寄稿記事(上級者向け)
モータージャーナリスト
岡崎五朗おかざきごろう

ハリアー、RAV4、CX-5「実力派揃いの国産ミドルサイズSUV」のベストバイはこれだ!(岡崎五朗’sチョイス)

ハリアー、RAV4、CX-5「実力派揃いの国産ミドルサイズSUV」のベストバイはこれだ!(岡崎五朗'sチョイス)
CX-5

人気が続くSUVの中でも、コンパクトモデルに交じってミドルサイズSUVのトヨタハリアーの快進撃が目立ちます。また、PHEVモデルの販売が再開されたトヨタRAV4も再び上昇機運。世界的に人気のセグメントということで、各社から力のこもったモデルが投入されているミドルサイズSUV。果たしてベストバイはハリアーなのか、RAV4なのか、それとも……。岡崎五朗さんが決定します!

ブームではなく新定番、SUVにはマジックが秘められている

ブームではなく新定番、SUVにはマジックが秘められている

SUV人気は衰えをまったく見せない。日本だけでなく、北米でも欧州でも中国でも大人気だ。「このSUVブームはいつまで続くと思いますか?」とよく聞かれるが、僕の答えは昔から一貫している。「SUV人気はブームなんかじゃなく本物ですよ。なので下火になることはないでしょう。むしろ新定番ジャンルとしてマーケットにしっかり根を下ろしていくと思います」

そう答えるのには理由がある。SUVには、クルマという商品が抱える矛盾を見事に消し去るマジックが秘められているからだ。仮にスポーツカーとミニバンを並べて「どっちがカッコいいと思いますか?」と聞いたら多くの人はスポーツカーと答えるだろう。逆に「どっちが使いやすそうですか?」と聞いたらミニバンと答える人が大半だと思う。まあこれは極論だが、セダンやミニバンにも背が低いほうがスタイリッシュで、背が高いほうが室内が広くて機能的というセオリーが当てはまる。もちろん、アルファードが最高にカッコいいと思っている人もいるだろうし、それを否定するつもりはないが、一般的には背が低いほうがカッコいいとされるのがクルマ界の常識である。

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背が高いのにカッコいいクルマ

背が高いのにカッコいいクルマ

ところがSUVは背が高いことをカッコよさに変えてしまった。ここがSUVの革命的な部分であり、魅力であり、また流行商品では終わらないと僕が考える理由だ。そもそもSUV(スポーツ・ユーティリティ・ヴィークル)というネーミング自体に本質が隠されているのが面白い。スポーツ性=カッコよさと、ユーティリティ=実用性の両方をもつ、ヴィークル=クルマ。これまでは実用性とカッコよさの狭間で悩んでいたが、SUVという魔法の粉を振りかけてやればあーら不思議、背が高いのにカッコいいクルマが出来上がる。言い換えれば、カッコよさと使い勝手をいかに高次元で両立しているかがSUV評価のポイントになるということだ。

安く手に入れる

ハリアー、RAV4好調の陰でCX-5は苦戦

ハリアー、RAV4好調の陰でCX-5は苦戦

さて本題のミドルクラスSUVである。今回テキストに選んだのはトヨタハリアー、同RAV4、マツダCX-5の3台。マーケット概況を眺めるとハリアーの強さが目立つ。販売台数ランキングは3月7位、4月6位、5月4位と、高価格車とは思えない好調ぶり。RAV4はPHEVの販売が再開されたこともあって3月17位、4月12位、5月9位と尻上がりにランキングを上げてきている。一方のCX-5は11月に大きめの年次改良があったものの3月20位、4月39位、5月40位と苦戦を強いられている。4月、5月は3列シートのCX-8にも負けるほどの苦戦ぶりだ。

