全世界的なブームの波に乗り遅れまいと、各社から次々とSUVのニューモデルがリリースされています。伝統を重視した人気モデルから、新たな方向性を打ち出した野心的なモデルまで、SUVのスタイルは他のボディタイプに比べて多彩かつ個性的です。今回はそんなSUVを4つのカテゴリーに分け、それぞれの中で「かっこいいSUV」を決定します。輸入車も含めてモータージャーナリストの島崎七生人さんに選んでもらいました。
- SUVのスタイルは「コンパクト&カジュアル」「スタイリッシュ」「アウトドア」「タフ」と4つのカテゴリーに分けられる
- コンパクト&カジュアルならホンダ「ヴェゼル」、スタイリッシュならマツダ「CX-8」、アウトドアならトヨタ「RAV4」、タフならトヨタ「ランドクルーザー」がかっこいい
- 輸入車SUVならフォルクスワーゲン「Tクロス」、プジョー「3008」、ランドローバー「ディフェンダー」、ジープ「ラングラー」がかっこいい
かっこいいSUVには4つのカテゴリーがある
SUVの魅力は〝オールマイティなところ〟にある。もしも無人島に1台だけクルマを持っていくなら(燃料、電源の話はさておき)SUVなら万全だろう。余裕のある最低地上高による走破性の高さと、人も荷物も乗(載)せられる実用性を備えているからだ。1995年に日本で発売されたスバルレガシィ・グランドワゴン(その後ランカスター→アウトバックと車名は変遷)はその源流だった。
そして世界中でも車種が増え、最も熱いカテゴリーになっている。近年ではランボルギーニ、ロールスロイスからもSUVが発売されているほど。日本車もご多分に漏れず……というよりも、軽自動車から上級クラスまで、ざっと30車種以上あり、実に豊富な車種が選べるのが現状だ。
そこでここでは、かっこいいSUVを「コンパクト&カジュアル」「スタイリッシュ」「アウトドア」「タフ」と4つのカテゴリーに分け、それぞれの気になるクルマをピックアップしてみた。輸入車については別枠としてそれぞれのカテゴリーナンバー1を紹介しよう。
カテゴリー1:幅広く気軽に使えてかっこいい「コンパクト&カジュアル系SUV」
言うまでもなくこのクラスに入るクルマの特徴は、手頃なボディサイズ、身近な価格が魅力。なのでSUV初心者が「どんなクルマか?」とお試し的に選んでもいいし、なかにはメインのクルマや家族が乗っているクルマがほかにあって、SUVが1台あってもいいよね……と選ぶパターンも考えられる。軽自動車まで含まれるから、選択肢の自由度は高いはずだ。
総じて魅力は、日常使いから遠出まで、幅広く気軽に活用できる点。特に日常の買い物、自宅近所の所用といった用途は、まさにスニーカー感覚(笑)でサッと乗りこなせ、運転に過剰に気を使わずに済むのもいい。コンパクトだから路地や出先の駐車場でも文字通り扱いやすい。
それと維持費の負担も軽い。税金、保険もそうだし、タイヤを新しくしたい時も、上級クラスより費用は抑えられる。もちろん燃費のよさもうれしさのひとつだ。
第1位 ホンダ「ヴェゼル」心が洗われるシンプルでクリーンな外観
“SUV版意識高い系”とでもいうべきか。数ある国産SUV車の中でも、街中で見かけて「おや!?」と思わせられるのがこのクルマ。全高が少し抑えられたシンプルでクリーンな外観はいつ見ても心が洗われるし、SUVでござい!といった圧迫感のない控えめさに好感がもてる。昔のセダンのようにAピラーを運転席寄りに引いて立てたことにより、運転、取り回しもしやすい。
水平基調のインパネが備わる室内も快適で、何気なくデザイン性の高いフロントシートはサイズも十分だ。ラゲッジルームはホイールハウス部がフラットで広い。1.5Lにモーターが組み合わせられたe:HEVの、スムースで余裕も十分な走りっぷりもなかなかのもの。
第2位 トヨタ「ヤリスクロス」サッパリ系デザインで気軽に乗りこなせる
乗用車販売台数でほぼ毎月1位の快進撃を続けているヤリス。その中でも人気を誇るのが、SUVタイプのこのヤリスクロスだ。2,560mmのホイールベースはハッチバックのヤリスと共通ながら、スタイリングはまったくの専用設計で、外観にエンブレム以外のメッキのパーツは一切なく案外とサッパリ系。
