軽自動車を中心に人気のある「かわいい車」。その中でもレトロなデザインのかわいい車は、このジャンルの元祖といえる存在です。軽自動車やコンパクトカーを中心に多くのレトロかわいい車がありますが、この記事では現在も新車で買えるレトロなかわいい車と、中古車でしか買えない絶版のレトロなかわいい車、その両方のおすすめモデルをカルモマガジン編集長が紹介します。
- かわいい車とレトロデザインは切っても切り離せない関係
- レトロなかわいい車は軽自動車やコンパクトカーが中心
- 新車にも中古車にもかわいいレトロな車はたくさんある
レトロな「かわいい車」とは
車の世界において「かわいい車」は日本発祥といっても過言ではありません。日産「Be-1」から始まった「かわいいレトロな車」は、現在でも軽自動車やコンパクトカーを中心にたくさんラインナップされています。まずは、かわいいレトロな車の歴史を解説します。
「かわいい車」はレトロから始まった
日産が1985年の東京モーターショーに出展し、その後1987年から販売を開始したBe-1が「かわいい車」の元祖だとされています。人気のコンパクトカー 「マーチ」をベースにしたBe-1は1950年代後半から60年代の車のような丸いヘッドライトが印象的で、全体のデザインには遊園地の乗り物のような丸みを帯びたデフォルメが施されていました。どこか懐かしくてかわいい、そんなBe-1の「ゆるいデザイン」は大きな反響を呼びます。
ちょうど1980年代の車のデザインは、空力性能や居住性などの機能を重視した合理的な直線基調のものが主流でした。感覚的に表現すれば「かっこいい」「速そう」「美しい」「高級」といった言葉でしょうか。いずれにしても前のめりで真面目です。Be-1はそこに「かわいい」というゆるくて遊び心のある異質な言葉を付け加えました。
その後、日産は「パオ」、「フィガロ」と立て続けにレトロデザインの車を世に送り出し、パイクカー(特徴的なデザインの車)と呼ばれるジャンルを確立します。日産の好調を受けて1990年代の半ば以降、各社も追従し、特に軽自動車にはレトロデザインのかわいい車が多数生まれることとなりました。
今も「かわいい車」にはレトロ要素が欠かせない!
かわいい車はその後、多様な趣味趣向を受け止めるためにレトロだけではなく雑貨系や生き物系などさまざまな方向に枝分かれしていきます。スズキが2002年に送り出した「アルトラパン」は弁当箱のような外装デザインに、雑貨のようなモチーフをインテリアに取り込んで、若い女性から大人気となります。
それまでこのマーケットではダイハツの「ミラジーノ」が売れていました。ミラジーノは、ダイハツが1963年に登場した「コンパーノ」にモチーフを求めたというフロント周りの意匠が「結果的」に「クラシックMINI」に似ていたこともあって、レトロなかわいい軽自動車の決定版ともい えるデザインでした。その手は使えない、と思ったのかスズキはレトロではなく雑貨路線に活路を見出し、見事にラパンを成功に導きました。
ただ、アルトラパンのデザインをよく見ると、レトロなデザインモチーフも取り入れていることがわかります。初代の初期はヘッドライトの筐体は四角いもののリフレクターは丸基調だったり(モデル途中で写真のような丸目モデルも追加された)、インパネが全面パネルだったりするあたり、いずれも過去からの引用、レトロを感じさせます。
2代目ラパンは当初レトロ色をやや薄めたモダンなデザインで登場しましたが、途中から設定された派生モデルの「ショコラ」はレトロ路線でかわいい要素を補充、ヘッドライトははっきりと丸目になり、前後にはメッキバンパーのような加飾、シートは専用のキルティング調となりました。レトロ要素を増量したショコラは好評で、その結果、2015年に登場した現行の3代目アルトラパンも丸いヘッドライトでショコラの路線を引き継いでいます。
最近の「かわいい車」にははっきりとレトロで勝負しているダイハツ「ムーヴキャンバス」やホンダ「N-ONE」のような車種もありますが、ラパンやダイハツ「ミラトコット」のように雑貨っぽ さをアピールしている車にもレトロなモチーフは多数用いられています。白いホイールカバーやパネル調のインパネなどはその典型でしょう。かわいい車にはレトロな要素が欠かせないのです。
今、新車で買うことができる
「レトロデザインでかわいい車」のおすすめ
かわいい車は一時期に比べるとレトロ一辺倒ではなくなりましたが、それでも新車で買うことのできるレトロデザインのかわいい車は国産・輸入車問わず、今もラインナップされています。その中から代表的な6車種を紹介しましょう。