ハリアーリース
RAV4リース
CX-5リース

販売力も仕入れ力も異次元の強さを見せるトヨタ

明暗を分けた理由はどこにあるのだろう。真っ先に指摘しておかなければならないのが販売力の違いだ。コロナ渦という特殊な状況下でのトヨタの強さは異常なほどで、販売台数も利益も微減にとどめ、信じがたいことに利益率ではコロナ前の水準を超えてきた。この歴史に残るミラクルを起こした背景には、緊急事態宣言下でも粘り強く営業活動を進め需要の掘り起こしを続けたディーラーの頑張りと、それに応えるべくいざ需要が回復したときにはすぐさまフル生産に移れる態勢を整えていたメーカー側の入念な準備があった。それに対し、マツダだけではないが、トヨタ以外のメーカーの多くは半導体をはじめとするサプライチェーンのダメージによって思うように生産できない状況がいまなお続いている。このあたりは企業としての底力の違いとしか言いようがない。

「外観編」カッコよさではRAV4もハリアーもCX-5を超えられていない

「外観編」カッコよさではRAV4もハリアーもCX-5を超えられていない1

CX-5

「外観編」カッコよさではRAV4もハリアーもCX-5を超えられていない2

ハリアー

「外観編」カッコよさではRAV4もハリアーもCX-5を超えられていない3

RAV4

ではクルマとしてはどうか。カッコよさという点にフォーカスすれば、RAV4もハリアーもCX-5を超えられていないというのが僕の評価だ。まあSUV本来のタフネスを強調したRAV4には別のカッコよさがあるのでこの際脇に置いておくとして、ほぼ同じ路線のハリアーとCX-5を比べると、プロポーションの美しさ、面の豊かさ、リフレクションの美しさなど、呆れるほどの理想主義をもって美を追求するという姿勢がCX-5からは色濃く伝わってくる。ハリアーもなかなかスタイリッシュなクルマではあるが、CX-5のレベルには達していない。

「インテリア編」キラリ光るセンスが魅力的なCX-5、週末のレジャーを楽しくしてくれるRAV4

「インテリア編」キラリ光るセンスが魅力的なCX-5、週末のレジャーを楽しくしてくれるRAV41

CX-5

「インテリア編」キラリ光るセンスが魅力的なCX-5、週末のレジャーを楽しくしてくれるRAV42

ハリアー

インテリアにも同じことが言える。ハリアーはおそらくCX-5を入念に研究したのだろう。これまでのトヨタ車にはなかった「大人のための上質な空間」という世界観を上手に表現できているし、大型モニターやコネクテッドサービスなど現代のクルマに欠かせない要素も充実している。そういう意味では少々古さ(2017年デビュー)を感じさせるCX-5だが、デジタルでは表現できない精巧なメーターパネルや日本車にはなかなかない地味派手なシート色など、キラリ光るセンスは依然として魅力的だ。

「インテリア編」キラリ光るセンスが魅力的なCX-5、週末のレジャーを楽しくしてくれるRAV43

RAV4

なお、質感という意味ではハリアーやCX-5に劣るRAV4のインテリアだが、とくにアドベンチャーグレードの明るい内装色は週末のレジャーをより楽しくしてくれるという意味でとても素敵だ。タフなイメージの外観を含め、キャンプやスキーなど週末のアウトドア系レジャー中心に使うのならRAV4、なかでもアドベンチャーグレードをオススメしたい。

「ユーティリティ編」各車とも十分な室内・荷室スペース

「ユーティリティ編」各車とも十分な室内・荷室スペース1

RAV4

「ユーティリティ編」各車とも十分な室内・荷室スペース2

CX-5

「ユーティリティ編」各車とも十分な室内・荷室スペース3

ハリアー

荷室容量はRAV4がトップ。次いでCX-5、ハリアーの順となる。一方、後席スペースはRAV4とハリアーがほぼ同じで、全長の短いCX-5は足元スペースがやや小さい。しかし、キャンプなどよほどたくさんの荷物を積み込むのでもなければハリアーの荷室でも不足はないし、180㎝級の大人4人が乗り込むのでもなければCX-5の室内スペースにも不足はない。まあ、このあたりはユーザーの使い方によって評価が変わってくる部分でもあるから、上記の傾向を頭に入れた上で自分の使い方に合わせた選択をするのが正解だ。

