【試乗記】「三菱デリカD:5」 見た目はともかく中身の進化は素晴らしい(岡崎五朗レポート)

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「キャンプ場が似合うミニバン」からの卒業

左が標準ボディ、右がエアログレードの「アーバンギア」。いずれもディーゼルエンジンのみ、ガソリンエンジン搭載車は旧来のまま併売される

なんじゃ、この顔は? 新型デリカD:5を見て一瞬言葉を失った。
デリカD:5といえばパジェロのイメージを受け継ぐ唯一のミニバンSUVとして根強い人気を誇るモデルだ。他社が乗用車テイストの強さやメッキグリルの大きさ競争に明け暮れているのを尻目に、泥汚れが似合うデザインと優れた悪路走破力という独自性で戦ってきた。そんな独自性があったからこそ、フルモデルチェンジをすることなく12年にわたって現役を続けられてきた。

もっと広いミニバンはある。もっと豪華な、もっとモダンな、もっと燃費のいい、もっと快適な、もっと走りのいいミニバンもある。けれどD:5には「キャンプ場がもっとも似合うミニバン」という、ライバルたちがまねのできない唯一無二の武器があったのだ。

にもかかわらず、今回のビッグマイナーチェンジで、三菱はみずから強力な武器を捨て(ガソリンエンジン仕様は旧デザインのまま継続販売)、派手で厳つい巨大メッキグリルという「売れ筋」にシフトしてきた。もちろん、短期的な利益を考えれば理解できなくはない。もしアルファード/ヴェルファイアを買っているユーザーのうちのたった数%でもとることができれば、商売的には大成功だからだ。

しかし、三菱規模のメーカーが既存のマーケットを眺め、売れ筋商品の後追いをしてどうする?と言いたい。これは企業の存在意義に関わる大問題であり、もし三菱でなければいけない理由が薄れたら、長期的には大きな損失になりかねないからだ。

一級品の4WD技術の活かし方は?

折しもパジェロの国内販売中止というニュースが伝わってきた。これでついに、ランサー・エボリューションとともに三菱のブランドイメージの核となってきたモデルが2台ともカタログ落ちしたことになる。

三菱の4WD技術は一級品だが、それだけで戦えるほどいまのマーケットは甘くない。エクリプス クロスやアウトランダーといったSUVにもいまや強力なライバルがたくさんいる。三菱らしさとは何なのか。三菱はどんな価値をユーザーに提供するのか。そこをもう一度明確にし、それに基づく一貫した商品作りをするべきだろう。

中身は実質フルモデルチェンジ級の進化

そんな苦言を呈した上で、ハードウェア評価をするならば、新しくなったD:5の出来映えはかなり優秀だ。「マイナーチェンジとはいうものの、実質的にはフルモデルチェンジに近い」というエンジニアの言葉通り、走らせて伝わってくるフィーリングは以前のモデルとはまるで別ものだ。

静粛性は格段に向上しているし、良路でのゆったりした足の動き、荒れた路面でのショックの抑え込み、よりスムースかつ正確性を増したステアリングなど、クルマとしての実力はクラストップレベルになった。

素晴らしいディーゼルエンジンの出来栄え

加えて、目玉技術のひとつであるディーゼルエンジンの出来がまた素晴らしい。実用域の分厚いトルクは多人数乗車時でも余裕のある走りをみせるし、静粛性の高さや軽快な吹け上がりも魅力。もちろんディーゼルならではの経済性も期待できる。

また、組み合わせる高度な電子制御式4WDはオンロードからオフロードまで、あらゆる条件下で安定した走りを生みだす。デザインからはちょっと想像できないデパーチャー/アプローチ/ランプブレークオーバーアングルの大きさは、デリカD:5ならではのこだわり。安全性能やインテリアの質感も大幅に引き上げられた。

このようにクルマとしての魅力は非常に高い。この中身にD:5らしい泥汚れが似合うデザインを組み合わせれば、他にはない個性的で魅力的なモデルになるはずだ。

岡崎 五朗

この記事の執筆者

岡崎五朗(おかざきごろう)

大学在学中から自動車雑誌での執筆を開始し、卒業後は一貫してフリーランスのモータージャーナリストとして活動。「生活をともにして気持ちがいいクルマかどうか」という評価軸での評論にはファンが多い。現在はテレビ神奈川「クルマでいこう!」に出演中。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)理事。日本カーオブザイヤー選考委員・ワールドカーアワード選考委員・ワールドエンジンオブザイヤー選考委員。

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