ダイハツ「ムーヴキャンバス」
ワーゲンバスのインスパイアモデルとしては本家よりも上手
1950年にフォルクスワーゲンから登場した「タイプ2」、通称「ワーゲンバス」は「かわいい車」の典型として今も人気があり、ミニカーやイラストとしても見かける機会の多い名車です。日本では一時期、軽バンをベースにワーゲンバス風にカスタムするのが流行ったりしたこともありました。
2016年に発売された「ムーヴキャンバス」は、そんなワーゲンバスを連想させるスタイルとツートーンカラーでヒットモデルとなり、2022年にはダイハツの派生モデルとしては異例の2代目へと進化しました。スーパーハイトワゴンより少し背の低いトールワゴンのスライドドア車という、他にライバルがいないボディタイプだったこともヒットの理由でしょう。
初代と非常に似ている2代目ですが、実はすべて新規のデザインです。よく見るとツートーンの塗り分けのラインが変わっていたり、サイドウィンドウが少し立てられていたり、最新モードのかわいいを盛り込んでいます。ちなみに本家のフォルクスワーゲンからもワーゲンバスをモチーフにした「ID. Buzz」が登場しましたが、どうでしょう、かわいいという点ではムーヴキャンバスの方が上ではないでしょうか。
もちろん日本の軽自動車らしく、ムーヴキャンバスはたくさん用意された収納などデザインだけではなく実用性もよく考えられています。ベースのシャシーや安全装備もアップデートされているので、安心しておすすめできる最新のレトロかわいい1台です。
ホンダ「N-ONE」
変わらなかった見た目、刷新された走りと安全装備
ホンダ初の市販軽乗用車「N360」をモチーフとした「N-ONE」は2012年に登場しました。ダイハツ「ミラ」やスズキ「アルト」のような法人ニーズも踏まえた実用路線ではなく、「アルトラパン」や「ミラココア」と同様にパーソナルユース向けのお洒落な1台です。あまりレトロ路線に積極的ではなかったホンダにしてレトロデザインを採用したのは、このマーケットがかわいいライバルだらけだったことも一因でしょう。
2020年にフルモデルチェンジを行いましたが、ムーヴキャンバスとは異なり初代モデルの外装パーツを大部分流用しているため、ぱっと見は見分けがつかないほど初代と似ています。タイムレスデザイン、とホンダは言い訳、いや主張していますが、実際、初代オーナーからもスタイルは変えないでほしいという要望が多かったのだそうです。
中身は2代目「N-BOX」などと同じ系統の新しいシャシーとなり、インテリアはセパレートシートの採用をはじめデザインを一新、安全装備も抜かりなくアップデートされています。ターボや6速MT車も用意されるなど、走りにも力が入ったN-ONEは、速さに加えて軽自動車離れした安定感のある足回りも魅力です。かわいいだけではなく総合力の高い1台です。
MINI「MINIシリーズ」
BMWが作っただけのことはある
第二次大戦後のモータリゼーションを牽引した世界的に有名な大衆車は、ドイツ車ならフォルクスワーゲン「ビートル」(タイプ1)、フランス車はシトロエン「2CV」、イタリア車はフィアット「500」、そして英国車の場合は「MINI」で決まりでしょう。
MINIのデビューは1959年と「有名大衆車」の中では最も遅く、その代わりに横置きFFという現代のコンパクトカーにも採用されているメカニズムを採用し、ミニマムなボディに最大限の居住空間を実現した名車でした。日本では1980年代後半から人気が高まり、そのこともあってオリジナルMINIの生産は2000年まで続くことになりました。1994年、MINIを生産していたローバーをBMWが傘下に収め、2001年に現代的なMINIが登場します。2006年と2013年にモデルチェンジを行いましたが、内外装のデザインはオリジナルMINIを現代的にアレンジしたレトロな姿を維持しています。
3世代目になった現代版MINIは標準モデルの3ドア、5ドアに加えて3ドアベースのオープンモデル「コンバーチブル」、ワゴンモデルの「クラブマン」、クロスオーバーSUVの「クロスオーバー」とさまざまなボディタイプを展開し、ホットモデル「クーパー」も用意されています。一番小さい3ドアでも全長3,880mm、全幅1,725mm、全高1,430mm、大きなクロスオーバーに至っては全長4,315mm、全幅1,820mm、全高1,595mmと、MINIを名乗ってはいるものの結構大きめのサイズです。