走らせるとハッチバックの延長線上にあるような安定感が印象的で、乗り味、静粛性はひとクラス上の印象も(特にリアサスが独立式の4WD車)。高速道路の長距離移動なども苦にならない。後席の居住空間は見た目よりも確保されている。ラゲッジルームにはユニークな6対4の分割フロアボードが備わる。気軽に乗りこなせるクルマ。
第3位 ダイハツ「ロッキー」/トヨタ「ライズ」正真正銘のコンパクトなボディサイズ
全幅が1,695mmの今や貴重な5ナンバーサイズで、全長も4mを切る3,995mmと、正真正銘のコンパクトなボディサイズであるところがこのクルマの大きな魅力。そして何といっても低車両本体価格であるのもうれしいところで、1.2Lの3気筒ガソリン車(FF)のエントリーグレードはライズで171.7万円、ロッキーで167.7万円(2022年12月時点)とされている。
どちらかというと上質さを売りにするより実用車に徹した風のクルマであり、装備も必要十分(オプションで駐車支援機能などは用意)ながら、2段式のラゲッジフロアなど使い勝手は上々だ。FF車だが1.2Lエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド車も用意されている。
第4位 トヨタ「カローラクロス」落ち着いた雰囲気の外観、高い実用性、快適な乗り味などの高いバランス
本稿の分類では便宜上、このコンパクト&カジュアルの中にカローラクロスを入れさせていただく。というのも庶民の味方(!?)のカローラらしく、外見はスノッブだがエントリーモデルの1.8LのFF車で200万円を切る価格からの用意があるからだ。その上で平たく言うと立派なクルマに仕上がっているのが魅力で、落ち着いた雰囲気の外観、高い実用性、そして十分に快適な乗り味などのバランスポイントは高い。
海外仕様との差別がない広大なラゲッジルームは「このクルマをどうぞ存分に使い倒してください」と言われているかのよう。ハイブリッドもFFと4WDが選べる。知っているカローラが古ければ古いほど感動する……はカローラクロスにもあてはまる。
第5位 マツダ「CX−30」登場後3年余が過ぎた今も、いろいろな角度からつい眺め直してしまう
べつにマツダ車をひいきしているわけではないが、スタイリッシュな国産SUVというと、このCX−30も挙げずにはいられない。最低地上高が175mmあり、上級グレードで18インチの大径タイヤを履く姿は確かにSUVながら、Cセグメントの王道のマツダ3のあのアクの強いスタイルはちょっと……というならCX−30がふさわしい。手頃なボディサイズで十分な実用性も備えているからだ。
もちろんスタイリッシュなクルマであることは言うまでもなく、登場後3年余が過ぎた今も、いろいろな角度からつい眺め直してしまうほど。パワートレインは、2ℓガソリンエンジン+モーターのマイルドハイブリッドと1.8ℓのディーゼルターボが用途に応じて選べる。
カテゴリー2:個性がかっこいい「スタイリッシュ&ラグジュアリー系SUV」
スタイリッシュ系のSUVは、実は今の〝SUV人気〟の大きな原動力になっているのではないか?と考える。あくまでレポーター個人の見解だが、流れとして、実用性直球勝負のミニバンのユーザーの〝機能疲れ〟というか、「使い勝手のよさは大きく失いたくないけれど、やはりかっこいいクルマにも乗りたいよね」の心理があったのではないか。しかしライフステージ上の事情から2シーターのスポーツカーなどへは行けずSUV系が新たなターゲットになった……というわけだ。
もうひとつ、今のクルマ好きにとってクーペやスポーツカーではなく、かっこいいSUVこそ、かつてのスペシャルティカーに代わる存在になっているのかもしれない。日本車でも往年のいすゞビークロスや、1世代で惜しくも日本市場から撤退した日産ジュークなどはその源流。フォロワーというと、A車に似たB車という事例があっても不思議ではないが、スタイリッシュ系SUVの場合、案外そうではなく各車がキチンと個性を打ち出しているところも興味深い。
