新車の販売台数は毎月発表され、そのランキングはニュースとしても流れます。しかし中古車の場合はどうなのでしょう。長年、中古車情報誌で活躍してきた自動車評論家の萩原文博さんに現在の中古車の売れ筋モデルについて詳しく解説してもらいましょう。
中古車の売れ筋モデルはお値段が高め
新車の場合、人気が高くなると例えばスズキジムニーのように納車までの期間が長くなります。一方、人気の高い中古車の場合は価格が高くなります。中古車は1台1台、同じ車種、年式であってもコンディションが異なるため、定価はもちろんありません。株式のように需要と供給のバランスによって決まる相場が価格を左右するのです。したがって、需要(=人気の高いクルマ)が高く、供給(=中古車の流通台数)が少ないと価格は上昇するということになります。
安くて良い中古車を買いたいというのであれば、人気車種を外すことが一番の近道です。人気という不確定要素は車種だけでなく、ボディカラーや装備、グレードなどにまで及びます。こういった項目を上手く外すと安くて良い中古車を購入できるのです。とはいえ今回のテーマは売れ筋ということなので、お買い得な中古車などは別の機会にお話しすることにしましょう。
中古車の売れ筋モデルは新車の人気と大きな違いはありません。やはり新車で人気の高い車種は中古車になっても変わらず人気なのです。ボディタイプごとに中古車の売れ筋車種を紹介していきましょう。
軽自動車ならホンダN-BOXがダントツの売れ筋モデル
軽自動車でこの数年、新車での販売台数No.1を続けているのはホンダN-BOXですが、中古車でも圧倒的な人気を誇ります。標準車とカスタムと呼ばれる押し出し感を強めた2モデルが用意されたN-BOXの人気の理由は、軽自動車の枠を超えた走行性能と安全装備、そして利便性です。
クルマの骨格にあたるプラットフォームをわずか一世代で刷新、エンジンは自然吸気エンジンにホンダ独自の技術i-VTECを搭載するなど走りが強化されています。安全装備はホンダセンシングと呼ばれる運転支援機能を全車に標準装備し、軽自動車で初めて高速道路での追従走行を可能としたACC(アダプティブクルーズコントロール)も採用しました。ホンダ独自のセンタータンクレイアウトはミニバンに匹敵する多彩なシートアレンジも可能で、インテリアも軽自動車とは思えないオシャレなカフェのような仕立てとなっています。
登場からすでに2年半以上が経過しましたが、その実力は依然としてトップクラス。流通台数も豊富とくれば中古車での人気もうなずけます。
コンパクトカーはe-POWERが人気の日産ノート
コンパクトカーの売れ筋中古車は日産ノートです。2012年に登場した現行モデルはデビュー当初はそれほどパッとしたイメージはありませんでした。しかし、2016年に追加されたe-POWERによって人気が急上昇しました。
このe-POWERは1.2Lガソリンエンジンで発電し、その電力でモーターを駆動させて走行するというシリーズ型ハイブリッド車です。ガソリンエンジンは発電のみに使用するので、振動が少なく静粛性の高さもなかなかのもの。低燃費に加えて電気自動車のようなスムーズな加速フィーリングが多くの人の心をつかみました。カスタマイズカーのNISMOや上質さを追求したオーテックというモデルもラインナップし、幅広いニーズに応えているのも売れている理由でしょう。
コンパクトカーは広い室内空間とスライドドアが人気のトヨタルーミー/タンク
コンパクトカーの中でスマッシュヒットしているのが、ハイトワゴンのトヨタルーミー/タンクです。元々はダイハツが開発したトールのOEM車、軽自動車で人気のスーパーハイトワゴンを5ナンバーサイズのリッタカーとしたモデルです。乗車定員は5名となり、リアスライドドアをはじめとした利便性の高さや広い室内空間、そして優れた燃費性能などで非常に安定した人気を誇っています。
先進安全装備はダイハツご自慢のスマートアシストIIIを搭載し、クルマだけでなく人も検知して作動する衝突被害軽減ブレーキを筆頭に充実した内容。ルーミー、タンクそれぞれに標準車と2トーンボディも選べるカスタムが用意されています。この2台も登場から3年以上経過したことで流通台数は増えており、中古車市場でも選びやすくなっています。
セダン/ハッチバックはやはりトヨタプリウスで決まり
セダンやハッチバックの売れ筋中古車は、やはりトヨタプリウスです。2015年12月に登場した4代目となる現行型プリウスは、トヨタのクルマ構造改革である「TNGA」第1弾として登場しました。「もっとイイクルマ」を目指して、基礎から一新。これまでの優れた燃費性能に加えて、高い走行性能や運転する楽しさが加わりました。現行型ではプリウス初となる4WD車を設定し、降雪地のユーザーにも供給できるようになりました。
昨年、マイナーチェンジを行ったことで前期型の流通台数が増加傾向で選びやすさもピカイチです。
コンパクトミニバンは個性的なスタイルと使いやすさを両立したトヨタシエンタ