とはいえ、オリジナルMINIの世界観は、ひと目でそれとわかる外観はもちろん、センターメーターのオマージュたるセンターディスプレイや、操作感がたまらないスイッチ類など内装にもふんだんに反映されています。しかもその作りは非常に上質で値段に見合った満足感を与えてくれるでしょう。ガソリン、ディーゼル、PHEVなどがそろったパワーユニットや7速DCT、8速ATのおかげで、MINIの走りは極めて現代的です。一部グレードは機能が省略されていますがほぼほぼそろった先進安全装備など、さすがはBMWの一員です。
フィアット 「500」
本物のレトロかわいい
日本でもルパンの車として有名な2代目フィアット「500(ヌーボ・チンクェチェント)」の現代版として2007年に登場したのがフィアット「500」です。この車以外にもビートルやMINIなど、本家が過去の名車をモチーフとした車を送り出しましたが、フィアット「500」がかわいいという点では抜きん出ているのではないでしょうか。
オリジナルデザインのかわいい要素もビートルやMINIよりは高かったということに加えて、全長3,545mm、全幅1,625mm、全高1,515mmと現代の車の中にあってはコンパクトなボディサイズが「かわいい」に効いています。ちなみに乗車定員は軽自動車と同じく4人です。
通常モデルの500とオープンモデルの500C、そしてクロスモデルの500Xも追加されましたが、こちらは全長 4,280mm、全幅 1,795 mm、全高 1,610 mmと見た目も含めて別物です。
すでに発売から15年以上が経過したフィアット500は相変わらず「かわいい車」なのは間違いありません。ツインエアーエンジンのブロロ〜ンという独特の2気筒サウンドもレトロ感満点、さすが本家本元です。
500と500Cも改良は何度か行われていますが、現在販売中のモデルはApple CarPlayとAndroid Autoに対応したタッチパネル式のオーディオディスプレイこそ備えるものの、自動ブレーキなどの先進安全装備の用意はありません( クロスモデルの500Xには設定があります)。手放しでかわいいと思う反面、そのあたりは日本の軽自動車と比べると手放しでおすすめしにくい部分です。
光岡「ビュート ストーリー」
ハイブリッドと先進安全装備を手に入れた光岡の代表モデル
マイクロカーやレプリカモデルを得意としていた光岡自動車が1993年に発売したクラシカルな英国車風のコンパクトカーが「ビュート」です。ベースは日産「マーチ」でサイドはその面影が残っている、というかモロにマーチです。しかし前後はジャガー「MK2」をモチーフとした独自デザインに変更され、そのサイズもあってかわいいレトロカーの仲間入りを果たしました。
ビュートは現在まで続く人気モデルであり、2023年2月にはベースモデルをマーチからトヨタ「ヤリス」へと変更した4代目が発表されています。23年秋に発売予定の4代目はベース車両の変更に伴ってハッチバックモデルの「ビュート ストーリー」のみとなりましたが、その代わりに魅力的なハイブリッドや先進安全装備を手に入れ、ガソリン車にはMTも設定されています。サイドにベース車の面影を残す、いや明らかにヤリスであることも含め、愛嬌のある丸型ヘッドライトやハート型のグリルなどビュートらしさは相変わらず。
インパネもヤリスそのものですが、シートやインテリアの配色はビュート独自のもの。レトロでかわいい見た目はそのままに、旧態化していた日産マーチベースから最新のトヨタヤリスベースとなったことで、大幅に魅力を増したのではないでしょうか。
スズキ「アルトラパン」
追加された「LC」はレトロかわいいの最新解釈
前述したように2002年に登場した初代「アルトラパン」は雑貨的なデザインで女性から絶大な支持を受けました。2008年に2代目、2015年に3代目モデルが登場し、特に2代目の途中からレトロデザインを増量することで現在もその人気を維持しています。2022年には「リフレッシュ」として、トラッドなデザインの「ラパンLC」が追加されています。
ラパンの「アナザーワールド」を表現したとするLCのフロントマスクは、1967年スズキ「フロンテLC10」をモチーフとしたもの。正直、そんなに知られた車ではありませんが、いかにも旧車的なデザインを現代的にアレンジしてトラッド&レトロかわいい外観に仕上げています。LCの内装は木目調のパネルやチェック柄のコンビシートで昭和レトロを意識しています。
3代目ラパンはデビューからだいぶ時間が経ちましたが、先進安全装備などを中心に着実にアップデートされており、そんなに古さは感じません。練り込まれたデザインに数々の専用部品など、スズキに中で特別扱いされているラパンはデザインが気に入ったのであれば買って間違いのない1台でしょう。
中古車で探そう!