第1位 マツダ「CX-8」外観のスタイリッシュさはそのままに居住空間を確保している
CXシリーズおよびかつてのMPV同様、マツダの乗用車の目下のフラッグシップモデルの位置づけとなるCX−8。最大の特徴はCXシリーズでは唯一の3列シートを備える点。2,930mmのロングホイールベースと、CX−5と共通した外観のスタイリッシュさはそのままに(サイドビューでわかるが)ルーフ部に微妙に厚みをもたせることで居住空間を確保している。
2列目はベンチシートの7人乗りとキャプテンシートの6人乗り(センターアームレストのあり/なしがある)を用意する。2022年11月には乗り味、運転支援機能などの改良が入ったほか、スポーツアピアランスやアウトドアテイストのグランドジャーニーが登場。エンジンはガソリン2機種、ディーゼルターボ1機種。
第2位 レクサス「RX」電動化を視野に入れたデザインを採り入れたスタイルが新しい
レクサスのSUVシリーズでは2022年11月に発売されたばかりの最新型となるのがこのRX。元々はハリアーの海外仕様だったが、途中でハリアーとRXは別々のモデルになった経緯をもつ。RXはレクサス車中、販売比率ではグローバル、日本市場ともにトップのモデルでもある。
“スピンドルボディ”と呼ぶ、電動化を視野に入れたデザインを採り入れたスタイルが新しく、フローティングルーフは継承しつつ、フード先端を上げバックウィンドウ後端を下げた水平基調の落ち着いたたたずまいが特徴。レクサス初の新HEVは、フロント2.4ℓターボ+モーター+6速AT/リアモーターの組み合わせ。新機種の500h FSPORT Performanceの走りも颯爽と気持ちいい。
第3位 マツダ「CX−60」エンジン縦置き+後輪駆動をベースとしたアプローチが今どき珍しい
マツダCX−60は同社の新世代ラージ商品群の第1弾として登場。新たにエンジン縦置き+後輪駆動(FR)をベースとしたアプローチが今どき珍しく、それは走りの質感を求めたマツダらしい狙いによるものだ。現状でパワートレインは4タイプあり、3.3ℓの直6ディーゼルターボ(FR/4WD)とそのハイブリッド、2.5ℓの直4ガソリンエンジンとそのプラグインハイブリッドとなる。
実車は全幅が1,890mm、トレッドも前/後で1,640/1,645mmあることから、狭い場所ではそのサイズを意識することがある。が、マツダ車らしく、やや硬めのシートを含め適正な運転姿勢がとれ疲れは少なく、ロングツーリングが得意科目……そんな印象だ。
第4位 トヨタ「ハリアー」いたずらに華美に走らず、むしろ控えめなくらいだが実はなかなか見応えがある
高級クロスオーバーSUVの先駆“車”であるハリアーは、初代の登場から数えて25周年を迎えた。現在のモデルは2020年6月登場の4代目にあたるが、いたずらに華美に走らず、むしろ控えめなくらいだが、曲面を刻々と変化させながらまとめたボディのサイド面、サラリとスマートにまとめた前後の意匠など、実はなかなか見応えのあるスタイルをしている。
インテリアもセンターコンソールはやや存在を主張したデザインながら、全体のフィニッシュレベルは高く、満足感が得られる。静粛性の高さもこの車のキャラクターを裏切らない。最新モデルではPHEVが加えられたほか、予防安全システムの機能がさらに充実するなどの改良を受けた。
第5位 マツダ「MX−30」CXシリーズと一線を画すスタイルはミュータント感いっぱい
何としてもスタイリッシュと認定したい1台がこのマツダMX−30。今はそういう言い方をするのかどうか“提案型商品”であり、SUVのCXシリーズをもつマツダがわざわざこのクルマを市販した意味を噛みしめたいところ。CXシリーズと一線を画すスタイルはミュータント感いっぱいというべきか、街中で見かけて一瞬、輸入車か!?と錯覚させられる。
後部ヒンジで開く独特のフリースタイルドアは、機能的に完璧とは言えないまでもBピラーが残らない広いドア開口は、荷物の出し入れやペットの乗せ降ろしなど、用途があるユーザーには便利。EVのスムースな走りは魅力だが、現実的なのは2ℓエンジン+モーター仕様のモデルだ。
