自動車の購入を考えた時に、誰もが“少しでも安く買いたい”と思うことでしょう。高額な買い物でもあり、できるだけタイミングよくお買い得に手に入れたいのは当然の話ですが、果たして中古車は時期によって安くなることがあるのでしょうか?
今回は、中古車が安い時期はいつなのか?中古車の値段の決まり方とは?そして安い中古車を買う時におさえておくべきポイントは?といった事をみずから中古車店も経営する桑野さんに解説してもらいます。
需要と供給のバランスが価格の決め手となる
自動車は新車登録を済ませた瞬間に、どんなに走行距離が短くても、新車登録から日数が経っていなくても、次のオーナーの手に渡る時は中古車となるわけです。その価格は、年式や走行距離などコンディションを示す基準と、需要によって変わっていきます。
わかりやすく言うと、年式が新しく走行距離も少ない、それでいて人気の高い車種は、安くなりません。考え方を変えると、古くて走行距離が多く、不人気な車種を狙えば、かなり安い買い物ができるとも言えます。
つまり、中古車の価格はあくまで需要と供給のバランスが基準となり、絶対的にお買い得な時期やシーズンがあるかというと、ないというほうが正しいのかもしれません。ただ、下記のように、傾向として値引きを狙いやすい時期や、相対的に相場が一時的に落ちる時期があるのは事実です。
モデルチェンジやマイナーチェンジ
中古車購入の狙い目時期として良く挙げられるのが、モデルチェンジの時期です。特に新型車の中古車の流通量が増えてきたタイミングは旧モデルの相場がグッと下がるのでお買い得かも。また、フルモデルチェンジだけでなく、外装や内装、エンジンなどを刷新するマイナーチェンジでも同じ傾向にありますが、フルモデルチェンジほどの価格差は生じない事が多いようです。
決算期の3月と9月
決算期の3月や、中間決算期の9月は、販売業者が多少利益を減らしても全体的な販売台数を増やしたいため、値引きなどで比較的安く買える事が多い傾向にあります。ただし3月は新生活などに向けてもっとも自動車が売れる時期でもあり、需要の高い人気車種などは値上がり傾向を示すこともあるので、その見極めが大切です。
供給は増えるが需要の低い4月と5月
一方で、4月や5月といった時期は、3月の決算期セールも終わり、新車も中古車も買う人の足が落ち着いて自動車が売れにくいシーズンと言われています。しかし、3月の需要期に下取りとして入って来たクルマが、整備などを終えて店頭に並び始める時期なので、供給量は多めとなります。
また、登録済み未使用車が増えるのもこの時期。3月の決算に向けてディーラーが自社登録を行ったクルマたちです。実は4月や5月も買い時といえるでしょう。
オープンカーは春、SUVは初冬が高くなる
ボディタイプによっては季節によって相場が変動するものもあります。わかりやすいのがオープンカー。冬は相場が停滞しますが、3月くらいから上昇傾向に転じます。同様にウインタースポーツの需要で、SUVも11月後半から相場が上昇傾向となるケースも見受けられます。
このほかにも、下記のような時期は短期間ではありますが、積極的な値引きを狙える可能性が高くなります。
ボーナス前
自動車の買い替えにおいて、ボーナスを頭金として利用する人も多いため、購買意欲を高めるためにボーナス時期前は新車も中古車も値引幅が大きくなる傾向にあります。
大型連休後
ゴールデンウィークやシルバーウィーク、お盆や年末年始など、大型連休の前には、レジャーや帰省のために自動車の買い替えや購入が増える傾向にあります。これが大型連休後になると、需要が落ち着くため、販売業者は少しでも価格を安く設定して購入者を増やそうとします。
毎年1月
単純な話ですが、自動車の年式は1月に更新されます。中古車は少しでも高年式な(新しい)ほうが価値が高いため、このタイミングで3年落ちは4年落ちに、4年落ちは5年落ちにと、1年分の価値を下げてしまうことになります。これを機に価格改定される中古車もあるので、そういった個体を狙い定めるのも良いかもしれません。
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中古車の値段はどうやって決められているの?