「絶版だけどレトロでかわいい車」のおすすめ
かわいいレトロな車は過去にも数多く発売されてきました。それらの中には今でも魅力を放つかわいい車があります。Be-1やパオなど初期のかわいい車たちも魅力ですが、さすがに購入するには覚悟が必要な年式になってきました。ここでは新車で手に入れることはできなくなったものの、中古車であれば状態の良いものをまだ買うことのできるレトロでかわいい車を5車種紹介しましょう。
ダイハツ「ミラジーノ(2代目・2004〜2009年)」
レトロかわいい軽自動車の代表作
ダイハツは1997年にミラの派生車として「ミラクラシック」を発売し、レトロかわいい戦線に参入。1999年にはモデルチェンジで「ミラジーノ」となります。1963年に登場したダイハツ「コンパーノ」にモチーフを求めたというフロント周りの意匠は、「クラシックMINI」にも似た「レトロかわいい」印象をミラジーノにもたらしヒットモデルとなりました。2002年には1Lエンジンを搭載した「ミラジーノ1000」も追加されます。
2004年のモデルチェンジを機に、ミラジーノは前後のデザインだけでなくボディそのものもミラとは異なる専用ボディとなりました。パネルが貼られたインパネは、実は同時期のもう1台の「かわいい」ダイハツ車だった「ムーヴラテ」とほぼ共通のデザインでレトロモダンな印象です。シートやドアなどのインテリアはジーノ独自のデザインが与えられています。個人的には初代ジーノがレトロかわいいの傑作の1台だと思いますが、さすがにちょっと車として古くなり過ぎました。2代目ミラジーノなら2009年まで販売されたので、現在でも中古車はそれなりに流通しています。平均相場は30万円程度です。
ダイハツ「ミラココア」(2009年〜2018年)
雑貨的なデフォルメデザインにレトロをプラス
「ミラジーノ」と「ムーヴラテ」の実質的な後継車として2009年にデビューした「ミラココア」。ココアという甘〜い名前が示すようにデザインテイスト的にはムーヴラテに近く、雑貨的なデフォルメデザインが特徴です。とはいえ丸いヘッドライトや全面パネル貼り風のインパネなどにはレトロなデザインも組み込まれています。
ミラココアは2012年と2014年の2回のマイナーチェンジを経て2018年まで販売されました。残念ながら自動ブレーキなどの先進安全装備は最後まで装備されなかったのですが、エンジンやトランスミッションは同時期の「ミライース」のものがマイナーチェンジのタイミングで部分的に流用されたため、燃費性能はアップデートを受けています。中古車市場でミラココアを見つけることは容易く、平均相場も50万円を切っています。
トヨタ「FJクルーザー」(2010年〜2018年)
最強のオフローダーが愛されキャラに変身!