カテゴリー3:機動性と実用性の両立がかっこいい「アウトドア系SUV」
昔の陸サーファーほどではないが、○○風ということでは、近年、SUVユーザーの増加に伴い、必然的に都会派SUVの比率が高まってきた。その一方で、昔ながらというか本来のというか、SUVがもつ元々の機動性の高さに(も)プライオリティを置いたモデルが、このアウトドア系。リアルな生活スタイルに照らすなら、冬場ならスキー、それ以外なら河原でキャンプ(今ならワーケーション?)といったシーンでポテンシャルを最大限に発揮してくれる、そういう用途のためのクルマというわけだ。
とはいえ今のモデルは決して武骨なだけでなく、コールマンのキャンプ用品一式を積み込むのも似合えば、日常の買い物でも使いやすく、洗練されたクルマっぷりのモデルばかりで、週末のレジャーだけでなく365日、フルに活用できるのも魅力。基本は実用車だから、家族や友人、知人を乗せたり、IKEAから組立式家具の段ボールを載せて帰ってきたり……と、そんな芸当もたやすい。
第1位 トヨタ「RAV4」今日的な都会派SUVとは明らかに一線を画した、ラギッドな風合い
2019年4月登場の現行RAV4は、今日的な都会派SUVとは明らかに一線を画した、ラギッドな風合いのスタイルが持ち味、個性だ。同じプラットフォームで出来たハリアーとは好対照のキャラクターといえる。しかも決して見せかけだけではないのは、4WDシステムにこだわりをもつ点で、ハイブリッド車のそれはE-Fourと呼ぶ、後輪をモーターで独立して駆動させる方式を採用。2ℓガソリン車系は、後輪左右の駆動力が独立制御のダイナミックトルクベクタリングAWDだ。
PHVの用意もあり、この仕様は95kmのモーター走行可能というスペックをもつ。ゆとりの大きい後席スペースやラゲッジルーム、シートヒーター&ベンチレーションなど装備も充実。
第2位 スバル「アウトバック」北米風味のスバルのフラッグシップ
北米市場をターゲットにしているレガシィアウトバック。現在のモデルは全長×全幅×全高が4,870×1,875×1,675mmまでに“成長”しているが、213mmの最低地上高によりオフロードでの走破性の高さを確保した上で、事実上のスバルのフラッグシップらしく、オンロード、高速走行での、このクルマらしい悠々とした乗り味も魅力としている。
搭載エンジンは1.8ℓの水平対向4気筒ターボで、レギュラーガソリン仕様、アイサイトはステレオカメラ+4レーダー。縦型11.6インチディスプレーはカーナビの地図画面を表示するほか、上部にデジタル時計を配置するわかりやすさ。クラス相応で幅方向が1mを上回る余裕を持たせた広いラゲッジルームの使い勝手もいい。
第3位 スバル「クロストレック」前後ホイールアーチやボディ下部に装着された樹脂のクラッディングなどでSUVらしさを演出
新たにXVからクロストレックに改められた車名は、これまでグローバルで使われてきたもので、今回の新型から日本仕様も統一が図られた。すでに2023年春の展開と発表されている新型インプレッサとは基本骨格は共通ながら、クロストレックは例によって最低地上高が200mmに高められ、さらに前後ホイールアーチをはじめボディ下部に装着された樹脂のクラッディングなどで従来のXV同様にSUVらしい出で立ちに。
スタイリングはXVをより進化させたイメージで上級グレードは18インチタイヤを装着。アイサイトはステレオカメラに広角単眼カメラを加え、より広範囲のセンシングを実現。2ℓ+モーターで、AWDのほかFWDも新設定された。
第4位 日産「エクストレイル」ややワイルドな味も盛り込みつつも現代的なSUVに仕立てられた
エクストレイルというと、いまだに“タフギア”がうたい文句だった初代〜2代目のあのボクシーな姿が思い浮かぶ。2022年7月に登場したばかりの現行モデル(4代目)は、ややワイルドな味も盛り込みつつも現代的なSUVに仕立てられた。スタイリングは極めて個性的かどうかは別として、街中で目立ちすぎずといったところか。
