2020年11月の乗用車全体(軽自動車を含む)の販売台数は約35万7307台、前年比は106.7%でした。昨年11月は消費税アップの影響で前年比が88.4%だったこともあり、順調とまではいえないものの市況が回復傾向にあるのは間違いないでしょう。軽自動車を除く新車販売ランキングはトヨタヤリスが5ヶ月連続の1位となりました。3位アルファード、4位ハリアーなどの高額車も含めて7位までトヨタ車が独占し、ますますトヨタ一強の様相を呈しています。トヨタ以外ではフィットが8位、フリードが9位と辛うじてベスト10に2台のホンダ車が滑り込みました。
一方、軽自動車(乗用車)は12月のマイナーチェンジを控えたホンダN-BOXが引き続き首位をキープ、2位にはスズキスペーシアが返り咲きました。注目のスズキハスラーとダイハツタフトのSUVライバル対決は11月は僅差でハスラーが逆転、激しい争いを繰り広げています。今回も自動車評論家の島崎七生人さんに詳しく解説をしてもらいましょう。
国産乗用車販売台数 2020年11月(軽自動車を除く)
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | ヤリス | トヨタ | 19,921 | 20年2月発売 |
2 | ライズ | トヨタ | 10,627 | 142 |
3 | アルファード | トヨタ | 10,109 | 175.9 |
4 | ハリアー | トヨタ | 9,897 | 561.7 |
5 | カローラ | トヨタ | 9,653 | 90.2 |
6 | ルーミー | トヨタ | 9,112 | 127.8 |
7 | シエンタ | トヨタ | 7,187 | 69.6 |
8 | フィット | ホンダ | 7,161 | 229 |
9 | フリード | ホンダ | 6,864 | 106.5 |
10 | ヴォクシー | トヨタ | 6,860 | 123.2 |
11 | プリウス | トヨタ | 5,348 | 63.9 |
12 | RAV4 | トヨタ | 5,329 | 106.8 |
13 | ノア | トヨタ | 4,448 | 141.9 |
14 | セレナ | 日産 | 4,433 | 91.8 |
15 | キックス | 日産 | 4,292 | 20年6月発売 |
16 | ランドクルーザーW | トヨタ | 4,025 | 204.1 |
17 | インプレッサ | SUBARU | 3,849 | 109.6 |
18 | ノート | 日産 | 3,461 | 51.6 |
19 | アクア | トヨタ | 3,459 | 57.4 |
20 | ソリオ | スズキ | 2,935 | 92.1 |
21 | パッソ | トヨタ | 2,542 | 102.3 |
22 | ステップワゴン | ホンダ | 2,294 | 68.2 |
23 | レヴォーグ | SUBARU | 2,279 | 322.8 |
24 | C-HR | トヨタ | 2,222 | 43.6 |
25 | ヴェゼル | ホンダ | 2,177 | 74.8 |
26 | MAZDA2 | マツダ | 2,158 | 110.8 |
27 | スイフト | スズキ | 2,079 | 101.3 |
28 | エクストレイル | 日産 | 1,869 | 97.4 |
29 | クラウン | トヨタ | 1,744 | 77.9 |
30 | オデッセイ | ホンダ | 1,720 | 213.4 |
31 | フォレスター | SUBARU | 1,699 | 89.2 |
32 | CX-5 | マツダ | 1,688 | 127.8 |
33 | ジムニーワゴン | スズキ | 1,614 | 187 |
34 | CX-30 | マツダ | 1,579 | 58.7 |
35 | クロスビー | スズキ | 1,452 | 96 |
36 | トール | ダイハツ | 1,429 | 114 |
37 | ロッキー | ダイハツ | 1,400 | 32.6 |
38 | カムリ | トヨタ | 1,394 | 143.3 |
39 | MAZDA3 | マツダ | 1,379 | 86.8 |
40 | エスクァイア | トヨタ | 1,257 | 36.8 |
41 | ヴェルファイア | トヨタ | 1,241 | 50.1 |
42 | リーフ | 日産 | 1,135 | 76.3 |
43 | シビック | ホンダ | 1,104 | 616.8 |
44 | デリカD5 | 三菱 | 984 | 81 |
45 | UX250H | レクサス | 899 | 88.8 |
46 | MX-30 | マツダ | 865 | 20年10月発売 |
47 | シャトル | ホンダ | 764 | 35.1 |
48 | ハイエースワゴン | トヨタ | 740 | 101.2 |
49 | CX-3 | マツダ | 731 | 218.2 |
50 | CR-V | ホンダ | 725 | 223.1 |
※ 上記の台数は車名別の合算値となり、一部教習車などを含みます。
昨年は消費増税直後とはいえ前年比を上回る
2020年11月は35万7307台の新車(=乗用車。軽自動車含む)が販売され、2019年11月の消費税増税直後の大きな落ち込み(31万5735台、前年同月比88.4%)に対してとはいえ、106.7%と辛くも前年同月を上回る実績が残せた。ブランド別に見ると、もっとも伸び率が高いのがホンダで115.8%、次いでレクサス(112.9%)、トヨタ(112.6%)、スズキ(107.4%)、SUBARU(106.7 %)、日産(106.5%)、マツダ(103.9%)と続く。一方で前年同月比割れの数字を残したのが三菱(70.3%)、ダイハツ(93.0%)の2社だった。
ちなみに10月の新車販売実績は、全体で33万9923台と9月の39万847台から5万台ほど台数を落としていた。しかし11月は、ここ3ヶ月で言えば、数の上では9月には及ばなかったものの台数が上向きとなったわけで、この流れを12月も保ってほしいものだ。
ヤリス絶好調、2万台へあと一息!