1960年から1984年まで、24年の長きにわたって生産された「ランドクルーザーFJ40系」。ランドクルーザーの名前と実力を世界に知らしめた名車です。そのデザインモチーフを散りばめた「FJクルーザー」のデビューは2006年。当初は北米専用モデルでしたが、日本でも発売を望む声に押されて2010年から2018年まで販売されました。
丸いヘッドライトとTOYOTAのエンブレムが組み込まれたフロントデザイン、そして白いルーフなどにFJ40をイメージさせつつ、観音開きのドアを採用したサイドビューを持ち、オリジナルティの高い、どこかチョロQぽい印象もある「愛され系」のデザインです。ランドクルーザーらしく防水仕様のインテリアもインパネのセンターパネルがボディ同色とされ、タフさの中に遊び心を感じさせてくれます。
シャシーのベースは「プラド」なので悪路走破性はランクル一族そのもの。北米ではV6の4.0Lエンジンに6速MT+フルタイム4WDもしくは5速AT+パートタイム4WDが組み込まれ、5速AT車は2WDの設定もありましたが、日本では5速AT+パートタイム4WDのみが販売されました。FJクルーザーは中古車市場でも人気で、平均相場は280万円前後、初期モデルは100万円台から見つかりますが、2017年に追加された「ファイナルエディション」や高年式低走行の場合、新車時価格を上回る400万円超えの値札がついたものもあります。
フォルクスワーゲン「ザ・ビートル」
誰が見てもビートルの現代版
世界中で愛されたフォルクスワーゲン「タイプ1」、通称「ビートル(カブトムシ)」は2,150万台を超える生産数を誇る、まさに自動車史に残る名車中の名車です。そのビートルを本家フォルクスワーゲンが現代的にリメイクした「ニュービートル」は1998年に登場、そして2011年には進化版の「ザ・ビートル」がリリースされます。
丸目ヘッドライトはもちろん、ボディ後端まで伸ばされた丸いルーフ、前後の大きなフェンダーなど誰が見てもビートルとわかるデザインは、さすが本家の仕事です。インテリアも基本は現代的ですが、インパネのグローブボックスの造形や、オプション(一部限定車は標準)設定されたフラワーベース(一輪挿し)などに初代ビートルとの共通性を見出すことができます。オープンモデルの「カブリオレ」やスポーツモデルの「ターボ」も設定されました。
ベースとなったのは当時の最新モデル「ジェッタ」(≒ゴルフ6)なので、エンジンは直噴ダウンサイジングターボ、トランスミッションはツインクラッチの6速&7速のDSGと、走りもモダンで洗練されていました。フィアット「500」同様にザ・ビートルにもさまざまな限定車が設定され、2019年まで販売されました。中古車市場の流通量は比較的多く、平均相場は140万円ほど、年式や走行距離、グレードによって大きく幅があります。
日産「マーチ ボレロ」
かわいい成分が減ったマーチに上品なレトロ感を補充!
オーテックジャパンが手がけた日産「マーチボレロ」は2代目モデルから登場し、好評を受けて3代目、4代目にも設定されました。オリジナルマーチと比べて違うのは、外観は丸っこい専用のフロントバンパーやメッシュデザインのフロントグリル、インテリアはボーダー柄のシートや、マーブル柄のセンターパネルなどで、やや控えめな内容。「Be-1」や「パオ」、「ラシーン」、「キューブ」など数々のかわいい車を生み出してきた日産の歴史を考えると一抹の寂しさを感じます。
それでもボレロが4代目にしてかわいい成分が減ったマーチに上品なレトロ感を加えているのは間違いありません。2016年にはオーテック30周年を記念してわずか30台限定のスペシャルな「ボレロA30」が抽選で発売されました。「ノートNISMO」の1.6Lエンジンをさらにチューンし、トレッドも拡大するなどノーマルとはまったく別物。その少なさで幻のボレロとも呼ばれています。
ベースモデルの4代目マーチは苦しい時代の日産のモデルということもあって、ハイブリッドなど特筆すべきメカニズムはなく、また内外装の質感などもちょっとイマイチ、先進安全装備も2020年になってようやく設定されました。中古車市場での流通量はそれほど多くはありませんが、特にプレミアはついておらずノーマルのマーチとの価格差もほとんどありません。狙うなら先進安全装備が加わってサポカーSワイド対応となった2020年以降のモデルですが、こちらはまだほとんど流通していません。
専門家がおすすめする「レトロでかわいい車」 ベスト3
ここまで紹介したかわいいレトロな車たちの中から、カルモマガジン編集長・馬弓の個人的なおすすめを3車種紹介します。
第1位 ダイハツ「ムーヴキャンバス」
何度も書きますが本家の新作よりもかわいい
新型が登場したばかりのダイハツ「ムーヴキャンバス」がおすすめ1位です。デザインのモチーフとなった「ワーゲンバス」の「普遍的なかわいい」を見事にデフォルメして、現代的なかわいいレトロデザインに仕立てています。本家から登場したばかりのフォルクスワーゲン「ID. Buzz」に比べても、個人的にはムーヴキャンバスの方がかわいいと感じます。
最新モデルなので基本的な走りの実力や安全装備は他の軽自動車と比べても高いレベルです。唯一、ロードノイズは気になりますが。乗っても見ても楽しい気持ちになる、そんなかわいい車の魅力が詰まった1台だと思います。
第2位 光岡「ビュート ストーリー」
トヨタのハイブリッド+先進安全装備で基礎点大幅アップ!