走りに関しては、実はオンロードでのスッキリとしなやかで上質なドライバビリティが大きな魅力で、長距離の移動の快適性が高い。が、それに加えてe-POWER+e-4ORCEによる的確な駆動力制御により、いかなるシーンでも安定した走りを披露してくれるところがいい。後席やラゲッジルームの広さも申し分なし。
第5位 トヨタ「ハイラックス」500kgの積載量の“荷台”をもつところがかっこよさのポイント
元々ハイラックスは1968年に誕生した初代のピックアップトラックが源流。現行モデルはその8代目で、2017年、13年のブランクの後に日本市場で発売されたもの。トヨタ・モーター・タイランドで生産される輸入車でもある。ラインナップはボディタイプは5名乗りのダブルキャブの1タイプ、搭載エンジンは2.4ℓの4気筒ディーゼルターボで6速AT、駆動方式はパートタイム4WDとなっている。
フレーム構造を採用し、500kgの積載量の“荷台”をもつところがこのクルマのカッコよさのポイントで、ほかのSUVにはない使い勝手が心強い。インパネなど内装は非常に乗用車ライクな仕上がり。専用デザインが施されたGRSPORTグレードも用意される。
カテゴリー4:ヘビーデューティなスペックと快適性の両立がかっこいい「タフ系SUV」
かつて〝クロカン〟〝四駆〟〝オフローダー〟など呼ばれた、古来(!)からある4WD車のスタイルがこのタフ系だ。音楽の世界でもRockといってもへヴィメタルからAOR、最近ではヨットロックまでさまざまで世界観が広いように、SUVも今やソフトメロウなモデルの台頭が著しいのはご存じのとおり。そんな中で、リズム&ブルース、カントリー&ウエスタンといった位置づけになるのが、そもそものこのタフ系の起源だ。
もちろん最新のモデルでは初代ランドクルーザーのようなドアのないクルマなどないが、ヘビーデューティなスペックをストレートに表現しながらも、現代的な快適性を身に付けたクルマに仕上げられている。その意味ではSUVの最高峰でもあるといえる。ただしパリダカで名を馳せた三菱パジェロや、多くのファンを持っていた日産サファリといった名門が今はもうないのは残念だ。
第1位 トヨタ「ランドクルーザー」誰が見てもランドクルーザーとわかる外観
車種を取り上げておきながらはじめにお断わりしておくと、ランドクルーザーの現在のステイタスは受注停止となっている。生産能力を大幅に上回る受注が入ったことが理由のようだが、同車に限らず、ほとんどの量産車は昨今、程度の差こそあれ同様の状況にある。少しでも早く元々の生産計画に近づいてほしいと願うばかりだ。
そんな中で現行モデルは2021年8月の発売で、14年ぶりのフルモデルチェンジだった。ラダーフレーム構造を踏襲した上で大柄なボディはアルミの採用で軽量化も実施。誰が見てもランドクルーザーとわかる外観だ。オンロードではゆったりとした乗り味が味わえる。3列目シートのゆとりもさすがだ。3.5ℓのガソリンターボと3.3ℓディーゼルに10速ATが組み合わされる。
第2位 トヨタ「ランドクルーザープラド」アプローチアングル31°、ディパーチャーアングル28°など、本格的オフローダーの資質
70系ランドクルーザーから発展、より乗用車ライクなクルマとして1990年に誕生したのが初代のランドクルーザープラドだった。現在のモデルは4代目で2009年に登場。ラダーフレーム構造、リアの車軸式サスペンションなどを採用したオーセンティックなオフロード車で、最大渡河性能700mm、登坂性能と最大安定傾斜角はそれぞれ42°、アプローチアングル31°、ディパーチャーアングル28°など、本格的オフローダーの資質を備える。
エンジンスロットル特性とアクティブトラクションのブレーキ油圧を制御する5モードのマルチテレインセレクト、オンロードのロールとオフロードのフラット感などを制御するKDSSはじめ多彩な制御技術の搭載にも目を見張る。
第3位 スバル「フォレスター」オフロード走行を守備範囲としたクルマであることが一目瞭然
最低地上高220mm、アプローチアングル21.4°、ランプブレークオーバーアングル21.1°、ディパーチャーアングル25.8°。こうしたスペックだけでも見るからにオフロード走行を守備範囲としたクルマであることが一目瞭然。現行モデルは2018年に登場後、2021年の改良で外観もリフレッシュした。