さてランキングをみると、トップ10圏内にトヨタ車が8車種ランクインしているのは10月と変わらない。8車種の顔ぶれも10月とは同じだ。1位はヤリスで、これで7月から5ヶ月連続でトップの座に収まっているのだからすごい。登録台数も10月の1万8592台から11月は1万9921台と、2万台にあと一息のところまで迫った。2万台といえば、往年のマークII3兄弟(マークII/チェイサー/チェイサー)の人気が頂点だった頃の3車種合計の月販台数が2万台超だったことがあった。ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリスは、時代とクラスと価格帯は違えど、あの時代の再来か!?と思わせられる。
アルファード3位、ハリアー4位。TOP10のうち8台がトヨタ!
そのほかのトヨタ車では、ライズが10月に対し台数をやや落としながら(1万3256台→1万627台)も2位を堅持。台数ほぼ横ばいながら相変わらず1万台レベルをキープのアルファードが3位に浮上した。ハリアー(6位→4位)、カローラ(4位→5位)、ルーミー(3位→6位)、シエンタ(10位→7位)、ヴォクシー(9位→10位)など、いすれもおなじみの車種が、順位を多少変動させながら、トップ10に腰を据えて(?)いる。シエンタは9月の18位から、ここにきて上り調子が続き、11月は順位では10位でライバル車のホンダフリードを負かしている。
ホンダフィットの次の一手はスポーツ方向?
ホンダといえばフィットは今回、トップ10にランクインしたトヨタ車以外のホンダ車2車種のうちの1台だが、順位は9位に甘んじ、台数をみると10月の9001台から7161台におとしているのが気にかかる。過日、開発責任者の田中LPLとお話をする機会があったが、もちろん次なる作戦を考えている様子だった。ただし「もっと楽しい走りを」の声を「スポーツ方向で!」と受け止めている感触だったが、それだけでなく、たとえばインテリアデザインが凝っていて楽しめるシトロエンのピープルムーバー系のような、ああいう乗員を退屈させない“もてなし”がもっとあってもいいのでは?などと、希望はお伝えしておいた。
日産キックス、スバルレヴォーグ、マツダMX-30に期待!
話をランキングに戻すと、11位のプリウスから14位のセレナまでが、やはり10月と同じ顔ぶれ。その下を見ていくと、キックスがジワジワと順位を上げていたり、来年70周年のアニバーサリー・イヤーを迎えるランドクルーザーが、ここにきて4025台(10月は2620台)で16位につけている。レヴォーグも11月は2279台で23位だが、12月はどこまで順位を上げるか? MX−30は10月の登場で11月は865台だが、本格化は年明けのラインアップ拡充からか? オデッセイ、カムリのほか、タイプR登場のシビックが前年比616.8%(!)で42位に入っているなど、マイナーチェンジや追加モデル効果が出ている車種もある。
軽乗用車販売台数 2020年11月
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | N-BOX | ホンダ | 15,685 | 83.4 |
2 | スペーシア | スズキ | 12,027 | 93.8 |
3 | タント | ダイハツ | 10,599 | 50.2 |
4 | ムーヴ | ダイハツ | 9,980 | 147.3 |
5 | ルークス | 日産 | 9,019 | 20年3月発売 |
6 | ハスラー | スズキ | 6,579 | 133.6 |
7 | タフト | ダイハツ | 6,503 | 20年6月発売 |
8 | ミラ | ダイハツ | 6,068 | 111.2 |
9 | アルト | スズキ | 5,654 | 99.0 |
10 | デイズ | 日産 | 5,427 | 44.7 |
11 | ワゴンR | スズキ | 5,199 | 88.6 |
12 | N-WGN | ホンダ | 4,439 | 4722.3 |
13 | ジムニー | スズキ | 4,344 | 219.6 |
14 | N-ONE | ホンダ | 2,899 | 263.8 |
15 | eK | 三菱 | 2,016 | 81.1 |
※ 車名についてはメーカーごとに同一車名のものを合算して集計しています(アルト、ミラ、ムーヴ、タント、eK、プレオ、N-BOX、デイズ、ピクシスなど)
マイナーチェンジでN-BOXの再加速が始まるか?
軽自動車は、変わらずN-BOXが1位独走中。ただし台数は前年同月の1万8805台に対して1万5685台、加えて9月、10月に続きさすがに台数も下げてはいる。が、12月24日のマイナーチェンジで再加速が始まることは十分に予想可能だ。2位のスペーシアと3位のタントは、10月からまた順位を入れ替えて激戦中。いずれも商品改良を実施し臨戦態勢だから、12月の勝負も見逃せない。
激しさを増すタフトvsハスラー
タフトとハスラーもガッチリとライバル勝負を展開中で、12月は11月とは順位が逆転、台数は本当に僅差ながらハスラー(6579台)がタフト(6503台)の上に立った。そのほかに、日産のルークスが10月の7069台から9019台に、デイズも4543台から5427台にそれぞれ台数を伸ばしつつ順位を上げた。ただし三菱eKが11月の15位/2016台といささか低調なのは気にかかるところ。
それと新しいN-ONEは11月20日発売だったから、カウントされているはずだが、台数は2899台ながら15位圏内の14位にランクインしている。
※記事の内容は2020年12月時点の情報で制作しています。