コンパクトサイズのミニバンでは2015年6月に登場したシエンタが人気です。元々は3列シート車だけでしたが、2018年9月のマイナーチェンジの際にファンベースと呼ばれる2列シート車を追加し、さらに人気に拍車が掛かりました。個性的なデザインの全長約4.3mのコンパクトなボディですが、セカンドシートの下にサードシートを収納するなど優れたパッケージが子育て世代のママから高く支持されています。また、取り回ししやすい5ナンバーサイズというのも人気の要因と言えるでしょう。前期型の流通台数は多く、またマイナーチェンジでの外観の変更が少なかったので、中古車で前期型を選んでも新車と同じような気分で乗れるのもポイントが高いでしょう。
ミドルクラスミニバンならプロパイロットも選べる日産セレナ
ミドルクラスのミニバンなら、国産ミニバンで最も売れている日産セレナが中古車でも売れ筋モデルと言えます。同じクラスのノア/ヴォクシーやステップワゴンよりも新しいモデルなうえに、ノートに搭載され人気となっているe-POWERもラインナップしています。
中古車ではスマートシンプルハイブリッドと呼ぶ2L直列4気筒ガソリンエンジン搭載車が圧倒的に多くなっています。e-POWER車には燃費性能は及びませんが、リーズナブルな価格が魅力です。特にエアロパーツを装着したハイウェイスターが人気で、高速道路での半自動運転が可能なプロパイロット装着車を選べばロングドライブにもうってつけです。
大型ミニバンはトヨタアルファード/ヴェルファイアの一人勝ち
大型ミニバンはアルファード/ヴェルファイアで決まりです。2015年1月に登場した現行型アルファード/ヴェルファイアはミニバンの枠を超えて、新時代の高級車として開発された意欲作。現在では、政治家や芸能人が移動するためのクルマとしても多く使われています。
アルファード/ヴェルファイアの人気は日本国内に留まりません。アジア圏では中古車が1000万円以上で売買されており、日本から中古車がドンドン輸出されています。中古車としてのアルファード/ヴェルファイアの場合は新車時に値段の高かった3.5LのV6エンジン車の割安感が目立つのが特徴です。
コンパクトSUVなら流通台数の多いホンダヴェゼル
コンパクトSUVはホンダヴェゼルです。先代フィットをベースとしたコンパクトSUVで、クラストップの室内空間とラゲージスペースを確保しています。搭載されているパワートレインは1.5L直列4気筒ガソリンエンジン、1.5L直列気筒ターボエンジン。そして1.5Lエンジン+モーターのハイブリッドシステムと多彩なラインナップを実現しています。加えて、運転支援システムもホンダセンシングを設定しており、中古車でも数多くのモデルがこのホンダセンシングを装着しておりおすすめです。生産期間が非常に長いので流通台数の豊富さもヴェゼルの魅力と言えるでしょう。
グローバルで人気のマツダCX-5は日本でも売れ筋のミドルクラスSUV
ミドルクラスSUVの中古車売れ筋モデルはマツダCX-5です。2Lガソリンエンジン、2.5Lガソリンエンジン、2.5Lターボエンジン、そして2.2Lディーゼルターボエンジンと4つのエンジンを設定している人気モデル。その人気の要因はやはり人馬一体にこだわったマツダらしい走行性能の高さでしょう。運転席とペダルの位置関係までこだわり、疲れにくく運転を楽しめるようにクルマの基礎設計から考え抜かれています。
特に魅力的なのはXDと呼ばれる2.2Lディーゼルエンジン搭載車。ディーゼルエンジンは使用する軽油の価格が安く、燃費性能も優れているため、航続走行距離は800km以上というロングレンジを誇ります。マツダは細かい改良を頻繁に行い、運転支援システムは最新のシステムを搭載するように努めている点も評価したいところです。現行型の中古車の流通台数もだいぶ増えてきており、特にディーゼルモデルは選びやすくなってきています。
売れ筋モデルには売れる理由がある
人気の高い売れ筋のクルマには、そのバックボーンとなる理由がキチンと存在しています。人気が高いクルマだと街で見かけることが多くて嫌だという人もいますが、逆に捉えれば多くの人がその魅力を認めているということでもあります。クルマのことはあまり詳しくないという人は人気車の中古を買えば、高い満足感を得られると考えていいでしょう。
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*調査方法:インターネット調査 調査期間:2021年2月12日~15日 調査概要:カーリース10社を対象にしたイメージ調査 調査対象:男女、全国、18~69 歳、運転免許保有、(1)(2)週1回以上運転するファイナンシャルプランナー176s、(3)カーディーラー勤務者297s 調査実施:株式会社ショッパーズアイ 比較対象企業:「カーリース」Google 検索9社(2021年1月29日10 時時点) 広告、まとめサイトなどを除く
カーリースって何?
カーリースはリース会社が所有する車を利用料を払って使用する車の持ち方です。
<カーリースのメリット>
・月々の支払いで車が持てる
・頭金や初期費用は不要なので、まとまったお金が必要ない
・税金や保険料は月額料金にコミコミなので、車生活で大きなお金も不要
・自分だけの車になる(レンタカーやカーシェアのように誰かと使うことはありません)
・マイカーと同様のナンバープレートが使える
※記事の内容は2020年4月時点の情報で制作しています。