レトロかわいいで光岡「ビュート」は外せません。登場から30年、4代目もビュートらしいクラシカルなスタイルを受け継いでいます。光岡の他のモデルはかわいいとは言いかねるデザイン(かわいくないという意味ではありません、かっこいいとかおどろおどろしいという意味です、念のため)だと個人的には感じているのですが、ビュートはそのサイズもあって、かわいいと思います。特に2023年秋に正式発売となる4代目モデルはトヨタ「ヤリス」がベースということで基礎点が大幅にアップしていることも高評価のポイント。トヨタのハイブリッドが付いたビュート、ある意味最強です。
ちなみにトヨタ「RAV4」をベースに1970年代のアメリカンSUV風とした「バディ」は予約が殺到し、RAV4の生産遅延もあってそのウェイティングリストは相当長くなっているようです。光岡の生産能力は限られているので新型ビュートの予約も急いだ方がいいかもしれません。
第3位 トヨタ「FJクルーザー」
レトロかわいい+レトロかっこいい
ランクル譲りの本格的なクロカン四駆であるトヨタ「FJクルーザー」もおすすめの1台です。すでに中古車でしか手に入らない上に、程度の良いものはプレミア価格なのが難点ですが、「FJ40」という伝説的なモデルをベースにしながらも、観音ドアなどFJクルーザーのオリジナルなデザインはレトロかわいいし、レトロかっこいいと思います。今ならまだコンディションの良い中古車が見つかるのも魅力(とはいえ高いなと思いますが)。中古車市場全体は一時期よりは落ち着いてきているので、それがFJクルーザーにも波及することを願っています。
「欲しい車が高い…」「予算オーバー」
でも、あきらめることはありません!
今利用が急増している、新しい車の持ち方があるのをご存じですか?
それは車のサブスク、カーリースです。
カーリースは月額料金の支払いだけで車を持つことができ、料金は最初から最後までずっと定額です。
そして、車両本体価格の全額を負担する必要がないので、「買えない」「ローンが組めない」と思っていた車にも、無理せず乗ることができます。同じ車でも、カーローンの月々の返済額とカーリースの月額料金を比べたとき、リースのほうが安く抑えられる、ということがあるのです。
カーリースを検討するなら、おすすめは「おトクにマイカー 定額カルモくん」です。
定額カルモくんで、あの車にいくらで乗れるのか?
知りたい方は【こちら】から料金シミュレーションできます。
「レトロなかわいい車」と一緒なら、日々の暮らしもちょっと楽しくなる
機能性が優先されてきた自動車のデザインに「かわいい」というジャンルを確立したのはBe-1をはじめとした日本車たち。そしてそのかわいいを構成する主な要素がレトロなのは間違いありません。ちょっとゆるさを感じるレトロかわいい車たちは、忙しい日々の中の一服 の清涼剤です。ちょっとお疲れ気味でも、仕事や学校帰りに駐車場でかわいい愛車の出迎えを受ければ、少しだけ楽しい気持ちになるのではないでしょうか。
よくある質問
Q1:レトロなかわいい車とはどんな車ですか?
A:日産「Be-1」から始まった、古い車をモチーフに取り入れた遊び心のあるデザインの車を指します。現在でも軽自動車やコンパクトカーを中心に多くのレトロなかわいい車が存在します。
Q2:かわいいレトロな車は新車で買えますか?
A:軽自動車のダイハツ「ムーヴキャンバス」やホンダ「N-ONE」、輸入車でも「MINI」やフィアット「500」など、かわいいレトロな車が新車で販売されています。
Q3:専門家がおすすめするかわいいレトロな車を教えてください
A:ワーゲンバスを現代的に解釈し直したダイハツ「ムーヴキャンバス」、トヨタ「ヤリス」ベースに生まれ変わってハイブリッドも設定された4代目光岡「ビュート」、中古車であればランクルベースのタフでかわいいトヨタ「FJクルーザー」がおすすめです。
※この記事は2023年5月時点の情報で制作しています