走行性能に話を戻せば、X-MODEと呼ばれる4輪の駆動力、ブレーキを自動的に制御する機能(2モード、ヒルディセントコントロール付き)を備える点も心強く、文字どおり道を選ばず安心、安全なドライブが楽しめる。パワーユニットはスポーティな味わいの1.8ℓターボと2ℓハイブリッドのeボクサーの2タイプの設定。カーゴアッパーフックなど実用性も一級品。
第4位 三菱「アウトランダー」存在感のあるデザインが頼もしさ、たくましさに通じていることは確か
2021年10月登場のアウトランダーは2.4ℓ直列4気筒エンジンと前後2モーターを組み合わせたPHEVのみの設定。先代に対してバッテリー容量が拡大されており、80kmを超えるEV走行を可能としている。全長×全幅×全高は4,710×1,860×1,745mmというもので例のフロントデザイン(ダイナミックシールド)もあり、存在感のあるデザインで大柄な印象が強い。
が、そのことがSUVとしては頼もしさ、たくましさに通じていることは確か。20インチの大径タイヤはいかにも今どきのクルマだが、200mmの最低地上高は確保されている。そして4輪駆動制御技術にこだわりがあるのが三菱車らしいところ。S-AWC(4輪統合制御)の最適制御が心強い。
第5位 スズキ「ジムニー/ジムニーシエラ」フラットな面で構成されたスクエアなボディ形状は実用上のメリットも
ナリは小さくとも“本格的4輪駆動車”とあえて呼びたいのが軽自動車のジムニーと小型車のジムニーシエラだ。ラダーフレーム構造、前後3リンクリジッドアクスル、さらに機械式副変速機採用のパートタイム4WD方式とメカニズムはいずれもジムニーの伝統を受け継いだもので、アプローチアングル41°、ランプブレークオーバーアングル28°、ディパーチャーアングル51°と、コンパクトなボディを活かし切る設計であるところもオフロードでの強み。
小型車のジムニーシエラはワイドトレッド化で安定感の高さが実感できる。フラットな面で構成されたスクエアなボディ形状は、サイドウィンドウを立てて雪がたまりにくくする効果もある。
番外:スーパーカーからコンパクトまで、まさに百花繚乱・百鬼夜行!?「輸入車SUV」
実は国産車以上に、よく言えば百花繚乱状態なのが輸入車のSUVだ。2022年にはついにイタリアのフェラーリからも(SUVとみなせる)初の4ドア車プロサングエが登場、イギリスの名門スポーツカーブランドのロータスからもEVのエレトレが発表されるなどした。BMWからあの初代X5が登場したのが2000年で、当時、まるでラジコンカーのシャシーに塗装したクリアボディを載せたみたいな新鮮な(ジョークのような!?)姿に驚かされたのも遠い昔。今やランボルギーニもマセラティもロールスロイスもベントレーも自社のラインナップにSUVをもつ。
もちろんポピュラーなブランドの輸入SUVも豊富な車種がそろう。その中には国産モデルと変わらない身近なプライス、感覚で乗り出せる車種も数多い。その上で輸入車らしく、スタイル、走りなど、個々のブランドの“らしさ”が楽しめるのも輸入SUVの魅力のひとつだ。生活スタイルの中のアクセントとしての役割も果たしてくれる……というわけだ。
輸入車「コンパクト&カジュアル」第1位 フォルクスワーゲン「Tクロス」普段使いから遠出まで、スマートに乗りこなせる
BセグメントのVWのコンパクトカーのポロをベースに仕立てられたのがこのTクロス。輸入SUV販売台数ナンバー1(2021年)の人気を誇るモデルでもある。このクルマの魅力は、ポロ以上に乗りやすいクルマということ。
ホイールベースは両車で共通の2,550mmで、Tクロスのほうが全長(+40mm)、全幅(+35mm)がわずかずつ大きいものの、全高の差(ポロ+130mm)により着座位置が高く、見晴らしのいい運転席が実現されているため取り回しもしやすい。ラゲッジルームも高さが増す分、アクセスしやすい。1ℓの3気筒ターボエンジンは7速DSGによりリズミカルな動力性能を発揮。結果、普段使いから遠出まで、スマートに乗りこなせるというわけだ。
