すべてのロードスター乗りと、未来の女性ドライバーに贈る小説〜KODORA〜第二話(下)

すべてのロードスター乗りと、未来の女性ドライバーに贈る小説〜KODORA〜第二話(下)
貯金ゼロでも

「自由への翼」 (下)

彼からのレクチャーはお互い授業のない、火曜日の早朝の2時間
2か月間の約束でスタートした
お礼はモーニングをおごること

数週間置き去りにされていたロードスターは埃だらけ
まずは洗車から、幸い借りている大家さんの駐車場には水道があり
自由に使っていいと言われている
近くのオートバックスに洗車道具を買いに行くことにする
まだ自力でクルマを出す自信がない

これまたあまり乗っていないカブを引っ張り出す
地元では高校時代から乗っていたのでバイクの運転は大丈夫である

「ユキちゃん、バイクでお出かけ?」

声の主は、大家さんの奥様である
父が知り合いでもあることもあり、大家さん夫妻には何かと世話になっている
いや可愛がってもらっているに近い
何かあったら何でも相談してね、とまで言われていし
しょっちゅう差し入れを頂く

「ハイ、クルマの洗車道具買いに」

「あら洗車道具なんて、いくらでも貸してあげるのに」

「いえそこまでは、それに、自分の愛車ですから、自分の洗車道具が欲しいんです」

今後、どうなるかはわからないが、ご縁を運んできたクルマである
乗っていないのに愛着だけはわいている

「クルマで行かないの?」

厳しいところをつかれた

「実は…」

過去のいきさつを簡単に話す

「じゃあ、一緒に買いにいきましょうか? そのクルマに乗って」

「え、でも私は運転が」

「ユキちゃんは、KODORAね、私が運転するから!」

「これってマニュアルですけど、で、KODORAってなんですか?」

「マニュアルは大丈夫ョ、KODORAはラリーで助手席から指示を出すナビゲーターのこと」

大家さんの奥様の名前は優子さん
年齢は母より数歳は上
父から同級生の大家さんより年上だと聞いていた

「マミュアルの運転出来るなんて凄い」

「家のクルマがマニュアルだったんでね、それに昔はAT免許なんてなかったし」
「ユキちゃんが、マニュアル免許取ったのは正解ョ、クルマが移動だけの道具じゃなくなるから」

よく意味が分からなかったが、今彼と自分をつないでいるはこのクルマである
既に移動の手段ではない

バックからロードスターのキーを取り出して渡す
優子さんはポジションを調整すると、すぐに走り出す。
まるで自分のクルマのように
マニュアルを普通に運転できる優子さんがスーパーマン、いやスーパーウーマンに見えてくる

KODORA用と言われた助手席に座る。
ナビゲーターと言われても、指示出来る訳でもなし
優子さんは渋滞回避と言いながら裏路地を走る
1年住んだ町なのに知らない道ばかり
知らないお店もいっぱいある
こんなところにカフェがあったんだ、彼と来てみたいな

妄想にふけっている間もなくオートバックスに着く
洗車道具も優子さんの見立て、アドバイスを受けて三角表示板とやらも買う

「自由への翼」 (下)

帰りは優子さんの要望でオープンに、開け方は優子さんが知っていた

「ロードスターはね」

サングラスを取り出しながら、その顔が緩んでいた

「縁結びのクルマなの」
「私が赤、彼…、今の旦那がシルバー乗っててね」
「クルマが縁で話しかけられて、気がついたら結婚してたの」

サングラスは日差しを避けるためではなく照れ隠しだったようである

「だからユキちゃんにロードスターを置かしてくれと言われた時は大喜びだったのよ」

「そうだったんですね」

オープンになったロードスターは行きとは別のルート、少し遠周りして帰る

「久しぶりに乗ったけどロードスターは、やっぱりロードスターね! 昔とおんなじ」

彼の時とは違い緊張感のないKODORA席のロードスターは気持ち良い

「ありがとうございます、助かりました」

「こっちこそ楽しかったわ! 俺より先に乗ったのかって文句言われそうだけどね」

笑いながらサングラスを外す優子さんは、何か若返ったようであった

「このクルマは人と人をつなぐクルマョ! 良い出会いがあるとイイわね」
優子さんは彼との出会いの事は知らない

「ハイ! 期待してますから」

彼との関係は進展しないだろう、だけどその先に新しい自分がある気がする
だから、真っ直ぐ生きよう
このクルマと共に

(つづく)

イラスト:らびえぬ

マツダロードスターの新車カーリース情報

関連するカーリース情報

その他のマツダロードスターの記事

関連記事

カーリースお役立ち記事

人気記事ランキング

注目のキーワード

読了後バナー