したコンパクトカーです。すべての人に 優しく、使いやすいことに徹底的にこだわり、新たに策定したユニバーサルデザイン評価指標を用いた開発手法によりそれを具現化したモデルです。また、同時に環境に配慮した新素材の採用をはじめ、リサイクル性を 高める新しい設計思想を取り入れ たのは、SDGsの先駆けともいえます。
特徴的なのは、ラクに開閉できるパワースライドドア機能を採用した、パノラマオープンドア。助手席側のスライドドアはセンターピラーを内蔵することで、開口幅1,500mmという大開口を実現。その結果、乗降性を画期的に向上させています。また、ラウムのボディサイズは全長4,045mm×全幅1,690mm×全高1,535mmという都市部に多く存在する立体駐車場に対応しつつ、室内空間を一段と拡大した高効率なパッケージを実現しています。さらに、乗り降りにも空間の活用に効果のある回転式の助手席を採用しています。
搭載しているエンジンは駆動方式を問わず1.5L直列4気筒自然吸気で、2WD車は最高出力109ps、4WD車は105psを発生。組み合わされているトランスミッションは4速ATで、燃費性能は10・15モード燃費で15.0〜16.2km/Lを実現しています。
スライドドアのコンパクトカーの適切な選び方と注意点
5人乗りから7人乗りまで、乗車人数に注意
スライドドアを採用したコンパクトカーを選ぶ ときに、まず注意する点は乗車人数でしょう。シエンタやフリードといったコンパクトミニバンは5人乗りの2列シート仕様と6/7人乗りの3列シート仕様がありますが、ソリオやルーミーといったハイトワゴンはすべて2列シート5人乗りとなっています。家族構成をしっかりと考えて、2列シートがいいのか、3列シートのクルマがピッタリなのか考えておきたいところです。
燃費の良さではハイブリッドだが使い方によってはガソリン車が向いている場合も
そして、一般的なガソリンエンジンとエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドどちらを選んだほうがいいのか、と いうのも重要なポイントです。特にガソリン価格が高騰していますので、燃料代は抑えたいところです。
燃料代を抑えるという点ではハイブリッドのほうが有利といえますが、その分車両本体価格が高くなります。大切に乗っていれば、手放す時の買取(下取り)価格は高くなりますが、ガソリン車とハイブリッド車の価格差分を燃料代で取り戻すのは一般的な使い方では不可能です。
また半導体不足による新車の納期遅延も、ガソリン車よりハイブリッド車のほうが長くなる傾向があります。ガソリン車とハイブリッド車では、自分がどのように使うケースが多いのかをしっかりと検討してから選んだほうがいいでしょう。
装備面ではパワースライドドアを外せない
最後に装備面です。両側スライドドアを採用しているモデルならば、運転席のスイッチで開閉できるパワースライドドア機構は欲しいところです。最近は標準装備となっているグレードは拡大していますが、やはり上級グレードに限られるケースもあります。
もちろん装備の充実した上級グレードを購入すれば、みんなハッピーとなりますが、車両本体価格が高くなってしまいます。自分たちが使う上で、どんな装備が必要なのかもじっくりと話し合ったほうが、購入後の満足感も高くなるはずです。
スライドドアのコンパクトカーにまつわる素朴な疑問とその答え
リアシートはキャプテンシート?それともベンチシート?
リアにスライドドアを採用したコンパクトカーを購入するユーザーの多くは、小さなお子さんのいるファミリーというケースでしょう。そうなると、2列目シートにチャイルドシートを装着することが多いかと思います。その場合、2列目シートは分割されたキャプテンシートとベンチシートのどちらにすべきでしょうか。
乗車人数こそ少なくなりますが、セカンドシートはキャプテンシートを選んだほうが良いでしょう。キャプテンシートのほうが、チャイルドシートをしっかり固定できるからです。また、左右に分割されたキャプテンシートならばフロントシートからサードシートまで移動するウォークスルーができます。停車中ならば、クルマから降りることなく車内を移動して、ぐずっているお子さんに与えるおやつやおもちゃなどをラゲッジルームから取ることができるからです。
スライドドア付きのコンパクトカーはなぜ燃費が悪いの?
リアにスライドドアを採用したコンパクトカーは、同クラスのヒンジドアのモデルに比べると、確かにカタログ燃費の点で劣るケースが大半です。その理由はずばり車重。スライドドアという部品はそもそも重い上に開口部が広いため、車体にも補強が必要だからです。
また室内空間の広さを重視したモデルが多く車高も高めです。これもまた車重増加、高速域での空気抵抗の増加を招き、燃費には不利に働くからです。
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車種は少ないが乗車人数、ハイブリッドなど選択肢は多い。自分の使い方をよく考えよう
スライドドアを採用したコンパクトカーは、大きく分けると3列シートをもつコンパクトミニバンと、2列シートのハイトワゴンに分けられます。また、搭載するパワートレインはガソリンエンジンとハイブリッドが設定されているケースが多いです。 自分の使い方にピッタリのモデルはどれなのか。パワートレインや装備を吟味すると、同じカテゴリーでも車種ごとの違いが浮き彫りになりますので、その中でベストバイのモデルを選ぶようにしてください。
よくある質問
Q1:スライドドアを採用したコンパクトカーのおすすめモデルは?
A:トヨタ「シエンタ」などです。2022年8月にフルモデルチェンジを行い、3代目となる現行型は上質な乗り心地と優れた操縦安定性を両立させています。中古車であればトヨタ「ポルテ」と兄弟車「スペイド」がおすすめです。フロントシートだけでなく、リアシートにもアクセスできる助手席側の大きなスライドドアが特徴で、このタイプは現在、新車で手に入れることができません。
Q2:スライドドア付きのコンパクトカーを選ぶときのポイントとは?
A:人や荷物を載せる機会が多いのであればトヨタ「シエンタ」やホンダ「フリード」のような3列シートのミニバンタイプを選ぶべきです。1人もしくは2人程度で使うことが多いのであれば、トヨタ「ルーミー」&ダイハツ「トール」や、スズキ「ソリオ」のようなハイトワゴンタイプが扱いやすいでしょう。ただし燃費の良いハイブリッドモデルはシエンタとフリードのみとなります。趣味などで年間走行距離の多い方は、気をつけてほしいポイントです。
Q3:スライドドアは本当に便利なの?
A:スライドドアは狭い場所での乗り降りがしやすいことや、開口部が広いためチャイルドシートにお子さんを乗せるときなど非常に便利です。かつては、スライドドアが重いことや開口部が大きいことでボディ剛性が低くなるというデメリットもありましたが、現在は素材やさまざまな技術によってかなり改善されています。
※この記事は2022年11月時点の情報で制作しています