輸入車「スタイリッシュ&ラグジュアリー」第1位 プジョー「3008」“華”があり、走り去る後ろ姿などハッとさせられる
かっこいいSUVという意味では文字どおりスタイリッシュでかっこいいクルマがこのプジョー3008だ。2020年にフェイスリフトを受けて今の外観になったが、何とも繊細なパターンのフロントグリルが与えられるなどしてよりミステリアスな表情になった。派手とか大胆なデザインではないものの“華”があり、走り去る後ろ姿などハッとさせられる。
毎日乗るのだったらこれくらい粋なデザインのほうがいいでしょ!?とクルマが言っている。インテリアも全体に退屈しないデザインと洒落た心地いい素材感が味わえる。それでいて床面の低いラゲッジルームは実用車造りに長けたプジョーらしいところ。4WD車のパワートレインはハイブリッドだ。
輸入車「アウトドア」第1位 ランドローバー「ディフェンダー」オフローダーの本家ともいうべきランドローバーの原点回帰
オフローダーの本家ともいうべきランドローバーが最新技術を投入して復活させたのがこのディフェンダーだ。カタログをダウンロードして見ると、スペックの部分の“最大渡河性能コイルサスペンション850mm/エアサスペンション900mm”などとあり目を見張るばかりだが、アウトドア派であれば、このクルマと自由な時間が手に入れば夢のようだろう。
ボディタイプはショートボディ/3ドアの90とロングボディ/5ドアの110とがあり、90は2Lのガソリンターボ、5ドアにはさらに3ℓの直6ディーゼルターボ+モーターのマイルドハイブリッドが設定される。ボディは全幅1,995mm、全高1,970mmと大柄で、運転席に乗り込んだ際の見晴らし感覚が新鮮。
輸入車「タフ」第1位 ジープ「ラングラー」誰にも説明されなくてもジープとわかる
オーセンティックでトラディショナルなオフロード4WDといえば、このジープラングラーだ。ウイリスジープの末裔でもある現在のモデルは4代目で日本市場へは2018年に投入された。ラダーフレーム、前後リジッドサスペンションをはじめ、基本は伝統を受け継いだもので、丸型ヘッドランプ+7スリット、箱形ボディと張り出させたフェンダーは、誰にも説明されなくてもジープとわかる。
現在は2ℓの4気筒ターボ搭載車のみで8速ATが組み合わされるが、かつてのモデルに比べればオンロードでの乗り味や音、振動もかなり常識的なものとなっており日常使いにも通用する。昔ながらのまっすぐなインパネに計器類が並ぶインパネもムード満点だ。
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SUVの魅力は包容力。ぜひ体感してほしい
これは昔から折に触れて書かせていただいていることだが、もしも無人島にクルマを1台持っていくとしたら、(ガソリンスタンドか充電設備と、大径タイヤを扱うタイヤショップがあるなら!)やはりSUVだ。実用的で運転もしやすく、何よりクルマとして包容力があり安心感が大きいから、だ。そういう魅力がかっこいいと思えるのが今どきの空気感なのかもしれない。もしもまだというなら、そんなSUV体験を一度してみてはいかがだろうか。
よくある質問
Q1:SUVのスタイルにはどんな種類がありますか?
A:SUVのスタイルは「コンパクト&カジュアル」「スタイリッシュ」「アウトドア」「タフ」と4つのカテゴリーに分けられます。
Q2:専門家からみて国産SUVでかっこいい車種を具体的に教えてください。
A:コンパクト&カジュアルならホンダ「ヴェゼル」、スタイリッシュならマツダ「CX-8」、アウトドアならトヨタ「RAV4」、タフならトヨタ「ランドクルーザー」がかっこいいと思います。
Q3:専門家からみて輸入車SUVでかっこいい車種を具体的に教えてください。
A:フォルクスワーゲン「Tクロス」、プジョー「3008」、ランドローバー「ディフェンダー」、ジープ「ラングラー」がかっこいいと思います。
※この記事は2023年1月時点の情報で制作しています