前述のように、中古車の値段を決める要素は、新車登録から経過した年数や走行距離、車種そのものの人気(需要が高いか低いか)、といった要素に加えて、修復歴の有無や、ボディカラー、装備内容、さらに旧車では希少価値などのプレミア価値も付加されることで、相場が上がったり下がったりします。
安さだけじゃない!買って乗って売る時の事も
そして中古車を購入する際に留意しておきたいのが、購入時の安さだけではなく、手放す時の値下がりがどういう傾向にあるかです。早い話が、値段が変わりにくい要素を選べば、購入時と売却時の金額差が少なくなり、お得に乗れるという考え方ができます。下記では、値段の変わらない中古車の特徴を挙げてみたいと思います。
人気車種
需要の高い人気車種は、買う時もそれなりに高いかもしれませんが、売却時もある程度は相場の支えがあるため、トータルではお得なことも多いようです。
ただこの傾向は、新車登録から10年程度の期間であり、13年を超えると税金が高くなることもあり、一気に価値が下がります。なお特殊な需要が高い車種(例えば耐久性の高い4WDやバンなど)は、国内での価値が下がっても海外での人気が高いため、ある程度の相場は保つ傾向にあります。
希少価値が高い
販売台数が少ないなど、世界的に希少価値の高い車種は、ある一定の期間は中古車相場がほとんど変わらない、場合よっては上がっていくこともあります。フェラーリやロールスロイスなどがそうですが、こういった希少車の類いは、少々マニアックな世界になりますので、専門性も高く、一般的な中古車選びとは異なってきますが、お得な買い替えが可能な選択肢のひとつであることは間違いないでしょう。
ベーシックなカラー
中古車の価格の決め手となるのは、ユーザー需要に関わる要素なわけですが、その中でも価格差が大きいのがボディカラーです。人気色は車種毎に異なりますが、場合によってはボディカラーの違いだけで20〜30万円もの価格差が生じることもあります。見方を変えると、白、黒、シルバーなどベーシックで価格変動しにくい無難なボディカラーを選ぶというのも賢い選択かもしれません。特に高級車は奇抜な色だとなかなか値段がつきにくいため、買う時は安く買えますが、売却時の評価はあまり期待できません。
中古車を買うときの注意点
ここまで、中古車を少しでも安くお得に買える時期や要素はあるのか?といった観点で解説してきましたが、最後に注意しておきたいのが、値段だけで中古車の価値を判断してはいけない、という事です。
いわゆる、安かろう悪かろうな中古車を買ってしまうと、後でいやな思いをしてしまいますし、値段ばかり気にしていると本当に自分の欲しいクルマと出会えなくなります。そういったことにならないために、下記のような点に注意して、変動する中古車相場を理解することも大切です。
中古車価格は変動する
これまで解説してきたように、中古車の価格は需要と供給のバランスで決まりますが、このバランスは常に変動します。景気や流行などさまざまな要因で、消費者の需要は変わり、それに伴い供給の価格は変化します。言い方を変えると、常にお買い得な車種はなく、中古車の買い時はいつなのかといった事も、不確定要素が多いので明確に言い切れない、ということになります。
季節要因やガソリン価格の影響も受ける
わかりやすい話をすると、夏休みや年末年始には家族旅行や遠出をする人が増えるため、ミニバンやワンボックスカーの需要が増えて、供給が追いつかないため一時的に価格が上がることがあります。また新社会人や新入生、転勤などの影響で、毎年4月には軽自動車やコンパクトカーを通勤用に必要とする需要が高まるため、結果的に一時的に値上がりすることもあります。
さらに、世界情勢の中で原油価格が高騰し、ガソリン代が上がるとハイブリッドカーや軽自動車の需要が増えて、一時的に相場が上がります。こういった事も、予測できるものばかりではありませんから、価格変動は常に起こりうると考えるべきでしょう。
値段だけに振り回されず適正価格をお得に!
今回は中古車の値段について、安くなる時期や値段を決める要素について解説しましたが、結論としては必ず安く買えるという時期などはなく、時期やタイミングによっては交渉次第で安くなりこともある、というくらいの理解が正しいかもしれませんね。また、中古車を実際に購入する際は、値段だけで判断をせずに、車両の状態をしっかりチェックして、納得のいく買い物をしましょう。
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