「ユーティリティ編」各車とも十分な室内・荷室スペース4

左がCX-8、右がCX-5

マツダのデザインが好みで、なおかつさらに余裕のユーティリティを欲しいのならCX-8という選択肢も大いにアリだろう。

「走り編」運転が上手くなった気にさせるCX-5、スポーティーなRAV4、乗り心地重視のハリアー

「走り編」運転が上手くなった気にさせるCX-5、スポーティーなRAV4、乗り心地重視のハリアー1

走りはそれぞれキャラクターが結構違う。CX-5は尖った部分をなくした自然なハンドリングが持ち味で、ワインディングロードなどでは自分の運転が上手くなったような気分にさせてくれる。コーナー入口でステアリングを切り込み、ラインが決まったら一定舵角に保ち、コーナー出口でステアリングを戻していくという一連の操作がバッチリ決まる。結果としてクルマの動きがゆったりと安定するため同乗者が酔いにくい。

「走り編」運転が上手くなった気にさせるCX-5、スポーティーなRAV4、乗り心地重視のハリアー2

対してもっともスポーティーな味付けなのがRAV4だ。乗り心地はちょっと固めだが、キビキビしたハンドリングには間違いなくスポーツマインドが込められている。

「走り編」運転が上手くなった気にさせるCX-5、スポーティーなRAV4、乗り心地重視のハリアー3

RAV4と同じプラットフォームを使いつつも、ハリアーはやや乗り心地方向に振ったセッティング。ほどよいスポーツ性とゆったりした乗り心地の巧みな両立が特徴だ。

「パワートレイン編」力強さ、質感、高速燃費で魅力あるCX-5のディーゼル、ハリアーやRAV4ならハイブリッドを選びたい

「パワートレイン編」力強さ、質感、高速燃費で魅力あるCX-5のディーゼル、ハリアーやRAV4ならハイブリッドを選びたい1

走りに大きな影響を与えるパワートレインにも注目だ。CX-5のエンジンは2Lと2.5Lのガソリン、2.5Lガソリンターボ、2.2Lディーゼルターボの4種類で、トランスミッションは6速AT。対するハリアーとRAV4は2Lガソリンと2.5Lハイブリッド。トランスミッションはCVTとなる。予算に余裕があればというのが前提だが、僕がもっとも魅力を感じるのはCX-5のディーゼルエンジンだ。わずか2000rpmで450Nmという強大なトルクを発生するこのエンジンは実用域での力強さが群を抜いている。優れた静粛性や軽快な吹け上がりはいい意味でディーゼルらしくなく、それでいて燃費、とくに高速巡航燃費は素晴らしく優秀だ。このディーゼルエンジンの存在がCX-5の大きなアドバンテージである。

「パワートレイン編」力強さ、質感、高速燃費で魅力あるCX-5のディーゼル、ハリアーやRAV4ならハイブリッドを選びたい2

ハリアーとRAV4ではハイブリッドをオススメしたい。ゴー&ストップの多い街中での燃費はさすが。さらにこのハイブリッドはスポーティーな走りという意味でもなかなか優秀だ。ただし2Lガソリンにも共通して言えるのだが、エンジンの回転フィールがガサつき気味で、アクセルペダルに微振動が伝わってくるのが質感をスポイルしている。そういう意味でも排気量が大きく、なおかつモーターのアシストによってエンジンがラクをしているハイブリッドのほうがより上質なフィーリングを味わえるが、それでもCX-5のディーゼルと比べると力強さ、質感ともにやや劣るというのが正直なところだ。

「結論」輸入車にも負けない3台の個性と質感、選ぶならCX-5のディーゼルだ

「結論」輸入車にも負けない3台の個性と質感、選ぶならCX-5のディーゼルだ

ということで、僕が買うならデザインと走りの質感に非凡なものをもつCX-5のディーゼルにする。ただしアウトドアテイストがお好みならRAV4も大いに魅力的だし、そこはあまり求めてないけどハイブリッドに乗りたいというのならハリアーもアリ。また、価格重視で選ぶならハリアーの2LFFモデルもオススメだ。いずれにしても、今回採りあげた3台は輸入車にも負けない個性と質感を備えた実力モデルだ。僕の答えはCX-5のディーゼルだが、どれを選んでも十分にオーナーを満足させてくれるに違いない。

※記事の内容は2021年7月時点の情報で制作しています。

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